vol.1
産学連携のルーツは関東学院大学にあり。―というと、いつも驚かれますが、本当の話です。関東学院大学が、世界に先駆けてプラスチックめっきの工業化に成功したのは1962年のこと。しかも関東学院大学は、この技術を広く社会にオープンにしました。「特許を取得すれば莫大な利益が得られたはずなのに、惜しいことをしましたね」という人もいますが、オープンにしたからこそ、私たちの技術は日本中の生産現場に広まり、自動車部品の多くが重い金属から軽いプラスチックへ置き換わっていったのです。
自動車の軽量化と燃費向上を促し、日本車の輸出拡大に大きく寄与した関東学院大学発の技術。これが私たち流の産学連携であり、キリスト教に根ざした『人になれ 奉仕せよ』という校訓の具現化でもあります。
いま、私たちの技術はプリント基板や半導体への配線へ応用され、情報化社会に欠かせない技術へ進化しました。あなたが使っているスマホやタブレットの中にも、私たちの技術が詰まっているのです。2010年には、横浜市との包括提携を受けて「関東学院大学 材料・表面工学研究所」も開設しました。この研究所は、約40社に及ぶ会員企業の賛助金で運営されていますが、それは、特定の企業に利することのない自由でオープンな研究のため。
『人になれ 奉仕せよ』の精神は、今も脈々と息づいているのです。
※ 所属、学年などは、全て取材当時のものです。
本間 英夫
関東学院大学
特別栄誉教授
工学博士
材料・表面工学研究所 所長