そごう・西武 徳島など4店舗閉店

そごう・西武 徳島など4店舗閉店
流通大手のセブン&アイ・ホールディングス傘下のデパート、そごう・西武は徳島市など全国4つの店舗を31日で閉じることになり、最終日の31日は閉店を惜しむ買い物客でにぎわっています。
このうち、徳島市のそごう徳島店は駅前の再開発事業の呼び物として昭和58年に開店し、ピーク時の平成5年2月期の売り上げは444億円に上りました。

しかし、郊外に進出した商業施設などに押されて売り上げが低迷し閉店することになり、最終日の31日は、午前10時の開店前から400人近い客が詰めかけたため、入店時間を15分早めました。
店内では最後のセールが行われ、訪れた人たちは売り場を回りながら、お目当ての商品を買い求めていました。

そごうの閉店で徳島県は山形県に次いでデパートのない都道府県になります。

徳島市の50代の女性は「楽しい場所がなくなってしまうのはとてもさみしいです。きょうはすべてのフロアを回って買い物をしたいです」と話していました。
31日は、このほかにもそごう・西武が運営する大津市、神戸市西区、愛知県岡崎市の店舗も閉店することになっていて、地域の顔ともいえる存在だったデパートが県庁所在地からも姿を消すことになります。

福島 中合も最後の営業日

一方、福島市の老舗デパート、中合は31日最後の営業日を迎え、146年の歴史に幕を下ろすことになりました。

31日は開店前から多くの買い物客が中合福島店の前に列を作り、午前10時に店員がドアを開けると次々と店に入っていきました。

中合は、1874年に福島市荒町に呉服屋として創業しデパートに業態を変えたあと、1973年に福島駅前に移転して営業を続けてきました。

しかし、人口減少やほかの商業施設との競争などで売り上げが落ち込み、2010年に会津若松市の店を閉め、福島店も駅前の再開発計画に伴って閉店することになりました。

店の前には、営業終了までの日数を示すカウントボードが設けられ、写真を撮るなどして名残を惜しむ人もいました。

中合は、31日午後7時に閉店して146年の歴史に幕を下ろし、会社は清算の手続きに入るということです。

市内の86歳の女性は「店ができた当時から洋服を買いによく来ていました。さみしいですが、従業員の皆さんには長年ご苦労さまでしたと伝えたいです」と話していました。

苦境のデパート 背景は

デパート業界は、人口減少に加え大型商業施設やネット通販などとの厳しい競争にさらされていて、新型コロナウイルスの影響も受けるなか、収益力をいかに回復させるかが課題となっています。

日本百貨店協会によりますと、全国のデパートの去年1年間の売り上げは5兆7547億円と、ピークだった平成3年の9兆7130億円から40%余り減少しています。

これはデパートの主な顧客層だった「団塊の世代」の高齢化が進んだことに加え、郊外にあるショッピングモールやネット通販などに押されていることが要因です。

特に、人口の減少も加速する地方店の苦境が目立っています。

日本百貨店協会によりますと、全国のデパートの店舗数は、先月末の時点で203店と3年前の同じ時期と比べて26店、10年前からは60店も減少しています。

一方、都市部の店舗は、外国人旅行者向けの化粧品や高級ブランドの販売が好調で、各社の収益を下支えしてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で先月の外国人旅行者向けの売り上げは、去年の同じ月と比べて88.7%落ち込みました。

地方だけでなく、都市部でも経営環境が急激に悪化するなか、デパート各社は収益性が低下した店舗のさらなる閉鎖など経営の一段の見直しを迫られています。