イナフ・ズナフ

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イナフ・ズナフ
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 イリノイ州 ブルー・アイランド
ジャンル ハードロックヘヴィメタルパワー・ポップ
活動期間 1984年 -
レーベル アトコ・レコード
アリスタ・レコード
Stoney Records
公式サイト www.enuffznuff.com
メンバー チップ・ズナフ
トリー・シュトフレーゲン
アレックス・ケイン
ダン・ヒル
旧メンバー ドニー・ヴィー
ジーノ・マルティーノ
B.W. ボウスキー
デレク・フリーゴ
ヴィック・フォックス
リッキー・ペアレント
ランディ・スコット
エリック・ドナー
ジョニー・モナコ
ビートルズチープ・トリック

イナフ・ズナフ(Enuff Z'nuff[1])は、アメリカ合衆国イリノイ州ドニー・ヴィーとチップ・ズナフを中心に結成されたロックバンドチープ・トリックビートルズ等から影響を受けたパワー・ポップを指向しており、1989年にメジャー・デビュー。

来歴[編集]

結成〜1993年[編集]

1984年シカゴの近郊にあるブルー・アイランドで結成された。当時のバンド名は"Enough Z'Nuff"で、オリジナル・メンバーはドニー・ヴィーボーカル)、チップ・ズナフ(ベース)、ジーノ・マルティーノ(ギター)、B.W. ボウスキー(ドラムス)の4人。このラインナップで制作されたデモ音源は、後にアルバム『1985』としてリリースされることになる。その後、メンバー・チェンジを経てデレク・フリーゴ(ギター)とヴィック・フォックス(ドラムス)が加入し、1989年アトコ・レコードからメジャー・デビュー・アルバム『イナフ・ズナフ』を発表。同作は全米74位に達し[2]、「ニュー・シング」(全米67位)や「フライ・ハイ・ミッシェル」(全米47位)といったシングル・ヒットも生んだ[2]。ただし、彼らはいわゆる「ヘア・メタル」の一派と同類に見られがちとなり、バンド本来の持ち味であるパワー・ポップ的な音楽性は見過ごされることとなった[3]

次作『ストレングス』(1991年)は全米143位に達し[2]、収録曲「タイム・トゥ・レット・ユー・ゴー」は、ワイルドハーツ「アンセム」(1997年、シングル)やポール・ギルバート『ポール・ザ・ヤング・デュード〜ベスト・オブ・ポール・ギルバート+ギルバート・ホテル』(2003年)でカヴァーされた。しかし、その後バンドはアトコとの契約を失う。

バンドはアリスタ・レコードへ移籍して『アニマルズ・ウィズ・ヒューマン・インテリジェンス』(1993年)を発表。収録曲「ライト・バイ・ユア・サイド」は、ノルウェーのガール・ポップ・バンド、チューズデイ・ガールズのデビュー・アルバム『彼女はtuesday girl』(1995年)でカヴァーされた。しかし、アルバム制作後にはヴィック・フォックスがヴィンス・ニールに引き抜かれたため脱退し、後任ドラマーとしてリッキー・ペアレントが加入する。同アルバムは日本のオリコンでは49位[4]を記録するが、本国アメリカではチャート・インを果たせず、バンドはアリスタとの契約を失う。更に、かねてからドラッグの問題を抱えていたデレク・フリーゴも脱退。

1994年〜[編集]

残されたドニー・ヴィーとチップ・ズナフの2人は、チップ&ドニー名義のアルバム『ブラザーズ』(1994年)を、日本のアポロンから発表[5]。同作は、本国アメリカではしばらく発表されなかったが、1997年にはボーナス・トラックを追加して、イナフ・ズナフ名義のアルバム『Seven』としてアメリカ発売された。また、イナフ・ズナフのメジャー・デビュー前の音源を収録した『1985』(1994年)も発表。

バンド自体も、オリジナル・ギタリストのジーノ・マルティーノが復帰してインディーズで活動を再開[6]。ほどなく、ジーノに代わる新ギタリストとしてモナコが加入。この頃、ドニー・ヴィースティーヴ・スティーヴンスの共作による楽曲「SWEET MOTION」が、松井五郎により日本語詞を与えられて氷室京介のアルバム『I・DE・A』(1997年)に収録された。

アルバム『パラフェルネイリア』は1998年に日本で先行発売され、オリコン86位に達した[7]。同作にはリック・ニールセンチープ・トリック)とジェイムス・ヤング(スティクス)がゲスト参加した。1998年9月には、初の日本公演を行う[8]

2002年、ドニー・ヴィーはツアーへの不参加を表明し、ソロ活動を開始する。2004年にはドニーとチップの関係も修復され、メジャー・デビュー当時の4人が再び集まったアルバム『?』を発表するが、同作リリースを前にした2004年5月28日、デレク・フリーゴが急逝した[9]。その後、ジェイク・E・リーの加入も噂されるが、ジェイクはアルバム『ディソナンス』(2009年)のレコーディングに参加するのみにとどまり、バンドはトリー・シュトフレーゲン(ギター)とランディ・スコット(ドラム)の2人を加えてツアーを行う。

ディスコグラフィ[編集]

スタジオ・アルバム[編集]

  • イナフ・ズナフ - Enuff Z'Nuff(1989年)
  • ストレングス - Strength(1991年)
  • アニマルズ・ウィズ・ヒューマン・インテリジェンス - Animals With Human Intelligence(1993年)
  • トゥイークト - Tweaked(1994年)
  • Seven(1997年)
    • 日本では1994年にチップ&ドニー名義の『ブラザーズ』として発表された
  • パラフェルネイリア - Paraphernalia(1998年)
  • 10 - 10(2000年)
  • ウェルカム・トゥ・ブルー・アイランド - Welcome To Blue Island(2002年)
  • ? - ?(2004年)
  • ディソナンス - Dissonance(2009年)
  • ダイアモンド・ボーイ - Diamond Boy(2018年)

ライヴ・アルバム[編集]

  • ライヴ・ズナフ - Live(1998年)
  • ライヴ・アンド・ピース2009〜20thアニヴァーサリー・ライヴ・アット・クラブチッタ - Live and peace 2009 - 20th Anniversary Live at Club Citta'(2009年)

コンピレーション・アルバム[編集]

  • 1985 - 1985(1994年)
  • ピーチ・ファズ - Peach Fuzz(1996年)
  • フェイヴァリッツ〜ベスト・オブ・イナフ・ズナフ - Favorites (Greatest Hits)(2003年)
  • グレイテスト・ヒッツ - Greatest Hits(2009年)
  • Covered in Gold(2014年)
  • クラウンズ・ラウンジ - Clowns Lounge(2016年)

脚注[編集]

  1. ^ Enuff Znuffと表記される場合もある
  2. ^ a b c Enuff Z'nuff - Awards : AllMusic
  3. ^ Enuff Z'nuff - Enuff Z'nuff : AllMusic - Review by Michael Frey
  4. ^ イナフズナフ-リリース-ORICON STYLEミュージック(『アニマルズ・ウィズ・ヒューマン・インテリジェンス』)
  5. ^ ブラザーズ - チップ&ドニー - Yahoo!ミュージック
  6. ^ 日本では高い人気を維持していたため、アポロンポニーキャニオンキングレコードといったメジャー・レーベルを窓口としてアルバムが発売された
  7. ^ イナフズナフ-リリース-ORICON STYLEミュージック(『パラフェルネイリア』)
  8. ^ 『フェイヴァリッツ〜ベスト・オブ・イナフ・ズナフ』日本盤CD(PCCY-01688)ライナーノーツ(幅由美子、2003年11月15日)
  9. ^ 『?』日本盤CD(PCCY-01708)ライナーノーツ(増田勇一、2004年6月25日)

外部リンク[編集]