ベニバナトチノキ

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ベニバナトチノキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: トチノキ科 Hippocastanaceae
: トチノキ属 Aesculus
: ベニバナトチノキ
Aesculus × carnea
学名
Aesculus × carnea J.Zeyh. (1818)[1]
英名
Red Horse-chestnut

ベニバナトチノキ(紅花栃の木[2]学名: Aesculus × carnea)は北米南部原産のアカバナトチノキとヨーロッパ原産のセイヨウトチノキ(マロニエ)の交雑種である[2]ムクロジ科[注 1]トチノキ属落葉高木。日本では街路樹などで見られる[2]

樹皮は灰褐色でほぼ平滑で、縦に筋が入る[2]。一年枝は太く、淡灰褐色で無毛である[2]。花期は5 - 6月[2]。枝先に長さ15 - 25センチメートル (cm) の大きな円錐花序を直立し、雄花両性花を付ける。花色は淡紅色[2]果実は短いトゲがある[2]。トチノキ属の染色体は概ね2n=40であるが、本種は2n=80であり4倍体となっている[3]

冬芽は褐色で、多数の芽鱗に包まれている[2]。枝先につく頂芽花芽側芽よりも大きく、広楕円形で暗褐色をしている[2]。側芽は枝に対生する[2]。葉痕は三日月形や心形で、維管束痕が3 - 7個つく[2]

品種[編集]

  • 'Briotii' 最も一般的な品種。花序は約25cmで濃いピンクの花を持ち、あまり大きくならない。1858年、トリアノンの植木屋Pierre Louis Briotに因んで命名された。
  • 'O'Neil' 花序は30cmに達し、明るい赤色の花を持つ。
  • 'Fort McNair' 濃いピンクの花、黄色の花喉を持ち、葉焼け・葉斑に耐性がある。名は作出された地名に由来する。
  • 'Pendula' アーチ状の枝を持つ[4]
  • 'Plantierensis' ローズピンクの花、黄色の花喉を持ち果実をつけない[5]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではムクロジ科(Sapindaceae)に分類されるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではトチノキ科(Hippocastanaceae)に分類されている[1]

出典[編集]

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Aesculus x carnea J.Zeyh. ベニバナトチノキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 105
  3. ^ Margaret Upcott (1936), “The parents and progeny of aesculus carnea”, JOURNAL OF GENETICS, doi:10.1007/BF03027607 
  4. ^ Govaerts, R., Michielsen, K. & Jablonski, E. (2011). Untraced Weeping Broadleaf cultivars: an overview. Belgische Dendrologie Belge Archived 2012年3月22日, at the Wayback Machine. 2009: 19-30.
  5. ^ Roth, Susan A. (2001). Taylor's guide to trees. Boston, MA: Houghton Mifflin Harcourt. pp. 408. ISBN 978-0-618-06889-0. http://www.amazon.com/gp/product/0618068899 

参考文献[編集]

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、105頁。ISBN 978-4-416-61438-9