部活の暴力防止へ、脱「密室」 保護者に練習を生配信

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編集委員・中小路徹
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 パソコンに付いた三つのカメラが、道場の様子を映している。技を出す時の足の位置や、学校生活の上の注意など、指導者の発言や言葉遣いも聞こえる。

 富士学苑高(山梨)の柔道部は7月から、オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使い、部員の保護者に練習を公開している。記者が視聴した8日は、七つの家庭が見守っていた。

 昨年、女子柔道の高校3冠を達成した富士学苑は、「練習で上級生が下級生に暴力をふるったことを容認した」として、矢嵜雄大監督が全日本柔道連盟から6カ月の指導者資格停止処分を受けた。下級生の保護者からの全柔連への通報と、「組み合わせに実力差があり、下級生に恐怖や威圧は感じさせたが、暴力行為はなかった」という学校側の主張は最後まで食い違ったが、いずれにしろ、透明性を高めることにした。

 矢嵜監督も望むところだ。「これまで、保護者が見にくる試合と違って、練習はノープレッシャーだった。自分にも練習からいい意味の緊張感が出るし、保護者にありのままを見てもらえる。上級生の威圧に抑止力も生まれる」

 保護者には柔道経験のある人も多く、練習を公開すれば一家言は出る。「口出しされたくない指導者もいるが、気づかない部分も言ってくれるので、私は生かしている」と歓迎する。公式戦に出る選手を選ぶ部内戦も見てもらうという。

 発案者は、山口隆之副校長だ…

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