ピー‐シー‐ピー【PCP】
読み方:ぴーしーぴー
《Pneumocystis pneumonia》⇒ニューモシスチス肺炎
ニユーモシスチス肺炎の治療
【治療】(1)ST合剤:15mg/Kg/日を4回に分ける、(2)ST合剤の注射(=4アンプル)、治療期間は14~21日。(3)イセチオン酸ペンタミジン:4mg/Kgを日に1回点滴静注、14~21日間。(4)軽症の場合はエアロゾル化したペンタミジン(600mg)を1日に1回、21日間吸入させる。(5)もし動脈血の酸素濃度が70mmHg以下であれば、プレドニソロンを40mg/日加える。上記以外の薬としてはトリメトプリム+ダプソンの組み合わせ、クリンダマイシン+プリマキンの組み合わせ、アトバコン(厚生省のエイズ治療薬研究班が確保)が試みられている。
【予後】 有効率は70~80%、再発率は20%。ST合剤を2錠/日の内服、あるいはペンタミジン(300mg/回/月)の吸入で再発予防ができる。補助酸素療法をしないと生存率は15~20%に下がる。AZTが登場する前の平均生存期間は36週間であったが、現在は21ケ月に伸びている。
【予防】 免疫能が低下すると高率に発生するので、CD4数が200/μL以下になるとST合剤の内服(毎日or週3日)や、ペンタミジンの静注、吸入などで予防する。ST合剤が最も良い。CD4数が200/μL以上を3ヶ月以上維持できれば、予防治療は中止できる。
ニューモシスチス肺炎
(Pneumocystis pneumonia から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/01 13:07 UTC 版)
ニューモシスチス肺炎(ニューモシスチスはいえん、Pneumocystis pneumonia、PCP)は、酵母様真菌であるニューモシスチス・イロベチイ (Pneumocystis jirovecii) によって引き起こされる肺炎である。正常な免疫能力を持つ場合発症することは希であり、化学療法やステロイド剤長期内服、後天性免疫不全症候群(AIDS)などによる免疫低下時に発症する、日和見感染症の一つである。以前はプネウモキスチス・カリニ(ニューモシスチス・カリニ Pneumocystis carinii)による肺炎とされ、「カリニ肺炎」と呼ばれた。しかし、ラットから見つかったニューモシスチス・カリニ(「カリニ」は病原体発見に貢献したアントニオ・カリニにちなむ)と、ヒトで肺炎をおこすニューモシスチスは異なる種類であることが判明し、ヒトに病原性をもつニューモシスチスは、1952年にニューモシスチスが肺炎を起こすことを報告したチェコの寄生虫学者オットー・イーロヴェッツへの献名である Pneumocystis jirovecii に命名し直され、これによる肺炎はニューモシスチス肺炎に名称変更された。なお略号はニューモシスチス・カリニ肺炎の時の略号のまま、PCPを用いる(Pneumocystis cariniii pneumoniaの略からPneumocystis pneumoniaの略となった)。
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- 1 ニューモシスチス肺炎とは
- 2 ニューモシスチス肺炎の概要
- 3 免疫学
- 4 治療
- 5 予防
- 6 脚注
- Pneumocystis pneumoniaのページへのリンク