平成20年  9月 定例会本会議

    第三号 九月二十六日(金)
◯議員出欠状況(出席百十一人 欠席一人)
      一番  古川照人君(出席)
      二番  加治木一彦君(〃)
      三番  八重樫善幸君(〃)
      四番  青野剛暁君(〃)
      五番  久谷眞敬君(〃)
      六番  宗清皇一君(〃)
      七番  宮本一孝君(〃)
      八番  長野 聖君(〃)
      九番  森 和臣君(〃)
      十番  小松 久君(〃)
     十一番  山本陽子君(〃)
     十二番  くち原 亮君(〃)
     十三番  中野隆司君(〃)
     十四番  西尾佳晃君(〃)
     十五番  鈴木 憲君(〃)
     十六番  西田 薫君(〃)
     十七番  徳永愼市君(〃)
     十八番  上島一彦君(〃)
     十九番  阪倉久晴君(〃)
     二十番  松本利明君(〃)
    二十一番  小西 貢君(〃)
    二十二番  西 惠司君(〃)
    二十三番  垣見大志朗君(〃)
    二十四番  大山明彦君(〃)
    二十五番  川岡栄一君(〃)
    二十六番  中岡裕晶君(〃)
    二十七番  土井達也君(欠席)
    二十八番  吉村善美君(出席)
    二十九番  林 啓二君(〃)
     三十番  清水義人君(出席)
    三十一番  樋口昌和君(〃)
    三十二番  谷川 孝君(〃)
    三十三番  長田公子君(〃)
    三十四番  浦野靖人君(〃)
    三十五番  西野修平君(〃)
    三十六番  西野弘一君(〃)
    三十七番  尾田一郎君(〃)
    三十八番  東  徹君(〃)
    三十九番  松井一郎君(〃)
     四十番  三田勝久君(〃)
    四十一番  西川弘城君(〃)
    四十二番  中川隆弘君(〃)
    四十三番  かけはし信勝君(〃)
    四十四番  森 みどり君(〃)
    四十五番  井上 章君(〃)
    四十六番  芹生幸一君(〃)
    四十七番  堀田文一君(〃)
    四十八番  黒田まさ子君(〃)
    四十九番  小谷みすず君(〃)
     五十番  蒲生 健君(〃)
    五十一番  阿部誠行君(〃)
    五十二番  宮原 威君(〃)
    五十三番  徳丸義也君(〃)
    五十四番  北口裕文君(〃)
    五十五番  品川公男君(〃)
    五十六番  関  守君(〃)
    五十七番  大橋一功君(〃)
    五十八番  岩木 均君(〃)
    五十九番  井上哲也君(〃)
     六十番  阿部賞久君(〃)
    六十一番  今井 豊君(〃)
    六十二番  野上松秀君(出席)
    六十三番  出来成元君(〃)
    六十四番  中野まさし君(〃)
    六十五番  永野孝男君(〃)
    六十六番  杉本 武君(〃)
    六十七番  三宅史明君(〃)
    六十八番  光澤 忍君(〃)
    六十九番  柏原賢祥君(〃)
     七十番  池川康朗君(〃)
    七十一番  三浦寿子君(〃)
    七十二番  小沢福子君(〃)
    七十三番  岩下 学君(〃)
    七十四番  山本幸男君(〃)
    七十五番  池田作郎君(〃)
    七十六番  野田昌洋君(〃)
    七十七番  谷口昌隆君(〃)
    七十八番  奴井和幸君(〃)
    七十九番  花谷充愉君(〃)
     八十番  浅田 均君(〃)
    八十一番  松浪耕造君(〃)
    八十二番  大島 章君(〃)
    八十三番  山下清次君(〃)
    八十四番  さぎり 勁君(〃)
    八十五番  朝倉秀実君(〃)
    八十六番  中島健二君(〃)
    八十七番  上の和明君(〃)
    八十八番  山添武文君(〃)
    八十九番  ウルシハラ周義君(〃)
     九十番  西脇邦雄君(〃)
    九十一番  中村哲之助君(〃)
    九十二番  松田英世君(〃)
    九十三番  半田 實君(〃)
    九十四番  岩見星光君(出席)
    九十五番  畠 成章君(〃)
    九十六番  梅本憲史君(〃)
    九十七番  奥田康司君(〃)
    九十八番  北川法夫君(〃)
    九十九番  吉田利幸君(〃)
      百番  若林まさお君(〃)
     百一番  長田義明君(〃)
     百二番  横倉廉幸君(〃)
     百三番  川合通夫君(〃)
     百四番  西村晴天君(〃)
     百五番  鈴木和夫君(〃)
     百六番  高辻八男君(〃)
     百七番  冨田健治君(〃)
     百八番  大前英世君(〃)
     百九番  土師幸平君(〃)
     百十番  釜中与四一君(〃)
    百十一番  橋本昇治君(〃)
    百十二番  酒井 豊君(〃)
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◯議会事務局
     局長         中西 優
     次長         沢村 功
     議事課長       田中利幸
     総括補佐       中岡敬二
     課長補佐(委員会)  中田雅幸
     主査(議事運営総括) 田澤孝夫
     主査(議事運営総括) 玄 正彦
     主査         佐藤 実
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◯議事日程 第三号
 平成二十年九月二十六日(金曜)午後一時開議
 第一 議案第一号から第二十八号まで、議案第三十号、報告第一号から第十号まで及び諮問第一号から第三号まで(「平成二十年度大阪府一般会計補正予算の件」ほか四十一件)
    (質疑・質問)
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◯本日の会議に付した事件
 第一 日程第一の件
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
午後一時開議
○議長(畠成章君) これより本日の会議を開きます。
    −−−−−−−◇−−−−−−−
○議長(畠成章君) 日程第一、議案第一号から第二十八号まで、議案第三十号、報告第一号から第十号まで及び諮問第一号から第三号まで、平成二十年度大阪府一般会計補正予算の件外四十一件を一括議題といたします。
 ただいまより上程議案に対する質疑並びに府政一般に関する質問を行います。
 通告により北口裕文君を指名いたします。北口裕文君。
   (北口裕文君登壇・拍手)
(北口裕文君) 民主党・無所属ネット議員団の北口裕文でございます。今定例会におきまして、我が会派を代表して、知事並びに理事者の皆さんに質問をせよとの同僚の熱い熱烈な要請を受けて、浅学非才の身ではございますけれども、府民福祉の向上、輝く大阪実現のため、勇気をもって挑ませていただきます。
 私ごとでございますが、本日、五カ月になる子どもが別室で、知事との議論の行く末を見ております。この子のためにも、本日は、知事から、輝く大阪の夢と現実に向けての工程を語っていただきたいなと、このように思う所存でございます。
 まず、私たちは、七月議会において、知事が修正案の提案に至ったことを受け入れ、予算に対して賛成することを決意いたしました。このような決定をした背景には、昨年に成立した財政健全化法が財政再生団体の転落を未然に防ぐ、いわゆるイエローカードを避ける努力をすべての自治体に求めている状況にあります。
 粗い計算によると、七千七百七十億の収支改善をどのような形で行うのか、そのスピードとボリュームについての議論の余地はありますが、財政健全化の必要性は認める立場に私たちも立っているというメッセージを発したつもりであります。
 しかし、現時点で、財プロ案の三年計画をすべて承認したわけではありません。国際児童文学館の移転統合、男女共同参画推進財団の自立化、中学校夜間学級への援助を初め、市長会等とも十分な議論が必要な福祉四医療費公費負担助成の見直しや、交付金化の検討などです。また、最近では、耐震補強に端を発したWTCへの移転も含む庁舎のあり方問題、全国学力テストの結果など喫緊の課題について質問し、御提案を申し上げたいと思います。
 それでは、順次質問を行ってまいります。
 まず、地域主権についてお伺いをいたします。
 先般、国の地方分権推進改革委員会に対して、各省庁から国の出先機関の事務権限の仕分けに関する見解が示されました。国の出先機関の事務権限四百八項目のうち、地方移譲をされるのはわずか二十七項目であります。一割にも満たない結果であります。さきの定例記者会見でも言及されましたが、この見解を見た知事の素直な感想をまずお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 民主党・無所属ネット大阪府議会議員団を代表されましての北口議員の御質問にお答え申し上げます。
 国の出先機関の見直しについてでありますが、今回のこの省庁回答ですが、正直言って、霞が関には国の形を変えるという意気込みが全く感じられないと、本当に地方分権を進める気があるのかというような感想を持ちました。国、地方を通じて厳しい財政状況の中、国と地方の役割分担を大胆に見直し、権限と財源の移譲を進めることで、国の形そのものを抜本的に変革していかなければ、我が国は立ち行かなくなると考えております。
 大阪府は、あしたにでも権限と財源を受ける覚悟と自信を持っています。先日も、府議会の皆様方と共同で、国の出先機関の抜本的な見直しを求めるアピールを公表したところであり、引き続き地域主権の確立に向けて、地方への権限、財源の移譲を基本に、国の出先機関の見直しを大胆に進めるよう強く求めていきます。省庁の回答には、もう落胆をしています。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) この二十七項目の含まれた国が移管してもよいという直轄国道の移管については、さきに国土交通省は、九月一日、全国百八路線、総延長にして全体の一五・四%に当たる計三千三百六キロメートルを対象として検討することを発表しました。
 しかし、対象路線全体の改修や維持にかかる事業費が一千七百八十五億円にも上ることが判明いたしました。今後、この事業費をどのように捻出、財源移譲されるのか、本当に疑問の残るところでございます。
 国道の話をいたしましたので、それを管理している近畿地方整備局を例にいたします。この局は、管内に約四十も事務所があり、約二千六百人の職員がいます。そして、その予算は、一兆二千五百億円もあります。つまり、府県の都市整備部と同じ種類の事務を行っている役所が、関西にこれだけあるわけです。この事務所、人員、財源が地方に移譲され、府県で一元管理され、二重に重なる無駄をなくしていけば、その分を住民福祉の向上や、あるいは喫緊の課題の予算に回せると思います。
 日ごろから、我々は訴えておりますけれども、地方分権改革を求める国民の皆さんの声が聞こえてこないのも事実であります。分権改革を進めることができるか否かは、世論の盛り上がり、つまり分権することにより、地域に住む国民の皆さんが税金を納め、その結果、受けるサービスを身近にどれだけ感じてもらえるかであります。そのためには、国に頼ることなく、世論に訴えていくことが大切と考えます。我々議員も努力をいたしますが、何よりも首長の発言は世論に大きな影響があるものと思います。知事にその手段をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、大阪府の考える地方分権の姿をビジョンにまとめ、府民、国民にわかりやすくアピールすることで、地方分権を求める声を巻き起こしていきたいというふうに思っております。
 十二月末に示すビジョンの中で、この分権というものの姿をきちんと取りまとめていきたいと思うんですが、僕も感じるんですけども、地方分権と言っても、なかなか府民の皆さん、やっぱりぴんとこないと。道州制ももちろんそうなんですけども、まず分権ということもぴんときていないと。言葉自体がそんなに浸透していないんじゃないかというふうに思っていまして、今はその分権という言葉をとにかく知ってもらう、認識してもらうということに努めております。
 また、その分権ということで、すぐハッピーパラダイスが待ってるというふうに勘違いされても困りますので、自分たちの税金を自分たちでとにかく決定して、使い方を決めていきましょうと。何よりも今のこのまんまの行政の仕組みであれば、国の形、地方の仕組みということであれば、これは日本は立ち行かなくなりますよということを、とにかくそこを認識してもらう、危機感を持ってもらうということにこれから努めて、全力を挙げてメッセージを発していきたいというふうに思っています。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 会派では、東大の神野直彦教授を初め、地方分権、地方財政に著名な有識者の皆さんを講師に迎え勉強会を開催したり、国会議員を交えて地方分権に関する意見交換会を開催するなど、日々研究を行っております。そのような成果もあり、先般、民主党の分権調査会が次期衆議院選挙のマニフェストに盛り込む地方分権改革の原案をまとめ、発表いたしました。
 その概要を申しますと、先ほども知事が言われたように、まず霞が関の解体であります。国の出先機関は原則廃止し、国、地方の二重行政を解消する。中央政権の役割を外交、防衛、危機管理、治安、食料、エネルギーを含む総合的な安全保障、教育・社会保障の最終責任、通貨、市場経済ルールの確立、国家的大プロジェクトなどに限定すべきであります。
 次に、自治体の再編です。
 特に、我々は、地方分権国家の母体を基礎自治体とし、住民の生活にかかわる行政サービスなど、対応できる事務事業はすべて行えるよう、権限と財源を大幅に移譲すべきと考えております。今後、議論が必要な点はあると思いますが、国の出先機関の原則廃止など、霞が関を解体再編し、地域主権を確立するという基本的な考え方や、工程イメージを明確にして取り組むとしている分権への意欲、積極性は、知事の考え、姿勢に通じるものであると思います。
 こうした我々の分権に対する基本的な考え方、姿勢について、知事の率直な御意見をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 明治維新以来、近代国家成立に当たっては、霞が関といいますか、中央集権体制というものは非常に貢献してきたと思いますし、それがあったからこそ、近代国家、日本はアジアの中でもいち早く近代国家の成立が果たせたんでないかというふうに思ってます。
 戦後も、高度成長というものを引っ張ってきたのも、この霞が関主導の行政システムの中で、今の日本があるものというふうに僕は思っているんですが、ただ今や成熟したこの社会を迎えるに当たって、社会経済環境がおびただしいスピードで変化して、各国民の求めるものも、幸福追求というものも非常に多様化している中では、もはや霞が関がすべて日本国の津々浦々を仕切れるような状態ではないと。このまんま霞が関のシステムが残れば、もう日本はとにかく崩壊する、これはもう間違いないというふうに思っています。
 大阪府ですら、今の府域内の四十三市町村、隅々までその市町村の住民ニーズにこの大手前から何もかも取り仕切れるというような時代ではなくなってきています。ましてや、もう国ということで考えれば、霞が関が支配できる状態ではありません。
 このような考え方に立って、就任以来、分権改革をスピード感を持ってダイナミックに推進するよう強く訴えてきたところであり、今回示されている民主党さんのこの地方分権への姿勢には共感を覚えていますが、ただ道州制については、認識にかなり差がありますし、また地方税の充実についても、まだまだ踏み込みが足りないんじゃないかというふうに思っています。
 国会において、国民の声を背景に地方分権が大きな争点として取り上げられ、国のあり方の変革につながる国民レベルでの活発な議論が展開されることを望んでおります。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 知事が、そして各自治体、地方がどれだけ声高に分権を叫んだとしても、それを受け入れる各自治体側の体制整備が必要であります。具体的には、権限移譲に見合った財源措置や必要な人員の国の出先からのスムーズな移行を行わなければなりません。当然のことでありますが、地方が現在担っている事務と責任に見合うよう、国と地方の税配分をまず五対五に税源移譲も進めなければなりません。
 しかし、より大切なことは、受け入れ側の職員のやる気ではないでしょうか。他県からは、分権に消極的な声も聞こえてまいります。知事の強い思いを受けて、それぞれの部局、職員が意識を高めていくことと思いますが、今後、どのようにして庁内意識を一層深めていかれるのか、知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 議員御指摘のとおり、地方分権を推進するためには、知事である私はもとより、府政に携わる職員一人一人が、常日ごろから地方分権への高い意識を持って業務を進め、お互いに議論を深めていくことが必要であると認識しております。
 今後、地域主権プロジェクトチームの発足にあわせて設置した地方分権改革推進会議などの場も活用して、全庁的な議論を展開していきたいと思っております。あわせて、私自身が、常に地方分権を意識して業務を進めるよう職員に言い続けることで、職員一人一人が分権改革を積極的に推進できるよう、庁内意識を高めていきたいと思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 地域主権型の行政システムを確立していくためには、国から都道府県への大きな権限と財源の移譲が行われる必要があります。そのためには、まず、みずから基礎自治体である市町村にも権限や財源を移譲していく必要があると思われます。
 今般、大阪版地域主権システムにおける権限移譲の検討状況が示され、基本理念として、住民にとってメリットの実感できる権限移譲が掲げられております。これは、府から府内市町村への権限移譲について、行政間の関係としてだけでなく、住民の視点に立って考えていこうとする意図だと理解しております。
 具体的には、どのような権限を移譲すれば、住民にとってどのようなメリットが実感できるとお考えでしょうか。
 そして、理念のもう一つに、全国の地方分権改革を大阪が先導する権限移譲が掲げられております。まさに、大阪でできることから率先して分権を進めていこうとする姿勢であり、ぜひとも全国を先導する取り組みとしていただきたいと思います。
 例えば、権限移譲の先進県と言われる広島県では、いわゆる特例条例を活用し、昨年の当初の段階で、二千条項を超える権限移譲を達成しております。これに対し、大阪では、六百条項足らずの状況であると伺っております。
 府としては、どのような目標を持って権限移譲を進めようとしているのか。また、権限移譲が進めば、結果として、府の仕事が市町村に移ることになり、府の組織のスリム化につながるものと考えます。今後、権限移譲を進めるに当たって、そういった視点も重要であると考えますが、以上三点について、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 私は、地域の実情を把握し、住民から受益と負担の関係が最もよく見える市町村が、これまで以上にしっかりと地域住民の自立や互助活動を支え、身近なサービスを提供することが可能となるよう、大阪府から府内市町村への権限移譲を積極的に行うべきと考えております。
 具体的には、保育所や特別養護老人ホームの設置認可等の事務を市町村に移譲することで、現在市町村で行っている福祉サービスや府が行っている施設認可等の事務が一元化され、総合的なサービスの提供が実現できると考えております。また、特例市の権限である騒音、振動や悪臭の規制基準の設定など、住民生活に直接かかわる事務を移譲することで、地域に密着したよりきめ細かな環境保全行政の展開が実現できます。
 こうした権限移譲を進めることによって、結果として、御提示のように、府の組織のスリム化にもつながっていくものと考えております。
 今後、市町村としっかりと協議をしていく必要がありますが、府と市町村がともに手を携えて、全国の分権改革をリードしていけるよう、まずは特例市の権限や、国の地方分権改革推進委員会の第一次勧告で示された権限の移譲から始め、広島県を超える全国一の取り組みを達成できるよう進めていきたいと思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 続きまして、庁舎の移転問題についてお伺いいたします。
 昨日も、自民党の花谷議員と知事との議論を伺っておりましたけれども、私のほうからも一問さしていただきます。
 知事は、庁舎のWTCへの移転を庁舎整備の第三案として示されました。従来、我が会派が反対の主張を行ってきた府庁舎の耐震補強の案を白紙に戻し、もう一度、庁舎建てかえの案も含めた再検討がなされたこと自体は、もう一度議論ができる状況に戻したと認識いたしております。
 しかし、この第三案を検討するに当たっては、情報の提供が余りにも少な過ぎると考えます。昨日、自民党が各ポイントを質問されましたけれども、きのうのきょうで自民党の各質問に対する答弁について変わることはないでしょうか。知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 質問内容にもよりますとしかお答えできないところあるんです。何か大きく変わるとか、そういうことはないと思います。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
◆(北口裕文君) それでは、再度お伺いいたしますが、知事がそこまでWTC移転案に固執される理由といいますか、もう一度お聞かせお願いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) まずは職場環境、これが第一です。府庁舎に入ったんですけれども、これが大阪府、日本をリードしていく大都市のコントロール役を担っている職場環境なのかということで唖然としました。やはり、府庁というものは、知的な活動をするかなめでありますから、それがこのような庁舎の中でやるということに非常に、そういう中でも大胆なすばらしい発想が出てくるのかということを非常に疑問に思いました。別に、今がすばらしい発想がないと言ってるわけじゃないんですけども、もっと環境を整えれば、もっともっと職員も頑張れるんじゃないかという思いがあります。
 第二に、費用の面でありますが、もともとの耐震補強の費用よりも安く、もしコストが削減できるのであれば、財政再建の今のこの状況に適するんではないかというような思いがあります。
 もう一つは、スピードといいますか、職場環境の変化のスピードで、耐震補強ないしは建てかえはかなり先の話になってきますので、早急に職場環境を整える必要があるんではないかというような思いがあります。
 あとは、根底にはやはり大阪の変化といいますか、このままの状況で庁舎だけを整備するということではなく、僕は大阪府知事ということですから、大阪市の活性化というものも、もちろんこれは大阪府の活性につながるわけです。今の咲洲の状況ないしはこの大手前の状況というものに、ある意味この庁舎問題というものが絡んで、大きな大阪に変化をもたらす起爆剤になるというような思いがありまして、イーブンで出た二つの案で−−僕はこれは幹部にもいつも伝えてるんですけども、二案があって、三案でも、複数案があって、絶対にだめだということがなく、ある程度イーブンに、それは三、七でもいいんですけれども、俎上にのったということであれば、できるだけ今は変化を選ぶ状況であると。非常に右肩上がりの高度成長の時代には、安定性を求めればいいのかもわかりませんが、非常に今は限られた財源の中で、目まぐるしく多様化する府民のニーズにこたえていく、また変化を、とにかく停滞が見込まれる中で、何かしらV字回復をねらっていかなきゃいけないという状況の中では、やはり変化がどうしても必要だというようなことを幹部に伝えております。俎上にのった案が絶対だめだということがない限りは、変化をとりたいということを伝えていまして、WTC案というものには、大阪に僕は大きな二つの変化が生じるんではないかということを期待しております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 続きまして、財政改革プログラム案等について、いまだ納得できない課題について御質問をさしていただきます。
 まず、中学校夜間学級についてであります。
 歴史的経緯からも、本来、国が責任を持つべきものではないかと考えます。知事は、国に対して要望していると聞いております。その後の進捗状況はどのようになっているのか、お聞かせください。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 六月に府として文部科学省に要望書を提出し、学齢児童生徒の保護者を対象としている現在の就学援助制度に、中学校夜間学級生徒も対象に加えるよう改善を求めているところであります。その後、教育委員会からも国に働きかけていますが、国は、就学援助制度は学齢児童生徒を対象としており、夜間学級生徒への就学援助については市町村の判断であるという認識を示しております。制度の改善が図られるよう、今後も引き続き国に対して強く要望していきます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 国、府、市、それぞれの責任を明確化するという観点から、中学校夜間学級生徒への就学援助に対する府の補助が、平成二十一年度から廃止されようとしております。次年度、補助が廃止されれば、現在夜間学級に通っている約一千三百名の生徒の中に、通えなくなるなどの影響が出てくることが懸念されます。
 七月の臨時議会で、知事は、就学援助は国と市町村が行うべきと答弁されましたが、その後、各市との話し合いはどのように進捗しておりますか、教育長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 中学校の夜間学級に関する御質問についてお答えを申し上げます。
 現在、夜間学級を設置している七つの市と、生徒さんが在住をしておられる関係の市町村、それぞれを個別に訪問いたしますとともに、夜間学級設置市の連絡会議を開催するなど、夜間学級生徒への援助のあり方について協議を進めているところでございます。
 夜間学級設置市からは、他の設置市の動向も踏まえ、これから検討していきたいという御意見や、夜間学級は引き続き運営していくが、他の市に在住される方への就学援助は難しいといった意見が出されております。また、生徒が居住している設置市以外の市、すなわち、ほかの市で設置されている夜間中学校に市民を通わせている市でございます−−生徒さんが住所を置いておられる市ということで御理解いただきたいと思いますが、そうした市からは、夜間学級設置市や大阪府の動向を見守り判断していきたいといった御意見でありますとか、財政難の中で新たな就学援助制度を立ち上げることは困難であるといった御意見が出されておるところでございます。
 府教育委員会といたしましては、夜間学級に学ぶ生徒の方々が引き続き夜間学級に通い学ぶことができるよう、今後とも関係市町村教育委員会と協議を続けてまいりたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 先日、我が会派の議員が、夜間学級の生徒の方々のお話を聞く機会がありました。ある生徒は、夜間学級で学び、会社で報告書が書けるようになったと。そのおかげで正社員になれましたと誇らしげに語っておられました。また、別の生徒は、東京にいる娘さんから手紙が来る、やっと読めるようになったと。また、それを読み返すことで、娘がそばにおるような、そんな感じがしてると話しておられました。勉強が難しくて投げ出しそうになったけども、頑張って本当によかったなと言っておられる方がおられました。
 夜間学級については、生徒が今までどおり通い学べることが一番重要なことと考えます。国が責任を持つか、関係市町村との協議が調うまでの間は、府が補助を継続すべきと考えますが、次年度から府の補助を廃止するのであれば、いつまでに関係市町村との協議を調えられるのか、知事にお示しをいただきたいと思います。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 私としては、夜間学級に学ぶ生徒の方々が、引き続き夜間学級に通い学ぶことができるように、教育委員会と連携していきたいと考えております。
 時期については、協議の進みぐあいを見きわめ、できるだけ早く結論を見出していく必要があると考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) では次に、国際児童文学館についてであります。
 国際児童文学館の議論は、さきの議会委員会で多くの議員が取り上げました。また、この議会でも議論されるのは必至な状況であります。
 知事は、何を目的としてかわかりませんが、カメラを持ち込み、撮影が禁止されている管内を断りなく黙って撮影するという手法をとられました。知事は、民間なら当たり前やと言われたのでありますが、児童文学館が、施設の管理上、必要として入館者に遵守を求めている規則については、法律上問題がないといっても、知事なら破ってもいいという理屈は立ちません。こんなやり方をしていると、職員との信頼関係が揺らいでくる、他の入館者に対しても示しがつかない、私はそのように思います。知事は、謝罪すべきではないでしょうか。知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 謝罪するつもりは全くありません。むしろ、当然の行為だというふうに、府民からは喜ばれている行為だと私は思っております。
 まず、入館者に対して写真撮影を禁止している規定ということでありますが、これは館内のいわゆる本の著作権保護の目的で禁止規定というものがあるのであり、私は別に本を何か写真で写して著作権侵害をするというつもりはなく、館内の状況を見るということが目的でありますから、この規定というものは私には当てはまりません。
 また、私は、公金を預かる長としまして、予算がきちんと適正に執行されているかどうかをきちんと管理する、その権限と責任がありますので、その権限と責任をもって館内の状況を把握するということは、むしろこれは当然の行為だというふうに思っています。
 また、今回のカメラを使った撮影行為でありますが、これも私が通常日程を明らかにして、その館を視察に行くということになると、これはもうどこの場所でもそうなんですが、いろんな動員がかかって、本来の真実の姿が見えません。ですから、私は、きちんとこの館の施設の状況、これを把握するためにも、今回のような手法をとって、やむを得ずこの館内の状況というものを把握した次第であります。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) そして、もう一つ、国際児童文学館をやゆする言葉として、漫画図書館にすればよいと発言されたとか。漫画おたくとみずから名乗っておられる方が、総理大臣になる時代であります。一定の先入観や間違った情報を整理して、長期間の文学的価値観を評価すべきと考えます。今の国際児童文学館にある蔵書の価値を知事が見出せない、そしたら正しい議論にならないんじゃないかなと、このように思いますけれども、知事の御認識はいかがでしょうか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) この施設の存在の必要性、理由については、児童文学ということの、その児童文学を子どもに普及させるということをかなり強くこの文学館は言われています。
 僕は、今回、カメラの撮影、また自分の視察で見た中でも、実際に子どもたちが、じゃ何をあの児童文学館で読んでるかというと、漫画ばかりを読んでいます。僕は、別に漫画が悪いというふうに言ってるわけではありません。そうであれば、文学、文学と、何か大きく、非常に文学を広めるんだというようなことを言うんではなくて、漫画を広めるんだというふうに言ってくれれば、そうすれば、もっと子どもたちに漫画が読みやすいような環境で漫画を整えるということを考えればいいんじゃないかというふうに思っています。
 中央図書館に視察に行ったんですが、非常に子どもたちを意識して、書架、閲覧スペースの配置やレイアウトも非常に工夫をされていました。やはり、これは、もう中央図書館のノウハウといいますか、これを利用させていただいて、そして僕は子どもに文学を広める、漫画を読む機会を与えるという意味においても、中央図書館に移転させることが、一番府民ニーズに適合するものだというふうに思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 国際児童文学館は、いわゆるPT試案のときから、移転ありきで議論が進んできたと思われます。現地での存続という多数の意見がある中で、さまざまな立場の人たちが議論を尽くすことが行われていないのは納得できません。
 また、大阪維新プログラム案の中央図書館の箇所で、府立図書館として今後のあり方の検討が必要とあります。これは、児童文学館の移転を議論する前にしっかりと検討しておくべきであります。しかるに、この検討結果がはっきり出ていない段階で、移転ありきの議論はおかしいと思います。
 さらに、現在、中央図書館では、年間約五万冊の図書がふえ、児童文学館でも年間一万五千冊の図書がふえる状況にあると聞き及んでおります。中央図書館の書庫を電動化した場合の最大収蔵能力は、三百五十万冊と言われておりますが、教育委員会等の資料によりますと、現在の蔵書資料数に加え、児童文学館から受け入れる七十万冊を単純に計算しますと、残りが約三十万冊となります。五年程度で中央図書館の書庫が満杯となってしまう試算となります。
 このような大きな課題があるにもかかわらず、移転が計画されていることは、問題を先送りするだけであり、到底納得はできません。ついては、こうした中央図書館の蔵書能力問題とあわせて、プログラム案にもある府立図書館の今後のあり方を検討するため、府立図書館長の諮問機関である大阪府立図書館協議会に諮問することも視野に入れ、あり方検討会議を立ち上げて検討すべきではないでしょうか。
 このように二つの面からの検討会議を立ち上げて検討すべきであり、軽々に判断することは憂いが残ります。中央図書館への移転を当面の間延期して、その間に、現地でのあり方についてどのように判断するのか、また仮に中央図書館で受け入れるとした場合、ハード・ソフト両面においてどのように対応すべきか等についてじっくり議論すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 府立図書館協議会は、図書館の運営に関し、館長の諮問に応じるものでありますが、中央図書館への移転後のあり方について、同協議会の活用も考慮するよう、教育委員会に伝えたいと思っております。
 また、中央図書館の収蔵能力については、当初からその拡大が図られるように建設されております。このため、七十万点の資料の受け入れのための地下書庫等の環境整備や図書の受け入れの工夫により、十分対応が可能と考えております。公の施設が、交通アクセスのよい場所や多くの府民が集まる場所に立地することは重要であり、今後、プログラム案の具体化に向けて早急に検討を進めていきたいと思っております。
 この国際児童文学館に今収蔵されている七十万冊ですか、この図書を一刻も早く多くの子どもたちの目に触れるように、あそこの児童文学館の職員の研究対象とする、そういう資料ではなくて、多くの府民の子どもたちに目にしてもらいたいという思いが僕にありますので、一刻も早くこれは中央図書館に移転したいというように考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) この件に関しましては、また委員会で知事と議論をさせていただきたいと、このように思っております。
 続きまして、医療に関するデータ整備の推進と、医療費公費負担事業の見直しについてお伺いをいたします。
 本年八月に策定された大阪府医療費適正化計画によると、平成十八年度における本府の医療費総額は約二兆四千億円程度であり、あわせて今後の高齢化の進展が全国平均を大きく上回るものと見込まれる中、さらに医療費は増加することが予想されます。医療費適正化への取り組みを通じて、必要な医療には予算を投じ、無駄な医療は明らかにするという将来を見据えた観点がますます不可欠になってきますが、残念ながら、何が必要で何が無駄かという議論をするための疫学的な基礎データが我が国には存在しないのも事実であります。
 このような中、国においては、具体的には一枚のカードで医療保険の被保険者証に加え、年金手帳や介護保険等保険証の役割を果たす社会保障カード−−仮称でありますけれども、これの導入により、平成二十三年から、これら社会保障に係る情報の連携等を図るものと聞いております。これは、先ほど述べたように、何が必要で何が無駄かという議論をするための基礎データの構築という点で、一定の寄与が見込まれております。
 先日、障がい者等の医療費の一部を助成している福祉医療制度に関する研究会が、福祉医療費助成制度に係る実態等調査を公表いたしました。この報告の中で、仮に一割負担を導入した場合の対応策の一つとして、カード積算方式が示されました。仮に、このカード積算方式について、国の検討している社会保障カードを活用すれば、大阪府や府内市町村がシステム導入費用を負担する必要がなくなることも考えられます。
 先ほど述べましたが、医療の質を高める観点から、医療資源の活用に無駄があれば、それを省くという議論を展開するため、必要な基礎データがないまま医療費助成制度に関する見直し議論が先行しているように見受けられますが、府民のセーフティーネットとして重要な役割を担っているこの制度の見直しと相まって、医療に関するデータベース整備を行い、医療の無駄を省けばよいのではないでしょうか。健康福祉部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 健康福祉部長笹井康典君。
   (健康福祉部長笹井康典君登壇)
健康福祉部長(笹井康典君) 医療に関するデータ整備の推進につきましては、効率的で効果的な医療の提供に当たり、大変重要なものであると認識をしております。本府といたしましては、本年八月に、大阪府医療費適正化計画を策定し、医療資源の利用に当たり、非効率な部分を必要なところに再配分し、医療の質を高めることを基本とし、取り組みを始めたところであります。
 今後、お示しのとおり、平成二十三年度導入に向け検討されております社会保障カード導入の動向なども注視しつつ、研究をしてまいりたいと考えております。
 一方、福祉医療費助成事業につきましては、本府財政が、現在、非常事態にあることから、平成二十二年度までを集中改革期間と決め、スピード感を持って新たな財政構造改革に着手する中で、さきの財政再建プログラム案において、将来的にも持続可能な制度とする観点から、その見直しについて、平成二十一年度実施をめどに市町村と協議することといたしました。
 七月末には、市長会、町村長会の御協力のもと、市町村と共同で福祉医療費助成制度に関する研究会を設置し、先ごろこの間の利用実態や一割負担を導入した場合の影響などの分析結果を公表したところであります。今後も、この研究会をベースに引き続き検討を進め、府議会を初め関係団体の御意見もお聞きしながら、対応方針を早期にお示しできるよう努めてまいります。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 保健福祉医療対策事業費補助金についてお伺いをいたします。
 この補助金は、平成十六年二月議会において民主党会派からの指摘を受け、それまでの費用を限定されない補助金から、医師会等が独自性、専門性を発揮して行う府の健康福祉施策を補完すると認められる事業として具体的に使途を定め、緊急事態にも適切に対応できるように進めるためのメニュー方式による補助金として、平成十六年度から再構築されたものと理解をしております。
 平成十六年当時から今年度に至るまでに、本補助金がどのように見直しをされたのか、また今日の大阪維新プログラム案によりどのような考え方で見直しを行ったのか、今後、本補助金で実施してきた事業をどのようにするのかを含め、その考え方を明らかにしていただきたいと思います。健康福祉部長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 健康福祉部長笹井康典君。
   (健康福祉部長笹井康典君登壇)
健康福祉部長(笹井康典君) 保健福祉医療対策事業費補助金につきましては、医療従事者を対象とした研修会事業、また広報媒体の活用などによる府民に対する広報啓発事業など、社団法人大阪府医師会などが実施する事業に対し交付しているところであります。
 本補助金の交付に際しては、医師会等に対し、これまでから効果的、また効率的な事業執行を指導いたしますとともに、平成十九年度には、その前年度に策定した大阪府行財政改革プログラム案に基づき、予算額の一割削減を行うなど、事業費の縮減にも努めてきたところであります。
 今般の大阪維新プログラム案におきましては、すべての事務事業についてゼロベースで見直すとの考えのもとに点検した結果、平成二十一年度に本補助金を廃止することとなったものであります。この間、医師会等が本補助金により実施してきました事業の多くにつきましては、府民の健康福祉の維持向上を図る上で一定の意義があったものと認識をしております。
 しかしながら、財政非常事態である本府の状況にかんがみ、その事業の効果、成果についても、府民にわかりやすくお示しをするという点も踏まえまして、ひとまずリセットすることとしたものであります。
 今後につきましては、この維新プログラム案での方針によりつつ、本府健康福祉行政が抱える喫緊の課題に対し、最少の費用で最大の効果が上げられるよう、また当該業務が本来府が行うべき責務を有したものであるかなど、その事業執行方法も含め徹底的に検証し、事業の選択、集中を進めてまいりたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) この間、本補助金により医師会等が行ってきた事業内容を個別に見たときに、すべての事務事業をゼロベースで見直すとの全庁方針を遵守したとしても、事業の性格から、本来府が実施すべきものとして残すべき事業はありませんでしたか。健康福祉部長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 健康福祉部長笹井康典君。
   (健康福祉部長笹井康典君登壇)
◎健康福祉部長(笹井康典君) 今回の補助金見直しの考え方につきましては、ただいま御答弁申し上げたとおりであります。医師会等が本補助金により実施してきました事業のうち、個人診療所で医療法人開設の認可を受けようとする者を対象にした相談説明会事業につきましては、申請者からの的確な書類の準備を促進し、本府がこの認可の審査を効率的に進める上で、本来府が実施すべき事業であるとの判断のもと、医師会、歯科医師会に委託事業として今年度は実施していただこうとしているところであります。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力なくしては、府の保健医療行政は成り立たないと考えます。このような視点に立ったとき、今後、医師会、歯科医師会、薬剤師会が府民の健康維持に寄与するために、部として医師会等の専門性がある団体の力をどのように評価し連携しようと考えておられるのか、健康福祉部長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 健康福祉部長笹井康典君。
   (健康福祉部長笹井康典君登壇)
◎健康福祉部長(笹井康典君) 府民の健康福祉を守る上で取り組むべき課題は山積しております。医師会等の専門団体の御協力を得て、府民に対し必要な保健医療サービスを提供していくこと、また府施策の効果的な立案、施策の推進に当たっての助言、御協力をいただくことが大切であることから、医師会等専門団体は、今後も本府健康福祉行政を進める上で欠かすことのできないパートナーと認識をしております。
 このような認識に立ちまして、今後は本府の健康福祉行政として、政策課題ごとにどのような取り組みが必要か、またどのような事業執行形態が効果的かをよく吟味し、必要な施策の実現にも努力を傾けながら、医師会等とも十分な連携のもとにしっかりと健康福祉施策を進めてまいりたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 続きまして、府内公立病院についてお伺いをいたします。
 平成十八年度決算において、府内の全公立病院の不良債務額は約百九十八億円であり、これは全国の公立病院の不良債務総額約九百五十三億円の約二割にも相当いたします。
 今日、府内の公立病院が、こうした厳しい経営状況に置かれている背景について、どのように認識をされておられるのか。また、同じ府内でも、医師不足の程度や自治体の財政事情などにより、病院経営の状況も異なると考えられるが、府内の二次医療圏という単位で見た場合、早急に抜本的な対策を講じる必要のある圏域はどこだとお考えでしょうか。知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 府内公立病院については、平成十六年度以降、不良債務が増加し、非常に厳しい経営状況になっています。その原因としては、国において導入された新医師臨床研修制度を契機とする深刻な医師不足に加え、人件費比率や病院建てかえによる減価償却費が高いという府内特有の要因もあると認識しております。
 特に二次医療圏単位で勤務医師数の減少や経営状況から見ると、泉州、南河内の地域が非常に厳しい状況になっております。これらの地域では、救急医療についても比較的脆弱な体制であることなど、地域医療の確保という面からも早急な対策が必要であると考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 公立病院改革に関する指針の中では、平成二十三年度までに経常収支比率一〇〇%以上、病床利用率八五%以上が提示されております。平成十九年度決算状況の速報値で上記の値を見ると、例えば阪南市ではそれぞれ五〇・八%、六九%、和泉市では七五・五%、六一・三%であり、府内のほとんどが経常損益マイナスの現状であります。
 このような現状で、この目標をあと三年余りで達成することは、非常に厳しい条件と考えますが、達成するためには府としてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 現在の府内公立病院の経営状況を考えますと、公立病院改革に関する指針案で示した目標は、非常にハードルの高いものでありますが、地域医療の確保や経営の健全化を図るには、乗り越えなければならない課題であると考えております。
 この目標でお示しした経営の黒字化を達成し、住民に必要な医療を持続的に提供するためには、何よりもまず医師を確保するとともに、構造的な赤字体質を改善していくことが不可欠であります。二次医療圏ごとに再編ネットワーク化を進めていくことや、経営形態についても柔軟な経営を行える地方独立行政法人への移行を進めるなど、抜本的な見直しが必要と認識しております。あわせて、病床利用率の向上や経費の節減合理化、人件費の見直しなどに取り組むことが求められます。
 今後、府としては、病院を設置する市がみずから改革プランを今年度中に策定できるよう、必要な支援を行うとともに、早急な対策が必要な泉州や南河内地域については、府がリーダーシップを発揮して、年内のできるだけ早い時期に協議の場を設置し、病院、市町村間の利害関係や医師派遣大学の意向など、さまざまな課題について調整検討を進めていきます。
 また、医師確保や診療報酬の改善など地域医療を守るために必要なものについては、国に働きかけていきます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 使い切り予算防止システムと都市基盤維持管理予算についてお伺いをいたします。
 我が会派といたしましては、これまで道路や河川等の都市基盤整備施設について適切な維持管理を行うことが必要と繰り返し求めてきたところであります。しかしながら、財政再建プログラム案では、道路や河川等の都市基盤整備の維持管理予算についても削減の対象となっております。
 我々は、これら都市基盤整備施設の老朽化対策等適切な維持管理が先送りされれば、負担の先送りとなりかねないと危惧をいたしております。また、土木事務所等では、平成十九年度の道路や河川等における維持管理に関する要望や苦情の件数が一万五千件を超えるなど、対応すべき課題は山積していると聞いております。
 このような状況にあって、維持管理予算に関しては、落札差金も含め、計上された予算額のすべてを施設の維持管理に活用すべきと考えます。もちろん執行に当たっては、さきの七月臨時議会での予算の使い切り防止対策の答弁にもあったような予算を次年度に振りかえる手法、いわゆるメリットシステムの制度を用いるなどして、少しでも府民の安全安心に活用していただきたいと考えております。
 現在、いろいろと執行の工夫を制度設計されているようでありますが、現在の状況はどのようになっておりますか、都市整備部長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 都市整備部長福田保君。
   (都市整備部長福田保君登壇)
都市整備部長(福田保君) 予算の使い切り防止の取り組み状況についてお答えします。
 道路や河川などの都市基盤施設は、府民生活の安全安心や大阪の経済活動を支える重要な役割を果たしており、適切に維持管理を行い、将来世代に引き継いでいくことが必要であり、このためには、限られた予算を効率的に執行することが重要と考えております。
 さきの議会でお答えした維持管理予算に係るメリットシステムにつきましては、大阪府における財政ルールを研究するために発足した大阪府庁財政研究会において既に議論を始めており、現在、対象事業の選定などについて研究しているところでございます。
 また、この研究会では、公共事業の落札差金の取り扱いなど予算執行の仕組みについても議論しており、今後、外部の有識者の御意見を伺いながら、十二月までに取りまとめが行われる予定です。
 本府といたしましては、限られた維持管理予算をさらに効率的、効果的に執行することができるよう、さまざまな工夫を凝らし、府民の皆様の安全安心の確保に努めてまいります。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) ただいま都市基盤施設の維持管理予算について積極的な答弁をいただきましたが、府民の安全安心を守るため、一層の創意工夫を凝らしていただきたいと思います。
 しかし、財政再建プログラム案では、今年度から三年間の予算については、ふやすどころか、逆に削減されている状況であります。集中取り組み期間後も予算削減が続けば、例えば橋梁の長寿命化が困難になり、補修更新費用が増大し、将来世代へ負担を先送りすることになるばかりか、橋梁に大きな損傷が発生し、道路が通行どめになるなど都市機能が麻痺し、大阪の経済活動や府民生活に大きな影響を及ぼすのではないかと非常に危惧をいたしております。
 維持管理予算に係るメリットシステムや都市整備部独自の取り組みとして独自財源の確保などを進めていただくことは評価いたしますが、遅くとも集中取り組み期間終了後には、本格的な予防保全に着手できる予算の配分がぜひとも必要と考えます。このため、財政再建に確かな道筋をつけつつ、都市基盤施設の維持管理予算の確保を府全体の課題としてとらえ、少しでも早く必要な予算を計画的に配分するよう強く要望をいたしておきます。
 新エネルギー都市についてお伺いをいたします。
 先日示された将来ビジョン・大阪の案において、大阪府の将来像の五つの柱の一つとして、水とみどり豊かな新エネルギー都市大阪が掲げられております。低炭素社会の構築に向け大きくかじを切っていかなければならない今、あるべき将来像をしっかりと定め、それに向かって取り組みを進めていくことは重大であります。例えば、太陽光発電については、温暖化対策の取り組みを進める上で、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであり、その導入促進が重要と考えます。
 折しも国では、住宅用太陽光発電システムへの補助制度の新設など、低炭素社会の実現を目指した制度を検討しているところであります。府としても、官民挙げた取り組みを積極的に推進していくべきと考えるが、どうでしょうか。
 また、自動車から排出される二酸化炭素の排出抑制のためには、公共交通機関の利用促進、自転車の利用促進等さまざまな主体が連携して進める取り組みの展開や、走行による二酸化炭素排出量の少ないエコカーの普及が重要であります。とりわけ、エコカーの普及については、国においては、七月に発表した低炭素社会づくり行動計画において、二〇二〇年までに販売される新車の半分を次世代自動車にするとの目標を掲げたところであります。
 府としては、どのようにエコカーの普及を図ろうとしているのか。将来ビジョン実現のためには、思い切った一歩先を行く取り組みが必要ではないかと考えますが、新エネルギー都市実現への思いと具体的な取り組みの内容を知事にお伺いいたします。
 続きまして、バイオ振興についてであります。
 今後のバイオ産業振興に対する取り組みについてお伺いをいたします。
 バイオ産業振興は、大阪維新プログラム案の重要施策案として、大阪経済の再生へとつなげる産業振興の柱の一つとして位置づけられており、先般、九月八日に産学官トップによる大阪バイオ戦略推進会議が開催されました。
 そこでは、今後の戦略となる大阪バイオ戦略二〇〇八について議論が行われ、戦略には、世界第五位のバイオクラスターを目指すための取り組みとして、革新的な研究の推進、バイオベンチャーの創出育成、バイオベンチャーへの投資拡大に向けた取り組み、治験・承認審査等の円滑化、迅速化、インキュベーション施設等のインフラ整備など、ソフトからハード整備に至るまで幅広いアクションプランが盛り込まれております。
 行財政改革を進める中、一度にすべての事業をやり遂げることは、非常に困難であります。目指す将来像に向かって、効果的、戦略的に取り組む必要があると考えられますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、先端医療開発特区、いわゆるスーパー特区についてお伺いをいたします。
 知事は、今月初めに上京し、内閣府、厚生労働省、経済産業省、文部科学省の各大臣に、大阪から提案される四本の申請について採択されるよう強く要望を行ったと聞いております。次のステップとして、今後、このスーパー特区の成果を最大限に活用し、バイオ産業の振興へと結びつけていくかが非常に重要であります。
 知事は、採択されればよいというのではなく、府のバイオ戦略の取り組みの一つとして、採択の成果をしっかりと府の産業振興などに活用すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 続きまして、大阪産業・成長新戦略についてお伺いをいたします。
 大阪産業・成長新戦略などさまざまなプログラムに基づいて実施してきたはずの産業施策が、今回大きく見直されましたが、この新戦略についてはどのように評価しているのか。産業施策に対する考え方が変わったのか。また、今後、これから次の一手となる将来ビジョンが策定されるとのことでありますが、先日、その将来像が示され、世界をリードする大阪産業が柱の一つとして掲げられたところであります。非常に高い目標でありますけれども、具体の例示を見ると、取り組み内容が少なく、しかも中身も線が細いと思います。世界をリードする大阪産業が創出できるとは思えず、うたい文句と実態がかけ離れているのではないかと考えられます。
 今後、知事は、この将来ビジョンの中で、どのように産業振興を図ろうとしているのでしょうか、お伺いをいたします。
 続きまして、大阪雇用対策会議への知事の参加についてお伺いをいたします。
 現在の大阪には、だれもが能力を発揮し、生き生きと仕事をするということを実現するため、解決すべき課題が山積していると思います。例えば、いまだ法定雇用率に達していない障がい者雇用や働く者の三人に一人を数える非正規雇用者の処遇、またワーキングプアという言葉に代表される賃金水準の問題や欧米諸国に比べて低い労働生産性、さらには働き方の見直しによるワーク・ライフ・バランスの実現や企業の人材育成力の低下など、さまざまな課題が存在しております。
 こうした課題を克服して、働きやすいまちづくりを進めていくためには、単に行政のみでプランをつくって府民を引っ張っていこうとしても限界があります。労使の主体的な取り組みがあってこそ、初めて実現できるものであると考えられます。そして、こうした労使の取り組みをバックアップするのが、行政の役割ではないでしょうか。
 大阪では、これまで、使用者団体である関西経営者協会、労働者団体である連合大阪などで構成する大阪雇用対策会議を設置し、労使の取り組みに加え、行政もネットワークを組んで、その時々の課題に対応してきた実績があります。今回の将来ビジョン案には、就職率ナンバーワンを目標に掲げておられますが、その実現のためにも、これまでのように労使と行政のネットワークによる取り組みが必要であります。また、その場に他団体のトップとともに知事の参加が重要と考えておりますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。
 続きまして、府市水道統合についてお伺いをいたします。
 去る十二日に、府案が公表されました。今後の設備更新費用や人件費の削減などにより、総額で約二千七百七十五億円の削減効果があり、府域の給水原価が平成四十二年度には一立方メートル当たり六十円まで下がるという試算がされるなど、市案を上回る提案となっております。十八日には、学識経験者等で構成される第一回府市水道事業統合検証委員会が開催され、府案の説明と市案を中心とした検証がなされたと伺っております。
 今後、引き続き検証委員会で府市双方の案について詳細な検証がなされることになりますが、子細な論点に拘泥せず、大局観に立った視点をもって府域全体での水道システムの最適規模と最適配置を追求し、府民には料金の値下げという形で還元すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、水道は、府民の生活を支えるインフラであり、特にこの料金は府民の暮らしに影響を与えるものであります。この点を踏まえると、統合後の事業体においても、料金の改定など重要な事項については、府民の意思がきちっと反映され、決定していく仕組みが不可欠であると考えられます。
 以上、二点について知事の御所見をお伺いいたします。
 続きまして、関西三空港についてであります。
 知事は、先月、空港担当セクションを空港戦略室と改名し、関西の三つの空港のあり方について、府として関西の将来を見通したビジョンを打ち出すと発表されました。関西に三空港は過剰、伊丹は云々といった発言も撤回されましたが、一時期、知事から飛び出したことは刺激的な発言で、府民の注目を集めました。議論を巻き起こすといういつもの知事のやり方であろうと思いますが、結果的には、三空港の一体運営を目指していくということを先日表明されたと理解しております。
 これから知事は、どのような問題意識を持ち、ビジョンを作成しようとしておられるのか、考えをお聞かせ願います。
 以上、よろしくお願いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、新エネルギー都市についてでありますが、待ったなしの課題である地球温暖化防止、低炭素社会の構築に向け、ベイエリアにおける太陽光パネル工場の集積など大阪の強みを生かし、未来の大阪を築いていくことをイメージしたものであります。
 御提示の太陽光発電につきましては、地球温暖化対策を進め、低炭素社会を実現するためには、その活用は有効な手段であり、堺臨海部のメガソーラー計画の進展は、太陽光発電の普及を図る絶好の機会と認識しております。
 太陽光発電の普及を図るため、私自身も、国に対して太陽光発電に対する支援制度の充実を働きかけてきました。現在、国では、太陽光発電に対する助成制度や優遇税制などを検討しているところでありますが、今後このような動きを視野に入れつつ、引き続き府内市町村や民間団体等と連携し、効果的な普及促進を図っていきたいと思っております。
 エコカーについては、電気自動車、燃料電池自動車などさまざまなタイプがあり、用途に応じて対応できる車両の大きさや距離などが異なるといった特性があります。また、充電スタンドや水素ステーションなど、インフラ整備が必要なものもあります。
 このようなことから、次世代エコカーの開発動向やエコカーの特性に合わせた課題を整理し、自動車メーカーなど関係者とともに、エコカーがシンボルとなるまち大阪に向けた方策を検討し、取り組んでいきたいと思っております。
 将来ビジョン・大阪実現のための全体の取り組みの方向については、十二月末までの間に議論をしていくことになりますが、さまざまな御意見を伺いながら、大阪の都市自体が環境に配慮したものとなるよう、新エネルギー都市ナンバーワンを目指して、今後、取り組み方向を示していきたいと思っております。
 ただ、いろんな案を検討するに当たって、やっぱりぶち当たるのは最後、地方と国の壁でありまして、なかなか地方に税財源がないということで、結局は国の助成とか国の発案を待つような状況にならざるを得ないような状況にあります。やっぱり、こういう意味でも、地方分権というものは絶対に必要不可欠だというように感じました。
 次に、今後のバイオ産業振興についてでありますが、大阪バイオ戦略二〇〇八は、産学官のトップで構成する大阪バイオ戦略推進会議において、今後オール大阪として取り組むべきバイオ振興策として合意し、各機関がその実現に向け主体的に取り組む共通の戦略として策定したものであります。
 戦略の具体化に当たりましては、緊急性や優先度にも留意しながら計画的に実行することとしており、特に急ぐべき課題とされた規制緩和、ベンチャー支援策、治験ネットワークについては、直ちに分科会を設けて検討を進め、年内をめどに取りまとめていきます。
 次に、スーパー特区については、革新的な研究成果が、地域の研究基盤の一層の強化や産業振興に生かされることが重要と考えております。このため、例えば医薬品に関しては、バイオベンチャーにおける創薬を促進するとともに、医療機器に関しては、府内中小企業が保有するものづくり技術等とのマッチングを図るなど、スーパー特区の研究成果をベンチャー育成や産業振興と連動させる仕掛けづくりなどに取り組んでいきます。
 次に、産業振興についてお答えします。
 平成二十年度本格予算の編成に当たりましては、大阪産業の振興のためには、その強みに磨きをかけることが重要との大阪産業・成長新戦略の基本的な考え方を踏襲しつつ、限られた財源の中であっても、バイオのヘッドクオーター体制の整備や、それら成長分野を基盤技術の面から支える中小ものづくり企業への販路開拓支援の充実など、必要な予算を確保したところであります。
 また、御指摘の世界をリードする大阪産業については、今回のビジョン策定に当たり、目指すべき将来像として提示したものであり、今後、府議会はもとより経済界などから幅広く御意見をお伺いしながら、取り組み方向や具体的取り組みを検討し、年内をめどに提示していきます。
 次に、労使と行政のネットワークによる取り組みについてでありますが、御提示のビジョン案においては、高齢者、障がい者を初め、だれもが大阪でその能力を発揮し、生き生きと仕事をしているという将来イメージを盛り込んでいるところであります。その実現のためには、当事者である労使の主体的な取り組みが不可欠であり、行政としては、その取り組みをバックアップし、施策の推進を図りたいと考えております。
 そういった観点から、労働組合、経営者団体の皆様が、大阪を働きやすいまちにするための取り組みをされる際には、私自身もその場に参加し、意見交換を行うことを検討したいと考えております。
 次に、水道事業の統合につきましては、府としては、長期的、広域的な視点に立って府域全体での最適規模、最適配置を目指した新たな事業モデルを提案しております。具体的には、双方の浄水場のダウンサイジングや水運用システムの一元化などにより、安定性や効率性の向上を図り、タフでスリムな水道企業団を目指しております。
 このような形での事業統合による費用削減効果は、料金値下げなどにより、広く府民、市民に還元すべきものと考えております。
 また、現在、料金など府営水道の運営に係る重要事項については、府議会の議決に基づき府条例で規定されておりますが、統合後においても、御指摘のように、用水供給先となる各市町村住民の意思が適切に反映されることは不可欠であります。この点から、特別地方公共団体として固有の議会を有する一部事務組合方式による水道企業団が、現行制度では最適であると考えております。
 最後に、関西三空港についてでありますが、さまざまな議論がこれまであったことは承知しておりますが、過去の経過に縛られ、関西の未来を見通し、空港の将来像を描くような議論ができていないと感じてきました。そこで、大阪国際空港の廃止も含め、制約を設けず、関西に必要な空港のあり方、戦略を検討せよと担当部局に指示をした次第であります。
 私自身も、経済界を初め、各方面の方々と空港問題に関する意見交換を行い、お話をお伺いしてきましたが、その中で、関西の今後の発展を考えれば、三つの空港は必要であり、その存在を前提として考えるべきとの指摘を多く受けました。
 また、先日は、矢田神戸市長、村山関空社長と意見交換をさせていただきましたが、その場でも、関空の債務などについて、国が抜本的な対策を講じることを絶対的な必要条件のもとに、関西三空港の一体運営を目指していくことが望ましいとの点で一致を見ました。
 このことを踏まえまして、今後、関空の有利子負債の軽減や競争力の強化など、三空港の抱える諸課題や一体運営の具体的な内容について、関係者の声を聞きながら、年内を目途に府の考えを取りまとめていきたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 産業振興について再質問をいたします。
 世界をリードする大阪産業を高らかに掲げられたのであれば、そこに向けてどのように取り組んでいくものとしているのかがあってしかるべきだと思います。知事が考える産業振興の柱を示すべきと思いますが、知事の考えを再度お聞きいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 世界をリードする大阪産業につきましては、今後の大阪の目指すべき将来像を、府民の皆様はもとより、働く人々や経済界、本府を初めとする行政が共有して取り組めるよう、わかりやすく提示したものであります。
 私としては、例えば北大阪のバイオやベイエリアの新エネルギー、さらにはこれらを支えるものづくりなど大阪の強みとなる新産業を育てること、また大阪産業のすぐれた製品や技術を国内外に発信し、販路開拓を支援するなど企業や商いのチャンスが感じられる都市づくりを目指していきたいと考えております。
 今後、幅広く御意見をお伺いしながら、取り組み方向を提示していきます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 関空の利用促進についてお伺いをいたします。
 我が会派としては、空港のビジョンの策定をするのであれば、空港の不要論より、関西全体の航空需要を伸ばし、三空港がそれぞれの役割を果たしつつ関西の発展につなげていく、その道筋を探るほうが建設的であると考えます。
 幸い、第二滑走路のオープンにより完全二十四時間空港となった関空では、これまでの関空挙げての需要喚起に向けた取り組みもあり、中国路線や深夜、早朝の貨物便が大きく便を伸ばしている。さらに、ベイエリアに大型工場立地が進んでおり、さらなる需要拡大も期待できます。
 しかしながら、一方で、現在の原油高が暗い影を落とし始めております。米国路線の縮小や、国内線の運休や減便などが顕著であります。関空は、多額の有利子負債を抱えることから、着陸料などの空港使用料が割高とならざるを得ず、航空会社には大きな負担となっております。
 このような状況を踏まえて、関空への就航促進、利用促進、空港間競争力の向上に向けて、国にどのように働きかけ、また地元もどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 議員は、空港の不要論より、関西全体の航空需要を伸ばし、三空港がそれぞれの役割を果たしつつ関西の発展につなげていく、その道筋を探るほうが建設的であると考えているというふうに御指摘がありましたけれども、このような考え方、いろいろ方策をとった結果が今の三空港の状況でありまして、やはり抜本的な空港戦略を考えなければ、もはや三空港共倒れの状況になるんではないかという認識のもとで、今回、私はさまざまな方面に働きかけを現在しているところであります。
 三空港の一体運用、三空港の併存ということが先にありきでは現在もありません。あくまでも一体運用の前提としては、関空の下物、要は有利子債務についての抜本的改善というものが、これなければ三空港の一体運用というものはあり得ませんので、やはりこれがあってこその三空港一体運用であり、国が何にも手を施さないということであれば、やはり空港の数、空港のあり方についても抜本的に見直していく必要があるものと考えております。
 関西の三つの空港が活性化していくためには、まず関空の空港機能が向上し、その牽引力を果たすことが重要であります。しかしながら、関空は、多額の有利子負債を有することから、利用コスト等が割高にならざるを得ず、国際競争力の確保やバランスのとれた航空ネットワークといった面で課題が多いのは、御指摘のとおりであります。
 これらの課題解決に当たっては、国際拠点空港を育てるという国家戦略の中で本来は考えられるべきものだというふうに私は思っております。国には、責任ある施策が講じられるよう、引き続き強く求めていきます。
 地元としても、国に一方的に求めるのではなく、私自身も航空会社に働きかけ、自治体、経済界のトップによるエアポートプロモーション、就航奨励一時金など、関空促進協の展開する関西国際空港ゲートウエー機能強化促進事業のインセンティブなどを効果的に活用し、就航促進や利用促進にオール関西で取り組んでいきたいと思っておりますが、やはり今までのやり方の継続のまんまでは、三空港がそのまま共倒れになっていくと思っていますので、抜本的な空港戦略を練る必要があるというふうに思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 知事から、関西国際空港ゲートウエー機能強化促進事業を活用し、オール関西で取り組んでいく旨の御答弁をいただきました。
 現下の関空の抱える構造的な問題、アジア諸国が国策として整備を進める諸空港とのコスト格差、競争力の不足などを踏まえれば、地元が利用促進の取り組みにより支えていくのも対症療法として必要と考えます。
 ただ、このまま関空に国際競争力がない限り、着陸料が高い状況で改善されない限り、この事業を続けることになります。関空会社も、多額の有利子負債を抱えたままでは自由な空港経営ができず、関空の債務問題を解決することが必要であります。
 知事は、就任後、関空の財務構造改善の必要性を強く主張されておられ、これが功を奏したのか、先日、国土交通省幹部が関空の長期債務の改善について、年度内にも一定の方向性を出したいと発言されました。このような時期にこそ、強力に国に働きかけ、抜本的な対策が国の手で講じられるよう、ぜひお願いをいたしたいと思います。そうすれば、地元もこうした負担を毎年行わずに済むし、利用促進は地元も協力するが、基本的には国が責任を持ち、関空会社みずからの営業努力の中で行える条件整備がなされるよう強く要望をいたしておきます。
 続きまして、食の安全対策についてお伺いをいたします。
 一連の事故米の不正転売問題であります。
 いわゆる三笠フーズの事故米の不正転売問題については、福岡農政事務所あてに不正販売に関する内部告発があり、農林水産省の立入検査で事実を確認したことにより、今回のような動きになったと思います。
 農林水産省は、過去何度となく立入調査を行ったが、不正を見抜けなかったとの報道もあったところであります。結果として、モラルなき業者の作為と農水行政の不作為の連鎖が、府民の食の安全安心を脅かしたことになります。政府米の流通過程での不正転売を農水省が早い段階で発見是正しておけば、ここまでの問題になっていなかったはずではないでしょうか。
 このような事件が、再び起こることがあってはなりません。国において的確な対応を講じるよう、知事として国に申すべきと考えますが、知事に問います。
 また、今回の事案では、福岡県が三笠フーズ九州工場に、政府から売却された非食用事故米穀全量に対する食品衛生法上の回収命令を発し、非食用の事故米が消費者の口に入ることのないよう措置がとられました。この対応を受け、大阪府としても、府内の流通経路の把握と当該事故米の回収返品状況の確認を行っているものであります。現在も、最終販売あるいは使用先の確認、健康被害の有無等の調査確認を行っていると伺っております。
 今回の事案に対して、どのように府民の食の安全安心の確保に努めてこられたのか、知事にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) このたび、非食用事故米が、事業者によって不正に流通し、その一部が消費者の口に入る事態が生じたことは、府民に対する食の安全安心を確保する立場の本府として、まことにゆゆしきことであり、許しがたい事案であると認識しているところであります。
 そもそも事故米の適正管理は、国の責務であり、こうしたことが二度と繰り返されることのないよう、国の責任において流通経路を厳格に管理するなど、徹底した再発防止策を講じていただくよう、府として強く要望していきます。
 また、今回の事案における本府の対応でありますが、福岡県から通報を受けた後、直ちに関係事業者に対し販売停止を求めた上で、関係市等との連携のもと、関係施設に対する監視や検査、あるいは当該食品等の回収返品指示など行ってきたところであります。
 また、府民への情報発信については、収去した米の検査結果の速やかな公表を初め、府のホームページ等を活用し、食の安全安心にかかわる正確な情報の迅速な提供に努めているところであります。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 今回の事案は、本来国に責任があり、府が取り組めることに限界があることは事実でありますが、府民の安全安心にかかわる重大な事態であることを認識し、府としても積極的な取り組みを進めていかなければなりません。そのため、食の安全安心にかかわる流通対策室、食の安全推進課、保健所、消費生活センターなどの組織が府民の声をすくい上げ、情報を相互に活用して、府民の安全安心に向けた情報発信を行うことが重要であると考えますが、知事に御所見をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 食品等の安全性に関する問題につきましては、平素からさまざまな情報を収集、整理、分析し、行政として的確に対応するとともに、必要な情報を府民及び食品関連事業者に提供することが重要であると考えております。
 今回の事案への対処や今後の対策の推進については、国の責任において徹底した取り組みを行うことが求められますが、府としては、食の安全安心について強い危機管理意識を持って関係部局で収集した情報を共有して、府民へのわかりやすい情報発信に努めていきたいと思っております。あわせて、こうした府民の暮らしにかかわる身近な問題について、より一層地域で主体的に取り組むには地方分権が不可欠であり、その推進を国に強く働きかけていきます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 次は、私学助成についてお伺いをいたします。
 大阪維新プログラム案により、私学の経常費補助金について幼稚園二・五%、小中学校二五%、高等学校一〇%が削減されました。これに基づく二十年度本格予算により、今後いよいよ教育現場への影響が現実になることから、各学校では当面の対応を迫られることになります。
 私学課においては、経常費補助金の削減を受けての各学校園の対応についてヒアリングなど調査を行っていると聞いております。小中高等学校を持つ学校法人と幼稚園とで、現在把握している状況を生活文化部長にお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 生活文化部長南部英幸君。
   (生活文化部長南部英幸君)
生活文化部長(南部英幸君) 経常費補助金の削減の影響につきましては、小学校、中学校、高等学校のそのいずれも設置する学校法人などで、経常費補助金の削減の影響が比較的大きいと見込まれる法人につきましては個別のヒアリングを、またすべての学校法人に対しましては、経常費補助金の削減の対応策につきましてアンケート調査を現在行っているところでございます。
 現時点で把握しているところでは、ほとんどの学校が、第一に人件費その他のコスト削減での対応を検討しており、その内容は、教員の給与、賞与のカットから事務用品の調達方法の見直し、修理などの外注業務を自前で処理するということまで、学校運営全般にわたっての経費節減、見直しとなっております。
 また、コストの削減とともに、特色コースの設置やきめ細かな広報活動によって生徒数の増加を図り、それでも十分賄えない分につきましては、一定の負担を保護者にお願いするため、授業料の改定を検討しているというところでございます。
 現在は、六割弱の学校からの回答状況ではございますが、人件費などのコスト削減をした上で授業料の値上げを検討している学校は五割強あり、逆に授業料の値上げのみで対応を検討している学校は現在のところございません。その他の約四割の学校では、生徒募集への影響なども考慮の上、現時点ではまだ授業料の改定に慎重な姿勢をとっております。
 また、幼稚園につきましても、保育料の改定予定についてのアンケートで、八割程度の回答状況ではございますが、保育料の値上げを検討している園は、前回六月のアンケートの五七%から減少し、四割弱でございます。また、値上げの理由につきましては、物価の高騰等が最も多く挙げられておりますが、補助金削減を理由の一つに挙げている園もございます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 学校種ごとに経営環境や削減率も異なるため、経常費助成の削減の影響も一様ではないと思われます。我々が何よりも心配するのは、経常費補助金の削減により授業料の値上げが行われ、それが現に学校園に学ぶ子どもたちにまで及び、就学就園の継続が困難になるということが起きないのかということであります。
 子どもたちの就学就園を守るため、今後も引き続き各私立学校園への経営環境についてしっかりと把握し、きめ細かな対応を行っていく必要があると考えますが、生活文化部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 生活文化部長南部英幸君。
   (生活文化部長南部英幸君)
◎生活文化部長(南部英幸君) 小中高校につきましては、学校の経営環境に対する影響が比較的大きいことから、経常費補助金削減への対処方法につきまして、子どもたちの就学の機会が損なわれることのないよう、でき得る限り配慮いただくように、全学校に対して要請を行っているところでございます。
 また、全幼稚園を対象に予算に関する説明会を開きまして、保育料の値上げにつきましては、慎重に検討を行っていただくよう要請しているところでもございます。
 実施中のヒアリング、アンケート調査によれば、現時点で五割強の小中高校と四割弱の幼稚園が、授業料や保育料の改定を検討しておりますが、今後とも各学校園の経営状況等の継続的な把握に努めまして、必要に応じ適切に助言するなどきめ細かな対応を行うことによりまして、就学就園の機会が確保されるよう努めてまいりたいと存じます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 教育委員会のあり方等につきまして、これから順次質問をさせていただきます。
 知事が、選挙において、子どもの笑顔あふれる大阪の実現を目指すと公約をされました。そして、就任以来、子どもの笑顔、その大きな課題に向かって今も取り組んでおられると考えます。さまざまな知事の発言により、時には不適切な言葉を修正されるなど、誤解を解くための会見もされながら、今日に至っております。
 私たちの会派も、教育、福祉は特に大切な施策であり、長い年月をかけて取り組むべき行政責任であるとの認識から、今日に至るまでさまざまな提案や意見、また強い叱咤と激励も教育委員会にしてまいりました。
 さて、知事が、これからの大阪ビジョンの大きな柱として教育をとらまえる点を重要視しておられます。教育に関しては、多岐にわたる課題があります。時間もありませんので、大切な部分についての質問をいたしますので、知事並びに教育委員会の明快な御答弁をよろしくお願いをいたします。
 教育改革プログラムを発表、十年間の教育課題を示し、取り組みの要所要点を示し、今後の教育行政の計画とビジョンを実行してきました。
 まず、平成十一年四月から平成二十一年三月までの教育改革プログラムの十年間に及ぶ取り組みについてどのように総括し、今後どのような方向性を示すのか、教育長より御報告お願いいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 教育改革プログラムの総括についてお答えを申し上げます。
 府教育委員会では、平成十一年に教育改革プログラムを策定し、学校改革や教育内容の改善など、学校教育の再構築と、学校、家庭、地域社会の連携による総合的な教育力の再構築に取り組みを進めてまいりました。とりわけ、府立高等学校に関しましては、生徒の減少を教育環境、教育条件など教育の質の向上を図る好機ととらえまして、特色づくりとあわせまして順次再編整備を進めてきたところでございます。
 その結果、中学生が選択できる進路の幅が拡大をし、目的意識を持って高校に入学する生徒がふえるなど、高校の活性化や教育力の向上が図られてきたと認識をいたしております。そのほかにも、いじめ、不登校に対する取り組みや、教員に対する評価育成システムの評価結果を給与へ反映させることなど、全国に先駆けた取り組みを進めてまいりました。
 これまでのこうした取り組みを継承発展させるため、先般、大阪の教育力向上プラン素案として取りまとめさせていただいたところでございます。
 今後、同プランに基づく取り組みを着実に進めていくことにより、教育の拠点となります学校力を高めますとともに、地域や家庭との連携を深め、大阪の教育力の向上に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 今回の全国学力・学習状況調査の目的は、どのようなものであるのか、教育長にお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 調査の目的についてお答えを申し上げます。
 全国学力・学習状況調査は、文部科学省が実施の主体となり、市町村の協力のもと実施されたものでございます。
 その実施要領によりますと、目的の一つは、国全体として、全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、各地域における児童生徒の学力・学習の状況をきめ細かく把握分析することにより、教育及び教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること。
 二つ目でございますが、各教育委員会、学校等が、全国的な状況との関係においてみずからの教育及び教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図るとともに、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証、改善サイクルを確立すること。
 三つ目でございます。各学校が、各児童生徒の学力や学習状況を把握し、児童生徒への教育指導や学習状況の改善などに役立てること。
 以上、三点が目的とされております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 知事は、教育非常事態宣言を発表されたと我々は報道機関を通じて知りました。教育非常事態宣言について、知事は、教育の現状についてどのような問題を感じてこのような宣言を出されたのか、お伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 学力調査テストの正答率の奥に潜む−−正答率そのものではありません−−その背景にある家庭の課題、子どもの生活習慣、そこに大阪は非常に大きな問題点があるということを認識しました。
 ちょっと次元の違う話かもわかりませんが、問題点、ちょっと僕が把握不足であれば申しわけないんですけれども、もう一つは、教育に関して大阪府民が物すごく関心が低いというようなことを僕は感じております。もちろん個別に考えれば、関心の高い親御さんもいらっしゃるんですが、府民総体と考えると、非常に教育に関心が低いのではないかというふうに思っています。
 もう一つは、教育委員会−−今、大阪府教委とは物すごい時間をかけながら協議を続けまして、ほぼ取り組みの方向性というものは一致を見始めて、共同で頑張っていこうということになっているんですが、その各市町村教委の中においても、これまでの教育の中立性の名のもとに、現場教員も含めて、かなり民主的コントロールを排除する風潮がある。これは、物すごい僕は大きい原因だというふうに思っています。現場教員が、教育の中立性、独立性のもとに、一切教育にはだれからの意見も聞かないというような、そのような風潮というものが、僕は非常にあるというふうに思っています。
 これも含めて、教育者、教育委員会、それから僕も含めてなんですけども、教育に一体だれが責任を持つのかということの責任者がはっきりしていないと。責任と権限があいまい不明確な今のこの文科省がつくり上げたシステムの中で、だれが権限を持って、責任を持って教育に取り組んでいくのか、全くわからない。府教委と市町村教委の関係もあいまいですし、これはどうしていくのかということは、今回、大阪府教育委員会とも一生懸命議論をしまして、とにかく府の教育委員会がしっかりと責任を持って自律的にリードしていくと、自発的にリードということの確認ができました。僕は、この関係各市町村の教育委員会が、今、大きな流れといいますか、新たな動きが芽生えつつあるのではないかというふうに思っています。
 各首長さんと教育委員会が、いろいろ教育について議論をしていただきまして、やっと教育委員会のいわゆる独善性というものが改善されつつあるのではないかというふうに思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 次の再質問が弱ったなと思うんですけど。知事は、今は教育委員会と真摯に議論されたり、いろいろされておられると。当時、宣言を発せられたときは、府教委、市教委の今日までの取り組みについて、こんなんすべて否定や、否定するねん、そんな思いでありましたか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 僕も、大阪の小学校、中学校、高校で育ってきましたので、全否定はもちろんしておりません。そのおかげで−−僕自身がちゃんとした大人になっているかどうかは別として、教育委員会のおかげもありますから、ただ全肯定もしていないといいますか、やっぱり今の現状を大きく変えるためには、教育委員会とともに大阪の教育をもう一度しっかりと見詰め直して、新たな取り組みをやっていくということが僕は必要だと思っています。全否定はしていませんけれども、全肯定もせず、とにかく改革をしていくということが必要だというふうに思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) そういった中で、今、三塁側からもいろいろありましたですけども、ちょめちょめ委員会のちょめちょめ委員といった侮辱した発言は、この際撤回をされるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) ただ、このような発言をするような大人に育てたのも教育委員会のおかげでありまして、その点についてはいろいろ賛否両論、いろいろな議論はあるかと思うんですが、ただ、これは府民の関心をとにかく教育に引きつけなければならない、やっぱり政治的なメッセージというものは、僕は絶対に必要だと思います。そのような発言のメッセージの方法、そのようなものは、政治的な手法、政治的な戦略というものもありまして、僕はやはり府民の関心を引きつけること、これが何よりも第一だという考えの思いでそのようなメッセージを発しましたが、ただ以後はこのような表現は使いません。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) この議論ばっかりやっててもせんないことやと思うんですが、ただ今また知事がこの場で、その勢い余っていろいろ言われましたが、私は適切ではないなと思います。私も、教育委員会に学をつけてもらったんではなくて、親やそのときに私を叱咤激励してくれた先生、自然界、そんなものに知恵を得て今日あるわけであります。それは、もうだれもがそう思っているわけでありますから、知事ももう立派な高学歴を持った方でありますし、スポーツマンでありますので、そっとやわらかい、真綿で首を絞めるがごときな発言をされるほうが理知的でいいかなとは思います。
 その知事が、教育非常事態宣言をされたことを聞いて、教育委員長としてどのように感じましたか。教育委員長の御所見をお願いいたします。
○議長(畠成章君) 教育委員会委員長生野照子君。
   (教育委員会委員長生野照子君登壇)
教育委員会委員長(生野照子君) 教育非常事態宣言につきましてお答えいたします。
 知事のおっしゃいました教育非常事態宣言は、大阪の教育や、あるいは子どもたちをめぐる多くの課題があり、そしてそれに対しては、学校はもちろんのこと、地域や家庭が一体となって連携して取り組んでいかないといけないというような御意向であると理解しております。
 大阪府の教育委員会といたしましては、これまでも市町村の教育委員会と力を合わせまして教育の充実に取り組んでまいりました。そして、そういうふうな状況の中におきまして、本宣言は、大阪の学力低迷という現状の中で、教育のてこ入れがさらに必要であるという、こうした思いをあらわすものと感じている次第でございます。
 このたび、学力向上を初め、教育に関する取り組みをさらに強化いたしますために、先ほども出ました今後十年間の大阪の教育が目指します方向性について、大阪の教育力向上プランの素案を取りまとめたところでございます。
 このプランをもとにいたしまして、教育非常事態宣言という、それを踏まえた上でさまざまな具体的な施策を構築してまいりたいと今検討を続けているところでございます。もちろん、知事の御理解も得ながら、学校を拠点といたしまして、地域や家庭とともに連携いたしまして、大阪の教育力の向上に全力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) わかったような、わからんような。今までの方針と違う形で、一転して学力調査の結果を公表すべきとしたことは、知事の意向を受けた教育委員会の方針転換と考えますが、府内の市教育長を集めて−−強い要請を行うに当たり、いつ府教育委員会を開催して結果公表に関する意思決定が行われたのか、教育長にお聞きいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 公表に関するお尋ねでございます。
 全国学力・学習状況調査でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、文部科学省が各市町村の協力のもとに実施をしたものでございまして、府教育委員会といたしましては、その実施要領の定めに基づき、調査の円滑な実施に向けて協力をしてきたところでございます。しかしながら、二年連続で大阪府の学力の課題が深刻であり、生活習慣や家庭での学習習慣における課題など、学校の努力だけでは解決できない課題も多いことが明らかとなりました。
 こうした状況から、調査結果を公表することによって、保護者や地域住民の理解や協力を得るとともに、各市町村の市長部局との連携のもと、地域の課題を共有し、その解決に向けた取り組みを進める必要があると判断したところでございます。
 実施要領において、数値データを含む結果を公表することは、市町村の判断により可能であるとされておりまして、各教育委員と相談をさしていただいた上で、市町村教育委員会に要請したところでございます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 教育長が、独自で、単独で決められる程度のこれは問題なんですか。もう一度、教育長にお伺いいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
◎教育長(綛山哲男君) 先ほどもお答え申し上げましたように、数値のデータを含めまして、市町村単位での結果を公表することにつきましては、実施要領に定められておるところでございまして、各市町村が自主性をもって判断するものであると認識をいたしております。
 今回、府教育委員会といたしましては、各教育委員とも相談をした上で、市町村教育委員会に結果の公表の必要性についてお伝えをし、公表について検討していただくようお願いをしたところでございます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 糸電話か何か知らんけど、そんな電話とかでやられたんでしょう。そういうふうに聞いておりますがね。電話で確認したとか、相談したとか。集合かけたんですか。委員会に集合かけられて、そこで御相談を申し上げて、公表に至ったのか。そこのところ、明確にお願いいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
◎教育長(綛山哲男君) 教育委員会議を開催したということではございませんが、私も直接面談をする、あるいは電話での連絡をとる、そういったことにより、教育委員と相談をさしていただいたということでございます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) それならそれで、一応聞いておきます。
 それならば、教育委員会のあり方とかいうものを、私、今手元にありませんので確実なことは言えませんが、教育長がこの教育委員会制度をこれ否定したことになりませんか。教育長にお聞きいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
◎教育長(綛山哲男君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、今回の要請につきましては、全国学力・学習状況調査における課題、明らかになった課題の解決に向けまして、府教育委員会として市町村ごとの結果の公表が必要であると判断し、各教育委員会にも御相談申し上げた上で、実施要領に定められている範囲の中で、市町村教育委員会に対しまして公表について検討していただくようお願いしたものでございまして、教育委員会制度の枠組みの中での対応を行ってきたと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 議論は、また後でやらせていただきますが、私たちの調査では、すべての市町村教育委員会は委員会を開催して、各委員会の判断で公表についての最終判断をすると聞いております。それだけ平均正答率の公表は、今後の教育を取り巻くさまざまな問題を生み出す大きな問題と多くの教育関係者は述べられておられます。
 学力による地域格差、その影響で、今まで以上の教育移民が増加するのではないかと危惧もいたします。地域需要による問題解決も見出せないまま、今後の課題解決策も不明であります。府の責任で、問題解決に取り組むべきものもたくさんあります。全国学力・学習状況調査の結果に関する情報が流出されることについて、これから起こるであろう大阪の教育格差とその影響による地域格差の解決に知事はどのように取り組まれていく所存であるのか、お聞かせを願います。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 今の議員の御質問の論理関係が、僕は十分把握できていないところがありまして、この学力調査のデータが公表されることで地域格差が生まれる、学力格差が生まれる、それはちょっと論理関係が逆なんじゃないかと思っています。現在、学力格差や地域格差はもうあるわけなんです。それをどうやって取り組んで解決していくかということですから、その課題の解決策、取り組み手法の一つとして、現状を認識して、地域の人に、府民の人に関心を持ってもらい、目標を立てて、プランを立てて、そしてそこの目標に向かって進んでいくと。これによって地域格差や学力格差というものを縮めていこうというのが行政の責任であり、これは府の責任だと思うんですね。この学力データにふたをすることによって、どうやって地域格差や学力格差が縮むのか、私はさっぱりわかりません。
 データを公表したから、地域格差や学力格差が生まれるんじゃないんです。そのような声を僕はいっぱい市町村教委から聞いてますけど、今現に学力格差や地域格差があるんです。だから、それを府民の皆さんに提示をして、そしてそれを知事部局挙げて取り組んでいこうと、これに何の問題があるのか、僕はさっぱりわからないです。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 今、僕は読み返しておるんですが、どこにも公表をするなとは私ども言っておりません。公表せよとも言っておりません。それは、これからの−−この先あと五、六ページあるんですが、そのうちに言わしていただきますが、事実、これは知事と論理が違うかもわからない。僕の感じたことだけ言います。
 例えば、ある地域がありまして、現実なんですが、今は制服と言わないですね、子どもの着てるのは基準服といいますか、色がまさに違うんですね、隣同士でね。大げさに言うてるわけじゃないですよ。本当に違うんですよね。それは、何も私学へ通わしているわけじゃなくて、小学校の服なんですね。これって一体何やねんやろなと。それは実際、これはもう想像ですから言えないです。言えないですけども、何かそこに、ここの学校じゃあかんと、だからあの学校へ行こうじゃないかと。確かにその地域にある学校の基準服の色じゃなくて、比較的優秀であろうと言われるところの学校の服を着て通っておられる方もおいでになるのは、私、確認をしておるわけであります、これはね、これで。
 ただ、知事の言われるように、対応する−−教育格差ができてるからこそ、今公表して、そこで実際にそれを分析して、打つべき手を打っていかなきゃならないということはわかるんですが、同時に、公表すると、私が今言ったそれは一例でしかありませんが、そういうことが現に起きているところに、ある意味加速をつけないかん。それだったらば、公表するについてこういう手段を講じながらやっていきますというのが、今は出ていない。先ほどありましたように、大阪の教育力向上プラン素案ですか、それもまだ府民には知らしめられておられない中で、知事はどのように取り組んで、そういう状況がもしも発生した場合に、どう取り組んでいかれるのかということをお聞きしたまでであります。
 では、続きまして質問をいたします。
 知事は、全国学力テストの市町村別の結果に関する現在その情報を持っておられますか、お聞きいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 九月十七日、府教育委員会から全国学力・学習状況調査の結果等を踏まえた今後の取り組みに関連する説明を受け、資料を受け取りました。資料には、学力テストの市町村別結果に関するものも含まれており、現在、秘書室に管理させております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) それが、情報公開請求を受ければ、開示の対象になりますか。政策企画部長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 政策企画部長福田昌弘君。
   (政策企画部長福田昌弘君登壇)
政策企画部長(福田昌弘君) 情報公開請求の対象になるかどうかでございますけども、本府の情報公開条例では、公開請求の対象になると定められている行政文書は、知事あるいは教育委員会といいました実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書等で、組織的に用いるものとして当該実施機関が管理しているものとされておりまして、今回、知事が教育委員会から受け取った資料は、この行政文書に該当し、公開請求の対象になると考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 知事は、それが情報公開の対象の文書になると知って入手されましたか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 教育委員会から受け取った資料が、情報公開請求の対象になることは認識していました。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 何か裁判みたいな感じやな。教育長は、それが情報公開の対象の文書になると知って知事にお渡しになりましたか。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) お示しの資料でございますが、知事に、今後の学力向上に向けた予算について相談をさせていただく際に、府内市町村の現状等の資料を提供し、学力の状況を説明させていただきました。知事が所有する文書につきましては、情報公開請求の対象となることは認識をいたしております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 知事は、児童生徒質問紙、いわゆる生活実態調査に関する内容についても公開されることに問題はないと考えて入手されましたか。そして、知事は、どこまでの範囲の文書を持っておられますか。お答えをお願いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 教育委員会から説明を受けた資料につきましては、今後、情報公開条例に基づき公開か非公開かについて判断をしていきます。
 私が持っていますのは、文部科学省から府教育委員会に提供があった全国学力・学習状況調査結果のうち、四十三市町村の小学校、中学校別のデータに基づき、教育委員会が作成した資料であります。
 資料には、市町村別、教科別の平均正答率や、家庭学習、食生活等児童生徒の生活実態に関するデータが記載されていますが、学校別の正答率は記載されておりません。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 知事は、学力調査の結果を情報公開されると聞きましたが、本当に公開されますか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 情報公開条例は、府が保有する情報は本来は府民のものであり、公開を原則とするということをうたっており、どのような場合に公開してはならない、あるいは公開しないことができるかは、例外事項の形で定められております。
 府民から私に出されている公開請求につきましては、公開を原則とし、公開原則の例外事項に当たるかなどを慎重に検討した上で、公開か非公開かを最終的に判断したいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 例えば、テスト結果について非開示の方針を持っている市町村教育委員会にとって、大阪府知事からその情報が公開されることによって、当該市町村教育委員会の方針が事実上−−言葉が適切かどうかわかりませんが、ないがしろになるのではと危惧されますが、知事はこのことについてどのようにお考えですか、お聞かせください。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 学力テストの公開請求につきましては、府議会での議論や市町村教育委員会の状況等を十分見きわめつつ、情報公開条例に基づいて適切に判断していきます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 十月にテスト結果発表を知事自身がすれば、またその解決に向けた取り組みは、市町村教育委員会や市町村行政の責任から、知事の責任が大きくなってくると考えますが、いかがでしょうか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 結果を発表するかどうかは、またその時期において公開、非公開を最終判断したいと思いますが、僕はまさに知事というものは行政の責任として教育の責任を大きく、それは全責任を負わなければいけないものというふうに思っています。今の市町村教委、首長さんとの関係を見ると、民主的コントロールが及んでいるというふうにはなかなかうかがわれないところもありますし、だからといって、僕は教育委員会の中に政治がどんどん入っていくべきではないと思っております。
 だけれども、だれかが責任を負わなければならないわけでありまして、もし私が仮に公開したことによって責任が大きくなるということであれば、それはもう僕としては願ったりかなったりのことだと思っております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 今の願ったりかなったりは、知事橋下徹は責任を持つと、こういうふうに理解していいでしょうか。知事橋下徹が、全責任を持つというふうに理解していいでしょうか。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 府民八百八十万人の長として、全責任を負います。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 熱意のほど、決意のほど、私なりに理解をさせていただきました。
 昨日の自民党の代表質問において、小中学校課は要らない発言の説明を知事はされましたけれども、市町村教育委員会に対して、学力向上に向けた取り組みは地域の力と言われてもおられました。現状では、大変困難な取り組み課題があります。それは、いわゆる教育は人次第であります。学校での教え方と地域の人の教え方が違えば、子供たちは戸惑うだけであります。教育経験者の人材支援と、そのための財政支援を行う決意がなければ達成できないことだと私は思います。論評だけでは、政治家、首長の役割を全うしたことにはなりません。知事には、大きな決意を持って学力向上を目指す方針を打ち立てていただいてもおりますし、これからも教育委員会と大阪府の子どもたち−−先ほども私の、自分のことを言ったらなんですが、一人前になるまであと二十年養うていかなあきません。その子が、橋下知事が立てられた本当にすばらしい教育体制のもとで学べるよう、いろんな人の意見を聞いてこれからも進めていっていただきたい、このようにお願いを申し上げておきます。
 いじめ、不登校対策や支援教育など、大阪府が国より先駆けて取り組んできた教育の大阪らしさ、すなわち教育の大阪モードが高く評価をされてきました。財政再建プログラムで人件費カット、人員の削減、事業の廃止など、教育関連でもさまざまな分野で私たちが必要と考える事業を知事は削減をされてこられました。そして、新たな課題に向かって突き進むにも、方針を転換して、限られた人員でできる範囲の仕事しかできず、今までの大阪モードがなくなるのではと懸念もいたします。学校現場での競争を助長し、子ども一人一人の教育の機会均等を図るというこれまでの大阪の教育のよさを否定するものではないでしょうか。府教委は、これまでの方針を転換されるのですか。教育長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 教育委員会の方針についての御確認についての御質問だと考えております。
 大阪の教育は、これまで地域性と多様性をキーワードに、地域に根差すとともに、違いを認め合い、子ども一人一人の力を伸ばす教育を進めてまいりました。この理念に変わりはないと考えております。
 今般の市町村教育委員会に対する全国学力・学習状況調査の結果の公表要請につきましては、文部科学省の示す実施要領により、市町村教育委員会において、保護者や地域住民に対し、調査から明らかになった課題や今後の取り組みなどをあわせて正確に伝えることが必要であるといった考え方から行ったものでございます。
 今後、保護者や地域住民の理解、協力を得ながら、市町村教育委員会と一体となって大阪の教育力と確かな学力の向上に努めるとともに、大阪の教育がこれまで大切にしてきたことを継承し、さらに発展をさせていきたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) 大阪府教育委員会では、習熟度別指導推進事業のため予算措置をされておられます。習熟度別指導を推進するためには、各学校の指導計画の作成や人的配置が重要と考えます。九月一日から始まった本事業でありますが、現在の進捗状況について教育長にお伺いをいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 習熟度別指導についてお答えを申し上げます。
 児童生徒の確かな学力をはぐくむため、既に実施をしております少人数指導などに加えまして、学習内容の習熟の程度に応じたきめ細かな指導を行うことを目的として、本年七月に成立をいたしました本格予算におきまして、公立小中学校に対する教員等の配置に係る予算を措置し、議会で御承認をいただいたところでございます。
 現在、各学校から提出されました実施計画を精査いたしまして、本事業の趣旨に沿った計画に対しましては、人的配置を順次進めておるところでございます。
 府教育委員会といたしましては、今後とも習熟度別指導の人材確保に向けまして、本事業の周知に努めますとともに、市町村教育委員会とも連携をしながら、本事業の円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
(北口裕文君) おおさか・まなび舎(や)事業に取り組むことになっておりますけれども、心配するのは、人選と教材であります。どの地域の人材を時給七百五十円で確保して、どのような教材を使ってされようとしているのか、教育長の御説明をお願いいたします。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) おおさか・まなび舎事業についてでございます。
 おおさか・まなび舎事業は、府教育委員会が放課後学習のモデル事業としてこれまで取り組みを進めてきました実績やノウハウを踏まえまして、学校が主体となり、教員と学習支援アドバイザーが協力して、子どもたち一人一人に寄り添いながら、放課後学習の支援を行うものでございます。
 学習支援アドバイザーに対しましては、交通費程度の謝金を設定し、子どもたちの学力向上に対し意欲のある人材を各学校で選出をしていただいております。
 募集方法といたしましては、府ホームページへの掲載、大学等でのポスターの掲示やチラシの配布、また全国学習塾協会にも協力依頼を行ったところでございます。
 現在のところ、予算で二百校での実施を認めていただいております。市町村から九月三日現在で申請の上がっている数が百三十五でございまして、既に九月一日付でスタートしておるところもございます。ただいまの数字は小学校でございまして、中学校は予算で百二十九校でございまして、同じく九月九日現在で上がっている数字が七十三の申請が上がっておりまして、一日に既にスタートしているところ、あるいは十月からスタートを予定しているところがあるという報告を受けております。
 また、教材についてでございますが、各学校が作成するものや府教育委員会作成のワークブックなどを想定しておるところでございます。
 本事業については、勉強に興味が持てない子どもたちだけではなく、もっと学びたいと思っている子どもたちに対しても学習支援をしていきたいということで考えておりまして、今後とも市町村において有効に活用していただきたいと考えております。市町村教育委員会とも連携をし、より積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 今のデータは、例えばその中にはボランティア、無給という方もおいでになるんですか。
○議長(畠成章君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
◎教育長(綛山哲男君) 現在、学習支援アドバイザーとして登録をされているというか、実際ついていただいている方の状況というお尋ねだと思います。
 一つにはリタイアされた先生−−OBの教員、一つには地域の人材、それから大学生。大学生の中には、教員志望−−将来教員になりたいということを希望しておられる大学生、あるいは塾の先生、そういった方々が既に動いておるところ、実施をしておるところの学習支援アドバイザーとしてついていただいていると報告を受けております。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 次に、知事の、以前に学力だけがすべてではない、多様性のある子どもたちが育つ大阪も日本一の大阪やと。まさに、私はそっち側のグループにおり、余り学力のほうには入れてもらえなかったもんですから、それでも、知事から言われれば何かこんな歴史ある、日本一の大阪府議会の一員として、声なき声の代表者としての役目を果たさせていただいておるんですけれども、私は矛盾は感じませんが、知事はそう言っておられたにもかかわらず、先ほどの繰り返しになると思いますけれども、学力調査の結果を発表すべきとの主張になったのはどういうことか、ちょっと御説明お願いいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 僕は、知事就任後も、繰り返しこれは議会でも答弁させていただきましたけれども、大学受験のための受験テクニックのようなものは、それだけがすべてじゃないと。だけれども、人が社会に出て、大人になって、自分がさあ自己実現のために勉強しようと思ったときの、生きるための最低のその学力は絶対に必要であると、そう言い続けてきました。
 今回の学力調査テストに関しては、確かに知事に立候補する際、僕はその問題をきちんと確認していなかったので、あれはややもすると受験テクニックに走るような問題なのかというような思いがありましたから、あのような学力調査テストというものの点数、正答率はそんなに気にすることはないというふうに言いましたが、今議会において先日答弁させてもらいました。あの問題をよく見ると、これは読み書き計算、いわゆる自分が勉強をさあしようと思ったときの最低の能力をはかるものだという思いで、ああこの点数じゃまずいという思いで今慌て出して、こういうことで教育委員会と頑張ってやってるところであるわけなんです。
 ですから、何も僕は学力ということを何も要らないと言ってるわけじゃなくて、受験テクニックに全員が全員、府民全員が走る必要はないですけれども、大人になるための自己実現のための必要な学力というものは、絶対に必要だと思ってます。
 そして、よく、学力だけがすべてではないということを、よくこういう古いことを言う人、すごい多いんです。ただ、これも論理学から考えればおかしな話で、学力だけがすべてではありませんが、学力も重要なはずなんですね。
 今の大阪府の保護者の中で、学力を伸ばしてほしいということを願わない親なんていうのは、一体どこにいるんでしょうか。今、小学校で、この間文科省かどっかの調査の中で、小学校で塾に通う率が一五%を超えたとか、中学校であれば四〇%に達しているとか、これ公立の小学校、中学校できちんとちゃんと教えてあげれば、こんなお金かけなくても済むわけじゃないですか。親が求めている今のニーズに、今の学校現場は全くこたえていないわけなんですよ。これを金出して府民がやってるわけじゃないですか。もっと教員に頑張ってほしいんですよ。
 僕は、教員ももちろん、これは教員も疲れてると思います。これは、保護者との関係で非常に疲れてると思いますから、教員も支えなければいけない。だからこそ、地域が総ぐるみになって学校運営に携わって、いわゆるモンスターペアレント問題とか、そういうものを地域で吸収するなり、学校で起こってるさまざまな課題を地域で吸収するなりして、疲れ切った教師をサポートする意味においても、地域にとにかく関心を向けてもらいたいという思いで、今回のその正答率というものは、地域のとにかく府民の関心を引かせるもの、それの最大のメッセージを持った僕は希望だというふうに思っています。
 ですから、学力だけがすべてではないというような、こういうことだけを言って、こんなことを言い続けると、本当に子どもたちはかわいそうです。みんな、どの保護者も、学力をつけてくれと、だから学校にお願いしますと、それで預けてるんですから、学力を上げて何が悪いんですか。僕は、だから、大きくこの今の現場の教育界にはびこってる、学力だけがすべてではないというこの考え方を方針転換して、学力も重要だということを大阪府の基本的な方針にしていきたいと思っています。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) それは、知事の見解でありますから、そのようにお聞きをいたしておきます。
 僕は、塾にも行ったこともありませんが、まなび舎みたいなところには行ったことがあるんです。戦争から帰ってきはった憲兵隊の大尉さんの家に行って、宿題を見てもらうというんやったんですけど、宿題を見てもらうどころか、そこへ行ったらまんじゅうもらえるんで行ってたというだけの話。そういう子もいて、ええでしょう。ええですよね。
 じゃ、再質問に入ります。
 義務教育の中学校には、いろいろな子どもがいます。不登校の子どもも何とか卒業させてあげたい、勉強しにくい家庭での環境を保護者と一緒に解決したい、いじめなどに対応するクラス全体の規範意識を高めたいなど、さまざまな育ちの違いから生じる問題や教育、学力に対する考え方が違う義務教育で、平均正答率を公表する成果はどのような成果か、多様性を求める知事が−−同じようになりましたね、済みません−−平均正答率から何を見出して、何を解決されようとしているのか、我々に問いかけてくる人に、どのように説明をしていったらいいか、また知事にそういう疑問を投げかける人がいれば、どのように説明をされますか、お聞きいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 僕の理解不足かもわからないですけど、今の御質問、全く論理的に僕はよくわからない点があります。といいますのは、いろんなさまざまないじめなどのクラス全体の規範意識、さまざまな育ちの違いから生じる問題、教育、学力に対する考え方が違う義務教育でというような、そのいろんな課題が、じゃ平均正答率を非公表にすることで全部解決できるんですかということなんですよ。だから、僕は違うと思うんですね。
 平均正答率の問題というのは、いわゆる地域の関心を高めて、地域でみんな総ぐるみで学校運営に携わってもらって、みんなで目標持って、それで対策を練っていくという意味でありまして、今の議員御指摘のいろんな課題については、平均正答率を公表、非公表関係なく、ここにはちゃんと行政が、大きな課題の取り組みの方針を、今も教育委員会と一生懸命議論していますけれども、平均正答率というのは、あくまでも府民に関心を持ってもらって、目標を設定して施策を展開していく。しかも、現場の教員の方にもきちんとその課題と取り組みを認識してもらう。先日も答弁さしてもらいましたけれども、四十三市町村のうち十七市町村だけが、課題の分析、今後の取り組み方法というものを周知させているのは、大阪で十七市町村だけなんですよ。これが現状なんです。
 だけれども、それが平均正答率を公表するということになれば、それは一生懸命になって、課題だとか今後の取り組み、府民に対する説明責任として一生懸命になりますよ。今の大阪というのは、非公表の名のもとに、このようにちゃんと周知徹底、説明責任を果たしていない現状なんです。それがこの四十五位、今回もう二年連続、ていたらくなこの現状になってるわけなんですよ。
 だから、僕は、このいろんな課題、問題については、教育委員会とどう取り組んでいくのか、教育委員会だけに限らず知事部局挙げて、今指示を出して、関係部局で全部案を出してほしいということを言っています。僕は、この平均正答率の公表、非公表と、このさまざまな課題というものが全く僕は結びつかないというか、非公表にしたからといって、この課題解決するわけではないと思います。公表したからといって、さらに悪化するものでもないというふうに僕は思ってます。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 文章的には、論理立たないところもあろうかと思いますけれども、中身を申し上げると、ここには学校別まで結びつかないかなという、学校別まで公表が及ばないかなという私なりの懸念があります。
 例えば、先ほどからずっと質問している中で、知事は既に、公表を求められれば、請求があれば、公開、非公開は知事の判断でしょうから、それはそれで知事の判断にゆだねるんですが、開示しない、公表しないという理由が立つほどのものでもないというふうに聞いております。
 となりますと、それは一連、地域に限って発表されるわけであります。そこまでいきますと、今度は市町村長も知事と同じで一家のおやじでありますから、息子がどんな勉強しとんのやろう、大丈夫かいなという気にはなります。ですから、取り寄せはするでしょう。手元にあれば、それは知事と同じように情報公開の開示するデータになるわけです。
 そこで、枚方市の例をよくとられるんですが、請求されて開示せざるを得なくなったというようなことが起きてくると、知事は自民党さんの答弁の中で、学校別までは出さないし、そこまでは求めていないということであります。そのレベルまでは私らも、ただ手法が違うだけで、要は全国で低い位置にいてるということはもう既にわかっているし、これは全国が知られていることであります。でありますから、何があかんかったやということは気になりますよね。当然、知事は気になります。
 しかし、そんなことは、もう教育委員会は、何があかんかったかはわかってたはずなんですね、前回からの流れでいくと。ただ、それが打ててたか、打ててないかによって、今ごたごたしてるわけなんです。知事も、そこに一連の不安があったかと思います。
 前任のというか、まだ委員さんなんですかね、井村委員はやっぱりセットで出すべき違うかと。それは、どこまでのことをセットで出したらええのかとテレビで言うておられましたけども、私どもも、公表するならば、やはり善後策といいますか、そういうこともやっていかなければならないやろうと。反対している市町村についても、市町村の自主性、独自性というものを尊重もしていかなあかんやろうと。後でるるいろいろ釈明もされたし、予算措置等を兼ね合いに出して、いろいろ要求をされたということも一時期ありましたことも事実です。
 そんなこんなことを考えていくと、僕の場合、できたら子どもが通ってて知りたい、けど知りたくないというのがあるんですね。知りたいけど、知ってしもたらどうしようと。よかったらええけど、悪かったらどないなっていくんやろうという、これはどなたからも御批判を受ける必要はないんで、それは私個人の見解でいくと、そういう人も中にはおると思うんですね。ここに住んでるからこそ、教育レベルが低いというような評価をされる方もいてるし、いや、ここで十分や、うちの子はここで十分育ってんねんという方もいてるし、さまざまな思いがあって、それを文章にすると、このようなことになったわけであります。
 それと、もう一つ、十七市町村だけって言いますが、その中にどんだけの市が含まれてるのかわかりませんが、個別に各市の教育委員会が首長といろいろ教育議論をしながら、独自の予算で新たな取り組みをしてるとこもたくさんあるんですね。そういうところの一定評価も、今十七市町村だけやないかと言わはったけども、そうじゃない各市町村の教育委員会もあるわけです。でありますから、知事には、教育委員会からそれぞれの市町村の教育の独自の取り組みというのをすべてレクチャーされておられるのかどうかわかりませんが、公表を進んで自主的にやられた教育委員会だけに日の目が当たってるというとらえ方は、僕はいかがなもんかなと思うんです。何を言うてたか、ちょっとわかりませんが。
 続きまして、それに合ってるかどうかわかりませんが、これはもう私の思いだけでとどめておきます。
 耳塚寛明さんというお茶の水女子大の教授がおいでになりまして、日本教育社会学会で世帯所得と子どもの学力に関する調査結果を発表されました。小中学生千二百人対象の学力テストと保護者アンケートから、所得と学力が比例関係にあると言われておりますし、通説にもなっております。なぜこんなことを私が言うかといいますと、学力は、人的配置とか予算とか組めば、学力は多少なりともアップするようなことはできると思います。それは、個人の努力とかでもできると思うんですが、生活実態の中に教育委員会や行政が入ろうとすると、かなり難しいところがあると思うんです。
 鼻たらしてても、鼻たれるんで、うちの子のこっちゃ、ほっといてと言う人もおりゃ、かみたおす親もいますよね、例えが悪いですけど。そういった中で、家庭へ入り込んで学習環境をよくしたり、地域とかみんながって言わはりますけど、どうでしょうかね。前にも知事に、僕、健福のとき言ったけど、難儀してる人、どんだけその周りの人が手貸すか。ほんまに日本という国は、殺伐となってきたなと。こんだけ情の厚い大阪でも、見て見んふりというのが結構大きくなってきてるんです。
 こういった生活実態−−勉強できる、学習できるような環境にない子どもたちへ、どのようにしたら有効な手段があるとお考えでしょうか、ちょっとお聞きしたいなと思うんですけど。
 今のをかいつまんで言いますと、家庭に入れない、学力のほうはそれでいろいろ、教育委員会なり知事なりがいろいろやりながら、我々声も聞きながら、学力のほうは高めていく手段は結構ある。そやけど、生活実態−−親が共稼ぎを、片親だけ稼ぎに行くということもできないやろうし、例えば病気がちの親を持った方で、看病せなあかんような子どもが、到底学習をしていくという環境に置かれてない。あるいは、もうほっといて、構わんといてと言う家庭もあるやろう。そこまで入り込まないと、大幅な教育レベルのアップというんですかね、今言う、いわゆる知事が満足されるであろう結果まで持ち上げられるかなと思うんです。だから、行政は、家庭、地域へどうやって入っていこうというのか、具体的にちょっとあれば、お聞かせを願いたいんです。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) その具体案につきましては、今、教育委員会と、新しく入っていただきました新任の教育委員、また特別顧問である藤原氏含めて、もう今徹底して研究し、また関係部局、知事部局もその取り組みを今まとめているところであります。
 ただ、民主党さんは、分権ということをもちろんかなり強く言われてるじゃないですか。僕、その分権ということになってくると、住民や府民の責任というものも当然持った上で、ですからデータが、正答率がどうであろうと、仮にそれで過当競争だとか、もしそこで地域間の何かいじめが生じるとか、地域間で何か誹謗中傷が起きるということになれば、それすなわち大阪府民のずっと受けてきた教育のあらわれがそうなってきてると思うんですね。そういうこと、もう逃げて、そういう事態が生じることを恐れて、恐れて、そのデータを隠そうというのは、昔のお上意識としか思えないんですね。データを開示して、府民、住民がきちんとそれを認識して、あとどうするかは、やっぱり府民、住民の責任だと僕は思ってます。だから、まずは開示して、きちんと責任を持ってもらう。
 そして、また学力についても、これはいろいろ今、新任の教育委員とも議論していますけれども、生活実態との相関関係というものは、生活実態調査の中では関連性がありますけれども、小河先生と陰山先生の論でいくと、そこを克服できるやり方もあるということで、今プログラムを組んでいます。それは、もう僕もびっくりしたんですけども、五けた割る二けたの割り算では、一けたの足し算、引き算、掛け算が複数回しないと答えが出てこないんですね。そうすると、もう五けたの割り算、割る二けたというような、この割り算をやろうと思っても、一けたの九九や一けたの足し算、引き算ができないとおぼつかないと。だから、徹底して一けたの足し算、引き算、掛け算をやる。僕は、最初信じられなかったんですが、いろいろまたこれはデータをもとにして、教育委員会からも説明をしていただきたいと思うんですが、いろんなその生活実態とは別の教育手法についても、今研究をしています。
 ただ、生活実態の部分も、僕は重要だと思っています。だからこそ、この正答率を公表することによって、例えばここの地域は非常に今いろんな課題があるから、そうであれば、ここにちょっと予算を、ないしは今配分しているいろんな教育資源をこちらのほうに重点化させていただきたいとか、府民の納得にもよると思うんですね。今、一律にどこの市町村も同じようにやってますけれども、正答率のいい、生活実態や家庭の課題とかも、これデータ一緒に相関関係出てますから、そうであれば、今何でもかんでも平等で一律になってるところを、申しわけないけれども、ここの地域にちょっと重点化させてもらいます、ここの地域にちょっと力を入れさせてもらいますということが僕はできると思うんですね。今何にもデータが公表になってないところで、ある地域だけに予算を突っ込んだら、みんなが、何でやねんてことになると思うんです。
 僕は、そういう府民の理解を得るためにも、まさに課題を解決するためにも、この正答率を公表することによって、正答率だけが問題ではありません、その背後に潜む課題の取り組みということで、府民の納得を得てもらった上で、そこに集中的に課題に取り組んでいきたいというふうに僕は思っています。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 大体のところでは、やっぱりさすが頭ええなと思うのは、私が言わんということをまとめていただきましたけれども、この学力テスト云々いうのはこっちへ置いときましょう、ややこしくなる。例えば、今まで学校の先生方は、いろんな形でその家庭を訪問されて、この子は勉強するために環境のええ位置にいてると、この子はかわいそうやけど、こんなとこ、いつまでもこういうような生活をしてたらだめやという場合に、先生って入り込めるとこって、なかなかないですね、家庭に対して。ましてや、周りの、先ほども言いましたように、希薄になってきてるお隣さん同士とか地域が、じゃそういうところに入り込めるかというたら、何度も言いますが、難しいと思うんですね。
 そういうところに育ってる子でも、どんどん努力を重ねれば、立派な学力を身につけて、それだけの社会人になってる方も、それはたくさんおいでになりますけども、今現状、そういう子供に対してどう手を差し伸べたらええやろうと。府会議員やから、市会議員やってそのバッジを使うてやったって、だめなもんはだめやし。そこのところは、もうずっと今まで、そういう学校の先生も含めて苦労されてたことであって、僕はきょうあすにはなかなか変わらないやろうと。
 そこで、例えばまちづくり全体から考えて、例えば寝屋川の過密地域とか−−そこが学力悪いとか言うてませんよ、そういう過密したとこ、密集地なんかの改良なんかもしていかなあかんやろうし、大阪府の打ち出すいろんなものが、例えばそういうところにも興味を示すようなものを持ってこなあかんやろうと。抽象的なことしか言えないんですよね。具体的なことになると、みんな行き詰まってしまうというのは、何なんでしょう。私は、立派な教育委員の方が今回新任で入られて、その方が、家庭環境から、地域の環境から、例えばボランティアでその地域の子どもたちを守っていくということまですべて完結していただけるとは思いません。
 ですから、やはり知事が、今、大阪でだれの言うこと聞くねんいうたら、泣いてる子でも、橋下さんの言うことやったら聞くと思うんです。私なんかが知事と同じこと言うたら、ちょっと頭いってんなというふうにしか多分思われないでしょうけども、知事は私と同じこと言うて、ここに知事が来て言わはっても、私のんはブーイング来ますけど、多分知事が私と同じこと言うても、わあってなると思うんです。その知事やからこそ、僕はやっぱり真剣に考えておられるんでしょうけども、ほんまに声の出ない、声なき人の声までやっぱり入れるような−−例えばあるまちでは、そのお母さんの愚痴ばっかり一年間聞いてたんですって、家庭訪問行って。お母ちゃんの聞いてたら、お母ちゃん、すっとしたんですって。それで、子どももやる気が出てきた。
 だから、その家庭とかその地域で何が詰まってんのかというのを、そういうのを分析したりできる方々というのは、やっぱり幅広い経験した人を僕はアドバイザーとかで置かれて取り組んでいただかなければ、できない子もできる子も、ひとしく日本の、この大阪の子どもであるんですから、その辺をよろしくお願いをしておきたいということと、それに関連してでありますけれども、このPTAのあり方ですね。
 PTAって何してるのか見えへんでということを、私もPTA経験者でありますし、私とこのほうは学校の後援会組織でも何でもありませんで、ほんまのPTAやってました。初め、嫌なもんです、やるのは。でも、やると、これ夢中になりまして、何でや言うたら、自分の子どもが学校へ通うてる、その学校をやっぱりようしていこうやないかと、それぞれいろんなアイデアを持ってPTA活動をやったもんです。二年間、あっという間に過ぎて、立派なPTAになっていました。そういう単組のPTAは、一生懸命やってるんですよ。知事は、そのどこら辺に−−今は知りませんよ、当時PTAに対して批判的な見解であったのは、どういう真意からでありましょうか、お聞きいたします。
○議長(畠成章君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 僕の考え方は、もう本当に単純なものでありまして、そんな複雑な思考もできませんから、もう単純な思考回路なんです。要は、何か問題があって現状が悪ければ、今までのやり方を変えなきゃいけないという、それだけなんです。ですから、PTAの活動も、先ほどの教育委員会と同じように、全否定はしません、もちろん。今までの活動、いろいろ取り組んでこられましたから。
 だけれども、現状が今こうである以上は、全肯定もできないでしょうと。だから、もう一度、抜本的にゼロベースで、保護者と学校のあり方というものを考えましょうと。これで、もしPTAが本当にすばらしく、何でもかんでも万能の機能を発揮してるんであれば、モンスターペアレントの問題も出てこないし、今のこのような大阪の課題というものは出てないと思うんです。これは、現状が今こうであるからこそ、今の組織のあり方を見詰め直していきましょうというだけであります。
 PTAについては、一生懸命頑張ってもらってるところもたくさんありますし、うまく機能しているところも山ほどあると思うんですが、僕はやっぱりメッセージを出し続けなければなりませんから、まずは抜本的に一回見直してみましょうというメッセージを発しました。
 杉並区の和田中の藤原氏に、今特別顧問についていただいていますが、あそこの和田中は、PTAを地域支援本部が吸収をするような形で、今学校運営をしております。僕は、PTAという存在でそれがきちんとできるんであれば、それで全然構わないと思いますし、要はPTA間の役員の協議とか、何か地区の協議とか、そういうことに時間を費やすんではなくて、本当に学校運営に携わってもらえるような、そういう組織体であれば、それは名前がPTAであろうが、地域支援本部であろうが、何でも構わないと。ですから、どうやって学校に入ってきてもらうかということを考えたときに、藤原氏の、最近出た「つなげる力」という著書によれば、今までの行政はすぐコーディネーターを配置して、ぱんぱんぱんとコーディネーターを配置して、これでもうネットワーク完了、はい、あとはもうお任せします、これじゃ、絶対学校の地域支援本部なんていうのはつくられないわけなんですね。
 藤原氏がかねてから言ってるのは、まず具体の取り組みをやってもらうと。藤原氏の和田中の場合には、芝生の維持管理から始まり、図書館の改修に始まり、これを地域の皆さんに、学校の卒業生だけでなく、おばちゃん、おじちゃんとかいろんな人に携わってもらいながらやってもらうと。それで、地域支援本部が徐々に徐々にでき上がってくると。ですから、そういう意味では、今また幹部にもメールで指示を出したんですけれども、学校の芝生管理というのは、緑化政策だけではなくて、いわゆる学校の地域支援本部をつくる非常に有効なきっかけになるんじゃないかとか、今そういうことを関係部局挙げて一生懸命頑張って案を練っています。
 ですから、PTAというものを全否定しているわけではないんですが、今のあり方にやっぱり疑問を持って、今が現状こういう状態ですから、もう一回、抜本的にゼロから親御さんの組織の存在のあり方、運営の仕方というものを見詰め直していきましょうという意味で、今までのPTAに対するあのような発言をいたしました。
○議長(畠成章君) 北口裕文君。
   (北口裕文君登壇)
◆(北口裕文君) 議員諸氏には、お疲れのこととは思いますが、これをもちまして、私の質問を終わりたいところでありますが、あと二分二十四秒ございますので。
 知事、財プロのときに、代謝異常に関する補助金というのは削られる予定やったんです。それは外れましたんです、幸いにして。実は、私のところの子どもが生まれたのは四月です。まさかと思っとったんですが、引っかかりましてですね、今はかといって元気にすくすく育っとるんです。早く見つかって、親としては安心してるんですね。どこが悪いねんいうぐらい肥えて立派に育ってるんですけれども、やはりしばらく見ていかなあかん。これって、今見つかったからええんですよ、昔はそうじゃなかったですから。例えば、もっと異常になって、病院通いして医療費かかる、行政の負担もかかってくる、いろんなことが先に高うついたら、後安いねんいうような感じなんですよね。僕は、命にかかわることとか−−私のところ知的障がい者の施設やってますから、そういった声なき人、声を出そうにも出せない人、ここらに御配慮願えるような、新しい知事に将来を見越した大阪のあり方をちょっと心の中に入れておいていただきたい。それだけをきょうはお願いに参りました。
 以上をもちまして、この立派な質問をつくっていただきました我が同僚、民主党・無所属ネットの皆さん方には感謝申し上げ、退屈であったと思いますが、日本一の大阪府議団の皆さん方には御声援をいただき、本当にありがとうございました。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(畠成章君) この際、休憩いたします。
午後三時五十五分休憩
    −−−−−−−◇−−−−−−−
午後四時十六分再開
○副議長(鈴木和夫君) これより休憩前に引き続き質疑質問を続行いたします。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○副議長(鈴木和夫君) この機会に、あらかじめ会議時間を延長いたします。
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○副議長(鈴木和夫君) 通告により三宅史明君を指名いたします。三宅史明君。
   (三宅史明君登壇・拍手)
(三宅史明君) 公明党の三宅史明でございます。我が党を代表いたしまして、橋下府政の抱える諸課題について、財政政策並びに関西州構想などの地方制度について、また橋下ビジョンともいえる将来ビジョン・大阪への施策提案、それから関連する部局再編などを中心に順次質問並びに提言を行ってまいります。
 さて、改革もいよいよ第二ステージへ突入でございます。
 知事は、大阪府政は、次の大いなる飛躍のために一たん身を縮めた。これからは、大阪府民に将来への希望、光を見せていかなければならないと、そのように言っておられます。
 我が党は、この代表質問を通じて、まず大阪維新プログラム案で示された個別の施策の見直しの方向性について、二十一年度当初予算にどのように反映されるのか、府民生活や市町村、大阪経済に大きなマイナスの影響をもたらすものであれば、再考を促したいと考えております。
 そして、年末までにビジョンを取りまとめる、関西州の実現を目指す、WTCに庁舎を移転したい、そうした知事の発言が連日のように報道されておりますけれども、本当に知事の言うように府民に光を見せるものとなり得るのかどうか。その光が、明石海峡大橋の向こうに沈んでいく夕日であってはならないと、そのように思っております。赫々(かくかく)と昇り行く夜明けの太陽の光でなければなりません。
 さらには、府の組織の再編など、府庁改革の流れがしっかりと地に足がついたものとして誤りなき方向に進んでいけるのか。知事を初め、理事者の皆さんへ明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 初めに、大阪版財政規律の確立についてお尋ねいたします。
 さきの府議会の総務委員会における我が党の光澤幹事長の質問を受けて、知事が早速財政研究会を設置されたことは一定評価をいたします。しかし、いつまでも国の示す財政指標や規律に過度に依存する行財政運営はいかがなものかとも思います。
 例えば、実質公債比率の数値のみがクローズアップされているのではないか。知事が禁じ手とした減債基金からの借り入れは、財政規律からいえば問題かもしれませんが、新たな金利を発生させません。しかし、退職手当債は、財政規律からいえば問題ないのですが、新たな金利を発生させ、府民負担が増加いたします。府民負担軽減のための財政改革が、財政規律を守れば後退することもあるわけでございます。すなわち、財政論での財政規律を守るということは、必ずしも府民にとってすべてがプラスにならないということであります。
 そこで、府民の負担を抑制するためには、金利が発生しない減債基金の借り入れを活用していくことも考えるべきではないでしょうか。
 他の都道府県でも、財政運営上の必要性から減債基金を取り崩している自治体や、中には減債基金の積み立てがままならない自治体もあると聞いております。二十一年度当初予算編成に当たっては、六月の試算で要対応額が二百五十億円追加されたことなども踏まえ、必要最小限の範囲で減債基金からの借り入れを行うというお考えはないのでしょうか。知事にお尋ねいたします。
 また、長期の財政収支見通しをもとにした試算による財政再建計画は、あくまでも一定の前提条件のもとでの試算にすぎません。その信憑性もさることながら、そんな仮定の試算に今の行政運営ががんじがらめに縛られてもいいのでありましょうか。六月に発表した粗い試算の改定版においては、自治体財政健全化法で国が定めた指標の一つである実質公債費比率が二五%を超えないことを前提として、平成二十八年度までに総額七千七百七十億円という取り組み額を示しています。
 そもそも、今日の厳しい財政状況は、国の景気対策につき合わされたことによる府債残高や公債費負担の増加、三位一体改革の名のもとに行われた交付税の大幅削減など、国の政策判断に大きく左右されてきた結果ではないのでしょうか。国が示した財政指標のみを是とし、それに今後の府の行財政運営を合わせていく。本当にこれでよいのかと疑問を感じます。長期目標値での設定は否定いたしませんが、短期、中期の視点での財政指標を立て、積み上げていくという手法を使うこともいいのではないでしょうか。
 国の言いなりになるのではなく、地方の実情を反映した全国の模範になる大阪版財政規律の開発、確立を図り、府民にもわかりやすい形で明らかにしていくべきと考えますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 公明党大阪府議会議員団を代表されましての三宅議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、減債基金からの借り入れを行う考えはないかということにつきましては、二十年度本格予算の編成に当たっては、収入の範囲内で予算を組むとの原則を徹底し、将来世代への負担の先送りにすぎない減債基金からの借り入れや借換債の増発は行わないこととしたところであります。
 減債基金は、将来の府債の償還のために積み立てておくべきものであり、また減債基金からの借り入れは、地方財政健全化法に定める指標の一つである実質公債費比率の上昇につながることから、将来にわたって財政健全化団体にならないという観点からも行うべきではないと考えております。
 また、近ごろの総務省の見解によっては、減債基金の借り入れ、年度をまたぐ借り入れは、否定的な見解にも変わっているようでありますので、二十一年度当初予算についても、こうした考えのもと編成を行っていきたいというふうに思っております。
 次に、短期、中期の視点での財政指標の活用につきましては、財政再建プログラム案の取り組みを行わなければ、実質公債費比率が将来的に財政健全化団体となる二五%を超えることが見込まれます。また、実質公債費比率は、その性質上、短期間の取り組みで直ちに改善を図ることが極めて困難であることから、将来にわたって財政健全化団体にならないためには、ある程度中長期的な見通しのもと着実に取り組みを進める必要があります。このため、府は、今直ちに財政健全化団体という状況にはありませんが、将来的にも財政健全化団体にならないことを府独自の目標として、財政再建プログラム案に掲げております。
 なお、財政再建プログラム案におきましては、二十年度から二十二年度の三年間を集中改革期間と定め、具体的な取り組み内容を明らかにしたところであり、毎年度の予算編成に当たってこれらを着実に実施していきたいと思っております。
 また、大阪版財政規律につきましては、自治体経営の観点に立った財政運営を続けていくに当たっては、国の基準だけでなく、みずからに適用すべきルールはみずから確立することが必要と考え、大阪府庁財政研究会を立ち上げ、財政運営上のさまざまな問題について研究しているところであります。
 今後、年内に研究会としての考えを取りまとめた上で、府の新たな財政ルールを明らかにしていきたいと考えておりますが、その際には、府民の皆さんにも理解していただくことが重要であり、わかりやすいものとするよう努めます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 次に、大阪版地域主権システムの推進についてお伺いいたします。
 大阪維新プログラム案により、市町村に対する府補助金については、二十一年度から交付金化を図ることになっていますが、制度化に当たっては、真の意味で市町村の自主性、自由裁量権の拡大につながるものとしなければなりません。そのためには、市町村と十分な協議を行い、理解を得ることが必要であり、そのための努力を怠ってはなりません。
 また、決して府の財政再建のツケを市町村に負わせるということがないよう透明性、公平性に配慮したルールづくりも必要であります。その上で、来年度からスタートするといたしましても、市町村としては予算編成や事業の組みかえなどの準備をしなければならず、時間も限られてまいります。
 そこで、現在までの市町村との協議検討の進捗状況とその課題についてお尋ねします。
 また、制度の具体的内容について、どの程度のものがいつまでに結論として出せるのか、さらに今後の市町村に対する知事の取り組み姿勢について、あわせてお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 市町村補助金の交付金化につきましては、地域福祉、子育て支援、学校安全、総合相談の四分野を対象に交付金制度の原案を取りまとめたところであります。今月二十日と二十四日にそれぞれ市長会、町村長会への説明を行ったところであり、今後、市町村と協議調整を進めていくこととしています。本制度は、平成二十一年度から実施するものであり、市町村が交付金制度の趣旨を踏まえ施策立案を行い、次年度の予算編成が行えるよう、できるだけ早期に制度化を図っていきます。
 また、市町村への権限移譲につきましては、大阪から全国の地方分権改革を先導できるよう、市町村と一緒になって取り組んでいきたいと考えています。そのため、今年度中に制度設計し、二十一年度に個別市町村と十分に協議を行った上で、二十二年度から本格的に移譲が実施できるよう取り組んでいきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 次に、関西州構想についてお伺いいたします。
 知事は、さまざまな機会を通じて、道州制について、関西州の実現を目指したいと積極的に発言しておられるように見受けます。しかし、府のマーケティングリサーチチームが行った子育て世帯を対象にしたアンケート調査では、道州制という言葉は知っていても詳しく説明ができない方が約六〇%もいるとの調査結果でありました。
 橋の向こうに光が見えたなどのイメージだけがメディアを通して先行し、肝心の中身が具体的に理解できなければ、府民にとってその導入の必要性を判断することができません。なぜ関西州が必要なのか、関西州にはどのようなメリットがあるのか、その内容を府民にわかりやすく説明し、まず理解を得る努力が必要であると考えますが、その取り組みはどうなっているのでしょうか。
 その上で、大阪府知事として、道州制を目指してこれからの大阪府の果たすべき役割をどう考えておられるのか、あわせて御見解をお聞かせください。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 道州制について府民の理解を得る取り組みについてでありますが、御指摘のとおり、道州制の意義については、府民の間で理解が進んでいるとは言いがたい状況にあります。この理由としては、府民にとって道州制にどのようなメリットがあるのかわかりづらいということがあると思います。
 今後、大阪府として道州制を含む地方分権改革に向けたビジョンを取りまとめていく中で、従来の縦割り行政から関西広域での総合行政にシフトする、あるいは関西全体での最適化を目指し大胆な施策転換を行うといった観点から、関西州ができたときに府民にとってどのようなメリットが期待できるのか、できるだけわかりやすいイメージを示していきたいと思っております。
 また、道州制を目指す上で、大阪府としてはまずみずから地方分権改革を進めることが重要であります。大阪府のあり方をみずから積極的に見直し、あるべき姿を府の内外に示していきたいと考えております。そのため、市町村との関係におきましては、住民に身近な行政は市町村が総合的に担うという原則のもと、大阪府みずから権限を大胆に市町村へ移譲し、大阪府は本来担うべき役割に重点化していくべきと考えております。
 さらに、他府県との関係におきましては、それぞれの強みを結集して、府県域を超える広域的な行政課題に積極的に取り組むことで、道州制に向けた共通意識を醸成していくことが必要であると考えております。そのためのステップとして、関西広域連合の早期設置へ向け、積極的な役割を果たしていきたいと考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 次に、関西州構想と関連して、府庁舎問題についてお伺いいたします。
 府庁舎について、知事のWTCありきという考え方には、いささか疑問を感じざるを得ません。知事の発言は、府庁舎をWTCに移転し、WTCを将来の関西州の州都にするというストーリーを先に組み立てた上で発信されているように思われます。
 現在、府庁舎の整備に関しては、三つの案が示されていますが、昨年、耐震補強の設計予算を審議した際の庁舎を含む大手前地区の全体のあり方を検討すべきという府議会での議決等を踏まえますと、あくまでも三案ニュートラルで提案されるべきであると考えます。
 また、そもそも府の庁舎を移転するということと関西州の実現を目指すということとは、全く次元の違う話ではないでしょうか。にもかかわらず、知事は、マスコミとのやりとりを先行させ、WTCへの移転、関西州の州都ということをひとり歩きさしてしまっております。
 買い取り金額につきましても、大阪市はいつになったら提示するのかわからない。これでは、知事の独断の域を出ないのではないでしょうか。
 改めて、三案提示に当たっての経過と知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 知事は、WTCへの移転が、関西州の州都にふさわしいと言われておりますけれども、WTCから見えるものは、神戸と淡路島、それに和歌山のごく一部でございまして、京都も滋賀も奈良も三重も全く視野には入りません。関西の中心と庁舎の場所とは、私は知事が思われているほどには関係がないのではないかと、そのように思っております。
 また、WTC周辺や舞洲、夢洲なども含めたベイエリアには、先端産業を初め物流産業や物流基地が進出しつつあり、今後ますますの集積が期待されております。その中では、WTCも貴重なスペースでありまして、そこに物流や商業に直接関係しない行政庁舎が入居することが、関西全体としてのスペースの有効活用と言えるのでしょうか。あわせて、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 三案提示に至った経緯は、もともと議会の皆さんが耐震補強案を決議されているということを大前提に、たまたまその後にWTCというものを大阪市がもう破綻処理をするというような報道がありましたので、そこでWTC案というものをつけ加えさせていただきました。
 建てかえ案というのは、それに付随してこういう案があるということで三案として出させてもらいましたけれども、あくまでも耐震補強案が原則であるということは十分認識しております。その後のたまたまの事情によって、WTC案を付加的につけ加えさせていただいたというのが経緯であります。
 また、大阪南港は、産業集積が進む大阪湾べイエリアの中心、関空と神戸空港のほぼ中間点に位置しており、関西の各エリアを結ぶ高速道路ネットワークの結節点でもあるなど、大きなポテンシャルを有しております。
 府庁舎の移転には、府庁の仕事の進め方を関西ワイドからとらえ直す府庁改革のねらいもあり、府民の認知が十分に得られていない関西州の実現に向けたメッセージも含めて情報発信してきました。
 なお、WTCビルは、オフィス、店舗の入居を想定して建設されましたが、コスモスクエア地区への民間企業の立地がおくれており、この地域の活性化を図っていく上で、公的セクターの関与は有効であると考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 三案のうち、このケース三のWTCにつきましては、肝心の買い取り価格がアルファのままでは、私は議論すらできないと、そういうふうに思っております。
 ただ、きのうの知事の御発言の中で、買い手である府側から価格を提示、これを試算してみるという、そういうお話がございました。これには本当、私もはっきり言ってびっくりいたしまして、普通、売り主がまず値段つけるんちゃいまっかというふうに思うんですけれども、知事は恐らく大阪市の提示まで待ってられへんということなのかも、私そのように想像いたします。府の側で、買い手のほうでこの数字を算出して、それがもし表に出たら−−大阪市さんもいろいろと今皮算用してはると思います。いろんな思惑があると思いますけれども、大阪市が想定する価格よりも低くなっても高くなっても、これは大阪府にとって不利になるんちゃうかなと。先に出したほうが、金額出したほうが不利になるのちゃうかなと。
 数字がどんどんひとり歩きしまして、結局かえって混乱を助長するのではないかということで、大変私、心配しております。
 知事は、環境が変われば発想が変わるんやと、関西ワイドやと、そういうふうにおっしゃいましたけれども、職員のモチベーションも上がるんちゃうかと、そういうふうに期待もされてると思います。確かにそういう面もあるかもしれませんけれども、私は、それを言うんならば、順番として職員の給料をもとどおりにしてから、それがまず最初であると、このように申し上げておきたいと思います。それが先決であるというふうに思います。物の順序であると、そのように思います。
 府の庁舎を移転するためには、府議会で三分の二以上の特別議決が必要となります。そのことを重く受けとめていただきまして、府民への説明責任、そして私ども府議会への説明責任、これきっちり果たしていただきたいと、そのことを強く求めておきたいと思います。
 次に、水道事業の統合についてお伺いいたします。
 これまで二回にわたりまして知事と市長をトップにする府市双方の関係部局によります意見交換会が行われ、事業統合を目指して協議していくことで一致をいたしました。
 足かけ三年にわたる府市連携協議のころと比べまして、府市の両トップがかわり、報道でも大きく取り上げられ、私は前進しているように、そのように感じております。
 去る十二日、より具体化された府案が公表されました。村野浄水場に加えまして、市の柴島浄水場のダウンサイジングや浄水場の系統化による効率性の向上並びに事故時の影響の極小化、管理システムの一元化、組織のスリム化による人員削減、さらには市域を含めた府域の給水原価が下がるとすることなど、大阪市の案よりも統合メリットが大きい提案であると、そのように思います。
 とりわけ、府の提案には、給水の安定性をより向上させるという視点が盛り込まれておりますけれども、大阪市の提案では、その視点が明確には見えてきません。また、組織形態につきましても、従来から我が党が主張しているように、民主的コントロールが十分に機能する企業団方式となっております。
 そこで、今回の事業統合に係る府案は、どのような基本スタンスに立って作成されたのか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 また、言うまでもなく用水供給事業者の最大の使命は、市町村水道にとっての水源の役割を果たし、安全でおいしい水を安定的に供給し続けることでございます。水道水が安定的に供給できるシステムが構築されないことには、市町村水道への安定性に影響が及び、ひいては府民へのデメリットにつながると考えます。
 そこで、統合協議を進めるに当たっては、市町村の意見をしっかりと聞き、府域全体での最適化を図るべきと考えますが、知事の所見をお伺いしたいと思います。
 私は、二年前に、平成十八年九月の定例本会議におきます一般質問で、府市の浄水場一元化による再編整備と供給余力の一元管理が実現できれば、柴島浄水場の移転による水道事業の機能集約化が可能であると、そういう提案をさしていただきました。
 今回お示しの大阪府の提案では、柴島浄水場につきましては、移転廃止とまではいきませんけれども、約半分の日量五十一万立方メートルをダウンサイジングして、それに伴い発生する不用地については処分可能となるということで、ここまで踏み込んでおりますけれども、大阪市にとっては貴重な再開発の種地が確保できるということで、私は一定評価できる、そういう内容であると、そのように思っております。
 ちょっとパネルを見ていただきたいんですけども。これは二年前につくったパネルでございます。また、出してまいりました。柴島浄水場の地図なんですけど、ちょっとこの際、皆さんに場所をよく見ていただきたいと思います。これ、赤いところが柴島浄水場ですけれども、阪急の京都線と千里線に挟まれた非常に交通の利便性の高い地域でございます。新大阪駅から直線距離で八百メーターということでございます。
 知事は、この浄水場のすぐ近くに住んではったと思いますから、大体この土地カンあると思いますけれども、今後この周辺地域の将来の発展のかぎとなるこの場所のポテンシャル、これは知事、どのように今感じてらっしゃるのか、お答えお願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 水道事業の府市統合でありますが、水道事業の使命は、安全な水を安定的に少しでも安く住民に届けることであります。しかしながら、水需要の逓減や本格的な施設の更新時代を迎えることなどにより厳しさを増す経営環境のもとで、耐震性の向上など信頼性の向上や施設と組織のスリム化などが水道事業体にとって大きな課題となっております。
 このような中、将来にわたり効率的で信頼性の高い水道システムを構築するためには、府市の垣根を超えて長期的な視点で府域全体で見た最適な姿を追求する姿勢が不可欠であります。
 また、水道が府民の生活を支える重要なインフラであることから、統合後の組織においても料金決定など事業運営の重要な事項について、各市町村の住民の意思の反映が法制度的に確保される仕組みは不可欠であります。
 また、より厳しい経営環境にある府内の中小事業体においては、府営水道との垂直統合など広域化のニーズが高く、こういった市町村が参画しやすい組織形態でなければなりません。
 こうした考え方に基づき、今回府案を作成し、公表したところであります。
 また、受水市町村に対しては、これまでも統合問題に関する意見交換会を数次にわたって実施するなど、迅速な情報提供と意見の酌み上げに努めており、検証委員会においても代表者に参画いただいているところであります。今後とも、直接府民へ水を提供している市町村の意見が統合協議にしっかりと反映されるよう取り組んでいきます。
 次に、柴島浄水場の再開発用地としてのポテンシャルについては、御指摘のように近傍を阪急電鉄を初めJR、地下鉄が通り、交通利便性がすぐれているほか、新幹線や広域道路網へのアクセスもよく、拠点的都市機能の立地も期待できるなど、地域の発展に十分活用される高い可能性を持っていると考えております。また、私が育った場所でもあり、十分ポテンシャルは高いというふうに思っております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 知事も、この柴島浄水場のポテンシャル、十分に御理解いただいたと、そのように思います。
 加えて申し上げますと、大阪外環状鉄道が、本年三月に放出−久宝寺間の南側区間が部分開業しておりますけれども、新大阪駅から淡路を経由して淀川を渡って放出まで至ります北側区間につきましても、平成二十四年春の開業予定ということになっております。
 それから、もう一つ言いますと、地下鉄四つ橋線なんですけれども、これも延伸して梅田の北ヤードから十三を経由してまた新大阪駅までつながるという、こういう構想もあります。これ、ちょっといつになるかわかりませんけれども、ますますこの地域のポテンシャル、私は大きくなっていくと、そのように考えております。
 私の小学校時代は、東三国に住んでおりましたんで、ただそのときは新幹線開業前ですから、淀川渡ったら一面の田園地帯でございまして、知事が生まれたころはもう新幹線は開業しておりますので、恐らく大分市街地化が進んでおったというふうに思います。いつもこの地図を見て思うんですけれども、何でこんな都心に五十一万平方メートルもの広大な浄水場がいまだにあるのかということでございまして、新宿には淀橋浄水場というのがもとありましたがもう早い段階で東村山のほうに移転しております。新宿は、その後、副都心が立派にでき上がってるわけでございます。
 私は、二年前にまちづくりの観点から柴島浄水場の移転を取り上げましたけれども、当時全くと言っていいほど反響はありませんでした。ところが、知事、市長ともに民間の御出身にかわりまして、事態がこれほど急展開するとは正直言って思いもよりませんでした。知事御自身もおっしゃっておられますけれども、この水道事業の統合は、橋下知事の時代にしかできないと、私はそのように確信をいたしております。
 政令指定都市制度が発足したのは昭和三十一年でございますけれども、その当初からこの府県行政との不整合、このことがずっと言われ続けております。いわゆる二重行政の問題も、この半世紀の間ほとんど進展はありませんでした。長年要望しておりましたけれども、府営住宅の申込書が区役所に置かれるようになったのは、実は去年からなんです。もうそれまでずっと全然拒絶されておりました。
 そこで、知事にお願いがございます。この水道事業の統合を突破口にしていただきまして、府市の二重行政の課題、これはほかにも行き詰まってるテーマがぎょうさんございます。ということで、ぜひとも精力的に取り組んでいただきまして、解決への道筋をつけていただきたいと、このように期待しておりますけれども、いかがでしょうか。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 大阪市は、政令市として府県並みの権限を持ち、高い行財政能力を有しております。このため、府と大阪市の施策、事業は、お互いに関連し合うところも多く、これまで類似行政や施策の整合性などが問題とされ、二重行政の弊害が指摘されてきました。
 私としては、大阪を活性化し、さらなる発展につなげたいという思いから、府市という組織のしがらみに縛られることなく、役割分担をすべきところは分担し、力を合わせるところは大阪市と一緒に取り組んでいき、行政の総合力を高めて府市全体で住民サービスの向上を図っていきたいと考えております。
 今回、水道事業につきましては、府市の役割分担ができている事業でありますが、これまでの枠にとらわれることなく、どのようなあり方が府民、市民にとって望ましいか、大阪市と統合の議論を行っているところであります。
 今後、水道事業以外に、例えばこれまで議論してきた信用保証協会や消費生活センターなどを初め、府と市の関係を整理することで府市全体の最適化を図ることができ、府民、市民がメリットを享受できるようなさまざまな課題について平松市長に話をし、お互いの役割分担や事業の統合、共同実施など、そのあり方を協議していきたいというふうに思っております。
 水道事業の統合を突破口として、僕はWTCの移転も、これも府市連携の象徴事業と、突破口にしたいというふうに考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 次に、大阪の将来ビジョンについてお伺いいたします。
 知事は、出血がとまったら次の一手はビジョンを示すとのことでございましたけれども、先般ようやく我々が申し上げてきました、削減ばかりではない将来の大阪ビジョンのイメージが示されました。府政の積極的な攻めへの転換であり、その内容に期待しております。
 今議会の議論を踏まえ、府議会終了後には、早急に知事自身が大阪の将来像と具体的取り組みを明確に示し、十二月末と宣言した納期を必ず守り、大阪の夜明けを府民に強烈にアピールしてもらいたいと思います。
 しかし、ビジョンの策定に当たって何よりも大事なことは、知事御自身の方向性を削減から創造へと明確にシフトチェンジし、職員の意識改革を促す機会とすることであります。
 知事は、職員一人一人が夢を持って、そして知事のもとに一丸となって仕事に励めるような明るい大阪府のビジョンの策定に当たっては、職員のモチベーションを高める努力をすべきと考えます。
 さらに、大阪を明るく笑顔にするために、今後の将来像やそのための取り組み内容を府民にわかりやすく、かつ何をしたいのかという具体的な事業まで踏み込んではっきりと描くべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 明るいあしたの大阪づくりに向けた将来ビジョン・大阪の策定は、職員のモチベーションを高める契機と考えており、将来像イメージ策定に当たっては、私自身が現場職員から聞いた意見を取り入れたところであります。
 ビジョンの策定に当たっては、今後ともさまざまな場で職員から直接アイデアを聞くとともに、ホームページで募集をしている職員からの意見も参考としたいと思っております。
 将来ビジョン・大阪は、府民みんなで明るく笑顔あふれる大阪づくりに取り組めるよう、写真やイラストなど多彩に織り込みながら、将来像や具体的な取り組みをはっきりとわかりやすく示していきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 将来ビジョンに関連してお尋ねいたします。
 去る九月十二日に、第一回外部有識者会議の会合を持たれたとお聞きしております。慶応大学の上山教授を初めとする外部の政策アドバイザーの位置づけにつきましては、あくまでも知事の意思決定をサポートするための参考意見を聞く場ということのようでございますけれども、いずれも知名度が高く影響力の大きいメンバーだけに、府政の方向性を大きく決定づけてしまうような場になりかねないと危惧をいたしております。
 新しく選任されたメンバーにつきましての選任理由と、政策決定過程における経営企画会議、部長会議と政策アドバイザーの位置づけについてお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 政策アドバイザーは、府政改革について第三者的視点から御意見、御提言をお伺いするために、自治体改革に精通され、高い見識を持つ方々にお願いしております。
 政策決定は、政策アドバイザーの御意見等も参考にしながら、経営企画会議や部長会議など庁内での議論や議会の皆様の御意見などを踏まえて、最終的には私自身が判断をしていきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 知事は、外部アドバイザーやプロジェクトチームを活用して改革を進めておられますけれども、本来もっと府の職員の意見や考え方など、直接声を聞くことのほうが大切なのではないでしょうか。どういった努力をされておられるのか、この点お伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
◎知事(橋下徹君) 現場を熟知する職員の意見や提案が大切であると認識しておりまして、庁内におけるさまざまなレクチャーの機会を初め、庁内ウエブにおいて、私への提言として業務改善や政策提言の意見を受け付けております。
 また、先ほども申し上げましたとおり、今般の将来ビジョン・大阪の策定に向けても、職員の意見募集を行っているところであります。
 さらに、私自身も現場視察や職員の集いでの意見交換、職場訪問などを通じ職員の生の声を聞くように努めており、今後とも職員の声を肌で感じるようにしていきたいと考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 大阪の将来ビジョンにつきまして、総論とも言うべき部分についてお伺いいたしました。
 知事は、どうせやるならばナンバーワン、日本一を目指す、その気概はまさに全国最年少の青年知事としての真骨頂でございます。子育て支援日本一や教育日本一、これらを目指すならば、家庭や社会など子どもを取り巻くすべての環境が日本一とならなければ実現できないと思います。
 では、すべてに日本一は、どうすれば実現できるのか。我が会派では、日本一シリーズと題しまして、七つの日本一に分類をいたしまして、それぞれに質問、提言をしてまいりたいと存じます。
 まず初めに、府民生活に多大な影響を及ぼす四医療費公費負担助成事業を初めとする健康、福祉日本一の実現について、順次お伺いいたします。
 老人、障がい者、ひとり親及び乳幼児を対象としたいわゆる四医療費の一部を助成することで、経済的負担を軽減し、医療を受けやすくする環境をつくり、福祉医療の充実を図るための福祉医療費助成制度は、現行すべての対象者から無理のない範囲で一定の負担をいただいておるところでございます。
 そうした中、福祉医療費助成額は、対象者の高齢化とともに、医療の高度化により、近年増加の傾向にあります。昨今の大阪府の厳しい財政状況のもと、助成事業の見直しが検討されており、対象者本人への一割自己負担を導入すると仮定すれば、現行の一医療機関一日当たり五百円の負担額が数千円に膨れ上がるなど、障がい者や低所得者等社会的弱者に多大なる負担が生じることとなります。また、一方で、市町村においては、償還手続が現行の約一万三千件から約百六十万件と約百二十倍に増加し、対応人員の大幅増によるコスト負担が必要となるなど、導入は事実上不可能であると言わざるを得ません。
 こうした多大な影響をかんがみ、本医療費公費負担制度は、現行のまま維持することが必要であると、そのように考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、がん対策についてお伺いいたします。
 がんは、我が国において昭和五十六年から死因の第一位であり、人口動態統計によれば、現在年間三十万人以上の国民が亡くなっております。
 一方、大阪府では、がんは、国よりも早く昭和四十六年に脳血管疾患を抜いて以来、死因の第一位を占め続け、年間約二万人余りの府民ががんで亡くなるなど、府民の生命、健康、生活にとって重大な脅威であり、現在においても全国ワーストワンである状況に変わりはございません。
 そうした中、国のがん対策基本法の制定を受け、府のがん対策を大きく前進させるため、大阪府がん対策推進計画を策定、公表されたところであります。
 今後、計画に基づき、総合的かつ計画的に推進することになりますが、目標達成に向け、具体的にどのような方策により実現を図っていくのでしょうか。
 がん医療体制の構築は、がん対策を推進していくには必要不可欠な重点課題であります。今後、府内における医療機関の状況を踏まえ、府民に対しどのように充実したがん医療体制を構築していかれるのか、健康福祉部長の所見をお伺いいたします。ここで答弁をお願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 医療費公費負担事業につきましては、重度の障がいのある方や母子家庭など、制度の対象となっておられる方々の医療に関するセーフティーネットとして重要な役割を担っていると認識しております。
 一方で、この制度は、本府の単独事業として実施しているため、将来にわたる府の財政状況を踏まえ制度を運営していく必要があり、さきの財政再建プログラム案においても、将来的にも持続可能な制度とする観点から、その見直しについて、平成二十一年度実施をめどに市町村と協議することとしました。七月末には、市長会、町村長会の御協力のもと、市町村と共同で福祉医療費助成制度に関する研究会を設置し、さきごろ、この間の利用実態や一割負担を導入した場合の影響などの分析結果を公表したところであります。
 今後も、同研究会をベースに引き続き検討を進め、府議会を初め関係団体の御意見もいただきながら、対応方針を早期にお示しできるよう努めていきます。
○副議長(鈴木和夫君) 健康福祉部長笹井康典君。
   (健康福祉部長笹井康典君登壇)
健康福祉部長(笹井康典君) がん対策についてお答えをいたします。
 大阪府がん対策推進計画を着実に推進していくため、この計画において目標値として設定しました喫煙率やがん死亡率などの状況を的確に把握してまいることとしております。
 また、がん医療の専門家やがん患者の代表者などで構成する大阪府がん対策推進計画協議会にがん対策の具体的な取り組みやその進捗状況を毎年報告し、協議会からの意見も踏まえ、目標達成に向けた今後の施策の充実につなげてまいりたいと考えております。
 次に、がん医療体制の構築につきましては、現在、府内に二次医療圏に原則一カ所、国が指定するがん診療連携拠点病院を置き、現在十一カ所あります。これらの医療機関で専門的ながん医療の提供を行うとともに、がんに関する患者さん、家族からの相談への支援及び情報提供を行っているところであります。
 また、本府におきましては、この国の指定するがん診療拠点病院以外にも、がん治療の実績を持つ医療機関が多数あることから、府独自の要件を満たす病院を大阪府がん診療拠点病院として指定し、府民にその情報を公表する制度を創設したところであります。
 この制度では、肺がんや乳がんといった特定部位のがん、また小児のがんのような特定分野に関して診療体制が整っている医療機関についても指定対象と考えております。今年度中に指定し、ホームページを活用するなど、速やかに府民に対し情報提供を行いたいと考えております。
 このような、こうしたがんに関する拠点病院の指定を通じまして、本府の地域事情に応じた質の高いがん医療の提供体制を構築してまいります。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 四医療費公費負担助成事業につきまして再度お伺いいたします。
 知事は、かつて福祉医療費助成制度につきましては、都道府県レベルでやるべきことなのか、国が国民に対するセーフティーネットとしてきっちりと考えるべき課題だと思うと、そのようにおっしゃっておられました。この事業は、助成の内容はさまざまに異なっておりますけれども、全国の都道府県で実施をされております。
 こうした状況を踏まえれば、本来、確かに知事がおっしゃるとおり、国がナショナルミニマムとして担うべき制度ではないかと、そのように考えますけれども、知事、今のお考えはいかがでしょうか。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 福祉医療費助成制度は、お示しのように、全都道府県で単独事業として実施されております。この制度は、国民全体に対するセーフティーネットとして必要な事業であり、地方の財政状況や地域の実情だけでサービス内容にばらつきが生じることは、本来望ましいことではないと考えております。このため、国へも制度要望を行っているところでありますが、直ちに国で制度化される見込みのない現段階においては、府として現在の財政状況を踏まえ、将来にわたって持続可能な制度となるよう、市町村とともに検討を行っているところであります。
 全都道府県がやってるということであれば、もうこれは国民、国全体で必要な制度であるというふうに思っていますし、国民皆保険制度であるこの日本の国が、財政のいい悪いによって医療を受けられるサービスの状況が変わるというのはおかしなもので、もうこんな都道府県のばらつきを認めていけば、お金のあるところだけが命救われるということになりかねないと。
 ですから、こういう問題こそ、まさにナショナルミニマムとして、国の責務として制度設計をしてほしいということを国に対して強く訴えていきたいというふうに思っています。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 知事も、このセーフティーネットとしての四医療費の福祉医療費助成事業、極めて重要であると、そういう御認識持ってらっしゃるということはよくわかりましたけれども、ただ国が引き受けない現状でございます。制度は、守るべき優先順位は高いわけでございますけれども、現状は府がしっかり守っていかないといけないということでございます。知事は、財政再建に当たっては、すべての事業についてゼロベースで見直すと、このように言われておりますけれども、本制度が果たしている重要な役割を踏まえますと、現行制度はしっかりと維持していくべきであると、そのように考えております。
 サブプライムローン問題によるアメリカ経済の低迷は、今後の日本経済の動向に極めて厳しい影を落としておりまして、原油価格の高騰は、食料品など生活必需品の値上げに直結しております。所得の低い人ほど深刻な影響を受けている、今そういう状況でございます。家計にありましては、食料品と同様、医療費を削るわけにはいきません。
 知事におかれましては、対象者本人への一割負担導入問題につきましては、ぜひとも見送っていただきたい。このことを強くこの場で申し入れをさしていただきたいと思います。
 少子高齢化がますます進展する中、我が党は、子育てはできる限り社会全体で支えるべきものであると考えております。そうした点を踏まえまして、次に子育て支援日本一の実現について、順次質問をさしていただきたいと思います。
 まず、出産育児応援事業についてお伺いいたします。
 我が会派が提案し、平成十九年十一月に実現した出産育児応援事業は、出産、子育てに臨まれる大阪府民に対し応援メッセージを送るものであり、出産、子育てを社会全体で支える機運づくりを促すため、第三子以降を出産された家庭に出産育児応援金五万円を給付するものであります。
 ところで、今回の大阪維新プログラム案では、本事業は平成二十年度末をもって終了廃止し、市町村が地域の実情に応じた制度設計ができるよう、例えば地域子育て支援拠点事業やこんにちは赤ちゃん事業など類似の国庫補助事業も活用し、再構築という考え方が示されたところであります。
 しかし、残念なことに、その肝心な再構築の中身も具体化されないままに、去る八月十五日に事業終了を一方的に通知されました。開始されたばかりの事業が突然なくなってしまう、これは府民を不安に陥れるもの以外の何物でもないと、そのように思います。
 大阪府は、少子化対策へのメッセージ的なこの事業の趣旨をどのように継承されるのでしょうか。この事業の再構築に当たり、府は市町村と十分に協議を行い、その内容や時期を明確に示すべきであります。知事の所見を求めます。
 次に、関西子育て世帯応援事業−−まいど子でもカードについてお伺いさしていただきます。
 大阪府は、次世代育成支援対策の一環として、子育て世帯を社会全体で応援する関西子育て世帯応援事業−−まいど子でもカードを平成十九年十月から実施されております。
 これは、企業などの協賛により、子育て世帯の方がシンボルマークを提示することによりまして、割り引き、特典などのサービスが受けられるという事業でございます。シンボルマーク、皆さん御存じのシンボルマークでございます。
 ちなみに、まいど子でもカードの名称は、子どもを持つ子育て世帯が、私のマイ、どこでも使えるカード、企業、団体からはまいどという歓迎の意をあらわしております。
 現在、子育て世帯登録数は約一万二千人、協賛店舗数は約二千八百店舗でございまして、まだまだ少ないと思います。また、先月実施されたひよこパルのアンケート結果でも、三人に一人しか知らないという、そういう状況でございます。認知度は、まだまだ低いと言わざるを得ないと思っております。
 今後、さらに認知度を高めて、子育て世帯にとって使い勝手のよいものとするためには、いろいろと工夫を凝らした広報活動を展開していくとともに、子育て世帯の登録数や協賛店舗を一層拡充していく必要があります。そのためには、子育て世帯や地元商店街などと直接接触する機会の多い市町村とより一層の連携を図るとともに、同様の事業を実施している関西各府県と連携し、広域的な展開を図っていくことにより実効あるものとしていく必要があると考えますけれども、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、慢性疾患児等への支援の拡充についてお伺いいたします。
 現在、小児慢性疾患のある子どもたちに対しては、小児慢性特定疾患治療研究事業による医療給付を中心に支援が行われていますが、地域や家庭でのQOL−−クオリティー・オブ・ライフを高めるための支援について、さらに充実さしていかなければならない状況にあります。また、NICU−−新生児集中治療室や小児科病棟に長期入院している子どもたちが、スムーズに地域や家庭での生活に移行できる支援体制も同時に必要であります。
 これらの子どもたちの中には、医療給付や障がい認定などが受けられず、地域で受けることのできる支援がかなり限定される方もおられます。
 このような状況を踏まえて、慢性疾患児やNICU等の長期入院児が地域で安心して生活することができるような支援体制を構築していくべきと考えますが、知事の所見を求めます。答弁お願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 子育て支援につきましては、すべての子育て世帯に対する支援の充実やだれもが安心して子育てできる環境をつくっていくなど、大阪で子どもを育てたいと実感できる取り組みを進めていくことが重要です。このためには、地域の実情を最もよく把握している市町村が、創意工夫を凝らして住民ニーズに沿った施策展開ができるようにすることが最も効果的であると考え、御提示の出産育児応援金などの事業を含めて交付金の制度化を検討しているところであります。
 交付金の制度化に当たりましては、社会全体で出産、育児を支える機運を促すことなど、子育て支援に関する課題や施策例をできるだけ具体的に示しながら、市町村において次世代育成支援行動計画の目標達成に資する施策が適切に立案されるよう支援していく必要があると考えます。市町村における施策の企画立案と予算編成が円滑に進むよう、本年十一月ごろを目途に市町村との協議調整を図っていきたいと考えております。
 次に、関西子育て世帯応援事業は、社会全体で子育て世帯を応援する機運を醸成していくことを目的に実施しており、今後、事業の認知度をさらに高めるとともに、子育て世帯の登録数や協賛店舗数の拡充を図っていく必要があると認識しております。このため、この十月で事業開始一周年を迎えるのを機に、協賛企業とタイアップした集中的なキャンペーンを展開していきます。また、市町村と連携し、市民イベント等の場を積極的に活用して府民に直接広報を行うとともに、より身近なところで利用していただけるよう、地元の商店街等に対しても協賛の働きかけを強化していきます。
 さらに、府県域を超えた相互利用を進めることは、登録者、協賛店舗の増加に相乗的な効果をもたらすことになりますから、早期に実現できるよう、今後シンボルマークの統一仕様を含め、関係府県との協議調整を精力的に進めていきます。
 最後に、NICU−−新生児集中治療室に長期入院している児童など慢性疾患のある児童に対しましては、国の治療研究事業による医療給付や保健所における療育指導などにより支援を行ってきました。
 今年度からは、慢性疾患のある児童やその保護者への支援を充実させる観点から、新たに二つの事業をスタートさせます。まず、児童や保護者同士が相談や交流を行い支え合う仕組みを構築するピアカウンセリング事業をNPOと協働で実施します。また、児童の状況に応じて病院から地域へのスムーズな移行や日常生活における継続的な支援を、医療給付と療育指導を組み合わせて行う仕組みの検討にも着手し、慢性疾患のある児童等への支援モデルを府独自に構築します。さらに、児童の受け入れ促進などにつながるような診療報酬加算のあり方など、府だけでは対応できない課題については、国への政策提言も積極的に行っていきます。
 府として、慢性疾患のある児童とその保護者の皆さんが地域で安心して生活できる支援体制の構築に最大限の努力をしていきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) まいど子でもカードにつきまして、再度お伺いいたします。
 知事から御答弁をいただきました。一周年ということで、これから広報、PRに頑張っていただくということでございますけれども、まだまだ認知度は低いわけでございますので、子育て支援日本一を掲げる知事にお願いがございます。
 このPRのために、知事みずから先頭に立っていただきまして、ポスターのモデルになっていただきたいと思うんですけれども。それともう一つ、いろんなキャンペーンがこれからあると思います。また、知事もテレビ番組によく出演されますので、ぜひこのまいど子でもカードをちょっと持っていっていただいて、こんなカードがありまっせということをぜひ宣伝していただきたいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 今後、機会あるごとに私自身も積極的にキャンペーン活動に参加しまして、期間中登録世帯数一万人増、協賛店舗数二千店舗増をという目標を掲げまして、頑張っていきたいというふうに思っております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 将来を支える子どもたちに夢をはぐくみ、希望を実現できる教育の提供は重要であり、将来世代に負担を転嫁させるようなことはあってはなりません。
 大阪の未来のため、次に教育日本一の実現について順次質問をさせていただきます。
 初めに、学力の向上についてお伺いいたします。
 平成二十年度全国学力・学習状況調査の結果が八月末に発表され、大阪府は、昨年に引き続いて全国平均を大きく下回り、小学校で四十一位、中学校では四十五位という状況にあります。大阪の公立小中学校における問題点を明らかにし、実効性のある学力向上方策を打つことが喫緊の課題となっております。
 ところで、知事は、学力調査の結果発表以来、ここで使うことがはばかられるような言葉で教育委員会を批判し、結果を公表しない市町村には予算をつけないといった強圧的な言動でマスコミ報道をにぎわせてきました。学力テストの結果の公表や非常事態の宣言だけでは、かえって府民の教育への不安をあおるだけです。知事の発した教育非常事態宣言は、府民に議論を巻き起こし、家庭や地域にも主体的に取り組んでほしいという考えだと思いますが、家庭や地域だけに取り組みを求めるのではなく、知事として責任を持って取り組むという力強いメッセージが必要であります。
 知事の学力向上に対する思いと、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 また、教育委員会は、学力調査の結果と知事の教育非常事態宣言を受け、当然危機感を抱いていることと思いますが、学力向上という差し迫った重要課題にどのように取り組むのか、教育長の所見をお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 先日発表されました全国学力・学習状況調査の大阪府の結果は、昨年度に引き続き全国平均を大きく下回るものでありました。大阪の学力向上に向けては、教育委員会や学校現場での取り組みだけではなく、家庭、地域も含めた取り組みがぜひとも必要であると考えております。
 教育非常事態宣言を発し、また全国学力・学習状況調査の結果の公表をお願いしましたのは、家庭、地域を含めた府民の皆様に大阪の教育の現状を認識していただき、大阪の総力を挙げて教育をよくしていきたいという思いに至ったものであります。
 私としては、平均正答率などの数字やデータの背景にある課題にしっかり対応する必要があると考えており、教育非常事態宣言の中でも、学校や教育委員会だけに任せない、地域や家庭も責任を持つということを提案しました。
 現在、学校、家庭、地域の取り組みを支援する具体的な緊急対策を検討しており、十月後半をめどにできるだけ早くお示しし、全庁挙げて子どもの教育をめぐる取り組みを進めていきたいと考えております。
 今後、教育委員会と緊密に連携を図りながら、地域、家庭、市町村と力を合わせて、大阪教育日本一を実現できるよう、私も全責任を持って全力を尽くしていきたいと考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 学力向上に向けた取り組みについてお答えを申し上げます。
 子どもたちには、一人一人が自立をし、多くの人々とともに社会で生きていく力、いわゆる生きる力をはぐくむことが大事であると認識をしておりまして、その基礎をなします確かな学力、これをはぐくんでいくことは極めて重要であると考えております。
 先日発表されました全国学力・学習状況調査の結果は、昨年に引き続き非常に厳しいものであると受けとめをいたしておりまして、学力向上に向けた授業改善など学校力の向上とともに、子どもたちの生活習慣など大阪の教育が抱える課題の深さを改めて認識をしておるところでございます。
 府教育委員会といたしましては、今回お示しをいたしました大阪の教育力向上プラン−−素案でございますが、これにおきまして、学校力を高めるとともに家庭、地域との連携を図り、公立小中学校で子どもたちの学力を最大限に伸ばすことを基本方針の一つといたしております。
 学力向上に向けましては、学校での取り組みはもとより、家庭での生活習慣の確立、落ちついて学べる学習環境の整備、教員の資質向上などについて市町村教育委員会と一体となった取り組みが必要であり、今後このプランに基づきまして着実な取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 さらに、これらの取り組みに加えまして、知事の教育非常事態宣言を踏まえた学力向上に向けた緊急の取り組みの検討を行い、知事の御支援とともに、知事部局との連携のもと、大阪の子どもたちに確かな学力をはぐくんでいけるよう、全力を挙げて取り組みを進めていきたいと考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 教育長から、落ちついて学べる学習環境の整備、教員の資質向上について取り組むとの答弁がございましたけれども、重ねてお伺いいたします。
 大阪の少年非行は、大きな社会問題となっております。全国ワーストワンの刑法犯少年の検挙補導人員一万八百八十六人のうち、中学生が五千八十四人で約半数を占めております。
 一方、学校内におきましても、暴力行為発生件数は、平成十八年度、小学校四百四十二件に対して中学校は四千百四十四件と十倍に近く、中学一年生で急激に増加する傾向が報告されております。
 中学校の生徒指導は、まさに非常事態であり、全中学校に生徒指導の専任教員の配置を行うなど、生徒指導体制の強化充実に取り組むべきであります。
 今回の学力テストの結果、教員の指導力、教育のプロとしての力量が問われております。教員の資質向上に本気で取り組んでもらいたいと思います。
 ところが、懲戒処分を受ける教員が後を絶たず、指導が不適切な教員に対する保護者、府民からの厳しい声も起きております。教育委員会として、どのように取り組まれるのでしょうか。
○副議長(鈴木和夫君) 教育長綛山哲男君。
   (教育長綛山哲男君登壇)
教育長(綛山哲男君) 中学校の生徒指導体制の充実及び指導が不適切な教員への対応についてお答えを申し上げます。
 生徒指導をより充実するためには、何より学校が組織として子どもにかかわっていくことが重要であることから、生徒指導に専任をし、組織をコーディネートする教員を配置してまいりました。
 府としては、これまでも国に対し本府の深刻な生徒指導の実情を踏まえた教職員定数の改善を要望し、生徒指導に関する教職員定数の充実を図ってきたところでございます。今後とも、教職員定数の確保に全力で取り組むとともに、生徒指導体制の充実が図れますよう、学校現場の実情に応じたより柔軟な教員の配置に努めてまいります。
 また、指導が不適切な教員への対応については、本年十月、この十月でございますが、府内四カ所に設置をいたします府教育センターの出先でありますカリキュラムNAViブランチ、そこに授業力向上指導員を配置をいたしまして、この指導員が市町村との連携のもと公立小中学校への巡回指導を行うことにより、その把握に努め、教員評価支援チームと連携をしながら、指導力向上に向けた指導を行ってまいります。
 その指導によっても効果が見られない場合は、現場を外して研修を実施し、それでも改善が見られない場合は、関係法令にのっとりまして分限免職を含めた厳格な対応を行ってまいります。
 教育委員会といたしましては、これらの取り組みを含め、今回お示しをいたしました大阪の教育力向上プランによる取り組みの中で、学力向上に向けました教育環境の充実に全力で取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 教育長は、学力向上に向けた教育環境の充実に全力で取り組むと答弁をされました。
 市町村も、府教育委員会と連携し、結果の公表とあわせて課題と対策を明らかにし、本気で取り組むことを期待しております。
 知事は、教育委員会の取り組みを財政的な面でも支援するべきでございます。また、やる気のある市町村に対しても支援を行う必要があると、そのように思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 大阪の教育を日本一にするというのは、私の公約でもあり、府政の最重要課題であると考えております。
 今後、財政的な支援も含め、教育委員会と十分に連携するとともに、学力向上の課題解決に向け積極的に取り組む市町村に対して、府としてできる限りの支援を行うなど教育の充実に全力を挙げていきたいと考えております。
 積極的に取り組む−−議員はやる気のあるというお言葉で御質問されまして、私はちょっと積極的に取り組むという答弁にさせてもらってるんですが、やる気のある、積極的に取り組む、そのあたりの判断は、やっぱり今までのやり方、それに固執して今までのあり方を改めないのかどうなのか、そこに大きくかかわってくるんだと僕は思っています。
 現状が今こういうことでありますから、やはり今までのやり方を改めて、一緒に大阪府下全力で取り組んでいこうというような意気込みを感じられるかどうか、これがやる気のある、積極的に取り組むかどうかの重要な判断要素になってくると思っていまして、僕は学力調査テストの正答率の公表、非公表だけがすべてだとは思いませんけれども、多くの今市町村教委が公表という決定をしていただいてることは、僕は非常にありがたく思っています。このように公表を決定してくれた市町村とは、僕は一緒になって全力を挙げてやっていけるものと今思っております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 続きまして、私学助成についてお伺いさしていただきます。
 大阪維新プログラム案により、高校一〇%、小中学校二五%の経常費補助金の削減が行われ、これに基づく二十年度本格予算の実施によって、今後具体的に教育現場への影響が生じてまいります。
 七月議会におきまして、我が党は、子どもの就学と教育の質、命、安全への影響を守るため、経常費補助金の削減幅は圧縮すべきとの主張を行ってまいりました。その際、知事は、生徒、保護者への影響を極力小さくすることは重要であり、個々の学校法人の経営状況を十分に踏まえ、生徒の就学の機会が確保されるよう努めるとの答弁をされました。
 私学課においては、現在、各学校法人の対応や経営状況についてヒアリングなどの調査を行っているところと聞いております。
 これまでも不断に経営努力を重ねてまいりました私立学校の経営環境は、かなり厳しいものの、授業料への転嫁につきましては、人件費その他の経費の節減など内部努力ともあわせて慎重に検討していると聞いております。しかしながら、経営努力のみでは限界があり、経常費補助金の削減すべてにはとても対応し切れないというのが実情ではないでしょうか。
 そのような学校では、やむを得ず一定の範囲で保護者に負担を求めることも必要になりますが、私立学校は、それぞれ生徒の就学環境やニーズが異なるため、どの学校でも容易にできることではありません。
 このような中、内部努力をぎりぎりまで行ってきた私立学校などにおいては、今回の経常費助成の削減を受け、必要な教育環境を維持することが困難になり、生徒の就学にも大きな支障が生じるのではないかと危惧いたします。
 生徒、保護者への直接の影響を少なくするため、経常費補助金の削減率の見直しをするべきと考えますが、知事の所見を求めます。
 次に、文化を通じた次世代育成についてお伺いいたします。
 七月議会におきまして、知事から、文化を通じた次世代育成は重要であり、これまで積み重ねてきたノウハウ等を途絶えさせることなく、文化芸術団体や市町村と連携し、より効率的、効果的な事業展開に活用していきたいと答弁をいただきました。
 また、先日発表された将来ビジョン・大阪では、夢を持っている子どもの割合が低下している中、文化人やトップアスリートとの触れ合いを通じて子どもたちが自分の夢を持ち、その実現をサポートすることを示しています。
 我が党は、かねてから子どもたちが芸術文化に親しみ、参加する機会の充実を訴えてまいりました。その声にこたえ、大阪府では、子どもたちの心豊かな感性をはぐくむことを目的とし、学校へ芸術家等を派遣している芸術・スポーツ体感事業や、伝統芸能の鑑賞機会の充実を図るためのおおさか・元気・シリーズなどの事業を行い、本物に触れる貴重な機会を提供してきました。しかしながら、これらの事業は、いずれも二十年度限りとなっております。
 知事は、文化を通じた次世代育成が重要であるとしながらも、それらの事業が廃止されるとなると、次世代育成の視点に立った文化施策がなくなってしまうのではないかと懸念しております。
 そこで、文化を通じた次世代育成を文化施策の重点事業として拡充されるよう提案をさせていただきたいと思います。
 例えば、兵庫県では、県文化担当課と教育委員会とが連携し、青少年の芸術体験事業として、県内すべての中学校一年生を対象に鑑賞公演を実施しているとのことであります。
 大阪府におきましても、より多くの子どもたちに文化芸術に親しむ機会を広げるために、全中学校を対象とする事業を実施するなど、今後予算措置を含め効果的な事業展開を図るべきと考えますが、知事の所見を求めます。ここで答弁をよろしくお願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、私学助成についてでありますが、大阪維新プログラム案では、大阪を再び輝かせるため、公立学校教育を含めた府施策全般の経費節減、見直しを行っており、その中で、私立学校の経常費助成についても、公立学校教育の経費節減等の取り組みも踏まえ助成単価の引き下げをさせていただいたところであり、重ねて御理解をいただきたく思います。
 このたびの経常費助成の削減を受け、各私立学校は、人件費のカットや管理経費の縮減などさまざまな努力をなされていることは承知しております。教育を受ける大阪の子どもたちへの影響ができる限り小さくなるよう御尽力いただいており、感謝申し上げます。
 御提示の生徒の就学保障という観点は、大変重要と認識しておりますので、各私立学校の経営状況等については細心の注意を払っていきます。
 次に、子どもたちが自分の夢を持ち、実現できるような大阪を目指すため、また文化活動のすそ野を広げ、大阪文化を支える地盤づくりのためには、文化を通じた次世代育成を文化施策の重点事業として実施していくことは重要であると認識しております。
 学校を通じた取り組みも有効でありますから、今後、教育委員会とも十分連携しながら、より多くの子どもたちに文化芸術に親しむ機会を広げるための効果的な方策を検討していきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 大阪府の教育を日本一にするといたしましても、大事なのはその後であります。つまり、勉強そのものが目的となっても仕方がなく、就労につながらなければなりません。大阪府は、教育日本一を目指すことはもちろんですけれども、さらに就職日本一を目指すことも重要ではないでしょうか。
 それでは、就職日本一の実現について順次質問をさしていただきたいと思います。
 最初に、就労の機会の確保についてお伺いいたします。
 今の大阪の人口動向を見ますと、十五歳から二十四歳までの年齢層では、他府県からの専門学校や大学への進学が多く、社会増となっていますが、就職を迎える二十五歳以降になると、一挙に社会減に転じています。これは、大阪に働く場が少なく、学んできたキャリアと一致せず、やむを得ず親元を遠く離れて東京の会社に就職せざるを得ない状況になることを示しているのではないでしょうか。
 このままでは、大阪も地方都市と同じく教育にお金をかけて日本一の教育水準になったのはいいものの、若者はいなくなり、税金も入ってこない若者過疎の都市になってしまいます。
 そうならないためには、優秀な人材の流出をとどめ定着を図るとともに、就労の機会を確保するための魅力ある産業の創造などに加え、職業教育を含めたさまざまな対策が不可欠であると考えますが、具体的な取り組みについての知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、雇用及びフリーター、ニート対策についてお尋ねいたします。
 大阪の若者を取り巻く雇用環境は依然厳しく、若者の失業者数は、大阪府全体の二十三万一千人に対し、その四割近い八万九千人を占めております。次代の大阪を担う若者の雇用の安定は大変重要であり、年長フリーターや非正規雇用者への支援は早急に取り組む必要があります。
 仕事探しについては、最近では民間企業による就職紹介やインターネットなどさまざまな就職支援サービスがあり、若者はそれらの多様なツールを使って求職活動を行っています。しかし、多くの求人情報の中から自分の能力や適性に合った仕事につくためには、正しい情報の選択や適切なスキルアップが必要であり、こうした役割をJOBカフェがしっかりと担っていくことが重要であります。
 また、大阪には、技術専門校や多様な専修学校があり、こうした既存の資源と連携するのも新たなサービスの創出につながるのではないでしょうか。
 我が党が応援してきたJOBカフェを若者や企業の間により一層浸透させ、マッチング機能を強化していくためには、全国を先導するような工夫をしていく必要があり、そうした取り組みで若者の雇用日本一を実現していただきたい。
 また、我が党の推進により、ことしから本格的にスタートした国のジョブ・カード制度は、求職者にとっては正規雇用に有効であり、企業にとっても自社のニーズに合った人材の育成確保が可能になるなど、メリットも多いものであります。しかし、現在、この制度に参画する企業がなかなか集まらないと聞いておりまして、これでは制度の十分な活用ができません。もっと企業にPRをすべきであります。
 そこで、若者の雇用日本一に向けた取り組みとジョブ・カード制度の活用について、あわせて商工労働部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、障がい者の就労支援についてお伺いいたします。
 障がい者の就労支援につきましては、企業の積極的な雇用への取り組みが不可欠でありますが、健康福祉部、商工労働部、さらには教育委員会のそれぞれがおのおの働きかけている状況で、その成果がいま一つ鮮明になっておりません。
 埼玉県では、昨年五月に障害者雇用サポートセンターをオープンし、障がい者雇用のプロフェッショナルが企業への支援に乗り出していると聞いております。
 大阪府におきましても、このような取り組みを参考に、企業が障がい者雇用に積極的に取り組むよう支援、サポートする窓口を設置するなど、障がい者法定雇用率一・八%達成企業割合全国四十三位を返上し、障がい者雇用日本一を目指す施策を速やかに実施すべきであり、関係部局が一体となって取り組むことが重要でありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 ここで御答弁をお願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、就労の機会の確保につきましては、大阪の産業を支える人材を育成するとともに、その人材の定着を図るためには、子どもたちの勤労観、職業観をはぐくむ教育を充実させることは重要と認識しております。そのため、早い段階から、大阪の産業や中小企業への理解を深める事業を教育委員会と連携し実施しております。
 具体的には、工科高校生が地元中小企業で学ぶものづくり人材育成事業など現場の空気に触れる事業を積極的に行っており、堺・高石臨海地域の企業の協力を得て企業の魅力発信説明会を実施し、学校教員との交流事業も実施しております。
 また、大阪府専修学校各種学校連合会、教育委員会と連携して、職業教育日本一を目指すおおさか職業教育力向上作戦を取りまとめ、中高生が将来の仕事について考えるワークショップなど、実践的な職業教育を展開しているところであります。
 さらに、大阪で学んだ若者が地元に定着するためには、バイオや環境、エネルギー、コンテンツなどの新分野から、ものづくりや商業、サービス業までの幅広い産業集積も必要であります。
 こうした取り組みなどを通じ、引き続き若者が就職し活躍できる大阪づくりを目指していきたいと考えております。このたび取りまとめるビジョンの中でも、こうした観点を盛り込んでいきます。
 次に、障がい者の就労支援につきましては、本府では、障がい者の就業面と生活面を一体的に支援する障害者就業・生活支援センターの計画的な設置促進に努め、本年四月、府内十八カ所の障がい保健福祉圏域のすべてに支援センターを整備しました。
 障がい者の就労支援につきましては、より効果的なものとなるよう、施策の再構築を関係部局に検討させているところであります。
 今後、障がい者の雇用促進をさらに進めていくためには、企業における障がい者雇用への理解と取り組みを一層高めていくことが必要であり、企業への働きかけと支援が重要になると認識しています。
 現在、年内をめどに大阪の将来の発展に向けたビジョンの策定に取り組んでおり、障がい者雇用ナンバーワンを目指す雇用就労促進策についても、この中において示していきます。
○副議長(鈴木和夫君) 商工労働部長竹山修身君。
   (商工労働部長竹山修身君登壇)
商工労働部長(竹山修身君) 若者の雇用問題につきましては、年長フリーターや希望する職種に偏りがあることからくる就職のミスマッチなど、さまざまな課題がございます。
 府としては、JOBカフェでの年間サービス利用者数を今年度延べ十万人、就職決定者数五千人を目標に若者への就職支援を実施しているところです。
 今後は、さらに若者の職業選択に大きな影響力のある保護者や教員を対象にした就職事情の理解を深める事業や、技術専門校などとの連携による若者へのスキルアップ支援を行っていきます。
 また、ジョブ・カード制度につきましては、全国におけるジョブ・カード取得者数の目標を五年間で百万人といたしておりまして、大阪府ではハローワークを初め大阪商工会議所などオール大阪での制度の普及に取り組んでいるところでございます。
 現在、府内行政機関、経済団体等で構成する大阪府地域ジョブ・カードセンター運営本部におきまして、地域計画を年内に策定できるよう取り組んでいるところでございます。
 今後は、各経済団体を通じ、会員企業に対してジョブ・カード制度の積極的な利用を呼びかけるとともに、若者に対しては、この九月にOSAKAしごと館内に設置したジョブ・カードコーナーなどを通じまして普及させることといたしております。
 このような多様な取り組みにより、一人でも多くの若者を安定した雇用につなげてまいりたいと考えております。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 大阪は、民の力と都市間の交流により輝いてきました。しかし、近年その輝きが失われつつあり、東京への一極集中という形であらわれてきております。その大阪にとって人、物、情報を再び引き戻すために何をすべきかという観点から、にぎわい日本一の実現について順次質問をさせていただきます。
 まず初めに、国際金融拠点機能の強化についてお伺いいたします。
 近年、世界の主要な金融センターの間で競争が激化し、新興国の市場が台頭する中で、東京や大阪など我が国の金融資本市場における国際的なプレゼンスが著しく低下しております。このため、昨年来、国は、金融資本市場の競争力を強化すべく金融商品取引法の改正等を行うとともに、本年四月には国際金融拠点機能を強化する地域として東京の二地域を指定し、国として積極的に支援することを決定いたしました。そして、七月には、国際金融拠点フォーラムを設置し、先行する東京の二地域だけではなく、大阪における国際金融拠点機能のあり方を検討することとなりました。
 大阪は、バブル経済崩壊後、大手金融機関の本社機能が東京に一元化されるだけでなく、新たに外資系金融機関が日本へ進出する際も、東京のみに拠点を置くなど、金融拠点としての機能の空洞化が進展しており、ゆゆしき事態と考えます。
 企業活動が経済の筋肉であるならば、金融は経済の血液であります。バイオを初めとするベンチャー企業にとっても、金融機関を通じた投融資は、まさに血液であり、命綱であります。金の集まるところに人も情報も集まることから、先進国の一国に相当すると言われる関西経済の盟主として、大阪の経済の活性化を図るためには、大阪の国際金融拠点としての地位を高めることが必要ではないでしょうか。
 大阪は、千七百三十年に堂島米会所で世界初の先物取引が行われた先物発祥の地でありますが、例えば大阪証券取引所と東京証券取引所を比較した場合、大阪の強みはデリバティブ−−金融先物取引に強いことと言えます。この強みを生かし、デリバティブに強い大阪と言われるような国際金融拠点を目指すべきであると考えますが、どうでしょうか。
 また、国際金融拠点として強化を図るためには、人材の育成が不可欠であり、府立大学などを活用し、デリバティブ等に強い国際金融人材を育成すべきであると考えますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。
 次に、関西三空港のあり方についてお伺いいたします。
 これまで関西三空港につきましては、関西の三つの空港を有効に活用し最適運用を目指していくというスタンスで、国はもちろん、近隣自治体、経済界が一致協力して取り組んでまいりました。
 昨年、知事は、七月末に、関西三空港のあり方については、大阪国際空港の廃止も含めて、聖域を設けずゼロから検討していくと発言され、府としての空港の戦略を年末までに出すことを表明されました。その後、さまざまな発言で新聞紙上をにぎわしてきましたが、先日の神戸市長との会談を経て、関西の三空港を前提に、空港の一体運用などを目指していくことを表明されたと理解しております。
 知事が、今ある三つの空港を一体運用し、関西の発展につなげていく方向を見出されたことは歓迎いたしますが、関西三空港の一体運営につきまして、オール関西の合意もないままに大阪府が独走しては、関係者の協力が得られません。大阪国際空港は、大阪と兵庫にまたがる空港であり、こうした大きな問題は、地元関西が一丸となり国に提言しなければ、とても動く話ではありません。
 知事は、一体運営についての議論を今後どのように進めようとしておられるのか。また、関係自治体や経済団体とのコンセンサスを得るために調整の場も必要と考えておりますが、あわせて知事の見解をお聞かせください。
 次に、大阪ミュージアム構想の推進についてお尋ねいたします。
 大阪ミュージアム構想は、大阪にある歴史的建造物や街道沿いのまちなみなど独特の空気感を醸し出す都市景観を展示品と見立て、また伝統的な地域の祭りやイベントなど、地元の人たちが守り育ててきた地域文化を館内催し物として位置づけるもので、いわば大阪府域全体を屋根のない博物館に例えてみようというアイデアであります。
 新しい息吹を八百八十万人府民とともに内外に発信しようというわかりやすいメッセージでもあり、これを大阪文化のみならず経済の再生、大阪の活性化に向けての合い言葉にしていくべきであります。
 また、大阪は、産業面でもさまざまな資源を持っておりますが、そういったものを発掘し、磨き上げ、結びつけることによって、大阪産業を世界にアピールし、経済再生を実現できるのではないでしょうか。
 ミュージアム構想は、時代に翻弄されてきた大阪という大都市のアイデンティティーの確立と地域への愛着づくりという古くて新しい取り組みへの挑戦であると考えます。
 その意味で、この大阪ミュージアム構想を新しい大阪ビジョンの一つの大きな柱にすべきと考えます。経済も暮らしも、府民一人一人の心が一つになってこそ初めて大阪が発展するのではないでしょうか。知事の役割は、このミュージアム構想を生かし、府民の心を一つにすることと思いますが、どうでしょうか。
 また、この大阪ミュージアム構想を利用し、府内各地にある魅力的な観光資源を発掘、再発見し、さらに磨き、際立たせ、情報発信するという取り組みを通して高められた大阪の魅力を観光集客にも利用して、大阪の未来づくりに生かしていくべきだと思いますが、あわせて知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、国際金融拠点についてでありますが、大阪経済を活性化させるためには、高い付加価値を生む内外の金融機関が集積し、多様な金融取引が行われる国際金融拠点機能を強化することが必要不可欠です。また、バイオを初めとするベンチャー企業を戦略的に育成していく上でも、国際金融拠点の存在は、必要となる資金の調達を円滑に行うことができる点で有利と認識しております。
 大阪は、歴史的に先物発祥の地であり、大阪証券取引所の日経平均先物が近年大幅に取引高を伸ばすなど、デリバティブ取引では、我が国では優越的な地位を築いているところであります。このため、国際金融拠点フォーラムにおける検討等を通じて、国の積極的な支援を得つつ、経済界や大阪市と連携したオール大阪でデリバティブに強い国際金融拠点としての機能強化を図り、東京とは異なる国際金融拠点大阪を目指していきたいと考えております。
 また、大阪府立大学では、来年度からなんばサテライト大学院において講座を開設する予定であり、このような国際金融拠点を目指すため、広く大阪、関西の大学等においてデリバティブ等に強い国際金融人材の育成確保が行われるよう努めていきます。
 次に、関西の三つの空港のあり方についてお答えします。
 私は、関西の三つの空港のあり方について、これまで過去の経過に縛られ、空港の将来像を描くような自由な議論がなされていないのではないか、そんな思いから、関西の三空港のあり方やこれからの戦略を検討せよと担当部局に指示を出しました。
 私自身も、経済界を初め各方面の方々と空港問題に関する意見交換を行い、話をお伺いしましたが、その中で、関西の今後の発展を考えれば三つの空港が必要であり、その存在を前提として考えるべきとの指摘を多く受けました。
 また、先日は、矢田神戸市長、村山関空社長と意見交換をさせていただきましたが、その場でも関空の債務などについて国が抜本的な対策を講じることを絶対必要不可欠な前提条件として、関西三空港の一体運営を目指していくことが望ましいとの点で一致を見ました。あくまでも、関空の債務などについての国の抜本的な対策を講じること、これが前提条件としての一体運営であると考えております。
 一体運営の内容や課題など関西三空港の問題につきましては、本府としての考え方を年内にまとめることとしていますが、それを実現につなげていくためには、御指摘のように地元のコンセンサスを形成しながら取り組んでいくことが大切であると認識しております。今後、兵庫県や大阪市などの関係自治体及び経済界などが参画した場で協議検討を進めていきます。
 最後に、大阪ミュージアム構想は、府内各地にある魅力的な地域資源を発掘、再発見し、磨き、際立たせ、それらを結びつけ、ワンパッケージにして内外に発信するものであります。
 この構想の推進に当たりましては、府民一人一人がみずからの住んでいる地域を再認識し、その魅力アップのためにそれぞれの立場で行動していただく府民運動として展開していくこととしております。
 こうした取り組みを契機として、府内各地で地域の魅力を再発見し、地域に愛着を持つ人々や団体と市町村が心を一つにしてまちづくりに取り組み、府がバックアップをしていくことにより、元気で笑顔あふれる大阪が実現するものと考えます。このため、大阪ミュージアム構想を将来ビジョン・大阪の重要な柱の一つとして位置づけ、私自身も先頭に立って、今後とも強力に推進していきます。
 また、観光集客という観点から、ミュージアム構想の進捗に伴い、大阪ミュージアムが新たな大阪の顔となり、多くの人々の関心、注目を集め、大阪の集客にぎわいづくりの大きな起爆剤となっていくことが重要であると認識しております。
 今後、ミュージアム構想により発掘、再発見し、磨き、際立たせられた大阪の魅力を、私みずからも先頭に立って、アジア地域へのトッププロモーションを初め、広く国内外に売り込んでいき、大阪の観光集客にも全力で取り組んでいきます。
 当初、大阪ミュージアム構想をいろいろ提案したときには、だれも賛成してくれなくて、メディアの中でも非常に何でやというような感じだったんですが、本当に公明党の皆さんにこんなにしていただいて、非常にありがたく思っています。感謝申し上げます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 知事に再度お伺いいたします。
 地域に愛着を持つ人々や団体と市町村が心を一つにしてまちづくりに取り組み、府がバックアップをするということでございますけれども、例えば時代背景を映し出すまちなみの景観の整備や電線の地中化などの都市基盤整備が課題になってまいります。市町村のみに負担させるのでは、これでは進むものも進みません。府は、どういう支援をするのか、あるいは文化、伝統、祭りなどの地域のにぎわいを盛り上げてまいりますけれども、こういったものにはどのような支援をするのか、具体策について知事のお考えをお伺いしたいと思います。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 地域に愛着を持つ人々や団体と市町村が心を一つにしてまちづくりに取り組んでいくことに、府としてハード・ソフトの両面から支援していこうと考えております。このため、従来からまちづくりに係る国などの支援制度が十分活用できるよう、国と市町村との橋渡し役となってきたところであります。
 加えて、本年度は、府として歴史・文化的まち並み再生交付金を創設し、石畳と淡い街灯を初め、市町村や地域の方々が一体となって取り組まれている歴史的、文化的資源を生かしたまちづくりを支援することとしました。石畳と淡い街灯だけではありません。これは象徴的なもので、そのほかのものも含めて支援をしていきたいというふうに思っております。
 また、ふるさと納税制度を活用した支援を呼びかけましたところ、多くの方々からの寄附金をちょうだいし、今議会においてその受け皿となる大阪ミュージアム基金の創設を提案しているところであります。
 この貴重な寄附金につきましては、寄附していただいた方々の御意向も踏まえつつ、お示しの地域のにぎわいづくりを初め、市町村や地域の方々が地域資源を磨き、輝かせることに対して支援できる制度になるよう検討していきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) 富田林市の寺内町や千早赤阪村の棚田、河内長野市の三日市の宿場、さらには柏原市の太平寺のまちなみなど、とりわけ南河内周辺には知事の言う圧倒的な空気感を持つミュージアムの展示品がそろっております。基金も、議案として提案されておりますけれども、そこへ寄附をしていただいた方々の気持ちも、単にミュージアム構想をいつまでもPRしているだけではなくて、基金を有効に活用して大阪が変わるところを早く見せてほしいというのが本音ではないでしょうか。
 八月に企画室からにぎわい創造部に所管を移したのは、まさに事業を具体化させるためだったのではないでしょうか。大阪府に予算がないのでしたら、国の事業をうまく活用することなども考えられます。知恵を絞り、大阪府が部局横断型のプロデュース機能を発揮して、府民に見える形でミュージアム構想の推進に取り組んでいただきたいということを申し上げて、次の質問に移らしていただきます。
 美しく緑あふれる環境を次世代に残すことは、私たち大人の使命であります。今回発表された将来ビジョン・大阪におきましても、大阪府の将来像として「水とみどり豊かな新エネルギー都市 大阪」が掲げられております。そこで、環境日本一の実現のため、順次質問さしていただきます。
 初めに、みどりの風を感じる大都市についてお尋ねいたします。
 先日示された将来ビジョン・大阪では、環境先進都市の将来像の一つとして、みどりの風を感じる大都市が掲げられております。その具体的なイメージとして、大阪の持つ豊かな自然環境の保全、市街地の緑化などを通して、海から山に至るみどりの回廊を創造し、ヒートアイランド現象の緩和など、だれもが風を感じるまちを目指すことが示されています。
 大阪は、日本一暑い都市としてたびたび新聞紙上をにぎわしておりますけれども、みどりの回廊をつくることができれば、この異常な暑さを少しでも和らげることができ、手段の一つとして効果があると考えております。まちの中に緑がふえることは、景観の向上を初め、トンボや野鳥といった身近な生き物を再び呼び戻す効果も期待できるなど多様なメリットがあり、環境先進都市としてぜひ進めていくべきであると考えます。
 そこで、将来ビジョン・大阪で示されたみどりの風を感じる大都市を形成するための今後の取り組み方向について、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、環境都市大阪についてお尋ねいたします。
 子どものうちに覚えた習慣は、大人になっても覚えているものであります。知事が、先頭に立って、大人にも、子どもにも環境配慮の取り組みを行うムーブメントを起こしていただきたいと思います。
 将来ビジョン・大阪には、新エネルギー都市ナンバーワンとの将来像を示し、新エネルギーの活用や環境エネルギー産業の集積により世界に類を見ない環境都市が誕生するという将来イメージが示されております。
 地球温暖化対策につきましては、国も低炭素社会づくりに向けた取り組みを強力に推進しているところであり、府としてもビジョンの柱にこれを位置づけ、環境対策を進めていこうという姿勢は一定評価をいたします。
 知事は、大阪に特徴的な環境対策を進める上で、中小企業の省エネルギー対策の促進や太陽光発電の普及、アジア諸国への環境技術協力につきまして環境大臣に提案をしており、国においても検討がなされていると聞いておりますけれども、ビジョンを進めていく上でこれらをどのような取り組みをなされるのでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。
 次に、農業戦略と農商工連携についてお尋ねいたします。
 世界的な食料価格の高騰や地球規模での食料供給の不安が高まる中、安全で安定した食の確保という観点からも、大阪農業の目標として、府内産農産物の供給率を少しでもふやしていくべきと考えます。
 大阪府は、本年四月に農空間の保全活用や農産物の安全性の確保などを目的としたいわゆる都市農業・農空間条例を施行されました。この条例をてこにして、大阪産農産物の生産量を拡大していくことが必要と考えますが、府の農業戦略について知事のお考えをお聞かせください。
 ここで答弁お願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、みどりの風を感じる大都市につきましては、ヒートアイランド対策だけにとどまらず、まちの中に自然が再生するなど、大阪の都市としての風格を向上させる多様なメリットがあることから、将来ビジョン・大阪に盛り込んだところであります。
 その実現のためには、大阪を取り囲む山々の森林を適切に保全するとともに、校庭の芝生化、屋上や壁面の緑化、公園緑地や街路樹、水辺空間の整備等による市街地緑化の推進、共生の森など大阪湾の森づくりを進めていくことが必要であると考えております。
 今後は、緑化施策の一層の充実を図るとともに、十二月末を目途に取りまとめる予定の将来ビジョン・大阪の中で、みどりの風を感じる大都市オンリーワンの具体的な取り組み方向を明らかにし、山と海に囲まれた大阪の立地特性を生かしながら、その涼風をまちに呼び込むみどりの回廊を形成し、水とみどり豊かな誰もが風を感じるまちの実現を目指していきたいと思っております。
 やっぱり、東京と比べて大阪は本当に緑が少ないなというふうに感じてます。これは大阪市のことなんですけど、僕は北ヤードは緑地に何とかならないもんかというふうに思ってるんですが、やっぱり大阪府と大阪市のこの関係といいますか、大阪府と政令市の関係で、あそこに何にも言えないようなところに非常に歯がゆさを感じてるところでもあります。
 やっぱり、大阪が大胆に緑地政策にしても何にしても打ち出せないのは、大阪府と今の大阪市の関係がどうしてもネックになってまして、このみどりの風を感じる大都市といっても、何か計画を立てようと思っても、大阪市の部分を除いた計画になってしまうところに非常に歯がゆさを感じているところであります。北ヤードは、緑地になればいいなと僕は思っています。
 次に、将来ビジョン・大阪では、新エネルギーの普及が進み、地球温暖化対策が進んだ環境都市となることを将来像として考えております。そのためにも、私自身が環境大臣に対して三項目の提案を行った結果、それぞれ概算要求に盛り込まれました。私自身が提案を行ったというよりも、これ環境農林水産部が一生懸命案を練ってくれまして、早急に練り上げた案がすぐ提案できたというようなことになりました。
 そのうち、中小企業の省エネルギー対策については、事業者の取り組みによって生み出されるCO2削減量をクレジットとして認証登録する事業などが検討されているところであります。
 また、太陽光発電については、助成制度や優遇税制が検討されており、国際協力についても自治体の人材を活用した制度の検討がなされております。
 今後、これらの事業が予算化された際には、国の制度を踏まえ、大阪の特徴を生かしながら取り組んでいきます。
 将来ビジョン・大阪実現のための全体の取り組みの方向については、年末までに議論をしていくことになりますが、さまざまな御意見を伺いながら、大阪の都市自体が環境に配慮したものとなるよう、新エネルギー都市ナンバーワンを目指して、今後の取り組み方向を示しています。
 最後に、大阪の農業戦略についてでありますが、泉州、南河内地域など農業現場を視察して、大阪にはすばらしい農産物があることを実感しました。大都市周辺に農業・農空間があることは、府民の生活や環境の面で大変重要であります。
 今後とも、都市農業・農空間条例を基本に、地産地消を進める担い手の倍増や遊休農地の半減に取り組み、大阪産農産物の生産量の拡大に努めるなど、農業戦略に取り組んでいきます。
 特に大阪農業の活性化には、大阪産農産物のブランド化が必要であり、現在プロジェクトチームで検討を行っております。
 大阪産(おおさかもん)という統一ロゴのもとに、スーパーや料理の専門家などの協力を得て、大消費地であるメリットを最大限に生かし、府民に知ってもらい、消費してもらうことに重点を置いた取り組みを進め、あわせて全国発信につながるよう努力します。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) 農商工連携についてお伺いいたします。
 地域の活性化を進めるには、農林水産業と商業、工業等での産業間での連携を強化し、相乗効果を発揮させることが重要であります。
 府における農商工連携の取り組みには、先進事例等として国の農商工連携八十八選にも選定されている大阪湾で水揚げされた泉だこを使用したたこ飯の素を初め、大阪産ブドウを使用したシャンパン風ブドウジュース、たかつき寒天の新たな利用などの商品開発事業があり、地域の農林水産資源を生かして活性化を図るというすばらしいものであります。
 これらの取り組みは、農林水産業、食品産業、関連産業、大学及び行政等の産官学が連携して、付加価値の高い新たな加工食品や地域ブランドの創出等を支援する食料産業クラスター事業や地域の資源を生かした、新しい事業を創出し地域の活性化につなげることを目的に設立したおおさか地域創造ファンドの運用益による助成事業を活用したもので、マッチングの成果であります。
 また、本年七月には、中小企業者と農林漁業者が連携して行う新商品の開発や販路拡大等を促進するため、いわゆる農商工等連携促進法が施行され、農林水産省と経済産業省が一体となって支援策を打ち出したところでございます。
 今後、こうした動きをビジネスチャンスととらえ、国の制度等も積極的に活用して、農商工連携による大阪らしいモデル事例づくりを推進し、地域の活性化を図るべきと考えますが、その取り組みについて知事の考えをお聞かせください。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) 農商工連携の取り組みにつきましては、議員御提示のとおり、成果を上げているところであります。本年六月には、大阪市内の百貨店で開催された物産展で、たこ飯の素など、私みずから来場者へ振る舞ってPRしました。農産物だけでなく、水産資源も重視しております。
 今後は、議員御提示の協議会活動に参画し、農商工連携の促進に関する情報等の共有や普及啓発活動を行いながら、府内の中小企業者、農林業者に向けて農商工連携の促進に関する普及啓発やPRを積極的に行っていきます。
 また、商工会議所などの支援機関、JAなどの団体との連携を強化し、さらに大阪らしい取り組みが広がるよう、国の事業も積極的に活用しながらマッチング等を進めるとともに、その成果をモデル事例とするなど、地域の活性につなげていきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) だれもが安心し幸せに暮らせるためには、生命と財産が守られる安全な社会であることが必要であります。大阪府の将来像である「子どもからお年寄りまで誰もが安全・安心ナンバー1 大阪」を目指し、安全安心日本一の実現のため、順次質問をさせていただきます。
 初めに、街頭犯罪ゼロ、子ども被害ゼロについてお伺いいたします。
 大阪府では、街頭犯罪発生数の全国ワーストワンの記録を更新し続けており、その内容を見ますと、青少年の犯罪によるケースが多く、少年の検挙補導人員が全国ワーストワンであることも大阪のイメージを大きく損なう原因になっております。
 また、平成十九年の府内における刑法犯の認知件数は二十一万六千三百三件で、府民全体で四十人に一人は犯罪被害者になっている計算になります。
 この数字を見ますと、小学校一クラスに一人、あるいは二百世帯の町会の中で五世帯が被害者になっている計算になり、もはや日本一犯罪の多い都市と言っても過言ではありません。知事としては、今こそ警察本部と連携して、街頭犯罪ゼロを目標に、ありとあらゆる施策を実施すべきではないでしょうか。
 また、青少年を加害者にしないことはもちろんでありますが、子どもを被害者にしないことも、子どもが笑う大阪づくりには不可欠であります。
 この際、知事は、子ども被害ゼロを明確に目標設定し、市町村や教育委員会や府民とも連携した総合的な施策展開をすべきと考えますが、あわせて知事の見解をお伺いいたします。
 次に、地域防災についてお伺いいたします。
 地震を初めとする災害につきましては、行政はもちろん、消防、警察、自衛隊などに期待するところが大きいのは当然のことでありますが、災害はいつ何どき発生するかわかりません。災害の規模によっては、公共機関による支援、救出、救護が期待できないことがあります。災害から身を守り、財産を守るために、一人一人が災害に備えてふだんから十分な準備をしておくことが大切であります。
 しかし、個人の力には限界があり、大きな災害に一人立ち向かうことは困難で、かつ大変危険であります。このようなとき一番大切なことは、隣近所の人たちが協力し助け合える府民ぐるみの自主防災組織にほかなりません。
 自主防災組織は、災害が発生した際、地域住民が的確に行動し、被害を最小限に食いとめるため、日ごろから地域内の安全点検や住民への防災知識の普及啓発、防災訓練の実施や地震を初めとする災害被害への備えを行うなど、大変重要な役割を担っております。
 こうしたことから、知事は、地域において実際どのような活動が行われているのか、真摯に危機意識を持ってまずは実態調査をすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、都市型集中豪雨対策についてお伺いいたします。
 大阪府においては、先日公表された将来ビジョン・大阪の将来像の一つである「子どもからお年寄りまで誰もが安全・安心ナンバー1 大阪」の中に都市型水害が掲げられており、水害対策が府政にとって重要と認識されているところであります。
 大阪府でも、これまで都市部における水害対策として、河川と下水道の整備を連携して進められてきました。特に寝屋川流域において地下河川、遊水池、流域調整池、下水道の増補幹線などの施設整備や、流域における対策として貯留浸透施設の公共施設への設置、さらには民間開発に伴う設置指導を行うなど、河川、下水道が連携した総合治水対策が進められております。
 このように水害対策は進捗を見てきているところでありますが、昨今多発している局地的集中豪雨に対しては、いまだ被害が発生している状況であります。
 ことしも、全国各地で豪雨による被害が相次いでおります。七月には神戸市の都賀川で、八月には東京都豊島区の下水道工事で人命が奪われる水難事故が発生しています。
 一方、府内においても、八月に枚方で八十九ミリ、寝屋川市で百十二ミリ、九月には堺市で九十三ミリという観測史上最大の時間雨量を観測し、合わせて二千軒以上の床上、床下浸水が発生したところであります。
 局地的集中豪雨をもたらす積乱雲は、その発生や発達を事前に的確に予想し、十分な時間的余裕を持って気象情報を発表することは、現在の気象予報技術では難しい状況であり、一たび局地的集中豪雨が発生すると、現状の施設では排水し切れない多量の雨水が短時間で流出し、市街地にあふれることになります。このことから、これまで実施してきた水害対策に加え、ことし頻発したような局地的集中豪雨への備えの重要性がさらに増していると言えます。
 そこで、地盤が低く自然に雨が河川に排水されないいわゆる内水区域が多く含まれ、都市機能が集中した都市部における局地的集中豪雨に対する取り組みについて、都市整備部長の所見をお伺いいたします。
 次に、食の安全対策についてお伺いいたします。
 米加工販売会社三笠フーズが、農薬などに汚染された工業用の事故米を食用に転用した問題は、九月二十四日、大阪、福岡、熊本の三府県警が食品衛生法違反などの容疑で七都府県の関係先二十八カ所の一斉捜索に入るなど、食の安全を揺るがす前代未聞の刑事事件に発展いたしました。
 事故米を国がしっかり管理しておれば防げた事件でありますが、このような事件が再び起こるようなことがあってはなりません。事故米と知らずに取り扱った零細な事業者も多く、風評被害が懸念されるところであります。政府が、回収費用等の補償の検討に入ったようでありますが、このようなことが二度と起きないよう知事として国に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、事後対策についてでございますが、大阪府として、このたびの農薬やカビ毒に汚染された事故米の流通調査や検査の体制は万全を期したのでありましょうか。流通した事故米の多くは、ほとんどが消費されてしまっているようでありますが、府民への健康影響の危惧はないのでしょうか。また、そうした被害の報告は出ているのでありましょうか。さらには、こうした不安解消のための相談体制や情報発信についてはどうでしょうか。その取り組みと認識について、知事の見解をお伺いいたします。
 ここで御答弁をお願いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、安全なまちづくりについては、警察による取り締まり強化とともに、警察、行政、事業者、府民が一体となってさまざまな取り組みを進めてきた結果、ひったくりがピーク時から半減し、子どもへの強制わいせつ件数が大幅に減少するなど、取り組みの成果があらわれています。
 しかし、御指摘の全国ワーストワンの街頭犯罪に象徴されるように、大阪の犯罪情勢は依然として厳しいものがあります。深刻な少年犯罪や、犯罪の予兆ともいえる不審者による子どもへの声かけ等の事案の増加など課題がたくさんあります。
 こうした大阪の悪いイメージを払拭し、明るく笑顔あふれる大阪の実現に向けて、子どもからお年寄りまで安全・安心ナンバーワンとするため、街頭犯罪をゼロにする意気込みで、まずはワーストワンを返上いたします。また、子どもの犯罪被害ゼロを目標に掲げ、子どもの安全確保に全力で取り組みます。
 今後、この目標を達成するため、平成二十一年度当初に総合的な治安対策を行う庁内組織を新たに整備します。また、市町村、府民との協働による地域の防犯活動や子どもの見守り活動の強化、犯罪に強いまちづくりなど、さまざまな実効ある対策を府警本部と連携して取り組んでいきます。
 府警本部とも今対策をいろいろ練ってまして、もう二十一年度の組織−−前から、もう今現実に動いております。大阪市も、ワーストワン返上ということを掲げておりますので、大阪府、大阪市、大阪府警−−大阪府、大阪市は住民の意識を高めて啓発しながら、責任を持ってこの治安に、みずからも治安対策に臨んでもらうんだということを知事部局、市長部局で発信をしていきながら、府警と一緒に連携をし、とにかくワーストワンを返上すると、それをまず目指していきたいというふうに思っております。
 次に、地域防災につきましては、災害発生時には、自分たちの地域は自分たちで守るとの理念のもと、地域住民で構成された自主防災組織による初期防災活動が、被害の軽減を図る上で極めて重要であります。
 これまで参加体験型の防災啓発や防災訓練等に市町村と連携して粘り強く取り組んできた結果、府の自主防災組織率は全国平均を上回る水準となっております。しかしながら、府内の自主防災組織には、モデルとなるような先駆的な取り組みをしている組織もあれば、リーダーや防災資機材の不足等悩みを抱えている組織、組織はあるものの形骸化しているところもあると聞いております。
 こうした活動の実情を把握することは、府民の防災意識の高揚や組織の育成強化につながるものであり、市町村と調査内容等を十分協議し、年度内に調査を実施します。
 最後に、食の安全安心についてお答えします。
 このたび、非食用事故米が事業者によって不正に流通し、その一部が消費者の口に入る事態が生じたことは、府民に対する食の安全安心を確保する立場の本府としてまことにゆゆしきことであり、また事故米と知らずに扱った事業者も数多くおられることを考えると、極めて許しがたい事案であると認識しております。
 そもそも事故米の適正管理は国の責務であり、こうしたことが二度と繰り返されることのないよう、国の責任において徹底した再発防止策などを講じていただくよう府として強く要望していきます。
 今回の事案における本府の対応としては、福岡県から通報を受けた後、直ちに関係事業者に対し販売停止を求めた上で、関係市等との連携のもと、関係施設に対する監視や検査、あるいは当該食品等の回収返品指示などを行ってきました。
 今回、府が収集した事故米の検査では、残留基準値を超える農薬が検出されましたが、その値は通常人の健康に影響が出ることがないと言われているレベルと承知しており、また幸いなことに現在この事故米が原因と見られる健康被害の報告もなされておりません。
 府としては、引き続き本庁及び保健所で健康相談に応じるとともに、府民が手軽に正確な情報を入手できるよう府のホームページで常に最新の情報を提供するなど、今後とも食の安全安心について強い危機管理意識を持って全力で取り組んでいきます。
○副議長(鈴木和夫君) 都市整備部長福田保君。
   (都市整備部長福田保君登壇)
都市整備部長(福田保君) 局地的集中豪雨対策についてお答えいたします。
 局地的集中豪雨に対しましては、河川や下水道などの整備や維持管理を着実に進めていくとともに、雨水の流出抑制や防災情報の提供などさまざまな手法を組み合わせた対策を行い、被害を軽減することが重要と認識しております。
 雨水の流出抑制につきましては、地盤が低く都市化の進んだ地域におきまして、降った雨を地中に浸透させる透水性舗装や、学校や家庭で雨を一時的にためる貯留施設の設置など、府、市町村、民間がそれぞれの役割に応じた取り組みを進めてまいります。
 次に、防災情報の提供につきましては、気象警報や注意報などを携帯電話を通じて自動的に配信するサービスや、インターネットやケーブルテレビを通じた雨量や河川の水位などの情報提供を行っているところでありますが、今後さらに多くの府民に利用していただけるようPRを強化してまいります。
 また、下水道が排水し切れないことにより浸水する危険性の高い区域をその浸水深さとともに表示した浸水想定区域図の作成に、市町村と連携しながら来年度から着手してまいります。
 今後とも、このようなハード・ソフトの両面から、市町村や住民と一体となって局地的集中豪雨に対して浸水被害が軽減されるよう取り組んでまいります。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
(三宅史明君) これまで大阪の将来ビジョンとして、健康、福祉日本一を初め、七つの日本一について質問してまいりました。これらの日本一を推進し、また実現するためには、それを支える組織や人なしにはなし得ません。そうした観点から、最後に、大阪を明るく笑顔にする大阪ビジョン推進のための組織改編についてお伺いいたします。
 我が党は、さきの七月議会の代表質問で、知事にビジョンを府民にわかりやすく示すこととあわせて、橋下カラーが出る新しい府庁の部局再編成をも視野に入れたものとするように申し上げました。
 また、さきの知事要望において、大阪ミュージアム構想の推進体制など、平成二十一年度に向けてビジョンを推進するための組織改編について具体的な提言を行いました。
 去る九月五日の経営企画会議において、健康福祉部の管理スパンの問題やにぎわい創造部と生活文化部の再編などを論点に、来年度の部局再編の方向性が議論されたと聞いております。
 知事は、どのような考えで平成二十一年度の組織改編を行おうとしているのか、御所見をお伺いいたします。
 知事は、先日、教育非常事態宣言を出されましたが、子どもの現状を見てみますと、学力問題以前に、学校現場だけではなく、地域での子育て機能の低下、児童虐待の深刻化など問題が山積しております。
 子どもを産み、しっかりと育てていく社会の形成のためには、妊娠期から乳幼児期を通じて、青少年期までの子どもと家庭をサポートする施策の充実とその推進体制の整備が重要であります。
 これまで我が党は、平成十八年二月の代表質問などで、少子化対策の取り組みの強化と部局横断的な専門部局の設置を提言してきました。そうした中、平成十八年四月に生活文化部に次世代育成支援室が設置されましたが、教育委員会や府警本部との連携など、子育て支援を一元的に取り組めているかは甚だ疑問であります。これらの課題を踏まえ、知事が掲げる子育て支援日本一を実現するためにも、一元的な組織が必要ではないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
 さらに、我が党は、教育行政については、公私を問わず一貫して担当する教育庁を設置することを知事に提案しておりますが、これは我々から知事に対する問題提起であります。極めて厳しい財政状況にある中で、現行の地方制度上の制約があることは承知をしておりますが、公私ができるだけイコール・フッティングで競争できる条件を整えるため、府として最大限努力しようとすることが必要であります。
 教育日本一の実現に向けた姿勢と、教育庁構想に対する御所見をあわせて知事にお伺いいたします。
○副議長(鈴木和夫君) 知事橋下徹君。
   (知事橋下徹君登壇)
知事(橋下徹君) まず、来年度当初の組織再編につきましては、大阪維新プログラムを着実に推進し、府政の課題に的確に対応できるよう検討に着手したところであります。
 現在、ミュージアム都市、安全・安心ナンバーワンなどを掲げる将来ビジョン・大阪の策定を進めており、この中で示す施策の方向性を踏まえた組織体制にしたいと考えております。
 今後、議会での議論を踏まえ、庁内でも議論を積み重ね、大阪の将来像を実現していくため、組織再編についてしっかり検討していきます。
 次に、子育て支援につきましては、大阪なら子どもを安心して産み育て、子どもが健やかに成長できる、そう実感していただけるよう、子育て支援サービスの充実のための交付金制度の創設や、小児・周産期医療体制の充実、児童虐待防止対策などを進めているところであります。
 今後、教育委員会や府警本部とも連携し、子どもにかかわる施策について企画から事業実施までを全庁一体となって進めるため、その中心となる組織の検討に着手したところであります。議会の御意見も賜りながら、来年度当初の設置に向け、検討を進めていきます。
 最後に、教育日本一大阪の実現に向けては、公立、私立など通っている学校に関係なく、すべての子どもたちが夢を実現し、さまざまな分野で活躍できるような取り組みを進めることが必要であります。
 公私教育を一元的に担当する教育庁構想については、教育委員会制度は知事から独立性を有するものであることから、現行法制度上は困難でありますが、私としても、公私教育の連携のあり方については検討していきたいと考えております。
 先日公表された全国学力・学習状況調査では、学力だけではなく、生活習慣などにも課題が多いことが明らかになり、学校だけでの取り組みでは不十分であるという危機感から、教育非常事態宣言を発しました。
 今後、家庭や地域、市町村等と連携を深めていくためにも、生活文化部、教育委員会のみならず、府庁全部局を挙げて子どもの教育に取り組むという姿勢のもと、教育日本一大阪の実現に努めていきます。
○副議長(鈴木和夫君) 三宅史明君。
   (三宅史明君登壇)
◆(三宅史明君) これまでさまざまな提案をしてまいりました。
 知事におかれましては、ぜひとも将来ビジョンに反映していただきまして、具体的取り組みを推進していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
○副議長(鈴木和夫君) お諮りいたします。本日はこれをもって散会し、九月二十九日午後一時より本日同様の日程をもって会議を開きたいと思います。これに御異議ありませんか。
   (「異議なし」「異議なし」)
○副議長(鈴木和夫君) 異議なしと認め、そのように決定いたします。
    −−−−−−−◇−−−−−−−
○副議長(鈴木和夫君) 本日は、これをもって散会いたします。
午後六時三十七分散会