中国の政府系とみられる投資ファンドの名前が主要企業の上位株主から次々と消えている。大株主として残るファンドは3月末時点で22社と1年前の174社から激減。確認できる投資額も1279億円とピークの33分の1以下に縮小した。「影の銀行(シャドーバンキング)」問題など自国経済のリスクに備える動きとの見方がある一方、名義を変えただけで依然、大量保有しているとの観測もあり、全容は謎に包まれたままだ。
ちばぎん証券が、10位以内の大株主に中国政府系とみられる「OD05オムニバス」などが入っている上場企業を半期ごとに集計。2009年ごろから増えた投資額は13年3月末に4兆円を超えたが、その後は2半期連続で減少している。
13年9月末に大株主だったが14年3月末で名前が消えた企業は、キヤノン(9月末の株主順位は6位)、ソフトバンク(8位)、日立製作所(10位)やソニー(10位)など。ちばぎん証券の安藤富士男顧問は「株価上昇で利益を確定したのだろう。他の投資に回したか、“お家の事情”で現金化したかは分からない」と話す。