保守分裂の参院選 内幕を証言

公職選挙法違反の罪に問われている河井案里議員の裁判で、案里議員の事務所の元スタッフが証人に呼ばれ、保守分裂となった参議院選挙の内幕について「『自民党で2議席を』と呼びかけていたが、本音では保守系の票、同じ自民党議員の陣営の票をいかに取るかだった」などと証言しました。

参議院議員の河井案里被告(47)は、夫で元法務大臣の克行被告(57)とともに、去年の参議院選挙をめぐって公職選挙法違反の買収の罪に問われ、無罪を主張しています。
東京地方裁判所で開かれた16日の裁判には案里議員の事務所のスタッフだった女性が証人として呼ばれ、保守分裂で激しい選挙戦となった去年の参議院選挙広島選挙区での活動について振り返りました。
この中で元スタッフは「街頭演説などでは終始一貫して『自民党で2議席を』と呼びかけていたが、本音では保守系の票、同じ自民党議員の陣営の票をいかに取るかだった」と証言しました。
また、「案里議員は『自民党県連からの支援が全くなく、組織票に期待できないのでいかに浮動票や女性票を狙うかだ』と言っていた」と述べました。
証人尋問の後、検察官が案里議員の事務所に勤めていた元事務長の供述調書を読み上げました。
元事務長は「『自民党で2議席獲得する』と発言したスタッフに対し、河井元大臣が『何言ってるんだ。2議席ではなくて、案里を当選させろ』と怒鳴りつけた」と供述していて、元大臣の方針のもと、自民党支持層の票の獲得を狙った選挙戦の内幕が明らかになりました。
16日の裁判が終わった後、案里議員の弁護士が裁判所に保釈を請求しました。
保釈請求はこれで5回目です。