米カリフォルニア銃撃犯の友人を訴追
12月2日に米カリフォルニア州サン・バーナディーノ郡で14人が殺害された銃撃事件に関連して、同州の連邦検察は17日、死亡した容疑者の友人を別の襲撃未遂事件を計画した罪で起訴したと発表した。また、2日の事件で実行犯2人が使用したライフル2丁を違法に購入したとされる。
検察によると、エンリケ・マルケス被告(24)は、サン・バーナディーノ郡銃撃事件のサイード・ファルーク容疑者(警察との銃撃戦で死亡)と共謀して2011年と2012年に大学襲撃を計画したとされる。また、サン・バーナディーノ郡の福祉施設銃撃でサイード容疑者と妻のタシュフィーン・マリク容疑者が使用したライフル2丁を違法に購入した疑い。
アイリーン・デッカー連邦検事は「マルケス氏が12月2日の襲撃に参加した、あるいは事前に知っていたと示す証拠は現在得られていないが、事前に重機を購入したことと、大量殺人を実行しよういうファルークの意図を一貫して当局に知らせなかったことで、人が死亡する重大な結果につながった」と説明した。
訴状によると、マルケス被告はサン・バーナディーノの事件の数時間後に救急司令室に電話で、犯人たちが「自分の銃を使った」と話した。さらに捜査当局に対し、計画のみで終わった以前のテロ計画について詳細に説明したという。
訴状によると、マルケス被告とファルーク容疑者は2人が通った地元大学に爆弾をしかけ、学生に発砲しながら逃げるという計画を練っていた。そのほか、午後のラッシュ時に高速道路でパイプ爆弾を車両に投げつけ、車や警察当局を銃撃する計画も立てていたという。
サン・バーナディーノ郡の事件では、爆発はしなかったがパイプ爆弾がいくつか使われた。
罪状にはそのほか、ファルーク容疑者の親類との偽装結婚罪も含まれている。訴状によると、その親類女性が米国在住権を得られるようにするのが目的で、被告は毎月報酬を受けていたという。
マルケス被告は調べに対して、ファルーク容疑者の代わりに自分が銃を購入したのは、同容疑者の外見が中東系なのに対して自分は白人に見えるからだと供述したという。
調べによると被告は2012年にファルーク容疑者と共に射撃練習場を訪れ、攻撃を計画し続けたが、周辺でテロ関連の逮捕が相次いだため、ファルーク容疑者とは距離を置くようになった。
連邦捜査当局は12月5日に、被告が暮らしていた同州リバーサイド郡の母親宅を捜索した。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、被告は小売チェーンのウォルマートで警備員として働きながら、米海軍入隊を希望していた。
2日の事件から間もなく、精神病院に自ら入院し、フェイスブックに「I'm. Very sorry sguys. It was a pleasure.」(原文ママ「ごめん。みみんな。どういたしまして」)と混乱の様子をうかがわせる書き込みをしていた。
<現場から>ジェイムズ・クック、BBCニュース、ロサンゼルス
エンリケ・マルケス被告の罪状は、アメリカ本土に存在するテロリストの「セル」(細胞)の恐ろしい姿を垣間見せる。
米連邦捜査局(FBI)によると、詳しい罪状は11日間にわたるマルケス被告の取り調べから明らかになった。被告は殺人計画に加わったことを認めたという。
カリフォルニア州リバーサイド郡トムリンソン通り。ここで被告とサイード・リズワン・ファルーク容疑者はかつて隣り合わせで暮らしていた。この郊外住宅地の家が、襲撃計画の中枢だったとして疑われている。
ここでマルケス被告はファルーク容疑者からイスラム教の手ほどきを受け、ここで2人は過激派組織「アルカイダ」のアンワル・アル・アウラキ元指導者によるイスラム過激主義の講義ビデオを観たとされる。
マルケス被告はこのほか、「米国の戦略兵器メーカー」によるオンラインビデオを視聴し、カリフォルニアの射撃練習場に通い、アルカイダの英語雑誌で爆弾の作り方を学んだとされている。
被告たちは捜査当局に気づかれないまま、オンラインで攻撃をかなりの段階まで計画することができた。このことから、米国における自由と安全保障のバランスをどう確保すべきかという議論はさらに激しくなるに違いない。