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100年構想…山陰貫くリニア新幹線


 大阪市と福井県敦賀市の2ルートから京都府福知山市などを経て山口県下関市に至る「リニア山陰新幹線」を整備する構想が、地元で持ち上がっている。京丹後、京都など府内8市町を含め、山陰・近畿・北陸の7府県50市町村が整備推進を掲げる会議を設立。巨額の事業費を要する壮大な計画だが、新年度に経済波及効果を試算し、国への要望活動も強化していく考えだ。完成目標は100年後。夢の超特急が、山陰地方を走る日は来るのか――。

京丹後市が「発起人」

 「山陰縦貫・超高速鉄道整備推進市町村会議」。山陰地方で念願の高速鉄道網整備に向け、京都、兵庫、鳥取、島根、山口、大阪、福井7府県の市町村が昨年6月、「リニア山陰新幹線」の整備を目指すこんな会議を設立した。事務局は発起人となった京丹後市が担い、賛同する全国の市町村に参加を呼びかけている。

 関係者が整備を訴えるのは、それなりの根拠がある。国は1973年、山口県と大阪府を結ぶ山陰新幹線の基本計画を公表。鳥取県や島根県など山陰地方の自治体は、「山陰新幹線建設促進期成同盟会」(事務局・鳥取県)を作り、約40年にわたって国に働きかけてきた。

 ただ、厳しい経済情勢から具体化の動きはいまだ見えない。そうした中、2027年開業予定のリニア中央新幹線の東京―名古屋間のルート概略が決定するなど高速鉄道への関心が改めて高まり、鳥取、松江、京丹後3市が発起人となって市町村会議の設立を決定。府や県は加盟していないが、府内では福知山、綾部以北の市町とリニア中央新幹線の京都駅誘致を目指す京都市が名を連ね、活動の目的も従来の山陰新幹線からリニア新幹線の整備に「格上げ」することにした。

下関―東京間が2時間

 構想として、新幹線の基本計画がある下関―大阪間の「従来ルート」(550キロ)を提示。途中の停車駅は未定だが、松江、鳥取、豊岡(兵庫県)、福知山などが候補に見込まれる。リニア方式にすることで下関―大阪間は、現在の山陽新幹線新下関―新大阪間の2時間から1時間に短縮。2045年に大阪まで延びる予定のリニア中央新幹線を乗り継げば、下関―東京間は5時間から2時間となる。

 構想はこれだけではない。下関を出発して福知山で分岐し、敦賀が終着となる「北陸ルート」(500キロ)を新たに設定。下関―敦賀間を1時間で走り、北陸新幹線に接続することで、「日本海側が高速鉄道網でつながる」としている。

 実現に向け、市町村会議は新年度、リニア山陰新幹線の事業効果を試算する調査を実施。鉄道本体の需要予測に加え、沿線自治体にもたらす波及効果も算定する。国への要望活動も展開し、整備の必要性を訴えていく。

 推進する地元からさえ、「100年たっても実現しているのか」との声が上がるほどのリニア山陰新幹線整備計画。ハードルは高いが、実現に向けて関係者が追い風として期待するのは中国、韓国、ロシアといった日本海沿岸諸国の急速な経済成長だ。各国と山陰地方との経済、文化、観光などの国際交流が活発になれば、「過去にないほど日本海側で発展の可能性が高まる」と強調。南海トラフ巨大地震などで太平洋側地域に被害が出た場合のバックアップ機能を果たす上でも整備の必要性を訴える。

整備費は10兆円規模

 ただ、山陰新幹線でも約4兆円と言われる整備費は、リニアの場合、10兆円規模。市町村会議は国が全額負担する直轄事業での実施を目指すが、「財政状況を考えると現実味に乏しい」と冷ややかな見方も根強く、地元でも整備の機運が高まっているとは言い難い。市町村会議に、高速道路網の整備を優先する地元府県やノウハウを持つ鉄道会社が参加していないことも、今後の連携や機運醸成に不安が残る。

 それでも関係者が活動を始めたのは、「過疎高齢化が進む中、今から声を上げないと日本海側の発展は一層停滞してしまう」という強い危機感があるからだ。事務局を務める京丹後市の中山泰市長は「リニアを整備して地方の可能性を引き出すことは、国の発展につながるはず」と語り、今後の取り組みを活発化させたい考えだ。(中山亨一)

2014年2月14日  読売新聞)

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