今年から、テレビ東京で放映されている「GTプラス」という番組に「解説」という形で参加することになり、現場でレースを見ながら解説を行った。


GTプラス
4/12 (日)23:30~ テレビ東京系列にてON AIR
 

http://www.tv-tokyo.co.jp/sgt



3位表彰台を獲得した2006年以来、9年ぶりに訪れた岡山国際サーキット。




あれから9年が経ったが、変わっていることは、スタンドの色がサクマドロップスのようにカラフルになっていたことと、グランドスタンドに掲げられるレーシングドライバーの横断幕よりもレースクィーンの横断幕の数の方が多くなっていたことぐらいだった。


岡山の狭いパドックは、犬も歩けば棒に当たるではないが、三歩も歩けば久しぶりの顔にあたる。広い現代的なパドックよりも、歴史的なサーキットのノスタルジーな雰囲気が漂うパドックは、久しぶりに訪れる僕にとっては心地いい。

「久しぶり、元気?」「何してるの?」「乗るの?」といったような会話を旧知の仲と話しながら、今のGT500,GT300について情報を集める。
レーシングカーは常に進化し続けるものである。進化論を唱えたダーウィンは、「最も強い種や賢い種ではなく、最も変化に強い種が生き残る」と言ったようだが、僕がみたGTマシンの変わっていないことは、「ステアリングがあって、スロットルペダルとブレーキペダル、あとはタイヤが4つ付いている」ことぐらいで、あとはすべて変わっていると言っても過言ではなかった。またGT300は車種やタイヤメーカーなど多種多様なので、一気に覚えることは難しい。

以前乗っていたとはいえ、しばらくGTというレース自体から離れていたし、F1で世界を回っている頃はなかなか日本のレースをフォローするところまで自分の時間を使えなかった。それぐらいF1に集中しなければならなかったからだ。


レース週末の全体の印象としては、現在は土日だけの開催なので、以前に比べて当然のことながら、週末に収集できる情報、データが限られているなっということが一番印象的だった。

今回はさらに、予選ドライ、決勝ウェットというコンディションの変化もあり、各チームのドライバー、レースエンジニアたちはタイヤ選択に、文字通りスタート直前まで悩まされていた。5分前にはグリッド上でタイヤを付けていなくてはいけないのだが、ライバルとの駆け引きもあり、ギリギリまでタイヤ選択を延ばしていた。


今回は開幕戦ということもあり、さらに限りあるデータの中から、選択をしなくてはならなかったと推測される。もちろん、これは全車において同条件なので、どこの誰に不満を言えるわけでもないのだが。その中で、チームがどのような決断をするのか、また決定した選択に対してドライバーはいかに覚悟を決めてレースに挑むことができるのか。
このチームプレーと個人プレーの両極のものを一度に垣間見れるところがレースの面白さの一つである。


結果、レースでは、雨量の変化で、速い車両×速いタイヤの組み合わせが、こうも変化するのかと改めて驚いた。

3車両メーカー、4タイヤメーカーの組み合わせの傾向について、今後のレース展開を読みきるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

各車両、装着していたタイヤの種類によって全然変わってきてしまうということは大前提だが、そんな中、今回のレースで見られた特徴だった長所と短所を考えてみた。


ウォームアップの良さ、降水量によらずバランスが強さのレクサス/BS
ウォームアップには課題があるも、温まり後の安定した強さのGT-R/MI
セットやコンディションがハマった時の圧倒的強さのNSX/BS

また逆にいえば、

路温が高い、雨が少なくなった時にタイヤに厳しいレクサス/BS
雨の多い時の強さが未知数のGT-R/MI
コンディションの変化やセットアップの幅がピーキーなNSX/BS


開幕戦の第1戦を終えただけであり、ウェットのタイヤチョイスの良し悪しの影響が大きかったとも言えなくもない。当然、今季を占うことは時期尚早である。

ただ一つ自信を持って言えるのは、3車両メーカーと4タイヤメーカーのバトルは、世界広しといえど、日本のGT500ほど過激な競争を繰り広げているレースはなかなかない。
それこそが、日本のGT500が、世界最高峰のGTレースと言っても過言ではない所以であろう。

このレースが国内で見られる日本のレースファンはとてもラッキーだと思う。

さらにこのレースの面白さを伝えていくために、僕はどうしたらいいのか考えていきたい。

GT開幕戦での解説者デビューレースの模様は、

GTプラス
4/12(日)23:30~ テレビ東京系列にて ON AIR
http://www.tv-tokyo.co.jp/sgt/


皆様、お手柔らかに。笑