10月26日(火) >>
井上、敢闘賞 
シリーズタイ連続試合打点「4」

西武・石井貴(手前)とともに表彰式に臨む井上(中)と谷繁(左)=ナゴヤドームで

 「敢闘賞は中日ドラゴンズ、井上一樹選手!」。場内アナウンスと同時に、大歓声と五色のテープがスタンドから飛んだ。背番号9が丁寧に頭を下げながら、一つ一つ賞品を受け取る。最優秀選手賞に続く個人表彰にも、やはり笑みはない。日本一を逃した悔しさで胸がいっぱいだった。

 0−7で迎えた9回裏無死二、三塁。今季最後の打席に立った。初球を振り抜くと、フワッと上がった白球がポトリと中前に落ち、土谷がホームにかえる。「0点のまま終わりたくないという気持ちが、ボールを落としてくれた」。最後まであきらめない、33歳ベテランの一振りに、ともに夢を追い続けた竜党は心からの拍手を送った。

 開幕時の先発からシーズンが進むにつれ、若手の台頭で徐々に出番が減っていた。「誰だって試合に出たい」。熱い思いを秘め、試合後、人知れず打撃マシンに向かってきた。いつかその気持ちが落合監督に届くと信じて。

 1安打も打てずに終わった99年の日本シリーズから5年。第2戦では値千金のダイビングキャッチで終盤の逆転劇を呼び込み、第4戦ではシリーズ初安打が3ラン。シリーズ男の名にふさわしい活躍だったが、一番ほしかった日本一には届かなかった。

 「みんな手を抜いたわけではないし、勝負は必ずつくもの。敢闘賞は素直にうれしいが、来季への宿題を残した。さらに上を目指して、頑張ります」。試合が終わるまで竜魂を見せた井上は、来季の飛躍を約束した。 (関陽一郎)



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