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――元々の活動の基盤は博多ですね?
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KAZ: |
そうですね。二人の出会いは普通に学校の友達としてだったんですが、私がシンガーを目指した時に、「一緒に歌わない?」ってNATをナンパ的に誘って(笑)。でも、二人とも音楽的経験が全然無くて、レゲエにもハマりかけたぐらいで全然知識もなかったから、“歌いたい”って欲求だけを持ってBROWN SUGARを結成したんですよね。
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NAT: |
「歌いたい」もそうだけど「目立ちたい」も強かったよね(笑)。
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KAZ: |
で、自分達でクラブ・イベントを始めて、本格的に活動を始めたんですけど、やっぱりそんなに甘くはなくて、全然受け入れられない時期もありましたね。
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――博多は音楽シーン的にも男っぽいハードなイメージがありますけど、そこに女の子二人で入っていくのは大変じゃなかったですか?
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NAT: |
断然、博多のシーンは男塾でしたね。みんなバケツとかメガホンで焼酎呑んでたり。だから二人じゃなかったらやっていけなかったかもって思いますね。
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KAZ: |
やっぱり最初は批判もされたけど、しっかり努力をして方向性を考えて活動するようになったら、色んな人から声をかけて貰って、どんどん賛同者も増えてたんですよね。私たちをサポートしてくれたのはそういうシーンだし、音楽的にもコアな部分と出会えたのが、私たちのスタイルに影響を与えてますね。
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NAT: |
かつ二人とも超ポジティヴ・シンキングだから、批判されても「妬いてるんだな〜」って(笑)。それで更に頑張れちゃったし。
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KAZ: |
それで年間80から100ぐらいのイベントにも出られるようになって、その中で私たちのプロデューサーであるZETTONに出会い、本格的にオリジナルの楽曲を作り始めたんですね。そこから、盛り上がらせるっていうライヴ中心の考え方に加えて、もっとしっかりと自分達の言葉を聴かせる作品作りっていう意識も生まれてきて。その流れでインディから『BS』『LOVIBE』『L..E..D.』もリリース出来た訳だから、あの出会いがなければ今の私たちは無いですね。
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――今回のメジャー・デビュー作『DESTINY』は、そういったインディでの作品に比べると、言葉が分かりやすくなってますね。
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KAZ: |
例えばパトワ(ジャマイカ語)を使ったりレゲエ独特の言葉を使うのも格好良いし、それは今までにも使ってきた表現なんだけど、今回はもっと多くの人に自分達の届ける為に出来るだけ日本語で、かつそれを格好良く聴かせるって事を考えて制作しましたね。それによって歌詞の書き方も変わったし、今までにはやってこなかった世界観が表現出来るようになったと思いますね。
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――今回はmetisとの「LA LA LA feat. Metis」ではスロウな部分を表現したり、エレクトロやヒップホップなども取り込んだり、全体的に貪欲な作品になってますね。
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NAT: |
本当にそうですね。やっぱり新しい事にも挑戦したいし、BROWN SUGARって軸をしっかり保ちながら、そこに色んなカラーを付け足していって、どんどん色んな経験をこの作品の制作を通してしたかったんですよね。
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KAZ: |
それに、今回は全てにおいて「これだ!」っていう到達点に着けたと思いますね。自分達のやりたい事が全部形に出来たというか。
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――一曲一曲のコンセプトはしっかりしてるんだけど、リリックはある意味剥き出しのBROWN SUGARが表現されていますね。
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KAZ: |
決めたコンセプトから自然に出てきた言葉を、共感して聴いて欲しいんですよね。私たちはやっぱり聴いてくれた人の笑顔を見たいから。BROWN SUGARのライヴを見て頑張ろうと思ったとか、聴いて背中を押されたっていうメッセージを貰うのは凄く嬉しいし、聴いてくれたリスナーをそういう気持ちに出来る存在になりたんです。私たちみたいな平凡な二人でも、夢を持ってその為に努力すればこうやって多くの人に聴いて貰える存在になれたし、同じような夢を持ってる人には、私たちがその励みになれたら嬉しいですね。
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取材・文/高木晋一郎 |