韓国CMでの主題歌の使用について

 

 

 

 

2004年8月から、韓国でテレビCM(保険会社)にキャンディの主題歌が使用されています。

そのことについての経緯を記しておきます。

 

このホームページの<韓国ハイブックス社における不正出版について>で記したように、この数年間、韓国での不正な動きが活発になりため息が出ていました。

今回、キャンディの作詞の版権を管理してくださっているテレビ朝日ミュージックからCM使用のお話があったとき、即座にお断りしたのは、そういった現在のあやしげな背後関係があったからで、(また、韓国なの・・)と正直うんざりしたからです。

 

しかし、主題歌については、作曲者の故渡辺岳夫先生あってこそ生まれた歌だと思っています。(けれど、<作詞の替え歌は拒否>いう姿勢は貫いてきました。)

今回、拒否した理由は前記のあやしい背景の疑惑と<訳詞>を使用するということ、また、すでにCMは完成。オンエアを待つばかりと聞いて(また、事後承諾か)とそのことにもうんざりしたからです。(事件の後遺症はなかなか癒えませんね・・・)

それに、今回のように韓国からきちんと許可願いが来たことなど今まで皆無だったので、そのあまりの行儀のよさに(へんな話しですが)いっそう疑惑を感じたのです。

 

しかし、わざわざ韓国から2度も許可願いに訪れた広告代理店のお気持ちには打たれました。

<事後承諾>になった理由は、制作前に韓国の著作権管理団体(KOMCA)の許可をもらっていたということ。

あろうことか、韓国では何十年間に渡って韓国人の<編曲者、訳詞者>たちが自分らの創作物としてそのKOMCAに著作権登録をしていたというのです。

むろん、その韓国人の<編曲者、訳詞者たち>には著作権はありません。

広告代理店側は制作完了寸前、それを知って、あわてて本来の<著作権者>の許可を求めて来日したというのです。(その事実を何十年間も知らなかったテレビ朝日ミュージックはKOMCAに厳重に抗議、その“編曲者、訳詞者”の著作権登録を抹消してもらいました。)

 

出来上がったCMをヴィデオで拝見しましたが、心温まるすばらしい作品でした。

キャンディの主題歌を歌いながら夫を慰めるというやさしく力強いシーンに胸が熱くなりました。ヴィデオに添えられたお手紙には(完成したフイルムを見たときスタッフ一同、思わず涙しました・・・それだけこのCMには思いを込めているのです)とありました。

創作者達は、どの国でもなにを創っても同じ心持だと感動しました。

 

以上のような経緯でCMは許可しました。

 

しかし、今現在、韓国では<不正なものしか>出回っていないこと、それゆえ、このCMも<不正使用>と思われたり、また、悪質な業者に利用されるおそれがあることなどを伝え、双方のためにも<このCMは正規である>ことを明確にしてほしい、と申し出、広告代理店側は快く受け入れてくれました。

 

韓国からのこのような、誠意ある申し出ははじめてだったので、灰色だった空から光がさしてきたような気持ちです。

また余談ですが、時を同じくして拙本<ふーことユーレイシリーズ>の韓国訳(挿絵なし、字のみの小説版)の申し出が版元のポプラ社を通じてあり、快諾しました。

当然のことながら、韓国にはきちんとした会社のほうが多いことも明記しておきます。