デフリンピック

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デフリンピック
デフリンピックシンボル
開始年 夏季大会 1924年パリ
冬季大会 1949年ゼーフェルト
主催 国際ろう者スポーツ委員会
公式サイト
http://www.deaflympics.com/
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デフリンピック英語: Deaflympics)とは、おおむね4年に1回の頻度で開催されてきた聴覚障碍者のための世界規模の総合スポーツ競技大会である。大会名は「聾者(Deaf)+オリンピック(Olympics)」の造語で「聾者のオリンピック」という意味を持つ。

デフリンピックには夏季大会と冬季大会が存在し、夏季大会は1924年フランスで、冬季大会は1949年オーストリアにおいて始まった。ただし、大会の開始当初は国際聾者競技大会(こくさいろうしゃきょうぎたいかい)という名称であったが、1967年世界聾者競技大会(せかいろうしゃきょうぎたいかい、英語: World Games of the Deaf)に名称変更された。さらに国際オリンピック委員会(IOC)の承認を得て、2001年の大会より現名称に変わった[注釈 1]

障碍者のためのオリンピックとしては、こちらも4年に1回の頻度で開催されてきたパラリンピックが知られる。また、知的障碍者のための競技大会のスペシャルオリンピックスが知られる。ただ、聴覚障碍者は、身体障碍の有無や、知的障碍の有無と無関係に、聴覚障碍のため、声や音による、競技中の競技者間における意思疎通は、基本的に行えない。さらに、審判からの合図や指示なども、声や音によっては、基本的に行えない。この音によるコミュニケーションが難しいという聴覚障碍者の特性が、殊に集団競技において、充分な聴力を有した者との間に、非常に不利に作用する。また、例えば視覚障碍を有する者でも球技が可能なように、ボールに音が出る工夫をした状態で行う球技のような競技に、聴覚障碍者は全然向かない。その他、様々な理由により、聴覚障碍者のための総合スポーツ競技大会として、他の障碍とは区別して、開催されてきた。

なお、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD、CISS)が主催する障害者スポーツの大会としては、本大会が最初に開催された。デフリンピックにおいて、補聴器などの聴覚障碍を軽減するための機器の使用は、一切認められない。

厚生労働省の社会・援護局障害福祉部企画課自立支援振興室によると、日本では、厚生労働省が所管官庁だったが、2014年4月から文部科学省へ移管された。

開催地一覧[編集]

全日本聾唖連盟のデフリンピック啓発ウェブサイトより[1]

夏季大会[編集]

開催年 開催都市 開催国 参加国数 参加人数
第1回
1924年 パリ フランスフランス 9カ国 145人
第2回
1928年 アムステルダム オランダオランダ 10カ国 210人
第3回
1931年 ニュルンベルク ドイツドイツ 14カ国 316人
第4回
1935年 ロンドン イギリスイギリス 12カ国 293人
第5回
1939年 ストックホルム スウェーデンスウェーデン 13カ国 264人
第6回
1949年 コペンハーゲン デンマークデンマーク 14カ国 405人
第7回
1953年 ブリュッセル ベルギーベルギー 16カ国 524人
第8回
1957年 ミラノ イタリアイタリア 25カ国 625人
第9回
1961年 ヘルシンキ フィンランドフィンランド 24カ国 595人
第10回
1965年 ワシントン アメリカ合衆国アメリカ 27カ国 697人
第11回
1969年 ベオグラード ユーゴスラビアユーゴスラビア 33カ国 1,183人
第12回
1973年 マルメ スウェーデンスウェーデン 32カ国 1,061人
第13回
1977年 ブカレスト ルーマニアルーマニア 1,118人
第14回
1981年 ケルン 西ドイツ西ドイツ 1,213人
第15回
1985年 ロサンゼルス アメリカ合衆国アメリカ 29カ国 1,053人
第16回
1989年 クライストチャーチ ニュージーランドニュージーランド 30カ国 959人
第17回
1993年 ソフィア ブルガリアブルガリア 51カ国 1,705人
第18回
1997年 コペンハーゲン デンマークデンマーク 62カ国 2,068人
第19回
2001年 ローマ イタリアイタリア 71カ国 2,405人
第20回
2005年 メルボルン オーストラリアオーストラリア 75カ国 3,500人
第21回
2009年 台北  台湾中華台北[2] 77カ国 2,493人
第22回
2013年 ソフィア ブルガリアブルガリア 70カ国[3] 2,879人
2017年 サムスン トルコトルコ 100カ国[4] 3,148人
2022年 カシアス・ド・スル ブラジルブラジル 73か国[5] 2,412人
2025年 東京[6] 日本日本  

冬季大会[編集]

開催年 開催都市 開催国 参加国数 参加人数
第1回
1949年 ゼーフェルト オーストリアオーストリア 5カ国 33人
第2回
1953年 オスロ ノルウェーノルウェー 6カ国 53人
第3回
1955年 オーバーアマガウ 西ドイツ西ドイツ 7カ国 61人
第4回
1959年 モンタナ スイススイス 8カ国 42人
第5回
1963年 オーレ スウェーデンスウェーデン 58人
第6回
1967年 ベルヒテスガーデン 西ドイツ西ドイツ 12カ国 86人
第7回
1971年 アデルボーデン スイススイス 13カ国 92人
第8回
1975年 レークプラシッド アメリカ合衆国アメリカ 15カ国 268人
第9回
1979年 メリベル フランスフランス 14カ国 180人
第10回
1983年 マドンナ・ディ・カンピリオ イタリアイタリア 16カ国 191人
第11回
1987年 オスロ ノルウェーノルウェー 15カ国 136人
第12回
1991年 バンフ カナダカナダ 16カ国 294人
第13回
1995年 ウッラス フィンランドフィンランド 20カ国 312人
第14回
1999年 ダボス スイススイス 18カ国 273人
第15回
2003年 スンツバル スウェーデンスウェーデン 22カ国 253人
第16回
2007年 ソルトレイクシティ アメリカ合衆国アメリカ 24カ国 310人
2011年 ハイタトラス スロバキアスロバキア 開催中止
2015年 ハンティ・マンシースク ロシアロシア 27カ国 340人
2019年 ヴァルテッリーナ イタリアイタリア 32カ国 461人
第20回
2024年 エルズルム[注釈 2] トルコトルコ  
第21回
2027年 平昌 大韓民国韓国  

競技一覧[編集]

夏季公式競技[編集]

2022年現在の公式競技は、全部で21種目である[7]

以前は、以下の競技も公式競技であった。

冬季公式競技[編集]

実施競技一覧(冬季)[7]
競技\年 49 53 55 59 63 67 71 75 79 83 87 91 95 99 03 07 15 19 23
アイスホッケー
アルペンスキー
カーリング
クロスカントリースキー
スノーボード
チェス

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 国際オリンピック委員会が「オリンピック」という名称の使用を許可しているスポーツ競技大会は、デフリンピック(Deaflympics)以外に、パラリンピック(Paralympics)と、スペシャルオリンピックス(Special Olympics)が挙げられる。
  2. ^ 当初はカナダケベックシティーでの開催が予定されていたものの、開催を中止した。

出典[編集]

  1. ^ デフリンピックの開催年次”. 全日本ろうあ連盟. 2013年6月27日閲覧。
  2. ^ CHINESE TAIPEI - Deaflympics
  3. ^ ソフィアデフリンピック、ついに開幕”. 日本ろうあ連盟 スポーツ委員会 (2013年7月27日). 2013年7月27日閲覧。
  4. ^ 第 23 回夏季デフリンピック競技大会(概要)”. 神奈川県 スポーツ局スポーツ課 (2013年8月5日). 2017年11月28日閲覧。
  5. ^ Caxias do Sul 2022” (英語). Deaflympics.com. 国際ろう者スポーツ委員会. 2022年9月5日閲覧。
  6. ^ デフリンピックの2025年夏季大会 東京で開催が決定 日本初”. 東京新聞 (2022年9月10日). 2022年9月10日閲覧。
  7. ^ a b Sports”. Deaflympics.com. 国際ろう者スポーツ委員会. 2022年9月5日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]