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料理漫画を召し上がれ

「勝負! 勝負! 勝負!」 とにかく料理で勝負漫画!

「ならば、料理で勝負だ!」
そんな展開、普通はありません! でも、やるんです! 料理という家庭的なものと真剣勝負が組み合わさることで、なんとも言えぬおかしみがうまれます。ここでは荒唐無稽きわまる料理対決漫画をご紹介しましょう。必殺技の代替物といえる創作メニューの内容にご注目を!

まず浮かぶのはビッグ錠。『スーパー食いしん坊』、『一本包丁満太郎』など、氏の作品には料理対決をあつかった作品は数多くありますが、原作:牛次郎との黄金タッグで生まれた初期の傑作『包丁人味平』をここではピックアップしました。

『包丁人味平』(作 牛次郎 画 ビッグ錠/講談社漫画文庫 全12巻)

対決:
10
愛:
5
仕事:
3
謎:
7
日本一のコックをめざして実家の一流料亭を飛び出した味平の全国料理修行の旅を描いた作品。まずは町のキッチンで地道に洋食の修行を……まではきわめてまっとうですが、いきなり「包丁試し」なる勝負を行う羽目になるのでびっくり。なぜかテレビで全国中継です。料理人としての存在を賭けた一世一代の勝負! のわりにはむしろ曲芸的なテクニックだけを競っているところに当時のグルメ漫画スタイルがうかがえます。味で勝負! ではなく、腕で勝負! しかも曲芸!
包丁貴族との肉の宝分け(牛肉解体)勝負、荒狂う磯の上での船上魚焼き勝負など、怒涛の展開は延々と続き、あの伝説のカレー対決は、連載中盤以降にやっとスタート。対決のテンポがたいへんのんびりしていて、これが当時の感覚か、とも思われます。

『鉄鍋のジャン!』(西条真二/秋田書店 少年チャンピオンコミックス 全27巻)

対決:
10
愛:
1
仕事:
5
謎:
9
愛:(+9:作者の巨乳に対する愛情)
荒唐無稽な料理対決で読ませた『包丁人味平』の衣鉢を継ぐのが、西条真二『鉄鍋のジャン!』。正気の沙汰とは思えぬ料理バトルがウリの作品です。コンテストにマジックマッシュルームスープを出品、それを飲んだ審査員全員がいけない世界にトリップ、「ばふぅ〜〜ッ」とかつぶやいてよだれ垂れ流すという地獄絵図もみられます。「水槽で泳ぐ人喰いザメを捕るところからまずはじめろ」だの、審査側も無茶をいって、これはまさに命を賭けた料理といえましょう。
ジャンのライバル五番町霧子をはじめ、女性キャラの胸がどんどん巨乳になっていくのも見逃せないポイント。狂気と煩悩がうずまいて、少年誌連載とはとても思えないハジけた作品でした。

料理対決と中華料理は、絶妙な相性と言えそうです。
オーバーアクションな調理が絵として映えるなどの理由が考えられますが、なんといっても「中国四千年の歴史が……」などといってしまえば、相当トンデモな展開もなんとなく説得力をもちうるのが強み。まさに中華マジック! 『魁! 男塾』に登場する民明書房もそうでしたが、歴史の重みの一つの活用法といえるでしょう。

『中華一番!』(小川悦司/講談社漫画文庫 3巻〜)

対決:
7
愛:
6
仕事:
6
謎:
7
対決:(続編『真・中華一番!』は10)
ここで紹介したいのは、中国における最高の料理人資格「特級厨師」の試験に挑む天才少年料理人の活躍を描いた『中華一番!』。注目すべきは登場する料理であります。「麻婆豆腐」、「あんかけチャーハン」など、連載開始当初はまったく普通のメニュー作っていたこの作品も、しだいに少年漫画特有のインフレーションに飲み込まれて、どんどんとんでもなくなっていきます。「虹色粥(レインボウがゆ)」、「銀河麺(ギャラクシーめん)」、「大宇宙焼売(ビックバンシュウマイ)」などなど、やたら壮大で大陸の息吹を感じさせるようなトンデモ料理ばかりが登場するようになります。 人々を料理で支配せんとす「裏料理会」刺客たちと「伝説の八厨具」をめぐり熱き戦いをくりひろげるけれん味に満ちたその演出も、いきつくところまでいった感がありました。正統派料理対決漫画におけるひとつの極みでしょう。

『グルマンくん』(ゆでたまご/角川コミックス・エース 全4巻)

対決:
8
愛:
7
仕事:
2
謎:
仕事:(小学生だから) 
謎:(異なる意味で謎すぎる)
人気テレビ番組「モグモグGOMBO」。そこに登場する小学生たちが作る実験感覚料理をそのまま漫画の中に持ち込んだような作品がこの『グルマンくん』。 ゆでたまごが1995年に発表した世紀の珍作料理漫画です。
なんせ、出てくるのが「未来基地関西国際空港弁当」。コンソメスープの海にバターライスの空港が浮かび、そこに肉でできたジャンボジェットが着陸するという驚愕の弁当です。肉の飛行機がなんで飛んでくるのか、何の説明もありません。
それに続くブッとび弁当が「カンロ特製化石発掘洋風押し寿司」。押し寿司でできた堆積層の中からティラノザウルスの卵が孵り、押し寿司をよじ登るとフライドポテトを吐いてハンバーグの具にもどるというもはや説明がつかなすぎる一品で、生物とか無生物とか弁当とかの定義についていろいろ考えたくなります。 また、料理人全員がなぜか『キン肉マン』の超人っぽいコスチューム着ている意味不明な設定、物語も料理もだんだん真っ当になっていく逆エスカレーション展開など、きわめて不思議な味わいでした。
荒唐無稽という言葉さえ逸脱するかのようなことをやっておきながら、少年漫画のツボは決してはずさないあたりはさすがです。

『格闘料理伝説ビストロレシピ』(原作 芦田俊太郎 まんが 津島直人/講談社コミックスボンボン 全2巻)

対決:
10
愛:
2
仕事:
1
謎:
5
愛:(食べものに対する愛は低そう)
最後に紹介するのは『格闘料理伝説ビストロレシピ』。「格闘して料理を作る」のではなく「格闘する料理を作る」というブッとび作品です。レシピカードによって作った料理をフードン化、バトルさせるというもので、要は料理漫画バージョンのポケモンです。あまりにピカチューなオムレッサー(色とかかたちとか)など、絶妙なバッタもん感覚がたまりません。食べものを粗末にしてるような気がすごくするんですが、いいんでしょうか。背徳的〜 料理のために豪華客船沈めてみたり、やりたい放題レベルでいえばMAXかも。

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