The Dancing Girl of Izuとは? わかりやすく解説

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伊豆の踊子

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/17 09:32 UTC 版)

伊豆の踊子』(いずのおどりこ)は、川端康成短編小説。川端の初期の代表作で、伊豆を旅した19歳の時の実体験を元にしている[1][2][3][4]。孤独や憂鬱な気分から逃れるため伊豆へ一人旅に出た青年が、修善寺湯ヶ島天城峠を越え湯ヶ野下田に向かう旅芸人一座と道連れとなり、踊子の少女に淡い恋心を抱く旅情と哀歓の物語。孤児根性に歪んでいた青年の自我の悩みや感傷が、素朴で清純無垢な踊子の心によって解きほぐされていく過程と、彼女との悲しい別れまでが描かれている[5]


注釈

  1. ^ 川端はその少し前、同級生の氷室吉平(文芸部)から伊豆旅行での湯ヶ島の話を聞かされていたという[17]。氷室吉平は一高の『校友会雑誌』に何かを投稿してみないかと最初に川端に勧めた人物でもある[18][19]
  2. ^ 例えば処女作『ちよ』では、〈自分が幽霊に見えて、自身さへ怖れます〉、〈霊どもに力で生き、動かされてゐる幻です〉と自身を語っている[16][24]
  3. ^ 後藤孟は、横浜電子工業部品を作る会社社長となった[23]
  4. ^ 函の図柄は、欄間のほか湯本館旅客の歯ブラシや歯磨き入れの丸い缶、湯ヶ島の火の見櫓。表紙・裏表紙には温泉湯や水をとおす筧や水槽、川中島にあるブランコなどが描かれており、踊子の櫛と山女と思われる魚の膳だけが赤に色付けされている。これらは川端滞在時に吉田が湯ヶ島を訪れて一晩でスケッチしたという[10]

出典

  1. ^ a b c d e f g h 「湯ヶ島での思ひ出」(草稿107枚、1922年夏)。『少年』内への引用作品。独影自命 1970, pp. 134–135, 137–138に抜粋掲載
  2. ^ a b c d e f g h i 「少年」(人間 1948年5月号-1949年3月号)。小説10 1980, pp. 141–256に所収。作家の自伝 1994に第5、6、7、9回分掲載
  3. ^ a b c 「『伊豆の踊子』成立考」(林武 1976, pp. 55–96
  4. ^ a b c 新感覚派――『文藝時代』の出発」(アルバム川端 1984, pp. 18–31)
  5. ^ a b c d 「三 出世作『伊豆の踊子』の慕情」(愛と美 1978, pp. 39–98)
  6. ^ a b c d e f 奥野健男「解説――鮮やかな感覚表現」(踊子・集英 1993, pp. 254–263)
  7. ^ 記者コラム「清流」 「誰も知らない」あなたの静岡新聞、2022年5月27日。
  8. ^ a b 「解題――伊豆の踊子」(小説2 1980, pp. 591–592)
  9. ^ a b c 馬場重行「伊豆の踊子」(事典 1998, pp. 49–53)
  10. ^ a b c 「『伊豆の踊子』の装幀その他」(文藝時代 1927年5月号)。評論5 1982, pp. 29–42、作家の自伝 1994に所収
  11. ^ a b 「梶井基次郎」(翰林 1934年9月号)。評論1 1982, pp. 321–325、一草一花 1991, pp. 175–177、随筆集 2013, pp. 249–252に所収
  12. ^ 梶井基次郎淀野隆三宛ての書簡」(昭和2年3月7日付)。梶井3巻 1966, pp. 243–245に所収。独影自命 1970, pp. 117–118に抜粋掲載
  13. ^ a b 「湯ヶ島の日々」(アルバム梶井 1985, pp. 65–83)
  14. ^ 「翻訳書目録――伊豆の踊子」(雑纂2 1983, pp. 649–651)
  15. ^ a b c d e 「『伊豆の踊子』論」(林武 1976, pp. 97–120
  16. ^ a b c d e f g h 勝又浩「人と作品――川端文学の源郷」(一草一花 1991, pp. 351–366)
  17. ^ 「第一章 出会い」(秀子 1983, pp. 5–44)
  18. ^ 「青春を語る―よき師、よき友に恵まれて―」(長谷川泉との対談)(『川端康成集〈現代日本の文学16〉』月報4 学習研究社、1969年11月)。愛と美 1978, pp. 193–210に所収
  19. ^ a b 「第一章 死の影のもとに――〈魔界〉の淵源 第五節 上京と伊豆への旅」(森本・上 2014, pp. 40–46)
  20. ^ 土屋寛『天城路慕情――「伊豆の踊子」のモデルを訪ねて』(新塔社、1978年11月)。森本・上 2014, pp. 158–161、小谷野 2013, pp. 93–94, 100
  21. ^ a b 川端香男里「川端康成の青春――未発表資料、書簡、読書帳、『新晴』(二十四枚)による―」(文學界 1979年8月号)。森本・上 2014, pp. 158–159
  22. ^ 森晴雄「川端康成 略年譜」(太陽 2009, pp. 161–165)
  23. ^ a b c d e 「第二章 文壇へのデビュー――出世作『伊豆の踊子』」(実録 1992, pp. 52–55)。文学大系 1990に抜粋掲載
  24. ^ a b 「ちよ」(校友会雑誌 1919年6月18日・第277号)。小説21 1980, pp. 9–26、初恋小説 2016, pp. 289–309に所収
  25. ^ a b c 佐藤勝「『伊豆の踊子』論」(作品研究 & 1969-03, pp. 65–83)
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m 「一草一花――『伊豆の踊子』の作者」(風景 1967年5月-1968年11月号)。独影自命 1970, pp. 355–409、評論5 1982, pp. 207–264、一草一花 1991, pp. 283–350、随筆集 2013, pp. 325–403に所収
  27. ^ a b c d 橋本治「鑑賞――『恋の垣根』」(踊子・集英 1993, pp. 264–272)
  28. ^ 「あとがき」(『川端康成全集第5巻 虹』新潮社、1949年3月)。独影自命 1970, pp. 101–128に所収
  29. ^ a b c 「あとがき」(『川端康成全集第6巻 雪国』新潮社、1949年6月)。独影自命 1970, pp. 129–147に所収
  30. ^ 「第二章 新感覚派の誕生――文壇への道 第四節 〈孤児〉からの快癒『伊豆の踊子』」(森本・上 2014, pp. 125–160)
  31. ^ 「篝火」(新小説 1924年3月号)。小説2 1980, pp. 83–104、初恋小説 2016, pp. 100–123、作家の自伝 1994に所収
  32. ^ 「南方の火」(『川端康成全集第2巻 温泉宿』新潮社、1948年8月)。小説2 1980, pp. 493–544、初恋小説 2016, pp. 35–99に所収
  33. ^ a b c 川嶋至「『伊豆の踊子』を彩る女性」(上・下)(北海道大学国文学会 国語国文 第18・19号、20号、1961年3月、12月)。「第三章 精神の傷あと―『みち子もの』と『伊豆の踊子』―」(川嶋 1969, pp. 65–111)
  34. ^ 川西政明「解説」(随筆集 2013, pp. 465–481)
  35. ^ この宿は、2018年現在も存在している。http://www.yumotokan-izu.jp/
  36. ^ 「伊豆行――落花流水」(風景 1963年6月号)。『落花流水』(新潮社、1966年5月)、随筆3 1982, pp. 216–219、随筆集 2013, pp. 118–122
  37. ^ 川端康成「あとがき」(踊子・岩波 2003)。評論5 1982, pp. 628–636
  38. ^ a b c 竹西寛子「川端康成 人と作品」(踊子・新潮 2003, pp. 179–187)
  39. ^ a b c d e f g 北野 2007
  40. ^ a b c カール・グスタフ・ユング「コレー像の心理学的位相について」(『神話学入門』カール・ケレーニイとの共著・杉浦忠夫訳。晶文社、1975年5月。晶文社オンデマンド選書、2007年1月)。ISBN 9784794910769
  41. ^ a b c d 三島由紀夫「『伊豆の踊子』について」(踊子・新潮 2003, pp. 188–194)。「『伊豆の踊子』『温泉宿』『抒情歌』『禽獣』について」として三島27巻 2003, pp. 317–322に所収
  42. ^ 「永遠の旅人――川端康成氏の人と作品」(別冊文藝春秋 1956年4月・51号)。三島29巻 2003, pp. 204–217に所収
  43. ^ a b 高本 1997
  44. ^ a b c d e f g 三川 1998
  45. ^ a b 天城の自然10選と探索マップ”. 伊豆の国市観光協会. 2021年12月19日閲覧。
  46. ^ 「『伊豆の踊子』と新文学碑」(図書新聞 1981年5月23日号)論考 1991, pp. 672–674に所収
  47. ^ a b 「第一編 評伝・川端康成――回帰」(板垣 2016, pp. 97–110)
  48. ^ 「昭和8年」(80回史 2007, p. 21)
  49. ^ 「昭和8年」(85回史 2012, p. 24)
  50. ^ 「あ行――伊豆の踊子」(なつかし 1989
  51. ^ 「美空ひばり――伊豆の踊子」(なつかし2 1990, p. 112)
  52. ^ 「『伊豆の踊子』――作者とヒロイン」(別冊小説新潮 1963年7月15日号)。評論5 1982, pp. 190–191に所収
  53. ^ 「付録写真」(踊子・集英 1993
  54. ^ 川端, 康成、Benl, Oscar『Die Tänzerin von Izu ; Tausend Kraniche ; Schneeland ; Kyoto : ausgewählte Werke』Carl Hanser、1968年https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA08713409 
  55. ^ 恒川茂樹「川端康成〈転生〉作品年表【引用・オマージュ篇】」(転生 2022, pp. 261–267)





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