構造物や施設は便益や収益を生む資産と見なすことができる. これにより,
金融工学
で利用されている収益還元法を適用することで, 施設の資産価値を見出すことが可能となる. その中に, 損失となる地震リスクを取り込むことができれば, 資産価値の目減り分として資産価格に反映することができ, 更に, 耐震補強や保険などの地震対策を, 投資という視点で捉えれば, 収益還元法の枠組みの中で, より緻密に投資効果を分析でき, 意思決定に反映することができよう. 本報は, 収益還元法に地震リスクならびに耐震投資を取り込むことで, 投資対効果を記述できる新たな意思決定情報の提案を行い, 試計算を通じて適用性の検討を行う.
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