シビック
シビック/ シビック・フェリオ
シビックとは英語で市の、市民の、公民のという意味。あらゆる人々のクルマ、世界市民のベーシックカーというところから付けた名前だった。1972年7月に初代がデビュー。2ドアで2ボックス、トランクのある(ハッチバックではない)ボディで、エンジンは1169ccの直4・60psと69psがあった。9月、2ドアGLと3ドアハッチバック車を追加。73年5月には2速AT車、12月には1.5Lエンジンの4ドアセダンと、50年排ガス規制を満たす1.5LのCVCCエンジンを採用した。この低公害エンジンは世界に先駆けたもので、1488ccから最高出力65ps/5500rpm、最大トルク10.5kg-m/3000rpm(EC型)を発生。一方、ハイパワー・高速性能を望む声にこたえて、74年10月にはRSというモデルを設定した。ツインキャブ仕様の1189ccユニットは76ps/6000rpmの性能を示し、ワイドタイヤを装着、最高速度160km/hを公称。RSとは、普通ならレーシング・スポーツというところだが、ロード・セーリングと呼称した。
76年10月、1.5Lエンジンの出力を70psから73psにアップした。77年9月には1500・5ドアハッチバック車や1200・3ドアGLⅡ-5などを追加、バリエーションが増えた。同時にフロントグリル、バンパー、テールランプを新デザインにした。78年6月、1.2Lエンジンを1.3Lに置き換え、同時に5ドアハッチバック車を設けた。1.5Lモデルにはラジアルタイヤを標準化した。
79年7月、2代目登場。スーバーシビッグと呼称。すべてハッチバックボディとなり、3ドアと5ドアがあった。エンジンは1.3Lと1.5Lで、むろん駆動方式はFF。80年1月、1500・5ドアをベースにつくったカントリーを発売。シビック初のワゴン車だった。同時にシリーズ最高級モデルEXを新設定した。6月、1300ccエンジンがCVCCⅡになり、ATはOD付き3速に進化。8月、1.5LユニットもCVCCⅡになった。9月、4ドアセダンが出現した。シビック初のボディタイプで、1.5Lエンジンを載せた3ボックス車。81年10月、全車のヘッドランプを丸から角型に変更。グリル、バンパーも変えた。
83年9月、ワンダーシビックと称した3代目がデビューした。画期的だったのは、3/5ドアハッチバック、4ドアセダン、4ドアワゴンシャトルの3タイプがあって、そのアウターパネルが3車で異なるという点にあった。エンジンはCVCCの1.3Lと1.5の2種。3ドアハッチバックは9月から、そのほかのタイプは10月からの発売だった。
84年10月、3ドアハッチバック車にパワーステアリング仕様を設定。11月には3ドアハッチバック車にSiというモデルを追加した。1.6L・DOHCエンジンを載せたスポーティ型で、ミッションは5速MTとロックアップ付き3速ATがあった。ワゴンのシャトルにもパートタイム式4WD車を設けた。85年9月、マイナーチェンジとともに全車に4速ATを導入。3ドアにエアダム一体バンパーを採用、5ドアシャトルはグリルの変更などがあった。
87年9月、フルモデルチェンジ。4代目グランドシビックとなった。ひとまわり大きくなったが、ボディバリエーションは変わらず、エンジン構成も不変だった。10月にはリアルタイム4WD仕様をシャトルのみならずセダンにも設定、発売。
88年8月には、ブレーキング時に後輪からのトルクが前輪へいくのをカットするクラッチを設けたインドラック4WDを上位車に採用した。ALBを4WD車以外にも装備。
89年9月、3ドアハッチバック用1.6L・DOHCスポーツエンジンがVTECとなった。可変バルブタイミング・リフト機構というメカニズムをもつエンジンだった。
5代目はスポーツシビックと呼び、91年9月にフルモデルチェンジした。セダンはフェリオ(休日という意味のエスペラント語)という名称になり、新規になったが、シャトルは従来モデルを継続生産。
93年2月、アメリカエ場製のクーペを輸入・発売。9月、従来モデルに助手席用エアバッグを追加、両席ともオプションで選択できるようになった。
95年9月、6代目にチェンジ、俗にミラクル・シビックと呼ぶシリーズに変わった。3ドアハッチバックと4ドアセダン・フェリオが新しくなった。エンジンは1.3L、1.5L、1.6Lの3種類に、6仕様があった。最強は1.6L・DOHCのスポーツエンジンで170psをマークした(AT用は155ps)。トルコンATのほか、マルチマチックと呼ぶ無断変速オートマチックCVTを初めて導入した。金属ベルトはオランダのヴァン・ドールネ社から供給を受けた。駆動方式はFFがメインだが、デュアルポンプ4WDを新たに採用した。
96年1月、アメリカ製クーペがフルモデルチェンジ。9月、運転席・助手席SRSエアバッグを装備したほか、ABSのオプション設定を拡大した。
97年2月、フェリオにLEV新設定。排ガス中の有害物質を従来の10分の1に減らす、1.6Lのガソリンエンジンを実用化、搭載した。
97年8月、ホットモデルタイプRを追加。3ドアの車高を15mm下げ、前後アンダースポイラー、リヤスポイラーを装着。室内は赤で、レカロ製バケットシートやモモのステアリングホイールなどがスペシャルを物語った。もちろん、サスペンションもハードにセッティング。エンジンは1.6L4気筒・DOHC・VTECの185ps(無鉛プレミアムガソリン)仕様を搭載。ミッションは5速MT、駆動はFFだった。12月、天然ガス自動車のフェリオを発表。1.6Lの専用エンジンVTEC-Eを積み、4速ATと組み合わせた。98年6月から発売を開始した。
98年9月、LEVタイプを増やし、フェリオのスポーティ版Vi-RS(1.5Lエンジン)を追加。既存モデルはボディ前後のデザインを改め、室内ではインパネまわりに手を入れた。1.5Lエンジン用CVTホンダマルチマチックはプロスマテック制御となり、パワーステアリングは特性を切り替えるタイプに進化した。
2000年9月、7代目となった。ハッチバックのシビックというと2ドアを連想するが、新型では5ドアだけとなり、セダンは4ドアのフェリオを継承した。エンジンは1.5Lが3チューン(通常型、VTEC型、VTECリーンバーン型)あり、ほかに1.7LVTECを新設定。いずれも優-低排出ガスの認定を受けた(FF車)。ミッションは5速MTのほかホンダマルチマチックS・CVTと電子制御4速ATを車種により使い分けた。シフトレバーはシビックがインパネ型ジグザグゲート、フェリオはフロアタイプを採用。4WD仕様もあり、ホンダ独自のデュアルポンプ方式だった。4WD車のフロアが低いことも注目点。サスペンションは新設計で、フロントはマクファーソン・ストラットに変わった。パワーステアリングは新たに電動式を採用。
天然ガス自動車のモデルチェンジが2001年2月にあり、3ボックスのニューシビックフェリオのボディに変わった。エンジンも1.6Lから1.7Lにアップ、ミッションは4速ATから無段変速AT・ホンダマルチマチックSに変わり走行性能が向上、一充填で約380kmの走行が可能になった。価格は205万円。
また、2001年12月には、4ドアセダンベースのハイブリッド車を世に送り出した。最新の1.3Li-DSI気筒休止VTECエンジンを主動力とし、必要に応じてモーターがアシストするホンダIMAシステムを搭載。モーターアシスト機構は、薄型DCブレスレスモーター、Ni-MHバッテリー、パワーコントロールユニットからなる。ミッションはホンダマルチマチックSを使うが、5人乗り量産ガソリン車としては脅威の29.5km/Lの低燃費を実現した。価格は209万円。
その間、2001年10月、全モデルのマイナーチェンジを実施すると同時に、イギリス生産の新型タイプRを発売した。215psの2.0Li-VTECエンジンと6速クロスレシオミッションを組み合わせ、インテリアではレカロ製バケットシートやモモ製本革巻き3本スポークステアリングホイールを装備、シリーズ最強を誇る。一方、国内製は全タイプのドアのインナーハンドルとエアアウトレットノブのめっき化、センターパネル塗装色の変更などを行い、一部車種では超-低排出ガス認定を取得した。
2002年10月、全モデルの装備充実と内装関係の改良をはかった。共通項としては、電波式キーレスエントリーシステムのアンサーバック機能新採用。フェリオとハイブリッド車には、AM/FMチューナー付きCDプレーヤー+4スピーカーを標準装備。フェリオはハイグレードキーやリヤヘッドレストを標準化、シート形状変更。ハイブリッド車もシート地をモケットからトリコットに変えた。2003年9月の改良で顔が新しくなった。
ホンダ・シビック
(CiViC から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/15 00:39 UTC 版)
シビック(CIVIC)は、本田技研工業が生産および販売している乗用車である。欧州ではCセグメントに、アメリカ合衆国ではコンパクトカーにそれぞれ区分されている。
注釈
- ^ 当時の日本車はアメリカ車の影響を受けた曲線を多用したスタイリングが流行しており、その中には後方部分の窓が小さくなるなど実用性に欠けるものも多く見られた。
- ^ 後にこのグレード名は、アキュラ・インテグラや2代目フィットのスポーツグレード「RS」にも用いられた。
- ^ ただし、販売当時開催されていたJAFグランプリに、1200RSをベースとしたレースカーで参戦していた。
- ^ このSL型から始まったシビックレースは途中「シビックワンメイクレース」と名を変え、8代目のFD型まで続いた。
- ^ アコードも同様に、モデル途中で販売店が分割された影響で、次期型にモデルチェンジするまでクリオ店とプリモ店の併売であった。アコードが次期型にモデルチェンジするにあたり、プリモ店向けにはアスコットが投入されて穴を埋めることになった。次期シビックのクリオ店バージョンは投入されなかったが、同クラスでより上級志向のコンチェルトが1年後に登場した。
- ^ これはシビックだけでなく1980年代半ばまでのホンダ車全般にいえることであった。したがって、この時期のホンダ車は、ロールは少ないものの、乗り心地が固く、うねりのある路面や荒れた路面での挙動が不安定であった。
- ^ レースベースモデルの「SiR」を除く
- ^ ただし、98M以前の初期型についてはフロントグリルは日本仕様フェリオと同じタイプである。クーペは日本同様バンパーにモールがない。
- ^ これにより、ホンダが発売するコンパクトセダンはフィットアリアのみとなった。その後、グレイスに引き継がれたが、2020年7月31日をもって販売を終了したため、ホンダでは日本国内向けコンパクトセダンの扱いが無くなった。
- ^ CVT車のみ。レザーインテリアとセット。
- ^ 3代目インサイトにはLEB型が搭載されており、モーター(H4型)と組み合わせたe:HEV(イー エイチイーブイ)専用車種となる
- ^ シビックセダンに比べて全長が+25mm、全幅が+20mm、全高が-5mm
出典
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- 1 ホンダ・シビックとは
- 2 ホンダ・シビックの概要
- 3 概要
- 4 初代 SB1/SG/SE/VB型(1972年 - 1979年)
- 5 2代目 SL/SS/SR/ST/VC/WD型(1979年 - 1983年)
- 6 3代目 AG/AH/AJ/AK/AT型(1983年 - 1987年)
- 7 4代目 EF型(1987年 - 1991年)
- 8 5代目 EG型(1991年 - 1995年)
- 9 6代目 EK型(1995年 - 2000年)
- 10 7代目 EU型(2000年 - 2005年)
- 11 8代目 FD型(2005年 - 2010年)
- 12 9代目 FB型(2011年 - 2015年)
- 13 9代目 欧州仕様 FK5/6型(2012年 - 2016年)
- 14 10代目 FC/FK型(2015年 - 2021年)
- 15 11代目 FL型(2021年 - )
- 16 車名の由来
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