発行日 : 2009年7月23日

“ゲリラ雷雨”を補足することを目的に開発された次世代小型レーダー

ゲリラ雷雨シーズンに向けて“WITH レーダー”が本日から始動

~ 人の感測とレーダー観測の融合でゲリラ雷雨補足率90%以上を目指す試み ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)では、例年よりも多く発生すると見込まれている“ゲリラ雷雨”に対して、その被害を軽減するため、高頻度の小型観測気象レーダーの開発・設置を現在進めています。この小型気象レーダーは「WITHレーダー」と呼ばれ、局地的かつ急速に発生する“ゲリラ雷雨”を捉えるために開発された次世代型の気象レーダーです。従来のレーダーでは捉えられない、対流圏下層(上空2km以下)の現象を、6秒毎に半径50kmの範囲を“超高頻度観測”し、“ゲリラ雷雨”の“雨の強さ”、“移動速度”、“移動方向”をいち早く捉えるのが特徴です。また、“ゲリラ雷雨”の移動を追尾しながら観測することも可能になっています。この『WITHレーダー』には、“固定設置型”と、車を利用して、どこにでも移動できる“移動型”の2種類が準備されており、固定型レーダーでは補足できないエリアにゲリラ雷雨の危険性があった場合には、移動型の『WITHレーダー』を、その場所へ予め移動し、観測を実施することも可能です。『ゲリラ雷雨防衛隊』から寄せられる“ゲリラ雷雨”の初期段階の雲写真や映像をもとにレーダー監視エリアを決定し、そのエリアを重点的かつ早期に監視することで、“ゲリラ雷雨”による“死亡者ゼロ”及び、“事前補足率90% 以上”を試みます。


固定設置型「WITHレーダー」 移動型「WITHレーダー」
固定設置型「WITHレーダー」 移動型「WITHレーダー」

当社では、次世代のレーダー観測技術やその利用方法に関する研究・開発をするアメリカのプロジェクト、CASA(The Center for Collaborative Adaptive Sensing of the Atmosphere)のメンバーへ2007年から参加しており、近年、注目されている“ゲリラ雷雨”や突風、竜巻などの気象災害を軽減するための技術開発に取り組んでいます。当社では、本プロジェクトを通し、気象サービス世界最先端のアメリカの技術を応用することで、日本へのサービス実用化を目指しています。この『WITHレーダー』は、首都圏中心に全国25台設置する予定で今月末には東京都を中心とするエリアのカバーが可能となり、8月以降、順次全国に拡大していきます。

“人の感測”と“レーダー観測”が融合した“ゲリラ雷雨”補足の試み

“ゲリラ雷雨”は突発的かつ局地的に発生し、社会生活に大きな被害をもたらすことで知られ、現在の気象観測技術では、その予測は困難と言われています。 “いつ”そして“どこで”を予測することが難しい“ゲリラ雷雨”は、今回開発された『WITHレーダー』の観測力だけでは事前に補足することは難しく、「ゲリラ雷雨防衛隊」による“感測”情報が必要不可欠になります。“ゲリラ雷雨”を事前補足するためには、“ゲリラ雷雨”の初期段階の雲をいち早く捉えることが鍵となり、この初期段階の雲はレーダーでは補足できなく、人間の目による“感測”が重要になります。当社では先週より、この初期段階の雲をいち早く捉えるため、全国の一般の方と「ゲリラ雷雨防衛隊」を発足し、“ゲリラ雷雨”の可能性がある際に、携帯電話を用い写真や映像を送っていただく“感測”を実施しています。「ゲリラ雷雨防衛隊」から寄せられる“ゲリラ雷雨”の初期段階の雲写真や映像を素早く解析し、この『WITHレーダー』の監視方向をいち早く決定することで、そのエリアの“ゲリラ雷雨”を事前に捉えることが可能となります。


“人の感測”と“レーダー観測”が融合した“ゲリラ雷雨”補足の試み

“ゲリラ雷雨”を監視する「ゲリラ雷雨防衛隊」

当社では、“ゲリラ雷雨”の被害を軽減するため、『WITHレーダー』の設置と平行して、“ゲリラ雷雨”を監視するネットワーク『ゲリラ雷雨防衛隊』の構築を現在一般の方と共に進めています。この『ゲリラ雷雨防衛隊』は、“ゲリラ雷雨”を事前に補足することを目的にウェザーニュース携帯サイト内で発足したコミュニティで、ウェザーニュース携帯サイトの月額315円会員の方ならば誰でも参加することができます。『ゲリラ雷雨防衛隊』へ入隊した方は“隊員”と呼ばれ、事前に登録をした地点を重点的に“感測”する役割を担います。“感測”はウェザーニュースから「監視体制始動メール」が届いたタイミングで実施し、届いたメールのリンク先のサイトで、“現在の天気”“雲のある方角”“雲の成長具合”“雷鳴の有無”、そして、“肌で感じた感覚”などを入力し、写真などと併せて送信します。昨年は1万人以上の方が参加し、全国の隊員の“目”で感測した“現地の実況情報”及び“感覚情報”を解析することで、観測機では捉えられない、急速に発達する“ゲリラ雷雨”発生を平均で70%以上の確率で事前補足し、その情報を利用者にお知らせすることに成功しました。

“ゲリラ雷雨”の発生の可能性をいち早く伝える「ゲリラ雷雨メール」

「ゲリラ雷雨メール」は、市町村単位における任意の場所を登録するだけで“ゲリラ雷雨”が発生する可能性がある場合、その危険性を携帯電話にメールでお知らせするサービスで、携帯サイト「ウェザーニュース」の月額315円会員の方ならば誰でも登録できます。“数十分前までは晴れていたのにも関わらず、その後に土砂降りの雨”という状況に何度も遭遇するほど、夏場は雨雲が急速に発達し、強い雨を降らせます。この「ゲリラ雷雨メール」は、“ゲリラ雷雨防衛隊員”が監視した感測情報及び、『WITHレーダー』による観測情報をもとに気象予測を行い、「ゲリラ雷雨メール」登録者にお知らせをする試みです。昨年は 56,542名の方が本サービスを利用し、全体の92%の方に「役に立った」との評価をいただきました。今年は、登録が出来る地点が一つのみだった昨年から、利用者からの要望を受けバージョンアップし最大3地点まで登録ができるようになりました。


<参考情報>

・WITHレーダーによる関東エリアのカバーイメージと観測データイメージ

関東エリアのカバーイメージ 観測データイメージ

・レーダー部分のイメージ

レーダー部分のイメージ

・ゲリラ雷雨防衛隊の仕組み

ゲリラ雷雨防衛隊の仕組み

・昨年の「ゲリラ雷雨メール」実績

各都府県 ゲリラ雷雨 発生数 ゲリラ雷雨 捕捉率 ゲリラ雷雨メール 事前送信時間
東京都 172回 76.7% 平均38分前
大阪府 128回 62.5% 平均8分前
愛知県 172回 63.9% 平均19分前
福岡県 308回 71.7% 平均29分前

実績の詳細は下記URLにてご確認いただけます。
http://weathernews.com/jp/c/press/2008/081006.html
ウェザーニューズでは、より便利な生活を実現するため、既存の気象観測技術の枠を超えた、“新しい気象情報”を利用者と共に考え、実施していきます。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。