夂部

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康熙字典 214 部首
士部 夂部 夊部
1 丿 2
3
广
4
5
6
7
8
9
10 11 鹿
12 13 14 15
16 17

夂部(ちぶ)は、漢字部首により分類したグループの一つ。

康熙字典214部首では34番目に置かれる(3画の5番目)。

概要[編集]

夂部には「夂」を筆画の一部として持つ漢字を分類している。

単独の「夂」字は、足を象る「止」の上下を転倒させたもので、こちらにやってくるさまを描いた象形文字である[1]。『説文解字』では人の両脚の後ろに送り届けるものがあるさまを象ると説明されているが、誤った分析である。

この「夂」は到来・後退や下降に関わる文字にも含まれるが、夂部に属する字の多くはこれとは別の由来を持つ。[2]

なお夂部の漢字ではないが、康熙字典において「致」のは「夂」に作り、9画である。日本の新字体、中国の新字形ではこれを「攵」に改め、10画としている。

部首の通称[編集]

  • 日本:
    • ふゆがしら(「冬」の頭の形から。ただし、冬字の夂形は楷書では同じであるが、篆書では異なる字形であり、『康熙字典』では冬を夂部には収めていない)
    • ちかんむり・ち
    • のまたかんむり(片仮名の「ノ」と漢字の「又」から)
  • 中国:反文
  • 台湾:錛部
  • 韓国:뒤져올치부(dwijeool chi bu、後から来る夂部)
  • 英米:Radical go

部首字[編集]

後代の辞書に残る「夂」という文字は、「致」の略体である。[3]

例字[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 王子楊 「釈甲骨文“𩂣”及相関諸字」 『出土文献綜合研究集刊』第17輯、2023年、1-25頁。
  2. ^ 季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、466, 478頁。
  3. ^ 季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、478頁。