角川アスキー総合研究所(東京・文京)は2020年11月6日、ところざわサクラタウン(埼玉県所沢市)施設内に「ラーメンWalkerキッチン」をオープンした。同社は日本各地の注目店のラーメンを提供することで、メディアと実店舗が連動した新しいマーケティングソリューション展開を目指す。

ところざわサクラタウンは、JR武蔵野線・東所沢駅から徒歩11分。ラーメンWalkerキッチンの席数はカウンター11席、テーブル14席の計25席
ところざわサクラタウンは、JR武蔵野線・東所沢駅から徒歩11分。ラーメンWalkerキッチンの席数はカウンター11席、テーブル14席の計25席

ラーメン情報を発信するライブハウス型ラーメン店

 ところざわサクラタウンは、角川アスキー総合研究所(以下、角川アスキー総研)の親会社であるKADOKAWAと埼玉県所沢市の共同プロジェクトから誕生した大型複合施設。KADOKAWA直営の未来型書店「ダ・ヴィンチストア」やKADOKAWAの社員食堂も兼ねる「角川食堂」などがテナントする同施設では、日本最大級のポップカルチャーの発信拠点を目指している。その一翼を担うのが2020年11月6日にオープンした「ラーメンWalkerキッチン」だ。同店のコンセプトは「ラーメンの新しいムーブメントを体験できる店舗」となっている。

 ラーメンWalkerキッチンは角川アスキー総研の「ラーメンWalker」(テレビ番組、雑誌、Webサイト)と連動したライブハウス型店舗で、店内にはラーメン店らしからぬ大型ディスプレーを設置。人気店の店主によるラーメン作りの様子など、ラーメンWalkerTV2の映像を流すだけでなく、店舗で開催するラーメン教室などのファンイベントでも活用するという。角川アスキー総研社長の加瀬典子氏は「これまでは一方的にラーメン情報を発信する側だったが、こういった場を提供することで双方向のコミュニケーションになる。単においしいだけでなく、社会貢献の一端を担えればと思っている」と語る。

ラーメンWalkerキッチンの店内には43型デジタルサイネージ5台の他、大型プロジェクターや86型ディスプレーが各1台
ラーメンWalkerキッチンの店内には43型デジタルサイネージ5台の他、大型プロジェクターや86型ディスプレーが各1台

 角川アスキー総研では、ラーメンWalkerキッチンの運営によってメディアと実店舗が連動した新しいマーケティングソリューションの展開を目指している。連動企画の第1弾として、自身が考案したオリジナルのラーメンを店舗で提供する「チャレンジ店主」をSNSなどで公募したところ約800件の応募があったという。有名店の店主らで構成されたスーパーバイザーたちの評価と店舗での売り上げ次第では、角川アスキー総研が提供する出資者紹介制度を利用して、自分の店を持てる可能性もあるとのことだ。

人気ラーメン店の店主が入れ替わりで営業、店主同士のコラボも

 スーパーバイザーが一定期間ごとに入れ替わりで店主を務めるのもラーメンWalkerキッチンの特徴だ。20年10月末時点でスーパーバイザーに認定されている店主は、九段 斑鳩(くだん いかるが、東京・千代田)の坂井保臣氏、五福星(うーふーしん、仙台市)の早坂雅晶氏、金色不如帰(こんじきほととぎす、東京・新宿)の山本敦之氏ら12人。20年11、12月に店主を務めるのは麺や 七彩(めんや しちさい、東京・中央)の阪田博昭氏。また21年1月は真鯛らーめん 麺魚(まだいらーめん めんぎょ、東京・墨田)の橋本友則氏、2月は我武者羅(がむしゃら、東京・渋谷)の蓮沼司氏が決定している。スーパーバイザーが日替わりで店主を務めたオープニングイベント(11月6~15日)では、店主同士のコラボ企画もあったことで、連日、品切れのため閉店時間前に営業を終了するほどの人気となった。

麺や 七彩の打ち立て麺 喜多方ラーメン醤油(しょうゆ)は税込み1200円。店舗の営業時間は午後10時までだが、品切れのため午後7時で営業終了に
麺や 七彩の打ち立て麺 喜多方ラーメン醤油(しょうゆ)は税込み1200円。店舗の営業時間は午後10時までだが、品切れのため午後7時で営業終了に
麺や 七彩の打ち立て麺に続く日替わりのラーメンも連日、品切れで閉店時間前に営業終了
麺や 七彩の打ち立て麺に続く日替わりのラーメンも連日、品切れで閉店時間前に営業終了

 今回の角川アスキー総研の施策が実現した背景には、全国にラーメン店のネットワークを持つラーメンWalkerのブランド力がある。角川アスキー総研会長兼CEO(最高経営責任者)の福田正氏は「ラーメン店店主同士のコラボ企画では、どんなラーメンが出来上がるのか、当日になるまで分からない。その場、その時しか味わえないライブハウス感覚のラーメン店になる」と話す。福田氏によれば、地方自治体などからも同様の店舗を出したいという問い合わせが寄せられているという。

(写真提供/角川アスキー総合研究所)

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