反政府デモで混乱が続くタイのインラック首相は9日、下院を解散して総選挙を実施すると表明した。しかし、あくまで首相の即時退陣などを求める反政府デモ隊は、バンコクで首相府に向けて行進を始め、政府との対決姿勢を強めている。
インラック首相は同日のテレビ演説で、「政府は国と国民がこれ以上の損失を被ることを望まない」として、下院の解散と総選挙の実施を発表。その上で「有権者に権力を返上することが議会制民主主義と合致する。国民全員にこの選挙の重要性を理解してもらいたい」と述べ、政権への支持を訴えた。
これに対し、反政府デモを主導する最大野党・民主党のステープ元副首相は、インラック首相の演説に先立って、首相の辞任や下院の解散だけでは抗議活動はやめないと述べ、徹底抗戦を宣言した。
野党側は、同首相の兄であるタクシン元首相の政治的影響力を排除することを目標に、首相辞任に加え国民の代表で作る「国民会議」の設置を求めている。
8日には、民主党所属の下院議員全員が辞任し、デモに加わった。もう一人の反政府指導者であるサティット・ウォンノントイ氏も、9日の集会で、「下院を解散しても、結局、インラック首相とタクシン派議員が政権を握ることになるだけ。タクシン派を排除し、国民から選んだ代表で議会を作ることを要請する」として、民主党同様、デモを継続する方針を表明した。