海星高の対応は「権利侵害」 生徒自殺で市民団体

榎本瑞希
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 2017年に起きた私立海星高校(長崎市)の男子生徒(当時16)の自殺を巡り、市民団体が20日、現状は男子生徒の権利侵害に当たるとする意見書を長崎県に提出した。学校側が「いじめが主因」とする第三者委員会の報告書をいまだに受け入れていないことを問題視している。

 いじめ相談を受ける長崎市のNPO法人「子どもの権利オンブズパーソンながさき」(古豊慶彦代表)が提出した。報告書を受け入れない学校側の姿勢は男子生徒の「意見表明権」の侵害だと指摘。県に解消策の検討を求めている。

 記者会見で安達和美代表理事(59)は「報告書は男子生徒のノートなどを調べ、彼の声や思いが反映されている」と指摘。「(学校側は)時が経ち、忘れ去られるのを待っているようだ。許しがたい」と批判した。

 これについて学校側は19年11月に「(報告書は)自殺との因果関係に論理的飛躍がある」などとする見解を公表している。現在も報告書を受け入れていない理由については、「第三者委に求めた資料開示がなされていないため、(報告書を)受け入れられない状況だ」と説明している。

 一方、県学事振興課の担当者は「第三者委の設置主体の学校側が報告書を受け入れない事態は法令も想定していない状況。学校側には遺族に寄り添った対応をお願いしてきているが、意見書の内容を伝え、県にできることがあるか検討する」と話している。(榎本瑞希)

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