「八丁味噌」めぐる訴訟、二審も愛知・岡崎の老舗が敗訴 知財高裁

田中恭太
[PR]

 愛知県岡崎市の「八丁味噌(みそ)」の老舗「まるや八丁味噌」が「八丁味噌は岡崎市の2社が伝統的製法で作る豆味噌を指す」と訴え、県内の別団体が受けた「地理的表示保護制度」(GI制度)登録の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が8日、知財高裁(東海林保裁判長)であった。判決は「提訴できる期間は過ぎていた」として訴えを却下した一審・東京地裁判決を支持し、同社の控訴を棄却した。

 GI制度は、国が農林水産物や食品を地域ブランドに登録して守る仕組み。「八丁味噌」は、名古屋市の愛知県味噌溜醬油(たまりしょうゆ)工業協同組合が「愛知県全体」を生産地として2017年に登録を受けた。老舗2社などでつくる岡崎市の組合が不服審査を請求したが、21年に棄却され、まるや社は同年に単独で提訴した。

 知財高裁は、法の規定で、審査請求をした当事者以外が取り消し訴訟を起こせるのは、最初の登録から6カ月だと指摘。同社が単独で提訴できたのは、17年の登録から6カ月間だったと判断した。提訴期間後でも「正当な理由」があれば訴えが有効になるが、「同社が提訴しなかったのは岡崎市の組合に判断にゆだねた結果」と述べ、同社の単独提訴を妨げる事情はなかったとした。

 「登録で名称の不正使用が防止され、原告を含む県内の八丁味噌業者が保護されることは明らかだ」とも述べ、救済の必要はないとした。田中恭太

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません