和名 …カンムリワシ学名 …Spilornis cheela perplexus英名 …Crested serpent eagle方言名…マヤダン、バシントゥイ体長…約55㎝(翼開長約110㎝)体重…約800g生息域…沖縄県西表島、石垣島(インド、台湾等の同種亜種)確認個体数…西表島76羽、石垣島110羽(2012年3月調査)渡り区分…留鳥 1977年 国指定特別天然記念物に指定1993年 国内希少野生動植物に指定1998年 絶滅危惧ⅠA類として掲載(環境省レッドリスト:現存種の中でもっとも絶滅の恐れが高い) カンムリワシの特徴 腹側は茶色地に白斑が点在 幼鳥は白い 虹彩は黄色(稀に黒) 飛翔時、翼の先はゆるいカーブ翼と尾羽に黒い帯 カンムリワシの暮らし カンムリワシは西表島と石垣島の森林地帯や農耕地、水田、マングローブ林など様々な場所に生息しています。一年を通して飛んでいる姿が見られ、交尾や営巣の時期である冬には電信柱や高い木の上など見晴らしの良い場所に止まっている姿が多く見られます。 カンムリワシの餌はカエル、ヘビ、カメ、ネズミ、カニ、虫など多岐にわたります。そのため人が耕したばかりの畑や水田で、そういった小動物が出てくるのを待つ姿を見ることもあります。 人々と共に 八重山民謡の「鷲ぬ鳥節」にも歌われている他「マヤダン(カンムリワシ)が低く飛ぶと雨が降る」「マヤダンが山々にこだまするように甲高い声で鳴き、大空を舞う時は晴れる」などの言い伝えも残っていることから、昔から島の人たちに近い存在であったことがうかがえます。 ロードキル対策 残念なことに、毎年多くのカンムリワシの交通事故が発生しています。道路でひかれた小動物をついばんでいるうちに車にひかれたり、滑空してきたところで車両にぶつかったりしています。人の近くで共に生活してきたからこそ、その距離感をどう保っていくかが課題となります。査 西表島内の制限速度は40㎞/h(集落内では30㎞/h)です。この速度であれば、避けきれずにカンムリワシとぶつかってしまっても、命が助かる可能性があります。 特に体の白色が多いカンムリワシは、まだ若い個体です。経験不足から思わぬ行動をとる可能性がありますので、見かけたら減速するようお願いします。 カンムリワシは年に1度しか卵を産まず、成鳥になるまで3年もかかる鳥です。そのため一度数が減ってしまうと、回復するまでに時間がかかります。カンムリワシの交通事故を減らすためにも、島ではゆっくりと走るよう心掛けてください。 カンムリワシを守る取り組み 西表野生生物保護センターでは、怪我したカンムリワシの保護の他に、東海大学沖縄地域研究センターと協力し、以下の取り組みを行っています。 西表島の県道を中心に、一定の条件下で何羽確認できるかの継続的な計測保護した際に足環やウイングマーカーを付けたカンムリワシの、その後の移動範囲調査カンムリワシに一定期間で外れるGPSを装着し、行動範囲を調査 調査の結果、カンムリワシが餌をとる範囲は1㎢に満たないようであること、特定のねぐらを持たないこと、風が強い日には姿を現さない傾向があることが分かってきました。 これらの調査結果は、カンムリワシの行動範囲を把握することで交通事故の防止に役立てたり、生態を知ることで保全を進める参考にしたりなど、今後の保護活動で重要な役割を担うことになります。 現在のところ西表島ではカンムリワシの個体数は、明らかに減少はしていません(2020年3月現在)。しかし一度減った数を増やすのはとても大変なことです。引き続き注意して、カンムリワシを守っていきましょう。