環境にやさしいコンパクトな都市形成を行うためには、商業施設についても都市計画的観点から適切な立地コントロールを行う必要性がある。そこで本研究では、自治体レベルで商業施設の立地コントロールを行っている事例として京都市を選択して、京都市まちづくり条例及び商業集積ガイドプランの運用実態を調査し、その特質、効果、課題を摘出することにより、条例を通じた自治体レベルの大型商業施設の立地コントロールの効果及び課題を明らかにすることを目的とした。結論としては、開発コントロール制度が、事前確定的な具体的基準に基づく開発コントロールと、個別的開発審査手続を通じた開発コントロールの折衷型になっているという特質を示し、また主としてロードサイドにおける5,000m²規模の開発や、既成市街地辺縁部における3万m²規模の超大規模開発の抑制に効果があったことなどを明らかにした。また一方で、立地コントロールの対象及び内容の限定性、ゾーニングの緩さ、開発審査内容の不明確さ・不十分さ及び判断基準の不明確さ、審査結果の「全か無か」性、等の課題があることを指摘し、その解決策をそれぞれ提示した。
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