benzoic acidとは? わかりやすく解説

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安息香酸

分子式C7H6O2
その他の名称ドラシル酸、フェニルぎ酸ベンゼンカルボン酸、Benzoic acid、Dracylic acid、Phenylformic acid、Benzenecarboxylic acidベンゼンぎ酸、レタルデックス、Benzeneformic acid、ドラシクル酸、NA-9094、テン-プラス、Tenn-Plas、Retarder BA、Retardex、Salvo PowderSalvo Liquidサルボ-パウダーサルボ-リキッド
体系名:安息香酸


安息香酸

(benzoic acid から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/04 14:43 UTC 版)

安息香酸

安息香酸の結晶
識別情報
CAS登録番号 65-85-0 
PubChem 243
ChemSpider 238 
UNII 8SKN0B0MIM 
EC番号 200-618-2
E番号 E210 (防腐剤)
KEGG D00038 
MeSH benzoic+acid
ChEBI
ChEMBL CHEMBL541 
RTECS番号 DG0875000
バイルシュタイン 636131
Gmelin参照 2946
3DMet B00053
特性
化学式 C6H5COOH
モル質量 122.12 g/mol
示性式 C6H5COOH
外観 無色の結晶性固体
密度 1.32 g/cm3, 固体
融点

122.35 °C, 396 K, 252 °F ([2])

沸点

249 °C, 522 K, 480 °F

への溶解度 可溶 (温水)
0.34 g/100ml (25 °C)
THF, エタノール, メタノールへの溶解度 THF 3.37 M, エタノール 2.58 M, メタノール 2.91 M [1]
酸解離定数 pKa 4.21
屈折率 (nD) 1.5397
構造
分子の形 平面構造
双極子モーメント 1.72 D (ジオキサン溶媒中)
危険性
安全データシート(外部リンク) JT Baker
EU Index 掲載なし
主な危険性 刺激性あり
NFPA 704
1
2
0
引火点 121 °C, 394 K
発火点 570 °C, 843 K
関連する物質
関連するカルボン酸
関連物質 ベンズアルデヒド,
ベンジルアルコール,
塩化ベンゾイル
ベンジルアミン
ベンズアミド
安息香酸ベンジル
出典
ICSC
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

安息香酸(あんそくこうさん、: benzoic acid: Benzoesäure)は芳香族化合物であり、特に芳香族カルボン酸である。ベンゼン水素原子1個がカルボキシ基置換された構造を持つ。水に溶かすと酸性を示し、酸解離定数 pKa は 4.21 である。

安息香酸のカルボキシ基に対してオルト位の水素原子がヒドロキシ基に置換されると、サリチル酸となる。

抗菌静菌作用があるので、水溶性のナトリウム塩、安息香酸ナトリウム などは清涼飲料等の保存料として添加されている。酸型保存料の一種。殺菌作用はない(既に細菌などの増殖したものに対しては無効)。旧厚生省は安息香酸を天然に存在しない添加物に分類している[3]

発見と命名

ユストゥス・フォン・リービッヒフリードリヒ・ヴェーラーにより、1832年に構造決定がなされた。

安息香(ベンゾイン)は香料として用いられる樹脂の一種であり、この中に安息香酸のエステルが多いことからこの名がとられた。

製法

安息香酸はアルキル側鎖を1つ持つ芳香族(たとえば、トルエンエチルベンゼンクメンなど)を酸化することで得られる。この反応ではベンゼン環に隣接する水素-炭素間の結合が攻撃される。ベンジル位にC-H結合がない場合はベンゼン環が酸化される。 また、ベンズアルデヒドC6H5CHOの酸化によって得ることも出来る。

体内での代謝

安息香酸は、体内に取り込まれると肝臓にて代謝され馬尿酸となり尿として排泄される。

安全性に関する議論

2007年、英国食品基準庁は食品添加物と注意欠陥・多動性障害との関係を調査する為に二重盲検法による広域スクリーニングを実施した結果、数種類の合成着色料であるタール色素と、合成保存料の安息香酸ナトリウムを同時に摂取した群に相関を認めたという研究報告があり[4][5]、注意欠陥・多動性障害の子供は、安息香酸を保存料として使用されている食品は避けたほうがいいと勧告している[6]。しかし、欧州食品安全当局(EFSA)は同じ研究報告を評価し、観察された影響の臨床上の意義が不明なことや、研究結果の一貫性の無さ、小さなエフェクトサイズの意義が不明なこと、用量反応性の情報がないこと、食品添加物の行動への影響を誘発させる生物学的メカニズムが考えられないことを挙げ、ADIを変更する根拠にはならないとしている[7]

ドイツ連邦リスク評価研究所 (BfR) の報告によれば、清涼飲料水中に安息香酸とアスコルビン酸が共存する場合には微量のベンゼンが生成する可能性があり、生成量は pH、温度、他の不純物(主に金属イオンが影響するものと思われる)、紫外線の影響を受けるという[8][9]

ベンゼンの曝露は各種のガンや骨髄性白血病のリスクを高めるが、試験結果によればベンゼン濃度は最大でも 20 ppb 程度に留まり、BfRも現時点でのリスクは評価できないほど小さいとしている。

なお、ベンゼンの摂取許容量(時間加重平均濃度 1 ppm、40年曝露での白血病リスク増加はみとめられなかった)を定量的に考慮すると、直ちに健康被害が発生するとは考えづらい。

使用基準

日本の厚生省(当時)は、安息香酸の使用をキャビアマーガリン清涼飲料水シロップ及び醤油のみに認め、安息香酸ナトリウムの使用については、それらに加えて菓子製造に用いる果実ペースト及び果汁のみ認めており、使用量を設定している。[10]

脚注

  1. ^ Solubility of benzoic acid in organic solvents
  2. ^ Melting point of benzoic acid Archived 2011年10月26日, at the Wayback Machine.
  3. ^ 厚生省「表5 食品添加物の年齢別摂取量」マーケットバスケット方式による年齢層別食品添加物の一日摂取量の調査 (平成12年12月14日 厚生省) (日本食品化学研究振興財団)
  4. ^ Donna McCann et al "Food additives and hyperactive behaviour in 3-year-old and 8/9-year-old children in the community: a randomised, double-blinded, placebo-controlled trial" Lancet, 370(9598), 2007 Nov 3, pp1560-7. PMID 17825405
  5. ^ Schab DW, Trinh NH, "Do artificial food colors promote hyperactivity in children with hyperactive syndromes? A meta-analysis of double-blind placebo-controlled trials"] Journal of developmental and behavioral pediatrics 25 (6), 2004 Dec, pp423-34. PMID 15613992
  6. ^ Agency revises advice on certain artificial colours (英語) (Food Standards Agency)
  7. ^ EFSA evaluates Southampton study on food additives and child behaviour Archived 2008年12月1日, at the Wayback Machine.
  8. ^ BfRによる原著文献(ドイツ語) (PDF)
  9. ^ P30に国立医薬品食品衛生研究所安全情報部による日本語の摘要 (PDF)
  10. ^ 厚生省行政情報-食品添加物リスト-添加物使用基準リスト 1”. 2013年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年2月3日閲覧。


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