土と微生物
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外生菌根菌の生活様式(共生土壌菌類と植物の生育)
岡部 宏秋
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1994 年 44 巻 p. 15-24

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抄録

菌根と土壌に広がる菌体を含めた外生菌根菌の生活様式は知られていないことが多い。群落としての特性や個々の種の生活のしかたについて,子実体の分布やマット形成菌の広がり,また芽生えから得られた菌核や菌根の生育形について報告する。1) 外生菌根性樹種とスギの混交林でスギが外生菌根菌フロラを擬乱する要因となっていた。植生が影響し菌の選択的分布が生じたと考えられた。2) マット形成菌,R. rhodopoliusの子実体はマット上に集中して発生した。マットの内部は厚さの変化が小さく安定していたが,外側に向かって傾斜が大きく不安定な形状を示した。マットの広がりは長く持続し活性部分は放射方向に移動していた。3) P. tinctorius f. tinctoriusの菌核は菌糸束の途中に形成され比較的深い土壌に形成されたが,その数は少なかった。C. graniformeの菌核は菌根の外方に形成され,土壌表層に集中し多量に形成された。4) アカシデの発芽直後の外生菌根菌の感染率は約30%で,そのほとんどがC. graniformeを優占種とする黒色菌根であった。1年生稚樹では黒色菌根,非黒色菌根ともに増えて多様な菌根組成となった。

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