M-3SII
名称:M-3SII/M-3S2
打ち上げ国名・機関:日本/宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
開発機関・会社:宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
運用機関・会社:宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))
打ち上げ場所:鹿児島宇宙空間観測所(KSC)
運用開始年:1985年
運用終了年:1995年
ミュー・ロケットシリーズの第4世代となるM-3SIIロケットは、宇宙科学研究所(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))が中心となって開発された3段の固体燃料ロケットです。1981年から開発が始められ、1985年1月8日に日本で最初の惑星間探査機である「さきがけ」と「すいせい」を打ち上げました。これは、世界の宇宙開発史上初の「固体燃料ロケットによる地球脱出」という偉業です。その後、超新星からのX線をキャッチした「ぎんが」、オーロラ観測の「あけぼの」、わが国で初めて月に向かった「ひてん」、太陽の姿をX線でとらえている「ようこう」、宇宙空間の星・銀河をX線観測して銀河誕生の謎に迫っている「あすか」と、執と重要な衛星を打ち上げ、宇宙科学の分野に大きく貢献してきました。しかし、平成8年度からは、科学衛星打ち上げ用ロケットとして新たに開発された大型のM-V型ロケットが用いられ、M-3SIIは1995年で運用を終了しています。
1.どんな形をして、どんな性能を持っているの?
M-3SIIロケットは、全段完全誘導制御機能を備えた3段式のロケットで、全長は約27.8m、直径は約1.41m、重量は約61tあります。地球を回る低軌道に約770kgの衛星を打ち上げる能力を持っていて、これは前機種のM-3Sに比べて、約2.66倍の打上げ能力です。第1段はM-3Sと同じですが、第2段・第3段は新たに設計・製作されています。さらに、打上げ能力を向上させるために補助ブースタが取り付けられ、第1段燃焼中のロール制御をおこなうために可動ノズルが新しく開発されました。
2.打ち上げや飛行の順序は、どうなっているの?
1985年に、惑星間試験探査機「さきがけ」と、本格的なハレー彗星探査機「すいせい」を打ち上げたのを皮切りに、1987年にX線天文衛星「ぎんが」、1990年にオーロラ観測衛星「あけぼの」、1991年に工学実験衛星「ひてん」、1992年に太陽観測衛星「ようこう」、1994年にX線天文衛星「あすか」と、さまざまなタイプの科学衛星が打ち上げられてきました。
3.どんなものを打ち上げたの?
惑星間試験探査機「さきがけ」、ハレー彗星探査機「すいせい」、X線天文衛星「ぎんが」、オーロラ観測衛星「あけぼの」、工学実験衛星「ひてん」、太陽観測衛星「ようこう」、X線天文衛星「あすか」を打ち上げました。
4.どのくらい成功しているの?
1985年の1号機による「さきがけ」の打ち上げから、1994年の7号機による「あすか」の打ち上げまで、発射のすべてに成功しています。「さきがけ」や「すいせい」を地球の重力圏の外に運んだり、わが国で初めて月に科学衛星を向かわしたりしています。
また、1985年の8号機による「エクスプレス」の打ち上げは失敗しています。
5.この他に、同じシリーズでどんな機種があるの?
1971年以来、ミュー・ロケットシリーズは、多くの科学衛星を打ち上げてきました。第1世代は、4段式で重力ターン方式を採用したM-4Sです。第2世代は3段式のM-3Cです。M-3Cには、2段目にTVC(推力方向制御)装置とサイドジェット装置が装備されました。その1段目を長くして運搬能力を高めたのがM-3Hです。第3世代は3段式のM-3Sで、このロケットでは1段目にTVC装置を導入しました。1段目以外を新規に開発した3段式のM−3SIIは第4世代になります。そして、1997年には大幅な大型化を達成した第5世代のM−Vが登場しました。
※参考文献/大澤弘之・監修「日本ロケット物語」三田出版会、斎藤成文・著「日本宇宙開発物語」三田出版会、山中龍夫・的川泰宣・著「宇宙開発のおはなし」日本規格協会
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