ピパ属

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ピパ属
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
亜綱 : 平滑両生亜綱 Lissamphibia
: 無尾目 Anura
: ピパ科 Pipidae
: ピパ属 Pipa Laurenti, 1768

ピパ属(ピパぞく、Pipa)はピパ科に属するカエルの一つ。この基準種(分類体系において、ある属を認識・確定するための基準となる種のこと)はピパP. pipa)である。

分布[編集]

分布域は南米大陸北部である。また、ピパ科に属する他の属は全てアフリカ大陸に分布している。

形態[編集]

小型の種(ドワーフピパ)で5cm程、大型の種(ピパ)では15cm程度に達する。水生であるため、体は扁平で後肢と趾間の水掻きが非常に発達し、側線系を有する。頭部は三角形で、小さな目が比較的高い位置につく。指先が星状の感覚器になっており、また、ツメガエル類と同様に趾先に爪を有する種も存在する。

生態[編集]

ピパ類は全て完全な水生であり、河川や池沼に生息する。大雨により水が濁ってしまったときは、上述した指先の感覚器を用いて泥の中から餌を探り出す。水面に浮上するのは基本的に呼吸のときだけである。また、ピパ類はその特徴的な繁殖様式で有名である。複雑な求愛行動の後に、例えばピパでは、卵は雌の背中に産み込まれたままそこで変態を完了する。カルバルホピパでは、卵は雌の背中に産み込まれはするが、幼生の段階で出てきてしまう。また、ピパ属の幼生は濾過摂食型である。

下位分類[編集]

現生種7種が知られている。

系統関係[編集]

  • 他の属との系統関係
最近の研究では、ピパ科に属する5つの属の分岐順序で、ピパ属は2番目に分岐するという系統解析の結果が得られている(Frost et al., 2006)。しかしながら、ピパ属が最後に分岐する結果や、二股分岐の系統樹を得た研究も存在している。
  • 下位分類群の系統関係
下位分類群、7種の系統関係としては、先ずドワーフピパパナマピパのグループと、それ以外の種のグループとに分かれ、後述したグループ内5種が順に、カルバルホピパギアナピパアラバルピパ、そして最後に、レッサーピパピパとに分岐するといった結果を得ている研究がある(Trueb et Massemin, 2001)。

参考文献[編集]

  • Davies, R. 他 『爬虫両生類飼育入門』 千石正一訳、緑書房、1998年、186-187頁
  • Frost, D. R. et al., "The Amphibian Tree of Life," Bulletin of the American Museum of Natural History, Number 297, NY, 2006, pp. 119-121
  • 松井正文 『両生類の進化』 東京大学出版会、1996年、137-138、174頁
  • Trueb, M. and Massemin, D., "The osteology and relationships of Pipa aspera (Amphibia: Anura: Pipidae), with notes on its natural historyin French Guiana", Amphibia-Reptilia, 22, 2001, pp. 48-49
  • 内田亨他監修 岩澤久彰他著 『動物系統分類学 9(下A2) 脊椎動物(IIa2) 両生類II』 中山書店、1997年、92-93頁

関連項目[編集]

外部リンク[編集]