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くじら座

(Cetus から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 10:35 UTC 版)

くじら座
Cetus
属格 Ceti
略符 Cet
発音 [ˈsiːtəs]、属格:/ˈsiːtaɪ/
象徴 the Whale or Sea Monster
概略位置:赤経 1.42
概略位置:赤緯 -11.35
広さ 1231平方度[1]4位
主要恒星数 15
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
88
系外惑星が確認されている恒星数 9
3.0等より明るい恒星数 3(変光星ミラを含める)
10パーセク以内にある恒星数 5
最輝星 β Cet(2.01
最も近い星 ルイテン726-8;(8.73光年)
メシエ天体 1
流星群 October Cetids
Eta Cetids
Omicron Cetids
隣接する星座 おひつじ座
うお座
みずがめ座
ちょうこくしつ座
ろ座
エリダヌス座
おうし座

補足:ミラ (ο Cet) はもっとも明るい時には2等星の恒星になる。
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くじら座(くじらざ、鯨座、Cetus)は、トレミーの48星座の1つで、全天で4番目に大きな星座。ο星ミラは、明るさが大きく変動する変光星として特に有名である。星座の和名は「クジラ」だが、モチーフとされたのは神話・伝承上の海の怪物「ケートス」であり、海棲哺乳類のクジラとは全く関係がない[2]

この星座は黄道の近くにあるため、いくつかの小惑星がこの星座の領域内を通ることがある。4番目に発見された小惑星ヴェスタ(Vesta)は1807年3月29日ドイツブレーメンヴィルヘルム・オルバースによって この星座の領域で発見された。

主な天体

恒星

以下の恒星には、国際天文学連合によって正式に固有名が定められている。

  • α星長周期変光星と目される3等星[3]。「メンカル[4](Menkar[5])という固有名を持つ。
  • β星:くじら座で最も明るい恒星で唯一の2等星[6][注 1]。「ディフダ[4](Diphda[5])」という固有名を持つ。「デネブ・カイトス(Deneb Kaitos)」という固有名でも知られていた[4]
  • γ星:3等星で、3つの星からなる三重連星と考えられている[7]。A星には「カファルジドマ[4](Kaffaljidhma[5])」という固有名が付けられている。
  • ζ星:4等星で分光連星[8]。Aa星には「バテン・カイトス[4](Baten Kaitos[5])」という固有名が付けられている。
  • ο星:Aa星は有名な脈動変光星で「ミラ型変光星」のプロトタイプとされる[9]ラテン語で「不思議なもの」を意味する言葉に由来する「ミラ[4](Mira[5])」という固有名で知られる。最も明るいときで2.0等、最も暗いときで10.1等と見かけの明るさが大きく変わるため、明るく見えた星がいつの間にか消えてしまったように見える。
  • HD 224693:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でメキシコ合衆国に命名権が与えられ、主星はAxólotl、太陽系外惑星はXólotlと命名された[10]
  • BD-17°63:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でキューバ共和国に命名権が与えられ、主星はFelixvarela、太陽系外惑星はFinlayと命名された[10]
  • WASP-71:国際天文学連合の100周年記念行事「IAU100 NameExoworlds」でタンザニア連合共和国に命名権が与えられ、主星はMpingo、太陽系外惑星はTanzaniteと命名された[10]

その他に特徴のある恒星に以下のものがある。

  • η星:デネブ・アルゲヌビ (Deneb Algenubi)
  • ι星:デネブ・アル・シャマリー (Deneb al Shamaliyy)[4]。「デネブ・カイトス」とも呼ばれたが、この名前はβ星に使われることが多かったので、2つの星を区別するためにι星はデネブ・アル・シャマリーもしくは単にシャマリー(Shamaliyy)と呼ばれた[4]
  • τ星:地球から17番目に近い恒星。オズマ計画に選ばれた。
  • ZZ星白色矮星。薄い水素の表層が脈動することで変光する「脈動白色矮星」で、「くじら座ZZ型変光星」のプロトタイプとされる[9]
  • ルイテン726-8:地球から6番目に近い恒星。伴星のくじら座UV星は「閃光星」や「フレア星」と呼ばれる爆発変光星の「くじら座UV型変光星」のプロトタイプとされる[9]

星団・星雲・銀河

くじら座は銀河南極に近く、銀河面から離れている。このため、銀河系外の多くの銀河がよく見える。

由来と歴史

アッ=スーフィーの『星座の書』に描かれたくじら座。

この星座の発祥の地は定かではなく、ギリシャ・メソポタミア・エジプトにそのルーツを求める説が出されている[11]。このうち、メソポタミア神話に登場する原初の海の女神ティアマトに起源を求める説は、19世紀末のリチャード・ヒンクリー・アレンの『Star Names: Their Lore and Meaning』や原恵の『星座の神話』でも言及されているが[4][12]、根拠がなく憶測に過ぎないとされる[11]。ギリシャ発祥説では、アンドロメダ座カシオペヤ座ケフェウス座、くじら座の4つの星座は、紀元前5世紀終わりから紀元前4世紀初め頃には既にペルセウス座と関連付けて命名されていたと主張される[11]。エジプト発祥説では、古代エジプトで黄道星座とされていたワニの星座をくじら座の起源としている[11]

少なくとも紀元前3世紀中葉の詩人アラートスの『ファイノメナ』以降、この星座は海の怪物「ケートス (Cetus)」として語られてきた[11]。古代ギリシャ・ローマ時代に考案された星座は、2世紀にクラウディオス・プトレマイオス(トレミー)によってその著書『アルマゲスト』に48の星座としてまとめられ、くじら座もその1つとされた。この48星座はアラビア世界にも伝えられ、10世紀に『アルマゲスト』の第7、8巻を元としてアッ=スーフィーが著した『星座の書』でも、この星座は半獣半魚の怪物として描かれている[13]

神話

メルカトル天球儀1551に描かれたくじら座

ギリシア神話では、生贄のアンドロメダー姫を食べようとする巨大な海の怪物ケートスとして登場し、メドゥーサを倒した後たまたま通りかかったペルセウスに斬られて退治された[2]

脚注

注釈

  1. ^ ミラを除く。

出典

  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ a b Ridpath, Ian. “Cetus”. Star Tales. 2022年2月5日閲覧。
  3. ^ "alp Cet". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月19日閲覧
  4. ^ a b c d e f g h i 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味 -』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、204-207頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  5. ^ a b c d e IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年11月18日閲覧。
  6. ^ "bet Cet". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月19日閲覧
  7. ^ "gam Cet". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月19日閲覧
  8. ^ "zet Cet". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月19日閲覧
  9. ^ a b c Durlevich, Olga. “GCVS Introduction”. Sternberg Astronomical Institute. 2022年11月13日閲覧。
  10. ^ a b c Approved names” (英語). Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2022年11月18日閲覧。
  11. ^ a b c d e Condos; Theony (1997). Star myths of the Greeks and Romans : a sourcebook containing the Constellations of Pseudo-Eratosthenes and the Poetic astronomy of Hyginus. Grand Rapids, MI, U.S.A.: Phanes Press. p. 78-79. ISBN 978-1-60925-678-4. OCLC 840823460 
  12. ^ Allen, Richard H. (2013-2-28). Star Names: Their Lore and Meaning. Courier Corporation. pp. 160-162. ISBN 978-0-486-13766-7. https://books.google.com/books?id=vWDsybJzz7IC 
  13. ^ 近藤二郎『星の名前のはじまり-アラビアで生まれた星の名称と歴史』誠文堂新光社、2012年8月30日、156-158頁。ISBN 978-4-416-21283-7 

座標: 01h 25m 12s, −11° 21′ 00″




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