Nanking (1938 film)とは? わかりやすく解説

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南京 (戦線後方記録映画)

(Nanking (1938 film) から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/07 14:52 UTC 版)

南京』(なんきん)は、1938年2月20日、東宝映画により公開された映画である。制作中に陸軍省、海軍省の後援を得たものであり、企画意図からして,必ずしも自覚的に国家宣伝=プロパガンダが目ざされていたわけではなかったが、実際には戦争の苛酷な現実が国家宣伝=プロパガンダへの道を開いていったという説がある[1]日中戦争における南京戦終了直後の南京城内外の様子を撮影している。


注釈

  1. ^ 1937年12月28日に赤十字看護婦が南京に到着した[7]
  2. ^ 「午後五時南京に入城す。銃声激し。敗残兵の掃蕩ならん。中山路交通銀行に特務機関と共に、軍特務部を設置され、我々もこゝを宿舎と定む。」[14]
  3. ^ 「食ふことより先づ撮影だ。早朝飛び出す。西も東も解らないのに挹江門に至つた。凄惨、例へんかたなく、戦争に負けた國の街が、こんなになるんだ。掃蕩は至るところで行はれてゐる。こゝに書けない様な生々しいことがやられるし、我々が負けたら、我々の兄弟が、父母や子供が、こんな惨めさに逢ふのだ。恐ろしいことだ。どんな犠牲を拂つても、どんな事をしても、戦争には絶對に負けられない。蔣介石の抗日教育がこの悲劇を生んだのであらう」[15]
  4. ^ 「聖戦四ケ月、こゝに輝く戦果を収めて、今日栄えある雄渾壮麗な入城式並に閲兵、国旗掲揚、皇居遥拝等、世界に燦たる歴史が我々の手によつて、永久に記録されるのだ。現在、日露戦争時代の奉天入城式、又は乃木大将とステツセル将軍の水師営の会見等の同時撮影のフイルムが有れば国宝的存在である。我々のそれも皇軍の輝く戦果と共に未来永劫記念されるでありませう。」[14]
  5. ^ 「國民政府においてきぼりに逢つた三十萬の避難民を撮りに行く。非常に哀れである。兵隊さんが子供を探してあるいてキヤラメルをやつてゐる。美しい風景だ。皇軍の有難さが解つたのか、我々にまで丁寧なる敬禮する」[17]
  6. ^ 「経理部長報道班の少佐と共に水道廠の建設を撮影に行く」[18]
  7. ^ 「支那捕虜への施療状況を軍医部長指揮にて同時撮影す」[19]
  8. ^ 「自由に、奔放に、よき場面が同時撮影出来る」とある[14]
  9. ^ この時期には「新聞掲載事項許否判定要領」(1937年9月9日、陸軍省報道検閲係制定)に基づく陸軍の検閲制度が存在し、その検閲をパスしなければ報道・上映ができなかった。具体的には以下のものが「掲載を許可せず」となっていた。「四 左に列記するものは掲載を許可せず (12)我軍に不利なる記事写真 (13)支那兵または支那人逮捕尋問等の記事写真中、虐待の感を与える虞(おそれ)あるもの (14)惨虐なる写真、ただし支那兵または支那人の惨虐性に関する記事は差し支えなし 五 映画は本要領に準じ検閲するものとす」[31]

出典

  1. ^ a b 原田健一占領とプロパガンダ : 木村伊兵衛の上海・南京」『人文科学研究』第142巻、新潟大学人文学部、2018年3月、80頁、ISSN 04477332 
  2. ^ 土本典昭「亀井文夫・『上海』から『戦ふ兵隊』まで」 『講座日本映画5 戦後映画の展開』岩波書店、1987年 所収、330ページ
  3. ^ 藤井仁子「上海・南京・北京―東宝文化映画部〈大陸都市三部作〉の地政学」 岩本憲児・編『日本映画史叢書② 映画と「大東亜共栄圏」』森話社、2004年 所収、111ページ
  4. ^ 松尾一郎「映画「南京」の空白の《10分間》映像が語る中国の大ウソ」『正論』4月号
  5. ^ 戦線後方記録 映画「南京」 高画質完全版70分 "Record of Battile of Nanking" 20 Feb 1938 High Quality Ver
  6. ^ a b c d 映画『南京の真実』公式サイト
  7. ^ 米沢秋吉「南京 撮影日誌」 『映画と演芸』15巻3号、1938年
  8. ^ 南京攻略戦後の宣撫工作記録では「安居の証」( 南京事件資料集 「南京特務機関」
  9. ^ a b 藤井、114ページ
  10. ^ 土本、331ページ
  11. ^ 新映画評 南京、『東京朝日新聞』1938年2月23日付朝刊、二面)。
  12. ^ 藤井、113ページ
  13. ^ 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」12月13日
  14. ^ a b c 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」
  15. ^ 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」12月15日
  16. ^ 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」12月16日
  17. ^ 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」12月24日
  18. ^ 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」12月31日
  19. ^ 米沢 前掲資料「南京 撮影日誌」1月2日
  20. ^ 藤井、115ページ
  21. ^ 土本、330 - 331ページ
  22. ^ 佐藤真『ドキュメンタリー映画の地平(上)』凱風社、2001年、171 - 172ページ
  23. ^ 白井茂『カメラと人生―白井茂回顧録』ユニ叢書、1983年、137 - 138ページ
  24. ^ Amazon.co.jp (キネマ旬報社 データベースより)
  25. ^ 野田真吉『日本ドキュメンタリー映画全史』〈現代教養文庫社会思想社、1984年、86ページ
  26. ^ 土本、329 - 332ページ
  27. ^ 佐藤、171 - 172ページ
  28. ^ 藤井、113 - 116ページ
  29. ^ 産経新聞1998年12月13日
  30. ^ 下記外部リンク「映画「南京」から見えるもの」
  31. ^ 『不許可写真1』毎日新聞社、1998年。南京事件調査研究会・編『南京大虐殺否定論13のウソ』柏書房、1999年。笠原十九司『南京事件論争史』平凡社新書、2007年)
  32. ^ 笠原十九司「南京大虐殺はニセ写真の宝庫ではない」 南京事件調査研究会・編『南京大虐殺否定論13のウソ』柏書房、1999年 所収、232 - 233ページ


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