最近、外食産業等が話題だ。すき家の第三者委員会報告書では、24時間連続勤務、2週間自宅に帰れなかったなどの過酷な勤務実態が報告されている。また、コンビニ店主の労働環境や本部との契約関係についても指摘されている。
多くの「ブラック労働問題」は、デフレ時代に発生したものだ。それでもデフレ時にはその企業で働くしか選択肢がなかったのが、デフレ脱却が視野に入るとともに問題が顕在化したともいえる。
この意味で、ゆるやかなインフレを目指す「リフレ政策」はこうしたブラック的なものをあぶり出す光明ともいえる。
リフレ論者はデフレの弊害について、名目賃金の下方硬直性(下落しにくい性質)を問題視し、これを事実、つまり「である論」としてとらえている。名目賃金が下方硬直的なので、実質賃金が上がり、既得権労働者は得をするが、新規雇用者は不利となって、結果として失業率が高まることを懸念するわけだ。
一方、デフレ論者は、「べきだ論」の立場だ。下方硬直性に対して「べきだ論」から出てくる一つの対応策として、名目賃金には下方硬直性があるが、労働時間を長くして、実質的な賃金を下方に伸縮的にすることがある。
過度に行き過ぎれば、「ブラック企業」ひいては労働基準法違反になりかねないが、こうしたことに対してデフレ論者は比較的寛容である。また、失業についても、デフレ論者は下方硬直性を改善しないために生じる問題と考えるために、容認しがちである。