クアテロン礁

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クアテロン礁(1999年撮影)
クアテロン礁の埋め立て部分拡大図
南沙諸島における南シナ海周辺諸国の実効支配状況

クアテロン礁(クアテロンしょう、英語:Cuarteron Reef、ベトナム語Đá Châu Viên / 𥒥洲圓中国語: 華陽礁)は、南沙諸島にある暗礁である。クアルテロン礁とも表記される[1]

中華人民共和国実効支配し、中国人民解放軍海軍南海艦隊が駐留しているが、中華民国台湾)、ベトナムおよびフィリピン主権を主張している[2][3]

ベトナムが実効支配していたが、1987年5月に中国の国家海洋局南沙考察隊が領有を主張するための主権碑を建設[4]1988年スプラトリー諸島海戦(赤瓜礁海戦)では、中国人民解放軍がベトナム軍を攻撃し、クアテロン礁を含む6つの暗礁を奪った[5]

2014年には、中国がこの岩礁の埋め立てを開始していることがフィリピン軍によって確認されている[6][7]

2015年10月9日には、5月から建設されていた高さ50メートルの灯台の完成式典が中国交通運輸部によって行われ、運用を開始した[1][8][9]

2016年1月22日には、アメリカのシンクタンクのCSIS(戦略国際問題研究所)が、埋め立てられた人工島(面積約0.2平方キロメートル)に高周波レーダー設備とみられる施設が建設されていることを明らかにした[9][10]

2016年7月12日の常設仲裁裁判所による裁定で、国連海洋法条約における「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩」であり、排他的経済水域および大陸棚を有さない岩であると認定された[11][12]

地形[編集]

クアテロン礁の埋め立て部分で最長は約650mある[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ a b “【南シナ海問題】南沙諸島での灯台建設さらに進める 中国外務省”. 産経ニュース. (2015年10月10日). オリジナルの2015年10月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151012233022/http://www.sankei.com/world/news/151010/wor1510100043-n1.html 
  2. ^ 浦野起央. “南シナ海の安全保障と戦略環境(二・完)” (PDF). 日本大学法学部 政経研究第49巻第2号(2012年9月). pp. 35 - 46. 2016年11月5日閲覧。
  3. ^ “【緊迫・南シナ海】中国のレーダー設置、フィリピンやベトナムの反発必至”. 産経ニュース. (2016年2月23日). https://www.sankei.com/article/20160223-MUPOV72CKVOFXHQVIELHBRVWZI/ 2016年11月5日閲覧。 
  4. ^ 平松茂雄『甦る中国海軍』勁草書房、1991年、186ページ。
  5. ^ スプラトリー海戦から25年、中国がベトナム海軍を破った艦艇を展示 Record China、2013年3月15日
  6. ^ “中国の軍事施設か 南沙諸島に次々建設 比軍が撮影”. 朝日新聞. (2014年8月29日). オリジナルの2014年8月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140829234829/http://www.asahi.com/articles/ASG8Y4W3CG8YUHBI00Y.html 
  7. ^ “中国、岩礁埋め立てを活発化…建物にヤシの木も : 国際”. YOMIURI ONLINE. (2014年8月28日). オリジナルの2014年10月10日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/QT7FT 
  8. ^ “中国、スプラトリー諸島で灯台完成 船舶誘導施設も建設”. 産経ニュース. (2015年10月10日). https://www.sankei.com/article/20151010-WNWQ6PVHHRPJXPLJ5ECEWU5LI4/ 2016年7月24日閲覧。 
  9. ^ a b “中国 「主権の範囲」と正当化 南沙にレーダー建設”. 毎日新聞. (2016年2月23日). https://mainichi.jp/articles/20160224/k00/00m/030/083000c 2016年7月24日閲覧。 
  10. ^ “中国、人工島4島にレーダー施設 軍事拠点化浮き彫り、訪米の王毅外相と応酬も 警戒・監視能力躍進か”. 産経ニュース. https://www.sankei.com/article/20160223-LIIWNAVYBNOCXB3AR2YT2U3BQQ/ 2016年7月24日閲覧。 
  11. ^ “南シナ海、中国の「九段線」に法的根拠なし 初の国際司法判断”. 日本経済新聞電子版 (日本経済新聞社). (2016年7月12日). http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H5B_S6A710C1000000/?dg=1&nf=1 2016年8月10日閲覧。 
  12. ^ PH-CN-20160712-Award: PCA Case No.2013-19 In the matter of The South China Sea Arbitration (The Republic of The Philippines - The People's Republic of China)” (PDF) (English). PCA. pp. 174,259,260. 2016年8月10日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯8度53分00秒 東経112度51分05秒 / 北緯8.88333度 東経112.85139度 / 8.88333; 112.85139