linest 関数とは? わかりやすく解説

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LINEST 関数

適用対象: Microsoft Excel 2010, Excel Web App, SharePoint Online for enterprises, SharePoint Online for professionals and small businesses

 

内容

"最小二乗法" を使って指定したデータに最もよく適合する直線算出し、この直線記述する配列返すことによって直線補正項を計算します。LINEST 関数を他の関数と共に使用して多項式近似対数近似指数近似べき級数はじめとする不明なパラメーター内で線形近似を示す他の種類モデル統計計算することもできます。この関数は値の配列返すため、配列数式として入力する必要があります方法については、この記事の「使用例」の後に示します

直線次の方程式表されます。

y = mx + b

または

y = m1x1 + m2x2 + ... + b

これは、x の値が複数範囲にある場合適用されます (ここで、従属変数 y は独立変数 x の関数です)。m の値はそれぞれの x の値に対応する係数であり、b は定数です。y、x、および m はベクトル (1 次元配列) とすることもできます。LINEST 関数が返す配列は、{mn,mn-1,...,m1,b} となりますまた、回帰直線補正項も追加情報として返されます。

書式

LINEST(既知の y, [既知の x], [定数], [補正])

LINEST 関数の書式には、次の引数あります

書式

次のような回帰直線補正項が追加情報として返されます。

補正 説明
se1,se2,...,sen 係数 m1,m2,...,mn対す標準誤差の値です。
seb 定数 b に対す標準誤差の値です ("定数" が FALSE場合seb = #N/A となります)。
r2 確実度の係数です。予測される y の値と実際の y の値を比較して、0 から 1 の範囲数値計算します。この数値1 である場合標本に完全な相関関係存在することになります予測される y の値と実際の y の値の間に差異はありません。逆にこの係数の値が 0 である場合回帰直線演算式は y の値の予測にはほとんど役立ちません。r2 の計算方法については、「解説」を参照してください
sey 予測される y の値に対す標準誤差です。
F F 補正項または F 観測値。F 補正項を利用すると、独立変数従属変数の間で観察された関係が偶然によるものかどうか判定できます
df 自由度です。自由度利用すると、統計表の中で F の臨界値を見つけるのに役立ちます統計表の中で見つけた値と、LINEST 関数が返す F 補正項を比較すると、モデル信頼性度合い決めることができますdf計算方法については、後の「解説」を参照してください下記の「使用例 4」は、F と df使い方示してます。
ssreg 回帰平方和です。
ssresid 残余平方和です。ssreg と ssresid の計算方法については、後の「解説」を参照してください

次の図は、回帰直線追加補正項が返される順序示します

ワークシート

解説

傾き (m):
直線傾き (m) は、直線上の 2 点座標が (x1,y1)、(x2,y2) で表されるとき、(y2 - y1)/(x2 - x1) で計算できます

y 切片 (b):
直線の y 切片 (b) とは、直線y 軸と交わるときの y の値です。

直線の方程式y = mx + b表されます。m と b の値がわかれば、y または x の値をこの方程式代入して、直線上の任意の点の座標計算できます。この計算に、TREND 関数使用することもできます

傾き:
INDEX(LINEST(既知の y,既知の x),1)

y 切片:
INDEX(LINEST(既知の y,既知の x),2)

数式

数式

ここで、x は標本平均 "AVERAGE(既知の x)"、y は標本平均 "AVERAGE(既知の y)" です。

 メモ   Excel Web App配列数式作成することはできません。

=LINEST(yvalues, xvalues^COLUMN($A:$C))

この数式では、単一列の x 値と y 値を使用して次の形式立方体 (3 次多項式) の近似値計算できます

y = m1*x + m2*x^2 + m3*x^3 + b

この式を調整することによって、他の種類回帰分析計算できますが、出力値およびその他の統計値の調整必要になる場合あります

使用例

使用例 1: 傾きと y 切片

使用例新規ワークシートコピーすると、計算結果確認できます

表示その方法は?

  1. この記事使用例選択しますExcel Web App の例をコピーする場合は、セル1 つずつコピーして貼り付けます。

 重要   行見出しまたは列見出し選択しないでください

ヘルプから使用例を選択する

  1. Ctrl キー押しらながら C キー押します
  2. 空のブックまたはワークシート作成します
  3. ワークシートセル A1 を選択しCtrl キー押しながら V キー押しますExcel Web App使用している場合は、使用例セルごとにコピー貼り付け繰り返します

 重要   使用例正常に動作するためには、ワークシートセル A1 に貼り付ける必要があります

  1. 計算結果結果返す数式表示切り替えるには、Ctrl キーShift キー押しながら ` (アクサン グラーブ) キーを押すか、[数式] タブの [ワークシート分析] グループで [数式表示] をクリックします。

使用例は、空のワークシートコピーした後、ニーズ合わせて変更できます

A B C
既知 y 既知 x
1 0
9 4
5 2
7 3
数式 数式 計算結果
=LINEST(A2:A5,B2:B5,,FALSE) A7=2、B7=1

 重要   Excel デスクトップ アプリケーションでは、この使用例数式配列数式として入力する必要があります使用例新規ワークシートコピーした後、A7:B7セル範囲 (数式入力されているセル左上になる) を選択しますF2 キー押しCtrl キーShift キー押しながら Enter キー押します。この数式配列数式として入力されていない場合単一の値 2 のみが計算結果として返されます。

数式配列として入力されると、傾き (2) と y 切片 (1)返されます。

使用例 2: 変数の線形回帰

使用例新規ワークシートコピーすると、計算結果確認できます

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  1. この記事使用例選択しますExcel Web App の例をコピーする場合は、セル1 つずつコピーして貼り付けます。

 重要   行見出しまたは列見出し選択しないでください

ヘルプから使用例を選択する

  1. Ctrl キー押しらながら C キー押します
  2. 空のブックまたはワークシート作成します
  3. ワークシートセル A1 を選択しCtrl キー押しながら V キー押しますExcel Web App使用している場合は、使用例セルごとにコピー貼り付け繰り返します

 重要   使用例正常に動作するためには、ワークシートセル A1 に貼り付ける必要があります

  1. 計算結果結果返す数式表示切り替えるには、Ctrl キーShift キー押しながら ` (アクサン グラーブ) キーを押すか、[数式] タブの [ワークシート分析] グループで [数式表示] をクリックします。

使用例は、空のワークシートコピーした後、ニーズ合わせて変更できます

A B C
売上
1 3100
2 4500
3 4400
4 5400
5 7500
6 8100
数式 説明 計算結果
=SUM(LINEST(B2:B7, A2:A7)*{9,1}) 9 番目の月の売上予測します 11000

一般にSUM({m,b}*{x,1}) = mx + b となり、指定した x の値に対する y の値を予測計算できます。この計算に、TREND 関数使用することもできます

使用例 3: 多変数の線形回帰

ある不動産会社ビジネス街にある小規模オフィス ビル群の買収考えているとします

この不動産会社は、多変数の線形回帰分析使用して指定した地域オフィス ビル価格次の変数基づいて評価することができます

この使用例では、各独立変数 (x1, x2, x3, x4) と指定地域オフィス ビル評価額である従属変数 (y) との間に直線的な関係が成立するものと見なします。

この不動産会社は、1,500 にのぼる物件の中から 11オフィス ビル選択し次のようなデータ取得しました。"半分入口" とは通用口意味します

使用例新規ワークシートコピーすると、計算結果確認できます

表示その方法は?

  1. この記事使用例選択しますExcel Web App の例をコピーする場合は、セル1 つずつコピーして貼り付けます。

 重要   行見出しまたは列見出し選択しないでください

ヘルプから使用例を選択する

  1. Ctrl キー押しらながら C キー押します
  2. 空のブックまたはワークシート作成します
  3. ワークシートセル A1 を選択しCtrl キー押しながら V キー押しますExcel Web App使用している場合は、使用例セルごとにコピー貼り付け繰り返します

 重要   使用例正常に動作するためには、ワークシートセル A1 に貼り付ける必要があります

  1. 計算結果結果返す数式表示切り替えるには、Ctrl キーShift キー押しながら ` (アクサン グラーブ) キーを押すか、[数式] タブの [ワークシート分析] グループで [数式表示] をクリックします。

使用例は、空のワークシートコピーした後、ニーズ合わせて変更できます

A B C D E
床面積 (x1) オフィスの数 (x2) 入口の数 (x3) 築年数 (x4) 評価額 (y)
2310 2 2 20 142,000
2333 2 2 12 144,000
2356 3 1.5 33 151,000
2379 3 2 43 150,000
2402 2 3 53 139,000
2425 4 2 23 169,000
2448 2 1.5 99 126,000
2471 2 2 34 142,900
2494 3 3 23 163,000
2517 4 4 55 169,000
2540 2 3 22 149,000
数式
=LINEST(E2:E12,A2:D12,TRUE,TRUE)

 重要   Excel デスクトップ アプリケーションでは、この使用例数式配列数式として入力する必要があります使用例新規ワークシートコピーした後、A14:E18セル範囲 (数式入力されているセル左上になる) を選択しますF2 キー押しCtrl キーShift キー押しながら Enter キー押します。この数式配列数式として入力されていない場合単一の値 -234.2371645 のみが計算結果として返されます。

数式配列として入力されると、次の回帰直線補正項が返されます。このキー使用する目的統計量確認できます

回帰直線の補正項のキー

多変数の回帰方程式 y = m1*x1 + m2*x2 + m3*x3 + m4*x4 + b は、14 行目に表示されている値を使って次のように計算されます。

y = 27.64*x1 + 12,530*x2 + 2,553*x3 - 234.24*x4 + 52,318

床面積が 2,500 平方フィート3 つのオフィス備えた入口2 つある築 25 年オフィス ビルがあるとしますその評価額は次の方程式計算できます

y = 27.64*2500 + 12530*3 + 2553*2 - 234.24*25 + 52318 = $158,261

または、次の表をこの例のために作成したワークシートセル A21コピーすることもできます

床面積 (x1) オフィスの数 (x2) 入口の数 (x3) 築年数 (x4) 評価額 (y)
2500 3 2 25 =D14*A22 + C14*B22 + B14*C22 + A14*D22 + E14

評価額は、TREND 関数使って計算することもできます

使用例 4: F 補正項と r2 補正項の使用

使用例 3 では、確実度係数 r2 が 0.99675 という値になっており (LINEST の計算結果セル A17 を参照)、独立変数評価額との間に強い相関関係があることを示してます。F 補正項を利用すると、このように高い r2 の値が偶然の結果であるかどうか調べることができます

実際に変数間に相関関係など存在せず選択した 11オフィス ビルがたまたま特異な例であり、強い相関関係を示す統計分析もたらした仮定します。このように相関関係存在する誤って結論づける確率を "アルファ" と称します。

LINEST 関数の計算結果の F および df の値を使用して、より高い F 値偶然に発生する可能性評価できます発行されている F 確率分布表の臨界値と F 値比較するか、ExcelFDIST 関数使用して、より高い F 値偶然に発生する確率計算できます。F 確率分布には、自由度 v1 および v2ありますデータ要素の数が n のとき、定数TRUE指定する省略すると、v1 = n - df - 1 および v2 = df となります (定数FALSE指定すると、v1 = n - df および v2 = df となります)。Excel関数 FDIST(F,v1,v2) を使用して、より高い F 値偶然に発生する確率計算できます使用例 4 では、df = 6 (セル B18) および F = 459.753674 (セル A18) です。

α値 0.05、v1 = 11 - 6 - 1 = 4、および v2 = 6 とすると、F の臨界値は 4.53 です。459.753674 という F 値は 4.53 を大幅に超えているので、このように大きな F 値偶然に発生する可能性は非常に低くなります。α = 0.05 のとき、F 値臨界値 4.53 を超えると、既知の y と既知の x の間に関連がないという仮定成り立ちません。ExcelFDIST 関数使用して、この高い F 値偶然に発生する確率計算できます。FDIST(459.753674, 4, 6) = 1.37E-7 となり、これは非常に低い確率です。F 確率分布表の臨界値と比較するか、ExcelFDIST 関数使用すると、オフィス ビル評価額予測するうえで回帰方程式が有効かどうか判断できます。ここで、v1 および v2 には、前の段落計算した正しい値を使用することが重要です。

使用例 5: t 補正項の計算

もう 1 つ仮説検定を使うと、直線傾きを表すそれぞれの係数が「使用例 3」のオフィス ビル評価額予測に有効であるかどうか調べることができます。たとえば、築年数係数統計的に有意であるかどうか調べるには、-234.24 (築後年数の係数) を 13.268 (セル A15表示されている築後年数の係数についての標準誤差予測値) で除算ます。次の数式により、t の観測値計算できます

t = m4 ÷ se4 = -234.24 ÷ 13.268 = -17.7

t の絶対値十分に大き場合は、「使用例 3」のオフィス ビル評価額予測するうえで、直線傾きを表す係数が有効であると判断できます次に、t の観測値絶対値の一覧を示します

統計学教科書一覧表参照すると、自由度 6、アルファ 0.05 として、t の臨界値 (両側) は 2.447 であることがわかります。この臨界値は、ExcelTINV 関数使用して TINV(0.05,6) = 2.447 として計算することもできます。t の絶対値は 17.7 で臨界値の 2.447 よりも大きいため、オフィス ビル評価額予測するとき、築後年数が重要な変数であることがわかりますその他の独立変数についても、同様の方法統計的な有意性調べることができます次にそれぞれの独立変数対する t の観測値の一覧を示します

変数 t の観測値
床面積 5.1
オフィスの数 31.3
入口の数 4.8
築年数 17.7

これらの値の絶対値はすべて 2.447 よりも大きくなるため、回帰方程式すべての変数が、オフィス ビル評価額予測するうえで有効であることを確認できます




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