事件・事故・裁判

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

スイス列車事故:兵庫の女性死亡…日本人38人重軽傷

23日、スイス南部ラックス-フィーシュ間で横転した「氷河特急」=AP
23日、スイス南部ラックス-フィーシュ間で横転した「氷河特急」=AP
事故現場
事故現場

 【フィスプ(スイス南部)伊藤智永、パリ福原直樹】スイス南部で23日発生した山岳観光列車「氷河特急」(乗客約210人、6両編成)の脱線、転覆事故で、地元警察や旅行会社の話で兵庫県尼崎市の女性(64)が死亡、42人が重軽傷を負い、うち38人が日本人とわかった。負傷者のうち10~12人が重篤な状態という。運行会社の説明では現場周辺で数週間前に線路工事が行われたとされ、警察が事故との関係を調べている。

 全日空のグループ会社「ANAセールス」によると、同社のツアー客だった女性が死亡した。他にこのツアーの横浜市の女性(71)と千葉市の女性(62)が意識不明の重体。横浜市の女性(68)が集中治療室で治療を受けるなど4人が重傷、2人が軽傷。またJTB関連のツアーに参加していた群馬県の男性(61)と同県の女性(55)も集中治療室に入っている。旅行各社によると、家族が現地入りの準備をしているという。

 外務省は小松一郎・駐スイス日本大使を本部長とする現地対策本部を設置した。

 事故はイタリアとの国境から北約10キロのローヌ川沿いの山岳地帯にあるフィーシュ-ラックス間にある橋付近で発生。緩やかな上り左カーブで、6両編成のうち、最後尾から2両のパノラマ1等車(定員30人)が脱線、転覆し、3両目も脱線した。死亡した女性は夫婦で参加し、転覆した車両に乗っていた。

 スイスのメディアによると最後尾の車両は、ちょうど横転した場所が斜面だったため、あおむけの状態になり、救助作業が難航したという。後尾から3両目はサービス車両で乗客はおらず、横転しなかった先頭車両3両にはけが人はなかった。1等車には日本人観光客が多く乗っていた。乗客約210人のうち約80人が日本人観光客だったという。

 スイス当局は負傷者らを同国南部のシオンや同西部のローザンヌ、ジュネーブにヘリで搬送した。

 AFP通信によると、氷河特急の運行会社は、事故を起こした車両は2、3年前に導入された「新しい車両」だとしている。

 スイスメディアは線路工事のほか急激な温度変化による線路の変形が事故に関連があると指摘しているが、原因はわかっていない。

 この氷河特急は、23日午前10時13分にスイス南西部のツェルマットを出発、午後6時に東部サンモリッツに到着予定だった。

 氷河特急は標高約2000メートルの峠を越え291の橋や91のトンネルを通過する。途中、名山・マッターホルンなども見ることができ、「世界で最も有名な路線」として人気を呼んでいた。

 ◇氷河特急(グレッシャー・エクスプレス)◇

 1930年に開業。サンモリッツ-ツェルマット間の約270キロを約7時間半で結び、最高標高2033メートルの山岳地帯を走る。アルプスの景観をパノラマで楽しむため、平均時速約30キロで走行し「世界で最も遅い特急」とも呼ばれる。谷7カ所、橋291カ所、トンネル91カ所を抜けて走る。年間約25万人が予約し、その大半はドイツ人や日本人で、最近はインド人の利用も多いという。テーブル付きの広い座席で食事をしながら、ヘッドホンで日本語の説明を聞ける。

毎日新聞 2010年7月24日 11時17分(最終更新 7月24日 14時27分)

PR情報

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド