現役世代の年齢が上がるに伴い、中高年の学び直し(リスキング)に注目が集まっています。
そんな時に経済面でサポートしてくれる「教育訓練給付制度」ですが、「45歳以上でも利用できる?」「デメリットはないの?」と疑問をお持ちの方も多いはず。
そこで本記事では、教育訓練給付制度とはどんな制度か、45歳以上や50歳・60歳代以上でも利用できるか詳しく解説します。
▼この記事に書いてあること
教育訓練給付制度を在職中でも働きながら利用できるかなど、給付の条件や申請方法についても徹底解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
教育訓練給付制度は45歳以上でも利用できる?
厚生労働省による教育訓練給付制度は、45歳以上でも利用できます。
教育支援のための給付と聞くと、若者だけを対象にしているようなイメージを抱くかもしれませんが、教育訓練給付制度に関しては年齢制限はありません。
昨今では定年退職の年齢が引き上げられているため、現役世代も高齢化しています。
そんな中、40代からスキルアップやキャリアチェンジへ意欲を持つ方も増えており、リスキングに関心が高まっている現状です。

雇用保険に一定期間加入している方が対象ではありますが、転職や社内でのキャリアアップを検討している方はぜひ利用したい制度です。
50歳や60歳以上でもOK?
上述したように、教育訓練給付制度には原則年齢制限がなく、50歳や60歳以上の方でも問題なく利用できます。
定年後の再就職やスキルアップ、資格取得を目的とした講座が支援対象となっているため、中高年も積極的に活用することをおすすめします。
ただし、年齢以外に受給条件が設けられていますので、自分が該当するか確認しておくことが大切です。
教育訓練給付制度とは?
教育訓練給付制度とは、簡単に言うとスキルアップや資格取得のために開かれている講座の受講費用の一部を負担してくれる制度です。
厚生労働省が実施している雇用保険の給付制度であり、指定された教育訓練講座を受講し修了した場合、受講者が支払った費用の一部がハローワークから支給されます。(参考1):厚生労働省-教育訓練給付金
教育訓練給付制度はレベルに応じて3つの種類があり、支給される金額もそれぞれ異なります。
▼教育訓練給付制度の種類
| 制度の種類 | 対象講座の傾向 | 給付額 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 比較的短期間で 資格取得を目指す |
最大20% (上限10万円) |
| 特定 一般教育訓練 |
業務独占資格など、 実践的スキル取得を目指す |
最大40%支給 (上限20万円) |
| 専門実践 教育訓練 |
中長期的キャリアアップ、 看護師や社会福祉士等の専門資格、 大学院など |
最大80% (上限64万円) |

短期間でスキルアップできる講座から、中長期で専門的なスキルが取得できる講座まで幅広く用意されていますよ。
講座には平日実施の通学制だけでなく、オンラインや夜間休日に開講する講座など、働きながら受講できる講座もそろっています。
利用の条件は、「雇用保険に加入している期間」が基準となり、過去に加入していた方も該当するケースがあります。
教育訓練給付制度を申請できる講座は、厚生労働省が指定した講座のみが対象となるのでご注意ください。
教育訓練給付制度のデメリット
教育訓練給付制度は、転職やキャリアアップを考えている方にとって非常に有益な制度ですが、手続きの煩雑さなどから「めんどくさい」と感じる人も少なくないようです。
また、利用にあたって以下のデメリットや落とし穴があるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
①受給の条件がやや厳しい
教育訓練給付制度の対象となる受給条件は、原則として、受講開始日に雇用保険に加入している期間が3年以上ある方です。(参考2):内閣府-政府広報オンライン-教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します
つまりフリーランスや個人事業主、パート・アルバイト(週の労働時間が20時間未満)、学生等は対象外となります。
ただし、過去に雇用保険に3年以上加入していた方で、離職後1年以内であれば教育訓練給付制度を利用できます。
また、初めて制度を利用する方は、雇用保険加入年数が3年未満でも受給可能となるのでご確認ください。
②利用可能な講座に制限がある
教育訓練給付制度は、すべての講座が対象となるわけではありません。
厚生労働大臣の指定を受けていない講座や、民間資格のみのスクールで開講された講座は対象外です。
また、以下に例を挙げるように、制度の区分によって対象となる講座の傾向があります。
| 制度区分 | 代表的な対象講座 |
|---|---|
| 一般教育訓練 | 簿記、語学、OAスキル、FPなど |
| 特定一般教育訓練 | 社会保険労務士、税理士、行政書士、 大型運転免許など |
| 専門実践教育訓練 | 看護師、介護福祉士、保育士、 高度なITスキルなど |
一般教育訓練は比較的短期間で資格取得を目指す講座が多く、特定一般教育訓練は業務独占資格を取得する講座が指定されています。
専門実践教育訓練になると、専門学校や大学院などの専門課程の修了が必要になってくるケースもあり、気軽に利用できないところが注意点です。
③受講費用は先払いになる
教育訓練給付制度は、講座の受講終了後(または資格取得後)にハローワークへ申請することで、費用の一部が返金される制度。
よって受講費用は先払いとなるため、まず自分で全額負担しなくてはなりません。
講座によっては高額なものもあり、初期費用の負担が大きいことが一時的なデメリットと言えます。
ただし、教育訓練施設によっては、独自の教育ローンや分割払いを利用できる場合もあります。

費用面であきらめずに、まずはいろいろな学校の料金や支払いプランを比較してみることをおすすめします。
教育訓練給付制度の条件をわかりやすく解説!
教育訓練給付制度の対象者は、「雇用保険に加入している方(あるいは加入していた方)」です。
以下の表にあるように、初回利用時と2回目以降の利用時では、必要となる雇用保険加入期間が異なります。
▼教育訓練給付制度の基本的な条件
| 訓練の種類 | 加入期間(初回) | 加入期間(2回目以降) |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 1年以上 | 3年以上 |
| 特定一般教育訓練 | 1年以上 | 3年以上 |
| 専門実践教育訓練 | 2年以上 | 3年以上 |
離職後1年以内で雇用保険に加入していた方であれば、教育訓練給付制度の対象となります。
ただし、受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、いずれの教育訓練給付金も支給されないためご注意ください。
他にも、教育訓練給付制度の条件について気になる項目をピックアップしていますので、該当する方は合わせて確認してみましょう。
失業保険は併用できる?
教育訓練給付制度と失業保険(基本手当)は併用可能です。
失業保険を受給していても、教育訓練給付金が減額されることはありません。
自己都合によって退職した場合、通常、離職日から失業保険の支給対象日まで給付制限期間(1~3ヵ月)が設けられていますが、教育訓練を受ける場合はこの給付制限期間が解除されるというメリットがあります。(参考3):厚生労働省-令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
また、失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練を受ける場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途生活費を支援する「教育訓練支援給付金」の申請か可能です。
この場合、失業保険と教育訓練支援給付金とは併用できないため、教育訓練給付制度の訓練終了まで、失業保険の受給期間を最長2年延長できます。
育休中でも利用可能?
教育訓練給付制度は、育休中でも利用できます。
育休中に資格取得や語学学習などリスキングすれば、復帰後のキャリアアップにつながります。

教育訓練給付制度の指定講座は、通信教育やオンラインで受講できる講座も多数用意されているので、育児の合間に受講できますよ。
なお、育休中に雇用保険から支給が受けられる「育児休業給付金」という制度がありますが、教育給付金とは別の制度なので併用可能です。
公務員は制度が使えない?
教育訓練給付制度は、原則として公務員は利用できません。
「雇用保険に加入している方」が受給対象となるため、雇用保険に加入していない国家公務員や地方公務員は適用外です。
公務員がスキルアップ・研修したい場合の代替策としては、各自治体や機関が実施する専門的な研修制度や、職場(所属機関)の研修制度を利用する方法があります。
2回目は?何回までもらえる?
教育訓練給付制度は、2回目以降も申請すれば給付金を受け取れます。
利用回数に上限はありませんが、前回給付金が支給されてから3年以上経過している必要があります。
初回は雇用保険加入期間が1年以上(専門実践教育訓練は2年)で受給できますが、再受給の場合はさらに3年以上加入している必要があるのでご注意ください。

申請手続きや支給金額は、初回と2回目以降に違いはありませんよ。
離職後1年以上経ったらNG?退職後の条件
教育訓練給付制度は退職してからも利用できますが、原則として、離職後1年以上経過すると給付は受けられません。
ただし、離職後1年のうち、以下の理由で続けて30日以上、教育訓練の受講を開始できない場合は、特例として受講開始期間を延長できます。(参考4):厚生労働省-平成30年1月より険の教育訓練給付金について
▼期間延長の特例
- 妊娠・出産・育児
- 疾病・負傷
特例により最大20年まで延長可能ですが、延長理由が止んだ場合は、当初の適用対象期間(離職後1年)に受講を開始できない日数分を加えた期間が対象期間となるのでご注意ください。
教育訓練給付制度は在職中働きながらでも利用OK
教育訓練給付制度は、在職中(現在雇用保険に加入している方)でも利用できます。
このとき注意したいのが、教育訓練給付制度は自己負担額が対象となるため、会社補助分の受講料は対象外となることです。
受講者本人と会社がそれぞれの名義で分担して費用を支払った場合は、受講者本人が負担した額しか支給対象になりません。
会社から受講費用の一部を補助されている方は、ハローワークへ給付金の支給を申請する際に、会社から補助を受けた金額を申告する必要があります。
在職中の利用は会社にバレる?
教育訓練給付制度を在職中に利用しても、基本的に会社にバレることはありません。
手続きはすべて「個人とハローワーク」の間で行われるため、自動的に会社へ通知が届くことはないからです。
ただし、以下のケースでは、会社に知られる可能性があります。
- 事業主の証明書が必要な場合
- 会社の補助・制度を利用する場合
- 勤務時間中に受講する場合
一部の専門実践教育訓練では、「教育訓練の受講に関する事業主の証明書」が必要となる場合があり、この場合に限って作成を依頼の段階で会社にバレます。
他にも、会社が費用負担している場合も当然知られることになります。

しかし、ほとんどの方は個人でハローワークで手続きを行うことになりますし、給付金は非課税で給与に影響することもないため、バレるリスクはかなり低いでしょう。
教育訓練給付制度で45歳以上におすすめ!対象講座&資格一覧
教育訓練給付制度の対象講座で45歳以上におすすめなのは、転職や独立を視野に入れた、安定性・需要性が高いスキルが学べる講座です。
具体的には、以下の資格・スキルが学べる講座が挙げられます。
▼45歳以上におすすめの講座
| 分野 | おすすめの理由 | 資格・スキル |
|---|---|---|
| IT・AI | ・即戦力 ・高給 |
DX人材・AI データサイエンス プログラミング Webデザイン |
| 介護 医療 福祉 |
・永続的な需要 ・転職しやすい |
介護福祉士 保育士 看護師 |
| 経営 法律 不動産 |
・専門性 ・独立しやすい |
MBA(経営修士) 中小企業診断士 宅地建物取引士 行政書士 |
| 語学 | ・実用性 | TOEIC |
近年では、あらゆる業種・分野で生成AIに関する需要が高まっているため、非エンジニアであっても生成AIに関するスキルを学ぶ価値は十分にあります。

生成AIを含めたIT分野に関してはオンラインで受講できるスクールも多く、働きながらスキルアップできるため、これからの活躍に期待できる講座ですよ。
その他の教育訓練給付制度が使える代表的な対象講座や資格一覧も表にまとめていますので、参考にしてみてください。
- 一般教育訓練給付金の対象資格
- 特定一般教育訓練給付金の対象資格
- 専門実践教育訓練給付金の対象資格
▼一般教育訓練給付金の対象資格一覧
| 資格の種類 | 主な資格 |
|---|---|
| ビジネス 事務 |
・日商簿記検定(2級・3級) ・ビジネス実務法務検定 ・秘書検定 ・MOS |
| 語学 | ・TOEIC対策講座 ・英語検定対策講座 ・中国語検定対策講座 |
| IT | ・ITパスポート ・Webクリエイター能力認定試験 ・基本情報技術者試験 |
▼特定一般教育訓練給付金の対象資格一覧
| 資格の種類 | 主な資格 |
|---|---|
| 不動産 金融 |
・宅地建物取引士 ・FP技能検定 ・税理士 |
| 法律 行政 |
・行政書士 ・社会保険労務士 |
| 医療 福祉 |
・社会福祉士 ・登録販売者 ・介護職員初任者研修 |
| 運輸系 | ・大型自動車第一種免許 ・中型自動車第一種免許 |
▼専門実践教育訓練給付金の対象資格一覧
| 資格の種類 | 主な資格 |
|---|---|
| 医療 看護 |
・看護師 ・准看護師 ・歯科衛生士 |
| 福祉 | ・介護福祉士 ・社会福祉士 ・精神保健福祉士 ・保育士 |
| 美容 調理 |
・美容師 ・調理師 |
| キャリア支援 | ・キャリアコンサルタント |
| 専門学校 大学 |
・専門学校の課程 ・大学・大学院の課程 |
教育訓練給付制度の申請方法|在職中に手続き!
教育訓練給付制度は「いつまでに申請が必要」か、そして「給付金はいつもらえる」かなど、気になる申請方法の流れは以下の通りです。
▼教育訓練給付制度の申請の流れ
- 受講講座の申込
- 受講開始~修了
- ハローワークへ申請(修了1ヶ月以内)
- 給付金の振込(申請から1ヶ月後)
申請期限は訓練修了日の翌日から1ヶ月以内で、申請から約1ヶ月程度で指定口座に振り込まれます。
申請の際には、以下の提出書類をご用意ください。
▼申請時に必要な書類
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練給修了証明書
- 経費にかかる領収書
- 本人・住所確認書類
- 教育訓練給付金受給資格者証
(専門実践の場合)
教育訓練給付制度の申請は、原則として「対象講座の受講修了後」に本人の住所を管轄するハローワークで行います。
ただし、専門実践教育訓練など一部の講座では、受講開始前に「受給資格確認」の手続きが必要になるため、事前に確認が必要となります。
ハローワークで直接行う以外にも、電子申請(e-Gov電子申請)が可能です。
受講後1ヶ月過ぎた場合でも申請可能?
教育訓練給付制度を申請する権利は、受講修了後に1ヶ月過ぎたとしても消滅していません。
受講修了日の翌日から2年以内であれば、申請できる可能性があります。
申請期限(1ヶ月)を過ぎてしまった場合は、速やかに以下の対応を取ることをおすすめします。
- ハローワークに相談する
- 必要書類をそろえる
- できるだけ早く申請する
まずはハローワークに問い合わせて、自分の受給要件が有効かを確認してください。
有効であった場合、必要書類をそろえて速やかに申請手続きをします。
ハローワークによっては、なぜ1ヶ月を過ぎたのか理由を求められる場合があるため、慌てずに説明しましょう。
▼参考にしたページ一覧
(参考1):厚生労働省-教育訓練給付金
(参考2):内閣府-政府広報オンライン-教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します
(参考3):厚生労働省-令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
(参考4):厚生労働省-平成30年1月より険の教育訓練給付金について




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