福岡県警手配の男に中国が死刑判決…証拠は?福岡市博多区の福岡空港敷地内で1999年、中国人女性(当時24歳)の変死体が見つかった事件に絡み、福岡県警が詐欺容疑で指名手配していた中国人の男(43)が、帰国後に中国当局に身柄を拘束され、2002年に女性を殺害した罪で執行猶予付きの死刑判決を言い渡されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。 中国では死刑に執行猶予が付くことがあり、服役態度が良ければ減刑されることもあるが、男の死刑が執行されたかは分からず、県警は女性の遺留品などの証拠品を保管し、現在も逮捕状を更新し続けている。 事件は99年6月25日に発覚。空港敷地内の緑地で、中国・遼寧省出身の同区博多駅前3、アルバイト店員宗暁艶さんの変死体が見つかった。その後の捜査で、宗さんの交際相手で、同市内の大学院に通っていた男が同年3月、中国に帰国していたことが判明。宗さんのアルバイト先のマージャン店経営者から約360万円をだまし取った疑いがあるとして、県警は同年7月、詐欺容疑で男の逮捕状を取った。県警は、男が宗さんの変死にも関与している疑いがあるとみていた。 県警は中国当局に捜査協力を依頼したが、中国側から回答はなかった。05年12月、国際刑事警察機構(ICPO)を通して照会したところ、中国の裁判所が02年12月、男に対し、宗さん殺害の罪で執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡していたことが、判明したという。 日中間では08年11月、捜査当局間で犯罪捜査の情報交換などができる日中刑事共助条約が発効。捜査関係者によると、事件当時はこうした環境が整っていなかったため、福岡県警は中国当局に証拠資料などを渡しておらず、どのような証拠を基に犯罪の事実認定を行ったかは不明という。 (2012年2月4日11時55分 読売新聞)
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