キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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INTERVIEW #52

 『スカーフェイス』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』のアル・パチーノ、『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』のロバート・デ・ニーロ──アカデミー賞俳優にしてハリウッド映画界が誇る二大名優同士が、実質的な初共演を果たした骨太クライム・アクション『ヒート』。1995年に製作され、今なお圧倒的な重みを持って語り継がれる同作が、製作20周年を記念して、マイケル・マン監督自身の監修によるデジタルリマスター版で甦った。『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』では、90分を超える“20周年記念”特典映像に加え、1998年にテレビ放送されたテレビ朝日「日曜洋画劇場」版 日本語吹替音声の初収録が大きな目玉。今回は、同バージョンでアル・パチーノの吹替を担当した菅生隆之のスペシャル・インタビューをお届けする。

●学業は“そこそこ”、小学生時代は相撲の強い子供だった


──『ヒート』が日曜洋画劇場で放送されたのは1998年です。かなり以前のお仕事となりますが、録音当時のことは覚えていらっしゃいますか?
覚えてます。どこで録音したかはうろ覚えですが、アル・パチーノの声を演じることもあって、収録の時に色々と思ったことがあったことは記憶しています。演出家は蕨さん(蕨南勝之)でしたね。(※同バージョンの演出は蕨南勝之、翻訳を平田勝茂が手掛けた。制作はザック・プロモーション)
よかった。TVシリーズと違って長尺物は一回きりのお仕事ですので、あまり覚えていないという方も多いですから(笑)。まず、お生まれはどちらでしょうか。
千葉県の飯岡町で、何年か前に合併して今は「旭市」となっています。
──飯岡の助五郎で有名な……どういう町だったのでしょう。
どういう町かといえば……田舎の小さな町でしたね。
──映画館などはあったんでしょうか?
映画館はね、親戚の映画館があったんですよ。そこはね、僕が子供の頃は映画もやれば、紙芝居もやれば、浪曲もやるというところで、ちょうど神社の境内にあったんです。お祭りになるとそこに幟(のぼり)を建てて、お芝居やったり映画をやったり。参道の向こうには見世物屋があったり、なぜか相撲の巡業も来ましたね、あんな小さな町に。朝潮とか、初代の若乃花とか、小さい頃に見た気がします。あとは神楽。神楽の舞台がありました。その横に幼稚園があって、そこに通っていたんです。
──田舎の神社は、幼稚園の経営をしているところも多かったですね。
神主さんが経営してるんですよね。
──境内に土俵もあって、夏になると銀幕を張って映画を上映したり。
ああ、ありました。お寺で映画ってやってましたね。
──どんな小学生でらしたんですか?
わりと体は大きめでしたね。相撲の強い小学生でした(笑)。まあ、小中高と運動神経も良い方でした。
──ご学業の方は?
ご学業はね……まあ、そこそこでした(笑)。飛び抜けて出来たわけではなかったです。

●憧れていたのは、芝居よりもギターの弾き語り!?
恩師との出会いが運命を変えた

──お芝居への興味を持たれたのはいつ頃からだったんでしょうか?
全然興味なかったんですよ。「なんで文学座にいるんだろう?」と思うくらい(笑)。
──皆が文学座に入りたいというのに(笑)。
当時は1,000人くらい受けに来ていましたからね。ただその前は、ギターの弾き語りのアルバイトをスナックでするとか、そういうのに憧れていたんです。僕の若い頃はカラオケとかはありませんでしたから。
──ギターを持った流しですか?
“流し”ではありません。お店に座って弾き語りをする。そういうのを勉強したいと思ってギター教室に行ったんですが、結局才能がないと分かりまして。その時に新聞で「歌、教えます」という募集を見つけたんです。たぶん適当な募集だったと思うんですが、「そういうのにでも行って、勉強しないと」と考えたんですね。でも月謝が目当てなんでしょうね、誰でも受かるんですよ。それで嫌になって行かなくなったんですが、歌ではないけれど同じような「発声」などが項目に書いてある「演劇」というカリキュラムがあって、劇を観たことはなかったんですが、いろいろ教えてくれるというし、そっちの会場に行っちゃったんです。それが19~20歳の頃でした。そこで知り合った人が、生涯の恩師となったわけなんですね。
──ちなみに、その学校のお名前は?
もう無くなりなりましたが、確か「チュウゲイ」とかだった気がします。あの有名な新協劇団から出た、のちに東京芸術座を作った「劇団中芸」とは違います。そこは、行かなくても「月謝を払え」と通知が来るんですよ。それで払いに行った時のついでに受けた授業で出会ったのが、渡辺譲さんとおっしゃる方なんです。いまだに僕の恩師です。もう80歳になられたと思うんですが、この間電話でお話ししたらお元気でしたね。当時、渡辺さんは、ご自分が演出する舞台の準備をされていたんです。オーディションではないですが、授業で役者を探していたようで、その時になぜか僕が合格したんですね。で、やることになって……。でも、これを言うと皆に驚かれるんですが、僕は当時、軽い吃音症だったんです。たまたま授業の時には吃らなかったのですが、帰りに正直に自分の症状を告白したんですね。そうしたら、いい答えをもらったんです。「君は吃りかもしれないが、この役は吃りじゃない」と。「君がこの役を演じられたら、吃るはずがないじゃないか」と言われて。「芝居ってそういうものなのか」と思いました。それで、役を演じたら吃らなかったんです。「才能あるよ」とおだてられましてね(笑)。
──それが最初に立たれた舞台だったのですか?
はい、俳優座劇場でした。1本だけでしたが。その後、渡辺さんの知り合いの劇団を紹介されて、試験を受けたら合格しました。でも、そこも1年半くらい通ったらやっぱり違うという感じであまり熱心ではなかったです(苦笑)。当時は演劇はあまり好きじゃなかったんでしょうね。アルバイトとかしながらブラブラしていたら、恩師の渡辺さんから「また辞めるの?」と訊かれて、「僕は大きい劇団はあまり好きじゃないけど、文学座を受けてみれば?」と勧められたんです。「文学座なんて受かるわけないでしょ」と答えたら、彼は「いや、そんなことないよ。君は受かるよ」って。それで受かってしまって、今に至るというわけです。

●創立メンバーや看板役者も知らなかったのに、
名門・文学座に一発合格!

──文学座の試験とは、どういうものだったんですか?
一次試験は筆記試験と、朗読など。通過したら、二次試験で、課題で渡された台詞を読んだり、音楽に合わせて身体表現したり。最終面接では自分の作文を読みました。そんな感じですかね。「杉村春子(文学座創立に参加し、看板女優として多くの舞台を踏んだ人物。小津安二郎、黒澤明、成瀬巳喜男監督作品ほか多くの映画にも出演)を知ってるか?」と訊かれて「う~ん(沈黙)」みたいな(笑)。
──たぶん逆に目立ったでしょうね(笑)。
どうでしょうね。でも、試験は本当にひどかったと思います。『女の一生』という文学座の代名詞のような舞台があるのですが、とにかく勉強しなきゃってことで、『女の一生』を文庫本で見つけて、「作・モーパッサン」と書いてあったから、筆記試験もそう書きました。文学座の『女の一生』は「作・森本薫」の方(笑)。ひどいもんでした。
──その頃はまだ、演劇論などを学ばれていなかったんですね?
そうですね。でも文学座を受験する前に、渡辺さんと出会っていましたから、演技論を教えてもらうわけじゃないけれども、一緒にお芝居を観に行って「ここはこうだ」「あれは足らないと思うよ」みたいな話をそばで聞いていましたからね。彼は素晴らしい人でした。学んだことはかなりあります。元々は、新協劇団を経て東京芸術座の演出部にいた人です。

 東京芸術座に村山知義さん(大正、昭和期に活躍した作家・画家・演出家)というボスがいて、新劇の世界で結構古い人なのですが、小説の『忍びの者』(市川雷蔵主演で映画化もされた)など一連の作品は全部、その村山さんの作品なんです。渡辺さんはそのお弟子さんというか、演出部で演出をやっていたけれど、主義が折り合わないところもあって辞められたそうなんです。

それから渡辺さんは評論や劇評を執筆されたり、舞台の演出をされたり、それでたまたま僕も、先ほど言ったみたいな形で知り合って、今でもお付き合いしています。

 文学座の研究生になったら、発表会があるんですよね。終演後、お客さんが表で待っていてくれて、僕らを拍手で迎えてくれるだけれど、渡辺さんはみんなの前でひどいこと言うんです、「君はこの前のほうが良かったよ」とかね(笑)。「よく言うな、この人」と思いながら、よく怒られてました。

●初の舞台は蜷川幸雄演出作、「警察医サイモン・ロック」で
吹替主演デビューを果たす

──現在も文学座にいらっしゃっるということは、やはり水が合っていたということなんでしょうか。
そうですね。でも、デビュー当時は、文学座の芝居には役が付かなかったんです。僕は文学座にいながら外部の舞台も多くやってきました。初舞台は文学座の公演ではなく、蜷川幸雄さん演出、平幹二朗さん主演の『ハムレット』(シェイクスピア原作の戯曲。蜷川演出の初演は1978年)でした。文学座の舞台に立つ前に、東京駅のラーメン屋で出前持ちをやってる時に電話が掛かってきて、その時のマネージャーから「菅生君、声、出るよね?」って訊かれて、「蜷川幸雄さんのお芝居で、そういう役を探してるんだよ」って言われ。それが蜷川幸雄さんとの出会いです。25年間の付き合いです。
──文学座の舞台よりも、そちらが先だったんですね。
そうなんです。それから年に1本ペースで蜷川さんとはお付き合いさせてもらい、海外公演にも参加しました。それこそ『ヒート』でロバート・デ・ニーロをやられた津嘉山正種さんともご一緒しています。25歳くらいから。
──最初の映像関係のお仕事は何だったんですか?
映像関係はあまりやってないんです。研究生の終わり頃かな、うちの杉村春子先生が池内淳子さんらと日本テレビのドラマでレギュラーをやっていて、そこに文学座の若手が呼ばれたりとか、準レギュラーのような形で出演したりはありました。けれど、取り立てて映像はやってないですね。20代後半から舞台の仕事が本当に忙しくなって、年に4本くらい舞台をやると、もう1年が終わるんです。文学座の公演と外部の商業演劇です。東宝、松竹、明治座、蜷川さんと多かったです。文学座では杉村さんや太地喜和子さんたち先輩と舞台をやると、長期間、地方公演で回っていましたから、1年はあっという間でした。舞台と舞台の合間で、スケジュールが空いてる時に声を掛けてもらって、吹替えのお仕事をしていたんです。
──最初の吹替、アテレコのお仕事のことは覚えていらっしゃいますか?
覚えてます。文学座ユニット(※同じ劇団の劇団員で吹替のキャストを固めること)でした。うちの創立メンバーの龍岡晋さんという方が、役者でもあり社長でもあったんですが、その方と同じくらい大先輩の三津田健さんのお二人が主役の声を務めた、老人の孤独を描いた映画でした。タイトルは忘れてしまいましたが……。1人のおじいさんは子供たちとマンションかどこかに引っ越すんだけど、もう1人のほうは小さな町のモータースをやっていて、立ち退きたくないと地下鉄に飛び込んで死ぬんです。その時、遠くの方で聴こえる、彼の好きだったラグビーか何かの実況放送の声を僕がやりました。その後すぐに、当時、東北新社の所属だった小山悟さんが演出されていたシリーズ「警察医サイモン・ロック」(1976年日本放送。カナダ制作の30分の連続ドラマ)。主演(サム・グルーム)の声を担当していた伊武雅人さんがお忙しくされた頃で、何本かを僕が引き継いで声をやったんです。それが初めての吹替えでの主役でした。

 最初は要領が分からなくて、「向こうの俳優の喋りにピッタリ始めてピッタリ終わらなきゃいけないのかな」と勝手に思っていたんです。誰も教えてくれませんでしたから。飯塚昭三さん(「宇宙刑事」シリーズほか、多数のアニメ・特撮作品の悪役の声で知られる)がヘリコプターの操縦士の役で、僕は医者。呼ばれて一緒にヘリに乗って事件も解決するパターンのドラマなんですが、難しい医学用語ばかりを喋らなきゃいけない、その上できちんと口も合わせなきゃいけない……。当時は嫌でたまりませんでしたね。

●やっと今になって楽しくなってきた──
ベテラン声優が明かす吹替の難しさとは?

──舞台のお芝居とは全然違う感じでしたか?
そうですね。でも鍛えられたというか、いきなり主役をやることになったのは、役者としては得るものがあったと思います。僕が吹替えで最初に難しいと思ったのは、「距離感」なんです。離れたところにいる人に声をかける距離感ってあるじゃないですか。これが凄く難しいんです。「お~~い、取ってくれよ!」と向こうに呼びかけるように喋ると、向こう側に声がかかるっているように聞こえますよね。目の前にかける「おい、取ってくれよ」とは違う距離感。これをマイクの前でやらなくちゃならない。限られたスタジオの空間で、本当に後ろに下がって声を出すわけにはいかないんですよ。もっと分かりにくい距離感もあります。顔は正面を向いたまま自分の背後にかける時の距離感とか。対象の人数の問題もある。大人数にかける距離感とか。そういうことを考えると、何だか面白くなってくるんです。自分なりに上手くやれたかな、みたいなのがね(笑)。
──声の出し方で空間が表現できるというようなことですね。
そう。あと人ですよね。台詞をかける人物のことが、好きなのか、嫌いなのか、興味があるのか、ないのかなど。一応そういうことも考えて組み立てているつもりですけど、まあ聴いてる人にうまく伝わっているかどうか分かりませんが(笑)。
──舞台の場合はご自分で役を作られるわけですが、吹替の場合は向こうの役者さんのお芝居がありますよね。どの程度自分のお芝居に寄せるか、そのバランスが難しいのではないかと思いますが。
年齢と共に色んなことが少しずつ変わってきます。舞台の芝居もそうですが、吹替えに関しても最初の頃と今とでは、かなり違っている気がします。最近はやっと芝居に集中できるようになりました。「合わせなきゃいけない」、それが絶対条件ですよね。合わせることと芝居をすることが、だんだん同じ比重になればいいと思ってやってきました。

 今まで僕が見てきた限り、どんなベテランの方でも5回もトチると、合わないことが怖くなってくるんです。演出家から「もう1回」とリテイクが続くと、役者ってどんどんパニックになってくるものです。そうなると最初にやろうと準備してきた芝居なんてもうどうでもよくなってきて、打たれてもいいから球がストライクゾーンに入ってくれて、そこをスルーできたら「あー、良かった」と溜息をつく。球を置きに行くというか。私自身、今はそういった回数がだんだん減ってきて、昔よりも芝居に集中できるようになってきた気がします。自分で企んだ芝居を現場に持ち込めるようになったかなと。「自分の芝居は自分で作る」と教育されてきましたから。最初からそう行きたかったんですが、なかなかそうは行かなくて。やっと今、少しはやれるようになったのかなという状態です。だから今、楽しいです。収録は疲れますけど(笑)。

●距離を取っていたアニメにも参加するように──
『宇宙戦艦ヤマト2199』では沖田艦長役

──アニメの場合はいかがですか?
僕らの頃は「漫画」って言ってましたが、特徴のあるああいった声は、芝居とちょっと違う世界という意識があって、当時はアニメの仕事を意識的にやらないように距離を取っていたんです。でも、ある時から時代が変わりアニメそのものも変わってきました。
──アニメ作品のリアリティや奥深さも上がっていった。
そうですね。リアリティにともなって、普通にしゃべる声優も必要だから呼ばれるようになったのかな、と思うようになりまして。それで実際やってみたらこれが難しい……。始めはどこでしゃべればいいのか分からなくて、スタジオで堀内賢雄君(チャーリー・シーン、ブラッド・ピットの声を数多くの作品で担当)に「背中を叩いてタイミングを教えてくれ」なんてお願いしていたんですよ。最初はそんな感じでしたね。ようやくレギュラーで、落ち着いて演じられたのは、『ヒートガイジェイ』(2002年から2003年に放送されたバトルアクション)というアニメ。無口なアンドロイドの役だったんです。何かあれば「男はな……」って、男の生き様を語る。あとは周りの出演者がしゃべってくれました(笑)。
──その頃のアフレコの時は、画は出来ていましたか?
いやぁ、やっぱり出来てないですね。だから余計に難しかったですね。アニメは今、面白いですよね。そういう役で呼んでもらえるからかもしれないですけれど。
──少し前になりますが『宇宙戦艦ヤマト2199』(2012年に劇場先行公開・ソフト発売され、2013年にテレビ放送)の沖田十三艦長の役が印象的でした。
そうそう。続編の『宇宙戦艦ヤマト2202』の公開も始まりました。沖田艦長は『2199』で亡くなってしまいましたが、天の声でたまに出てきますよ(笑)。「古代、しっかりしろ」とか、若い世代にエールを送っています。

●「いつかやりたいと思っていた」パチーノ役に、
ついに『ヒート』で初挑戦!


──では『ヒート』のことをうかがいます。このときはスタジオに全員集まっての録音でしたでしょうか。
そうですね。スタジオには集まってやりましたが、事前の準備はフィルム試写ではなく、練習用のビデオをもらっていたと記憶しています。

 当時、東北新社の演出の小山さんとお酒を飲んだ時、「いつかやりたい役はアル・パチーノかダスティン・ホフマン」って言ってたんですよ。当時の彼らは、それまでの“いかにもアメリカン・ヒーロー”というタイプの俳優ではなくて、アクターズ・スタジオを出ている芸達者な人たちで、二枚目でもないのに、作品の芯の役を演じていました。『スケアクロウ』(1973年製作、ジーン・ハックマン、アル・パチーノ共演のアメリカン・ニューシネマ)や『卒業』(1967年製作のダスティン・ホフマン主演作。マイク・ニコルズがアカデミー賞監督賞を受賞)ですよね。ちょうど僕らの青春時代でしたから。「いつか彼らの声をやりたいな」と言ってました。

 アル・パチーノの声をやったのは、これが最初だったのかな。「凄い俳優だな」と思いましたね。もちろん『ゴッドファーザー』(1972年製作のフランシス・フォード・コッポラ監督作)でも凄いと思いましたが。『ヒート』の撮影時は、パチーノとデ・ニーロの2人のシーンは、実は1人ずつ撮ってたらしいですよね。だから2人は同じセットには入っていなかったという。だけど2人がカフェで語る長いシーンがあるじゃないですか。別々に撮影したとはいえ、やっぱりあそこが印象的ですね。「ライバル同士、勝負しようとしてるんだ」みたいな雰囲気で。(後編に続く)

インタビュー後編はこちら≫

(2017年2月17日/於:東北新社/文:村上ひさし/協力:フィールドワークス)
公式サイトへ

菅生 隆之(すごう たかゆき)【プロフィール】

8月1日生まれ、千葉県出身。文学座所属。
1978年『ハムレット』(蜷川幸雄演出)で初舞台、以降、文学座内外の舞台に多数出演。吹替・アニメ・ナレーションなど声優としても活動。吹替えでは、トミー・リー・ジョーンズ(『逃亡者(ソフト版)』『ボルケーノ(ソフト版)』『リンカーン』など)、アル・パチーノ(『ヒート(テレビ朝日版)』『エニイ・ギブン・サンデー(日本テレビ版)』など)、ジャン・レノ(『レオン(テレビ朝日版)』『クリムゾン・リバー』『GODZILLA(ソフト版)』などがある。

解説&ストーリー

 1974年の『ゴッドファーザーPART II』に共に出演しながらも、同一シーンの出演がなかったアル・パチーノとロバート・デ・ニーロ、二大アカデミー賞スターが実質的な初共演を果たしたのが、95年製作の本作『ヒート』。デ・ニーロはギャング団の冷静沈着なリーダーに扮し、パチーノが彼らを追う執念の警部を演じる。家庭を崩壊させてまでプロフェッショナルであろうとする2人が、真逆の立場でありながらも互いを認め合いつつ、命の駆け引きに身を投じていく壮絶な男のドラマが出色。後に『インサイダー』『コラテラル』を撮ることになるマイケル・マン監督が、今や代名詞とも言うべき音響にこだわった“銃撃戦”を描き切っている。今回の『製作20周年記念版』では、マン監督本人がデジタルリマスター化を監修。2016年に行われたスタッフ、キャストによるパネルディスカッション(合計90分以上)が特典映像として初収録されている。

吹替のポイント

 これまでのソフト版吹替音声に加え、1988年に初放送されたテレビ朝日「日曜洋画劇場」版日本語吹替音声が初収録。デ・ニーロ役はソフト版と同じく、数々の作品でデ・ニーロを担当してきた津嘉山正種(ケビン・コスナー、リーアム・ニーソンの吹替でも知られる)がキャスティング。パチーノは、インタビューに登場した菅生隆之が担当している。今でこそパチーノ役のひとりとして知られる菅生だが、パチーノの担当は本作が初挑戦。同じ舞台(『NINAGAWA マクベス』)を踏んだ旧知のふたりによる、深みと緊張感たっぷりなドラマに耳を傾けたい。ヴァル・キルマーを担当するのは、ジェイソン・ステイサムのフィックスとして知られる山路和弘。大塚明夫がトム・サイズモア、実写・吹き替えで活躍しつつも2005年にこの世を去った小林克彦がジョン・ヴォイト、人気声優で歌手の坂本真綾がナタリー・ポートマン(パチーノ演じる警部の義娘役)を担当しているのも注目だ。

新着情報
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新着情報

2019.9.27『とり・みきの吹替どうなってるの』「最終回 録音技術とハード面から見た吹替史」を追加しました。

2019.4.5「プロメテウス」佐古真弓インタビューを追加しました。

2019.3.5「エイリアン4」高乃 麗インタビューを追加しました。

2019.2.5「エイリアン3」吉田理保子インタビューを追加しました。

2018.12.5「プレデター2」大塚芳忠インタビューを追加しました。

2018.11.5「Mr.&Mrs.;スミス」堀内賢雄インタビューを追加しました。

2018.10.5「ブレイブハート」日野由利加インタビューを追加しました。

2018.9.7「ポセイドン・アドベンチャー」羽佐間道夫インタビューを追加しました。

2017.12.20「劇場版 SPACE ADVENTURE コブラ <4K ULTRA HD>」榊原良子インタビューを追加しました。

2017.11.22「L.A.コンフィデンシャル」江原正士&伊達康将インタビューを追加しました。

2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

2017.09.01「エイリアン2」鈴木弘子インタビューを追加しました。

2017.08.25傑作吹替視聴室Vol.25:『エイリアン』を追加しました。

2017.08.04「インデペンデンス・デイ」古川登志夫インタビューを追加しました。

2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

2017.06.23傑作吹替視聴室Vol.23:『シザーハンズ』を追加しました。

2017.05.26傑作吹替視聴室Vol.22:『LOGAN/ローガン』公開記念!を追加しました。

2017.04.28『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【後編】インタビューを追加しました。

2017.03.31『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【前編】インタビューを追加しました。

2017.02.24『ダイ・ハード/ラスト・デイ』樋浦勉インタビューを追加しました。

2017.01.27『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【後編】を追加しました。

2017.01.06『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【前編】を追加しました。

2016.12.22『ホーム・アローン』矢島晶子インタビューを追加しました。

2016.12.09『ホーム・アローン』折笠愛インタビューを追加しました。

2016.10.21『王様と私』壌晴彦インタビュー【後編】を追加しました。

2016.10.07『王様と私』壌晴彦インタビュー【前編】を追加しました。

2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

2016.08.12『ターミネーター』大友龍三郎インタビューを追加しました。

2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

2016.07.08『マイノリティ・リポート』佐藤拓也インタビューを追加しました。

2016.06.24『コマンドー』若本規夫インタビューを追加しました。

2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

2016.03.18傑作吹替視聴室Vol.18:吹替の名盤特集第二弾を追加しました。

2016.02.29傑作吹替視聴室Vol.17:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第2弾を追加しました。

2016.01.29傑作吹替視聴室Vol.16:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集を追加しました。

2015.12.04『ウェイワード・パインズ 出口のない街』津田健次郎インタビューを追加しました。

2015.11.13『glee/グリー』坂本真綾&早川陽一インタビューを追加しました。

2015.11.12傑作吹替視聴室Vol.15:吹替の名盤特集第1弾を追加しました。

2015.10.16『Fargo/ファーゴ』森川智之インタビューを追加しました。

2015.09.30『コマンドー』玄田哲章&土井美加インタビューを追加しました。

2015.08.14『エイリアン』大塚明夫インタビューを追加しました。

2015.08.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』田中敦子インタビュー第1弾を追加しました。

2015.07.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第3弾を追加しました。

2015.07.19『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第2弾を追加しました。

2015.06.30吹替の帝王『エイリアン』幸田直子インタビューを追加しました。

2015.06.30『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビューを追加しました。

2015.06.30吹替の帝王 公式サイトをリニューアルオープンしました!

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