JR西日本の今春のダイヤ改正に伴い、鳥取駅や郡家駅などから因美線の下り列車を利用する高校生や通勤客の帰宅時間に影響が出ている。夕方の普通列車に乗り遅れると二時間待ちとなり、「部活動ができない」「家に帰るのが遅くなる」と苦情が続出。JRに改善を求めている。
「鳥取駅を午後五時五十七分発の普通列車を逃すと、次は午後八時。放課後の部活は六時ごろに終わるので、間に合わない」
智頭町から鳥取市内の高校に通う子どもを持つ保護者は、「八割の子どもが町外の高校に通学している。どうしてこんな不便なダイヤにしたのか」と不満を訴える。
旧ダイヤでは、智頭方面に向かう普通列車は夕方、鳥取駅を午後六時二十四分、郡家駅を同六時四十三分に出発し、部活動を終えた高校生の帰宅にもそれほど支障はなかった。
しかし、新ダイヤでは、この列車の出発が約三十分早まり、その後には「スーパーはくと14号」と「いなば10号」の特急二本が続け
て通過。次の普通列車まで二時間の待ち時間が生じた。
事態を重視した県や沿線自治体、学校、PTAなどはJRに対してダイヤ見直しを要求。生徒への影響が大きい八頭高校(八頭町久能寺)でも、新ダイヤが明らかになった年明け早々、「部活動などに影響がある」としてJR側に変更を申し入れたが、三月時点での対応は「不可能」とされ、間に合わなかった。
大原洋二校長は「部活の終了時間を早めるなど配慮しているが、大会前となると難しい。帰宅時の安全確保も問題となり、女子生徒などが遅くなる場合は保護者に送迎を依頼するなど新たな負担も生じている」と困惑する。
こうした事態に、JR西日本米子支社は「普通列車の時刻変更は、スーパーはくとを姫路で新幹線に接続させるために生じたもので、東京到着時間の短縮は地域ニーズに応えたダイヤ改正の一つ」と理解を求めるが、高校生らに“想定外”のしわ寄せが生じてしまったことには苦慮。
列車の運行計画は特急への接続なども考慮する必要があり、ダイヤ改正は簡単ではないとするが、「苦情も多数寄せられており、今後の対応について検討中」という。
県企画部交通政策課は「たかが三十分といえども、通勤や下校時間に大きく影響を及ぼす大切な時間帯。引き続きダイヤ改正を要請していきたい」と、今後のJRの対応を注視している。