フィアット・デュカト

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デュカト(Ducato)は、フィアット社が製造する大型バンである。プジョー・ボクサーシトロエン・ジャンパーとは姉妹車の関係にあり、キャンピングカーへの改装に使用される非常に一般的なモデルである。これらの3車種全ては1981年以来、イタリアブラジルにある同じ工場で製造され、これまでに200万台以上が生産されている。[1]

初代 (1981年 - 1993年)[編集]

フィアット・デュカト(初代)
前期型
後期型
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア
ブラジルの旗 ブラジル
販売期間 1981-1993年
ボディ
ボディタイプ 2/3ドアバン
2ドアトラック
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.8/2.0L I4
ディーゼル:
1.9/2.5L I4
ターボディーゼル:
1.9L I4
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初代デュカトは1981年に導入され、1993年フェイスリフトを施された。エンジンは2.0 L直列4気筒ガソリンエンジンと1.9 Lのディーゼルエンジン、グレードはベースのSとSXがあった。生産はイタリアのセヴェル南(Sevel Sud)工場で行われた。ほぼ同一の他ブランドの車としてアルファ・ロメオ AR6、プジョー・J5、シトロエン・C25タルボ・エクスプレス1986年 - 1992年)があった。デュカトの各モデルの名称はその積載量に応じて、デュカト 10(1.0トン)、デュカト 13(1.3トン)、デュカト 14(1.4トン)とデュカト マキシ18(1.8トン)であった。

エンジン[編集]

型式 種類 出力
1.8 ガソリンエンジン 69 PS (68 hp/51 kW)
2.0 ガソリンエンジン 75 PS (74 hp/55 kW)
2.0 ガソリンエンジン 84 PS (83 hp/62 kW)
1.9 ディーゼルエンジン 70 PS (69 hp/51 kW)
2.5 ディーゼルエンジン 74 PS (73 hp/54 kW)
2.5TD ディーゼルエンジン 95 PS (94 hp/70 kW)

2代目 (1993年 – 2006年)[編集]

フィアット・デュカト(2代目)
前期型
後期型
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア
ブラジルの旗 ブラジル
販売期間 1993–2006年
ボディ
ボディタイプ 3/4ドアバン
2ドアトラック
パワートレイン
エンジン ガソリン:
2.0L I4
ディーゼル:
1.9/2.5/2.8L I4
ターボディーゼル:
1.9/2.0/2.2/2.3/2.5/2.8L I4
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新しいセヴェル工場の製品では、プジョーはボクサーに、シトロエンはジャンパー(英国ではリレー:Relay)に名称を変更した。1998年にオプション・エンジンの一つであったフィアット製2.5 Lディーゼルエンジンはイヴェコ/ソフィム(Sofim)製の2.8 Lに替えられた。

デュカトの貨物運搬モデルは12m3の容積を持ち、2.0 Lガソリンエンジン、2.0 L JTD、2.3 L JTD 16v、2.8 L JTDの4種類のエンジンが選択できた。これら全てのエンジンはユーロ3規制に適合し、プログラム・メンテナンス・マネージメント機能を持っていた。変速機は2種類あり、5速マニュアルトランスミッションと4速オートマチックトランスミッションが用意されていた。

デュカトの旅客輸送モデルは6名から9名の定員で110 bhp の2.3 L JTD 16vエンジンを搭載し、これもユーロ3に適合していた。

デュカト コンビ(Combi)は貨客混載モデルで荷物と同じように人も9名まで乗せられた。デュカト 10(1.0トン)、デュカト 14(1.4トン)とデュカト マキシ18(1.8トン)の各モデルがあった。

第2世代のデュカトは2003年にフェイスリフトを施され、後部と側面にモールディングを追加しフロントグリルが新しくされた。エンジンは2.0 L JTD、2.3 L JTD 16v、2.8 L JTDで、2.5 Lディーゼルエンジンは廃止された。このときのモデル名称は、デュカト 29(2.9トン)、デュカト 30(3.0トン)、デュカト 33(3.3トン)とデュカト マキシ35(3.5トン)であった。

なお、日野自動車が過去に販売していた小型路線バスの初代日野・ポンチョは、デュカトのシャシをベースとした車両である。

エンジン[編集]

1993年 - 1999年[編集]

型式 種類 出力
2.0 ガソリンエンジン 100 PS (99 hp/74 kW)
2.0D ディーゼルエンジン 81 PS (80 hp/60 kW)
1.9TD ディーゼルエンジン 82 PS (81 hp/60 kW) - 90 PS (89 hp/66 kW)
2.5D ディーゼルエンジン 100 PS (99 hp/74 kW)
2.5TDI ディーゼルエンジン 115 PS (113 hp/85 kW)
2.8D ディーゼルエンジン 87 PS (86 hp/64 kW)
2.8TD ディーゼルエンジン 139 PS (137 hp/102 kW)

1999年 - 2003年[編集]

型式 種類 出力
2.0 ガソリンエンジン 100 PS (99 hp/74 kW)
1.9D ディーゼルエンジン 85 PS (84 hp/63 kW)
1.9TD ディーゼルエンジン 90 PS (89 hp/66 kW)
2.0JTD ディーゼルエンジン 100 PS (99 hp/74 kW)
2.3JTD ディーゼルエンジン 110 PS (108 hp/81 kW)
2.5TDI ディーゼルエンジン 116 PS (114 hp/85 kW)
2.8i.d.TD ディーゼルエンジン 125 PS (123 hp/92 kW)

2003年 - 2006年[編集]

型式 種類 出力
2.0 ガソリンエンジン 110 PS (108 hp/81 kW)
2.0 natural power CNG 110 PS (108 hp/81 kW)
2.0 G power LPG 110 PS (108 hp/81 kW)
2.0JTD ディーゼルエンジン 84 PS (83 hp/62 kW)
2.3 JTD 16V ディーゼルエンジン 110 PS (108 hp/81 kW)
2.8 JTD ディーゼルエンジン 127 PS (125 hp/93 kW)
2.8 JTD Power ディーゼルエンジン 146 PS (144 hp/107 kW)

3代目 (2006年 - )[編集]

フィアット・デュカト(3代目)
前期型
後期型
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア
ブラジルの旗 ブラジル
販売期間 2006年-
ボディ
ボディタイプ 3/4ドアバン
2ドアトラック
パワートレイン
エンジン ガソリン:
3.6L V6
ディーゼル:
2.0/2.2/2.3/3.0L I4
変速機 6MT
6AT
9AT
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2006年に発表。再び積載量が増やされデュカト 30(3.0トン)、デュカト 33(3.3トン)、デュカト マキシ35(3.5トン)、デュカト マキシ40(4.0トン)がある。

2022年2月、ステランティス日本法人の一つであるFCAジャパン(現:Stellantisジャパン)が日本への導入を正式発表し、同年9月より販売を開始した[2]。キャンピングカー向けにターゲットを絞り、日本国内のキャンピングカービルダー5社と「フィアット プロフェッショナル正規販売代理店」として契約し、販売だけでなく、ショールームならびにサービスワークショップをフィアット プロフェッショナルのCI基準に則って整備することになっている[3]。日本における仕様は、本革巻きステアリングにフルデジタルメーター、Uconnect10.1インチナビゲーションといった快適装備に加え、フォワードコリジョンウォーニング、歩行者検知付き衝突被害軽減ブレーキ、クルーズコントロール、レーンデパーチャーウォーニング、デジタルルームミラーといった安全装備も備えている。全タイプ共通でパワーユニットに最高出力180HP、最大トルク450Nmを発生する直列4気筒2.2リッターディーゼルターボ「MULTIJET3」と9速オートマチックを組み合わせている。ボディタイプは、標準ボディのL2H2、ロングホイールベースのL3H2、L3H2をハイルーフにしたL3H3の3タイプが用意される[2]

エンジン[編集]

型式 種類 出力
2.2 Multijet ディーゼルエンジン 100 PS (99 hp/74 kW)
2.3 Multijet ディーゼルエンジン 120 PS (118 hp/88 kW)
2.3 Multijet ディーゼルエンジン 130 PS (128 hp/96 kW)
3.0 Multijet Power ディーゼルエンジン 157 PS (155 hp/115 kW)

脚注[編集]

  1. ^ FIAT DUCATO PRODUCTION BREAKS TWO MILLION MARK”. italiaspeed.com/2008. 2008年11月22日閲覧。
  2. ^ a b Fiat Professional DUCATOを正規導入”. FCAジャパン (2022年2月10日). 2022年3月2日閲覧。
  3. ^ FIAT PROFESSIONAL DUCATOの販売ネットワークを発表”. Stellantisジャパン (2022年9月15日). 2022年9月22日閲覧。

外部リンク[編集]