水俣病百世帯、生活保護停止…原則通りと厚労省水俣病被害者救済法などに基づいて支給された一時金210万円を収入とみなされ、生活保護を受けられなくなった被害者の世帯が熊本、鹿児島両県で100世帯を超えている。 熊本県は運用の見直しを国に要請したが、国の姿勢は変わっていない。受給世帯からは「生活が苦しくなった」との声も出ており、専門家は「実情にあっておらず、問題」と批判している。 熊本、鹿児島両県によると、昨年5月から受け付けが始まった一時金の支給により生活保護を受けられなくなったのは、熊本65世帯66人(5月末現在)、鹿児島36世帯39人(3月現在)の計101世帯105人。 3月に国や原因企業チッソと和解した水俣病 一時金受給後の昨年12月に生活保護を打ち切られた鹿児島県出水市の男性(74)は「生活がむしろ苦しくなった気がする。一時金の意味がない」と憤る。 男性は妻(66)と2人暮らしで、毎月の収入は計8万円の年金だけ。2万円の生活扶助や医療費の一部扶助を受けられなくなり、一時金を切り崩して4万5000円の家賃や生活費を工面しているという。 男性は1月、鹿児島県に生活保護の打ち切りの取り消しを求めて審査請求したが棄却され、現在は国に再審査を請求中。ほかに3人が同県に審査請求した(うち1人死亡)。 生活保護法では、公害で健康被害を受けた人に対する「療養手当」などを収入から除外する一方、災害に伴う補償金については、家電製品の購入や住宅補修にあてた場合など一部の例外を除き、収入と認定している。 これを準用し、水俣病の1995年の政治決着の際に支払われた一時金260万円は収入認定された。水俣病など4大公害病の認定患者への補償金も同様に扱われているという。 熊本県は今回の一時金について「収入とするのは違和感がある」(蒲島郁夫知事)として「除外」を国に要望したが、受け入れられなかった。 不知火患者会では「納得できない。生活保護を打ち切られたら、再度申請するよう会員に呼びかけている」と反発しているが、厚生労働省保護課は「過去の事例と同様、原則通りの運用で、今後も変更する予定はない」としている。 (2011年6月9日14時33分 読売新聞)
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