今春開設の夜間中学、不登校の中学生を受け入れ 香川で全国初の試み

多知川節子
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 義務教育を十分に受けられなかった人の学び直しの場とされる夜間中学に、不登校の現役中学生も受け入れる。香川県三豊市がそんな全国初の試みを、今春開設した夜間中学で始めようとしている。7月から2人が体験入学を始め、早ければ9月にも正式に転入する可能性がある。

 香川県西部にある三豊市は人口約6万人。県内初となった夜間中学は、既存の市立高瀬中学校の夜間学級として4月に開設された。学齢期を過ぎた10代から80代の9人が、市内外から通っている。

 不登校の中学生の受け入れにあたっては、全国の公立夜間中学で初めて「不登校特例校」の指定を受けた。自律神経の乱れから朝起きられなくなる起立性調節障害など、様々な事情で昼間の中学に通えなくなった生徒の選択肢の一つになれれば、との狙いがある。

 市教育委員会によると、これまで県内12人の保護者から入学希望の問い合わせや相談があった。そのうち2人は臨床心理士との面談などを経て、7月中旬に体験入学を始めた。生活や学習の状況にあうか見極め、希望すれば9月にも、いま籍のある中学から転入手続きを取ることができる。

 岡山市内で自主夜間中学を運営し、現在は三豊の夜間中学に英語教諭として勤める城之内庸仁(のぶひと)さん(45)は「不登校の生徒が異なる世代や国籍の人がいる夜間中学で過ごす意義は大きい。学びをあきらめない周りの姿に心が揺さぶられるはずだ」と指摘。「受け入れ態勢はまだ手探りだが、一人一人の願いに耳を傾け、総力をあげて迎えたい」と話している。(多知川節子)

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