試験飛行で小松空港上空に姿を見せたF35A=2019年9月

  F15と入れ替え

 防衛省が2025年をめどに、航空自衛隊小松基地に最新鋭ステルス戦闘機F35A4機の配備を計画していることが1日、関係者への取材で分かった。小松基地は日本海側唯一の戦闘機部隊を抱えており、領空侵犯などへの対処能力を高める狙いがあるとみられる。将来的に約20機に増やす計画も検討している。近畿中部防衛局が3日、石川県や小松市に計画を伝達する方向で調整している。

 小松基地の戦闘機部隊は、第303飛行隊と第306飛行隊があり、F15を合わせて約40機保有している。近代化改修できないF15をF35Aに入れ替える見込みで、将来的にF35Aを約20機まで増やした場合、半数が最新鋭機となる。

 同基地は対領空侵犯措置の任務を担い、主に日本海での国籍不明機の警戒に当たっている。領空侵犯の恐れのある中国、ロシア機などに対し、戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応している。

 空自の戦闘機基地は北海道から沖縄県まで7基地ある。主力のF15が小松のほか、千歳(北海道)や新田原(にゅうたばる)(宮崎県)、那覇(沖縄県)の各基地に、F2が百里(茨城県)、築城(福岡県)両基地に配備されている。

 F35Aは2018年1月に三沢基地(青森県)に初めて配備され、現在は約20機を保有する。19年9月に試験飛行で小松空港上空に姿を見せたほか、昨年9月には同基地所属の2機が石川県沖の訓練領域「G空域」を初めて飛行した。

 F15は約200機あるが、うち70機程度が長射程ミサイル搭載や電子戦能力向上のために近代化改修され、残りはF35と入れ替わるとみられる。

 近畿中部防衛局の担当者は、小松基地へのF35Aの配備計画について「現時点では何も把握していない」と話した。

 ★F35戦闘機 レーダーで捉えにくいステルス性に優れた「第5世代機」と呼ばれ、高い機動力とミサイル探知能力を持つ。米ロッキード・マーチンが開発主体。米空軍仕様のA型、海兵隊仕様のB型、海軍仕様のC型がある。日本政府は通常離着陸型のA型を105機導入する方針。短距離離陸と垂直着陸が可能なB型は将来的に42機を保有すると決定し、新田原基地(宮崎県)に初めて配備する方向で調整に入っており、早ければ24年の運用を目指している。

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