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飼料代の値上がりに加え、禁止薬物の検出で揺れる厩舎経営 |
ばんえい競馬の競走馬2頭から禁止薬物が検出されたことが明らかになってほぼ1週間−。まだ検出の経緯はつかめていないが、関係者によると飼料の添加物に混入された可能性も否定できないという。一方で、その飼料は今年に入って価格が急騰、ただでさえ厳しい厩舎(きゅうしゃ)経営を圧迫している。実情を取り上げてみた。 (敦賀陽平)
競馬法の禁止薬物は、今回見つかったカフェインのほか、エタノールやニコチンなど52品目。ばんえい競馬では禁止薬物を使用した場合、投薬日から数えて9日間、アナボリックステロイドに関しては59日間、出走投票(エントリー)できない。
また馬に与える餌は、エン麦やふすま(小麦の皮)など高カロリーの濃厚飼料のほか、牧草主体の粗飼料、栄養剤となる添加物の主に3種類。競走馬の場合、濃厚飼料に添加物を混ぜて与えることが多いが、今回の薬物問題では、厩舎経営を圧迫する飼料代の高騰も表面化した格好だ。
とくにエン麦は、主産国・オーストラリアの干ばつなどによって輸入価格が上昇。帯広市内の飼料メーカーによると、昨年に比べ1キロ当たりの小売価格が、10円以上も値上がりしている。
競走馬1頭の飼育料は1カ月平均で約6万5千円とされる。このうち7割が濃厚飼料代で占められるが、関係者の話をまとめると、「ここ数年で1万円ほど上がった」という。仮に10頭を飼育している厩舎なら、年間120万円の負担増となるわけだ。
昨年度に比べ報償費自体が4割も削減されており、ある男性調教師は「厩務員の人件費もあり、やりくりに苦労している」と窮状ぶりを訴えている。
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