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【社会】

「味スタ」トラック 利用不人気 人工芝 外さないと使えない

2012年9月20日 14時04分

トラックが新設された味の素スタジアム=東京都調布市で(東京都提供)

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 来年秋に開かれる東京国体などの会場にするため、東京都が「味の素スタジアム」(調布市)に今春新設した陸上競技用トラックが、4月に1回使われただけで、本年度内に利用予定が1件もないことが分かった。普段、トラックを覆っている人工芝の着脱に費用と手間がかかり、使い勝手が悪いのが原因。陸上関係者からは改善を求める声が上がっている。(松村裕子)

 味スタはもともとサッカーやラグビーの球技用で、JリーグのFC東京と東京ヴェルディのホームスタジアム。サッカー場は天然芝となっている。

 都内では来年秋、国民体育大会と全国障害者スポーツ大会を「スポーツ祭東京」として開催する。これに向け都は二〇一〇年十月〜今年三月、三十二億円をかけて改修工事を実施。サッカー場の外側をめぐる形で、一周四百メートル、九レーンのトラックも新設した。国際大会を開くことが可能な日本陸上競技連盟の第一種陸上競技場の公認も受けた。

 ところが、サッカー場の外側は通常、市民のフットサルの試合や子どものスポーツ教室などに利用されるため、トラックを着脱式の人工芝で覆う方式になった。陸上競技に使う場合には、使用前に絨毯(じゅうたん)タイプの人工芝を取り外し、終了後に設置する作業が必要で、各三日間程度かかる。着脱のための人件費など数百万円も、利用者負担となる。

 これまでのトラックの利用実績は、お披露目となった四月の東京陸上競技選手権大会だけ。来年度も、五月ごろにスポーツ祭のリハーサル大会が二回開かれるが、そのほかは予定がない。

 使い勝手のよいサブグラウンド(西競技場)が隣にあるのも、スタジアムの利用が低調な一因。サブグラウンドは収容人員は少ないが、使用料が安くてすむからだ。

 地元の調布市体育協会は「スタジアムは割高になる。市レベルの大会はサブグラウンドで十分」。東京陸上競技協会も「国際大会を開けるトラックなので、使いやすくしてほしい」と要望する。

 これに対し、スタジアムを運営する指定管理者の東京スタジアムは「人工芝をより安く、早く着脱する方法を模索している」。

 また都スポーツ振興局調整課は「トラックはスポーツ祭用に造ったので、それ以外の利用が低調なのも覚悟していたが、年一回の利用でいいとは思っていない。国立競技場(新宿区)を建て替える予定があり、スタジアムはその間、代替施設として利用が増えると考える」と話している。

(東京新聞)

 

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