写真・図版 12月5日、中国商務省は、米中両国政府が今後90日間で通商交渉を推進するとの見通しを示し、米国との合意が可能と確信していると表明した。写真は中米両国旗。北京で6月に撮影(2018年 ロイター/Jason Lee)

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 [上海 5日 ロイター] - 中国商務省は5日、米中両国政府が今後90日間で通商交渉を推進するとの見通しを示し、米国との合意が可能と確信していると表明した。

 また、合意した具体的内容をできるだけ早期に実施するために中国側が取り組む考えを示した。

 商務省は、米中の通商・経済協議は「大きな成功」だったとした。声明はトランプ米大統領や習近平国家主席に言及しなかったが、国営新華社はその後、商務省の声明は両首脳の会談を評価したものだと伝えた。

 商務省は「(合意を)履行できると確信している。双方の経済・通商チームが明確な行程表に沿って90日間で交渉作業を積極的に進める」とし、「中国側は合意済みの具体的措置の実施に速やかに着手する」方針を示した。

 前週末の米中首脳会談での合意に関して、中国側は政府高官が記者団に説明を行った後はほとんど見解を示していなかった。合意内容について双方の説明に食い違いもみられた。

 中国の当局者はロイターに対し、詳細の公表は「政権指導部の帰国を待って」行われると述べた。習主席や商務相ら高官はポルトガルを訪問しており、6日に帰国する予定。

 トランプ大統領は中国商務省による声明発表の数分後、ツイッターに「中国との間で本物のディール(取引)が成立するか、ディールがまったく成立しないかのどちらかだ。ノーディールなら米国が輸入する中国製品に対し、大規模な関税を課すことになるだろう。最終的にはディールは今か将来に成立すると信じている」と投稿した。

 これより先のツイートでは、週末の米中首脳会談で合意した追加関税導入に対する90日の猶予期間について、延長する可能性があることを示唆していた。

 「中国との交渉は既に始まった。延長されない限り、アルゼンチンでの習主席との素晴らしい夕食会から90日後に終了する」とした。

 4日は世界の株式市場が貿易摩擦を巡る懸念の再燃などを受けて大幅に下落した。

 キャピタル・エコノミクスは今週出したリポートで米中間の交渉について、「合意は中国にとって受け入れ可能であると同時に、トランプ政権の対中強硬派が反発しないように中国から十分な譲歩を引き出す必要があるため、困難な任務になる」と指摘。

 「90日間で合意がまとまらなくてもわれわれは驚かない。追加関税は当初の予定より数カ月だけ遅れて導入されることになる」とした。

 5日付の中国共産党機関紙・人民日報傘下の環球時報は「合意が実現すればウィンウィンの状況となるが、実現しなければ長期的に対立と協議が交互に継続することになる。中国社会は冷静な姿勢を維持する必要がある」と論じた。

 *内容を追加しました。