平成19(2007)年5月25日

扶桑社との交渉結果の報告

  すでにお知らせした通り、「新しい歴史教科書をつくる会」は、5月10日の理事会において、「教科書発行に関する『つくる会』の見解」を決議しました。決議では「つくる会」との従来の関係を解消し、「新しい酒は新しい皮袋に」という「今回の扶桑社の提案は受け入れることはできません」と明記しつつ、「扶桑社の再考を求めます」と述べました。
  この決議に基づき、扶桑社の最終的回答を得るため、5月17日、小林会長と高池・福地・藤岡の3副会長が扶桑社におもむき、扶桑社を代表して(片桐社長は出張のため)朝倉取締役と久板取締役が応対し会見しました。会見には社員の真部氏も同席しました。この会見の結果、扶桑社として、従来の枠組みに戻すことを「再考」する余地のないことが確認されました。また、版権の移動について今後協議することになりました。つくる会と扶桑社の二人の重役の主な発言は次の通りです。
 
つくる会  つくる会の会員は10年間、扶桑社の名前で関係者に訴え続けてきた。その無形の財産を放棄してまで別会社をつくるのはなぜなのか。こういう会員の強い疑問があるのでお答えいただきたい。
扶桑社   我々の基本的な姿勢は、2月26日の回答に書かれていることが全てだ。これに賛同していただける幅広い方々と作業していくということで一切変わっていない。
つくる会  回答は会員はみな読んでいるが、なぜ扶桑社が3億円もかけて別会社をつくるのか、その理由がわからない。
扶桑社   3億円は継続発行する場合でもそのくらいの経費がかかる。別会社にするのは、純経済的な理由だ。前回と同じ採択結果では、巨額の赤字を教科書事業部で出すことになる。それが扶桑社の中にあると、どの程度の赤字なのかが不明瞭になる。なぜ赤字を出してまでやらなければならないのか、という社員の中の不満がある。だから、別法人にして、教科書事業の採算がどういうものなのかを明確にする必要がある。
つくる会  教科書は現にあるわけだから、これをそのままお金をかけないで出す方がいいのではないか。
扶桑社   また同じものを出して、今の採択結果では、採算、ビジネスとして困る。
つくる会  西尾・藤岡をはずし、教育再生機構側の人を責任者にするのは理解できない。教育再生機構が組織としてつくる会の教科書に発言する権利はない。
扶桑社   2回目の検定を通った教科書をそのまま3回目にも出すというなら、それはそれで結構だが、私たちはそれは取らない。それなら、扶桑社として、極論をいえば、どこかの出版社から出してもらいたい。
つくる会  結局、中味が悪いから採択率が低かったと判断されているようだが、間違いだ。扶桑社としては、つくる会との関係を従来の2回の採択の時の状態に戻すということについて、再考の余地はないという風に受け止めてよいか。
扶桑社    はい。
つくる会   『新しい歴史教科書』の版権の移動について改めて相談にうかがいたい。
扶桑社   結構です。
以上     

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